詰将棋

プレ短コン⑥ 馬屋原剛さん作

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▲15龍△14金合▲31角成△22桂合▲23歩成△同玉

▲34角△同桂▲24銀△同金▲13龍まで11手。

正解者26名 無解1名 誤解1名 評点なし1名

評点3.92(5-9、4-7、3-9、2-1) 3位

冬「11手で2つの合駒を両方とも動かす、という意欲的な狙いの作品です」

市「初手と3手目の手順前後が効きそうで効かない。個人的には15龍よりとりあえず31角成を先にしたくなる形に見えるので、素直に感心した」

冬「先に31角成だと22金合として詰まない仕掛けになってます。え、詰むじゃんって?よーく読んでみてくださいね」

市「コンピュータ解答の人もいるにせよ、誤解1名は少なかったね。みなさん注意深い」

冬「誤解が少なくてもこれだけ高評価だからまあ充分といえば充分ですよ。あ、あと誤解した方は看寿賞作家ですので作者は自慢していいです(笑)」

** 短 評 **

羅刹國さん「手順前後を調べるのが面倒だった。締まっていてレベルが高い」

凡骨生さん「11手詰に合駒二回と、その駒を二枚とも動かすとは!」

風みどりさん「手順前後の解消が飛車合という所に上手さを感じる。しかし作意自体に飛躍はない」

☆そうですねえ、おぉ!という手がないのが弱点といえば弱点。いや、この作者だから言いたくなる贅沢ですけど。

不透明人間さん「まとまりのよい作品だと思います」

波崎竹生さん「駒余りを避けるだけが目的の金合。(俳句にならず)」

☆俳句にするのはかなり無理筋かと。

中村雅哉さん「一目31角成としたくなる構図が巧い。手順も小粒ながらきちんと仕上がった好作」

☆おぉ~、なんか嬉しくなる評ですね。

増田智彬さん「限定合が2回。でも合駒読みが面倒でなくて助かりました」

真Tさん「限定合が動く×2。こういうの大好きです」

坂本栄治郎さん「スッキリ合駒限定」

☆合駒読みが好きな方も結構多いようですね。実はワタシはちょっと苦手なんですけど。

隅の老人Bさん「2度の合駒、その駒がそれぞれ動く。短編では珍しい?」

☆かなり珍しいと思います。もしかしたら初かも?

隅の老人Aさん「手順前後に要注意。骨あり」

詰将棋1級さん「各合駒を動かす収束は気持ちいい」

ほいさん「合駒が綺麗に割り切れてます」

☆トゲつきですけどね(笑)。

でんでんさん「2度の限定合がいい。駒取りもなくすっきりとした気分」

☆でんでんさん的清涼詰?

たけとひでさん「局面は狭いけれど面白い」

たくぼんさん「合駒2つを動かすとはなかなかの使い手と見た!」

しろねこさん「かなり難解。34角が決め手」

さわやか風太郎さん「合駒がもう一度働くとは。少々ごっつい手順ですが、最後はすっきり」

☆ごついですかねえ。まあ途中まで駒が増えてくから仕方ないかな。

ごぶりんさん「合駒を打診する順番で限定させているのが面白い。形からは31からいきたくなるだけに」

☆確かにこの組み合わせ方は打診っぽいですね。

カルルクさん「短手数ながら2度合駒を読む濃密さが完成度の高さといえると思う。▲14金、▲22桂とも必然で、その結果清涼詰に至るのは素晴らしいの一言に尽きる」

☆濃密で清涼。相矛盾してそうでしないのが詰将棋のいいとこかな。

利波偉さん「先に31角成としないと、本作の狙いが解らないところが弱点」

ssさん「特殊な例外を除くと、合駒を動かすには通常は7手必要なわけですから、11手で2回動けば記録は間違いなし!?」

☆合駒を動かす短編、というとどうしてもこの作品を思い出します。7手で2回動かすこの作品、特殊な例外とも言えない気も。

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冬眠蛙好みの短編 番外編 斉田喜道氏作

斉田喜道氏作 パラ中学校発表(修正図)

▲43金 △同玉 ▲52銀 △32玉 ▲43金 △23玉

▲33金 △同桂 ▲21飛 △32玉 ▲54馬 迄11手。

 

持駒が強力ですが、玉方の守備陣のブロックもなかなか手強く、迷うところです。

初手53飛では43香、同飛成、同玉とした後、ちょっと駒が足りそうにありません。43金~52銀で手がかりを作ります。同玉で詰まないように見えますが63金~53飛~54馬でぴったり。作意の感触がします。

しかし32玉と逃げられると、今度は詰みそうでなかなか詰みません。邪魔な桂を成捨てたいところですが42桂成は同歩で続かないし、33金が一見うまそうに見えますが冷静に同桂と取られてペケ。冬眠蛙はここでだいぶ悩みました。

43金とわざと重く打って33金とすべらせるのが絶妙の手順です。23に玉位置を移したので同桂に両王手を間接的に見せる21飛が成立し、ようやく詰みに至ります。この金を打ってすぐ捨てる筋はたまに見るのですが、こんな端正な実戦形で、しかも焦点捨てで出てくるとは!正に驚きです。

紹介時にも触れましたが、発表時は24金が歩だったため余詰が成立しました。本当に惜しいです。余詰順もちょっと普通はありえないだろ、という順ですので、我こそは、という方は考えてみてください。

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冬眠蛙好みの超短編 西沢重男氏作

西沢重男氏作 パラ82・5

▲47龍△同と▲55角△同玉▲56角成 迄5手。

強力な攻め駒が玉の周りを取り巻いて、どうやっても詰みそうな初形。ところがよく見ると45歩が浮いており、なかなか捕まらないようです。

…とわかったとしても47龍はなかなか指せない手ではないでしょうか。37地点をわざわざ開けるようですし。そして更に同とに対して、同角成でも同龍でもなく55角!というのが力強い妙手。これが45玉に対して56角成を用意するために香筋に捨てるのが限定ときたもんだ。初形が簡素なので、より鮮烈な印象が残りました。

ワタシは存じ上げないのですが、柳原さんのコメントを見るとすごい経歴のようですね。解答者心理をつく作品を、また見てみたいものです。

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冬眠蛙好みの超短編 まいなすぜろ氏作

まいなすぜろ氏作 パラ81.9

▲65銀△63玉▲85角△同龍▲64銀△74玉▲73銀成迄7手。

この作品はなんといっても詰上がりの両王手。銀のすりこむような動きは、もし自力で解いたらよりシャープに感じていたのではないか、と思います。

その前の手は詰上がりに向けての伏線手ですが、これが無駄な配置なしで限定できたのも大きいと思います。初手はなんてことないようですが、収束が見えない分、色々な紛れを生み出しており、作品に良い厚みが出ています。詰上がりで魅せるための心配りが行き届いているなあ、と感心しました。

作者は当然ペンネーム(SF小説の本から取られたらしい)ですが、どなたなのかはワタシは存じ上げません。あしからず。

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冬眠蛙好みの超短編 小泉潔氏作

小泉潔氏作 パラ81.7

▲56金△同と▲55角△同と▲49香△同馬▲36金迄7手。

初手47香と打ちたくなりますが55玉と逃げられると54と65の逃走経路をいっぺんに防ぐことができそうにない形。はて…というところですが、56金~55角とするのが絶妙の手順です。変化は難しくないのですが、この形で初手金を手ばなすのはなかなか出来ないのではないでしょうか。

更に5手目49香がまた味わい深い捨駒。単純ながら48では47では詰まず、あえて馬の効きでないと駄目、というのがなんともいえない妙味をかもし出します。この駒数でよくここまでムシのいい手順に出来るな~ととにかく感心するのみです。同氏のこの年の看寿賞作品の別アレンジといった感じの作品なのですが、単品で見ると十分にこれも受賞級と思います。

(参考 小泉潔氏作 パラ81.5 看寿賞)

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最近は少し活動をお休みしているのでしょうか?ストックいっぱい持ってそうですけど、出し惜しみしないようにして欲しいですね(笑)。

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プレ短コン②馬屋原剛さん作 解答

 

▲64金△同角▲63飛成△45玉▲36金△同と

▲34銀右△同銀▲54龍△同玉▲44金迄11手。

評点3.61(5-3,4-4,3.5-1,3-4,2-2) 4位

続いては馬屋原さんの『ウ』。捨駒をちりばめながら形を整えていく、比較的オーソドックスな構成ですが、周りを攻め方駒で固めているにもかかわらず、初手がヒモ付きでない64金というのはポイントが高いです。以降は論理の積み重ねで解けますが、最後に龍を捨ててバッチリ決めてますので、解後感が良い作品だと思います。4位という上々の成績でした。

利波偉さん『初手55金としないところがミソ。龍捨ても入りまずまず。』

☆55金だと最後44金が同角で詰まない仕掛けです。途中まで同じ手順が成立するので、少しアレ?っていう感じになりますよね。

DISABLEDさん『大胆な捨駒がカッコイイ。』

安武利太さん『形といい手順といい、最もあぶり出しらしい作品。』

☆安武さんがこう言うのですから間違いありません(笑)。

しろねこさん『とても奇麗です。作るの大変だったのだろうと思いました。駒の効きによく対応している。』

☆大きい字形だと、やはり映えますよね。

今井亜美さん『55金と打ってみたのは作者の思う壺でした。でも、最後まで進めて「そうか、初手が違うのか」と膝を打つのは、なかなかの快感。』

☆冬眠蛙もそういうの大好きです。

波崎黒生さん『曲詰らしい形と手順。』

凡骨生さん『「ウ」まいものですね曲詰好きの爺は「ウ」れしくなります。』

☆あぶり出し特有の短評。やはり楽しいものです。

北北東さん『短手数で大きな字を作るのは、詰上りが見えてしまうので難しいと思いますが、うまく出来ています。』

☆ちなみに冬眠蛙は最初に図を見たとき「ツ」かな、と思いました。大ハズレ。

葉井来人さん『角を移動させるのが丸見えで、初手は55金かと思った。不動駒が多いのが気になる。』

☆短編だとどうしてもコレが厳しいんですよねえ。

隅の老人Aさん『控えめな初手も良いし、飛の2段活用も頂ける。』

☆初手、一路控えたワケですね。

谷口翔太さん『詰め上がり、良し。手順、マズマズ。』

けんちゃんさん『初手が分かれば、あとは変化も紛れもない。』

☆持駒が強力なんですけど、短編ってわかっていると手は限られている感じでしょうか。

たくぼんさん『まさに曲詰の王道とも言える順。物足りないという感想もあるにはあるが文句のつけようはない作品。』

☆確かに「王道」という感じですね。オカビン先生の影響でしょうか。

なぜ『ウ』の字を出品されたのかは後日、もう一作の解答発表時に明かされます。お楽しみにっと。

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プレ短コン①吉川慎耶さん作 解答

 

▲23角成△同馬▲32銀△同馬▲62銀成△42玉

▲52龍迄7手。

正解者14名

評点3.13(4-5、3-8、2-1、1-1) 8位

今回は折角のあぶり出しコンクールなので、配置は「詰上がりを訓読みで読んだときの五十音順」にしてみました。そうしたらちょうど良く、フェアリーで大活躍の吉川さんの「いち」が先頭に来た次第。

投稿時は12角が持駒で全体が右に一路寄っていたのですが、柿木にかけたところ、なんと47手詰の余詰順がありました。(結構面白い順です。興味のある方はこう研究)で、なんとか詰上がりを崩さずに…と考えた結果がこれです。若干初手の味が落ちますが、さすがに止むを得ません。でも32銀の味が良く、綺麗に出来ているので個人的に結構好きな作品です。ああ、こういう展開の逆算もあるのか、と感心しました。

○○ 短 評 ○○

たくぼんさん『連続捨駒は圧巻だが、何故真ん中ではないのだろう??』

☆この評を見て愕然。そういえばそうだ…。修正するときにもう少し考えなくてはいけませんでしたね。

安武利太さん『なぜ中央にしないのでしょう。』

☆すみませーん。(いや、もちろん作者ご本人の了解の上でこの修正図にしたんですけどね)

利波偉さん『幕開けの客寄せとして好題と思います。よくある筋ですが、字になっているから及第点。』

DISABLEDさん『まずは幸先良い客寄せで。いきなりの捨駒は目が覚める。』

☆これ以上ない位にトップバッター向きですよね。

しろねこさん『角と銀を捨てることで詰めることができた。最後は5二竜まで。』

今井亜美さん『唯一の守備駒をプチ翻弄とは洒落ています。』

☆よく余詰まずにこのオイシイ手順が成立してますよね。

波崎黒生さん『もう少し延ばすのは難しいのかな』

☆確かにこれに序奏が付いたら短編あぶり出しでは理想的かも。でも、この構図のままだとちょっと無理筋ですね。

凡骨生さん『7手ながらスッキリスマート「一」』

北北東さん『完成度が高い好作。一路左に寄せないのは、何か理由があるのでしょうね

☆ギクリ。

馬屋原剛さん『馬を引きつけてからの32銀がよい。』

葉井来人さん『普通作としてみれば中々だが、曲詰と言われると見方が変わってしまう不思議さ。』

☆自然と厳しくなっちゃうとか…。ガクガクブルブル。

谷口翔太さん『馬の利きを外しての62銀成、良いぞ。詰め上がり、作者の希望で1点減点。』

☆えぇぇぇぇ~。そういう意味の詰上がりでは…。

隅の老人Aさん『イの一番、好短編だが左に1路寄せたいね。』

☆好評な割りに点数が伸びなかったのはやはり中央にしなかったせいなのでしょうか。ほんと悪いことをしました。これに懲りず、またよろしくお願いしますね。

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冬眠蛙好みの超短編6 山名厚氏作

 

山名厚氏作 パラ81.3

▲26歩△24玉▲14飛成△同桂▲15角△同玉▲25金迄7手。

超短編でこの時期はやった、歩を突く手が初手。難しくはないものの変化をともなう手なので緊張感が出ています。一連の歩突き作品の中でも最も力強い感触をともないます。

で、24玉と引く手に一転して派手に大駒捨て連発。紐つきで打てる15角をわざわざ紐なしにする14飛成は、桂の34への利きを消すための捨駒。それ以外の意味づけがないところがスゴイと思います。よくこれだけの駒数でこれだけの内容を詰め込んだものです。秀作ですね。

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順位戦を振り返る。17

 

第19期A級順位戦 評点4.08 2位(残留)

冬「しっかしまた、よくここまで汚い初形にできるもんだ」

市「13枚だから過去最高の盤面駒数ではないんだけど、図面目一杯使っちゃったから、どうしても汚く見えるよね。91馬・71馬の位置じゃないともう一枚使わないと駄目で。それでやむなく」

冬「それでいて最初の3手でほぼ終わりだからな~」

市「2手目34玉の変化(24飛、35玉、26金、45玉、44飛、同馬、46歩、34玉、24金以下)がちょっと面白いので、この手順だけは残そうと思ってました」

冬「せめて16歩が無ければねえ」

市「インパクトだいぶ違うんだけどね。まあ詰まないんでは仕方ないです」

冬「で、ここまで振り返った、ということは来期以降は出ない、ということで」

市「いえいえ、これに出ないと作家であることをすっかり忘れられてしまうので。来年以降もなんとか出品しつづけたいと思ってます」

冬「…何をしたかったんだ、この企画は…」

市「全く意味がないのがワタシらしいということで」

冬「やれやれ。付き合わされる方の身にもなってほしいね」

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順位戦を振り返る。16

 

第18期B級順位戦 評点4.39 1位(昇級)

市「ちょこっとだけ直しました。54香配置を53にしてます」

冬「なんか違うの?」

市「いや、見た目だけ。ちょっと54だと横の広がりだけ目立つから」

冬「意味ねー」

市「これはホントできたのが締切ぎりぎりだった。もう絶対駄目だと思ったもん」

冬「確か新潟に帰ってたときに作ったんだよね」

市「そう。収束は元々素材で持ってたんだけど、序奏が全然入らなくて。でもなんかそのときだけうまく行ったんだよね」

冬「たぶん37銀が入らなかったんだろうね。んで、45飛を入れたらそのタイミングだけ成立したと」

市「だったかなあ。覚えてない。とにかくついてました」

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