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2014年11月

第7回プレ短コン⑨u-makuさん作

▲24飛 △同銀 ▲26桂左 △17玉 ▲34桂 △35銀
▲26桂 △同玉 ▲16飛迄9手。

正解者数25名(誤解1名)
評点2.72(4-4、3.7-1、3-12、2-2、1-6) 12位

☆入玉形で歩なし、しかも守備駒は銀一枚。かなり独特な初形にまず驚きます。38桂を跳ねたくなるのですが、初手26桂では17玉で大駒4枚がまるで役に立たない形になります。実戦だったら発狂ですね(笑)

☆正解は初手24飛。この飛を消すことで、26桂、17玉に34桂と手がつながります。飛も角も唯一の守備駒である15銀に食べられてしまいますが、26桂から16飛であっさり詰みあがります。手順もなかなかユーモラスです。

☆初手24飛と捨てることで、26桂、36玉が一瞬詰まなそうに見えるのもうまい。45銀左、47玉、38金で実は簡単です。「56銀の配置は37歩でもいいですが詰上がりと変化の味を考えてこうなりました」と作者より。なかなかユニークな作品でした。

** 短 評 **

ほいさん『34を開けるための飛車捨てが狙いでしょうか』
後藤進さん『易しいが、閉塞感の解消は楽しめる』

☆閉塞感の解消。うん、うまい表現です。

中村雅哉さん『狙いは明快に表現されている』
太刀岡甫さん『カタカタと開き王手の歯車が動く』

☆15銀の動きもそんな感じですね。

夏風さん『掴みどころのない手順』
蛇塚の坂本さん『桂と飛の邪魔駒が逆に面白さユニークさを倍増しました』

☆坂本さんは点数も倍増でした。

三輪勝昭さん『結構面白い手順だけど、僕は詰方の駒が多いのは嫌いなもので1点です』
☆あらら。

有吉弘敏さん『ユーモラスな双方の応酬です』
奥鳥羽生さん『飛び交う忍者(桂)が撹乱し、止めを刺す頭領(飛)といった趣き』

☆アクションものというより、喜劇っぽい感じも。

河童Bさん『34飛が邪魔とはね! 桂跳ねで3度の開き王手、やるねぇ』
ikz26さん『此方は攻方桂の跳躍か。ちょっと配置が苦しめ』
金子義隆さん『今回、一番ヘンな作品。面白いようなそうでないような』

☆作者にとってはある意味褒め言葉かも(笑)。

占魚亭さん『派手な手順なのに、地味に見える不思議』
秀和歌さん『4 手目36 玉の変化に苦労』

☆ちょっと盲点になりやすいですかね。

さくかさん『伝わるものはあるけど、色々と中途半端な感じ』
不透明人間さん『合駒お化けが出なかった』

☆合駒が出てもっとワケのわからない手順だとさくかさんのニーズも満たせた?

斎藤吉雄さん『攻め駒が大渋滞で飛車を動かしたら流れ出した』
☆34飛が事故車両でしたか。

利波偉さん『24飛消去は旨い』
EOGさん『面白い』

☆EOGさん位詰将棋に詳しいと、逆に新鮮なんでしょうか。仙台的にはホヤみたいな感じ?

名無し名人さん『駒の利きを確認するのに頭がこんがらがってきました。この独特の感覚はオタマジャクシさんでしょうか』
☆……もはや何も言うまい。

ほっとさん『「桂跳のスペースを空けるための桂跳」のスペースを空けるための飛捨て。使用駒や飛で始まり飛で終わる所など、統一感がある』
☆センスを感じる一作でした。

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第7回プレ短コン⑧ぬさん作

▲48馬 △44歩 ▲同飛  △35玉 ▲26馬 △同歩
▲36歩 △25玉 ▲16銀迄9手。

正解者26名 (誤無解なし)
評点2.93 (4.1-1、4-6、3-12、2-5、1-2) 8位

☆初手は馬を開くしかなさそうですが、最も有力そうな51馬は35玉で、香を守る57馬や53馬は15玉で不詰。15脱出を防ぎつつ35玉には57馬を見せる48馬が一人時間差のような好手です。

☆玉方も44歩合で35玉のときの57馬をけん制しつつ打歩詰に誘致するのですが、26馬がそれに対する返し技。打歩詰を打開して詰みあがります。

☆最後緩むのは打歩利用の宿命ですが、メリハリのある構成で、見事去年ブービーメーカーの汚名を返上しました。

** 短 評 **

u-makuさん『なるほど48馬から57馬には46歩があるんですねえ、うまいこと作りますね』
ほいさん『変化の犠打のための4四歩。少ない駒で狙いくっきりな作品ですね』

☆歩の出し方がうまい。単純な打歩誘致ではないので、普通の打歩モノとは違うテイストになっています。

後藤進さん『初手が決まれば一直線』
中村雅哉さん『構図に比べて地味な作意』

☆手順的には派手と思うのですが、意外性という点では地味かも。または中村さんが重度の詰棋病。(笑)

太刀岡甫さん『限定移動の馬を捨てて打歩打開』
名無し名人さん『捨合で逃れるための中合はちょっと珍しい?しかし9手で打歩が入るのは緩い印象です。秀和歌さんか』

☆これもハズレ。懲りないなあ(笑)。

柳原裕司さん『一番なさそうな48馬が作意だった』
利波偉さん『初手の引き場所がもっと意外なら加点していたが、、、』

☆人それぞれ、といった感じですが、48馬もそう意外な感じでもない?第一感は外していると思います。

EOGさん『飛車にもう一働きしてほしかった』
さくかさん『作りが安易な印象』
斎藤吉雄さん『収束に短編の切れ味が欲しいなぁ』

☆後半がちょっと紛れが薄い感じはあるかも。

不透明人間さん『持駒なしはありがたい。ムダなくできている感じ』
秀和歌さん『まさか打ち歩の展開のなるとは』
占魚亭さん『打歩を絡ませ、馬捨ても入りまずまず』

☆展開としては意外性ありますよね。

金子義隆さん『一桁短篇の打歩物は難しい。これが中篇の収束なら上出来だと思うが』
☆金子さんの名前を見て思ったのですが、39馬だと17馬に26歩で詰まない、みたいな仕組みにできればベストでしたね。構図的には厳しいと思いますけど。

三輪勝昭さん『初手の意味は作意で分かる。僕は性格がねじまがっているのでストレートなのは反って新鮮な感じ。妙手はないけど変にこねてないのは好感が持てるかな』
奥鳥羽生さん『香の利きが44合の有効性をカモフラージュ。紛れにも44合が出現』

☆初手51馬、35玉、62馬ですね。以下44歩合、同馬、24玉で逃れます。

蛇塚の坂本さん『馬の活躍面白い』
ほっとさん『一見無駄合に見える44歩合。しかしすんなり作意に入ってしまったので、印象が薄い』
夏風さん『2手目だけちょっと考えたくらいで、残り8手は平凡』

☆初手すぐ見えちゃうと、どうしても辛くなるかなあ。

ikz26さん『馬の大転回が気持ちよい。44中合を暫く見落としていた』
河童Bさん『初手、51馬は落とし穴に嵌る。48馬から26馬、巧みな攻めですね』
有吉弘敏さん『様々な詰め上がりパターンを想像しながら解図しました。楽しい時間帯を過ごせました。作意も中合がさりげなく入り、感心した作品です』
☆ちょっと意表の詰上りですよね。馬の転回を含め、2時間サスペンス的な軽いミステリ、といった感じ。個人的には結構好みです。

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第7回プレ短コン⑦利波偉さん作

▲31金 △同玉 ▲22銀 △同玉 ▲12香成 △23玉
▲32角 △同金 ▲13成香迄9手。

解答者数26名(誤無解なし)
評点3.19(5-1、4-9、3-11、2-4、1-1) 5位

☆41からの脱出路が見えています。それを防ぐ初手22金が手筋で、同歩と取らせて首尾よく飛の横効きを通し……後がうまくいきそうに見えて、続きません。

☆31金~22銀と金銀を両方とも捨ててしまうのが、まさに意表の手順。12香成で脱出を封じて、最後32角が気持ちの良い決め手になります。

☆手順的には手筋物ですが、心理的ないやらしさをうまく組み込んでいて、さすがの一言。完成度の高さでもポイントを稼ぎ、右上5×5の端正な構図ながら5位に入りました。

** 短 評 **

u-makuさん『22へ誘うのが急所ですね』
☆…です。これが気付き難い。

斎藤吉雄さん『初手22金が強い紛れでした。形よし、手順よし』
さくかさん『これは解答者のツボを心得てる。いい作品ですね』

☆実力者からも好評。いいなあ。

ぬさん『初手、22金ばかり考えてました』
EOGさん『複合手筋。22角、32銀なら面白いが』

☆そりゃまた強欲な。

不透明人間さん『まとまっている。私なら2四とは金にするかな』
夏風さん『初手の味が良いですね』
名無し名人さん『今回では最も落ち着いた初形。初手22金ではなく31金~22銀とは回りくどい手順ですね。最後に角も捨てて綺麗に出来ています。斎藤さん?』

☆ハズレ。

秀和歌さん『唯一の実戦型。こんなのもないと(^▽^)』
太刀岡甫さん『捨て駒一つ一つにセンスが光る』
中村雅哉さん『序が巧妙。きれいな仕上がりの小品』

☆作図は逆算かな?なんでもござれの作者なので、予想がつかないですね。

占魚亭さん『金駒の有効活用』
金子義隆さん『これは好作。短篇はごちゃごちゃしていないのが好み』

☆金子さんらしい評。

後藤進さん『32角は快感』
☆癖になる気持ちよさ。

ikz26さん『いきなり22金では同歩で駄目なのがちょっと面白い』
ほいさん『初手2二金ではダメでワンアクション入れるところが面白いです』

☆狙いがわかりやすいのでストレートに伝わりますね。

河童Bさん『初形に好感。31金打から始まる詰手順にも好感、です』
奥鳥羽生さん『即22金とけちらず、金銀散財して22へ誘導する必要。締めもキッチリ』

☆ボーナス大放出の趣。気前良すぎるのも詰将棋ならでは。

蛇塚の坂本さん『玉の誘導面白い』
ほっとさん『かなり悩まされた。初手22金の紛れが良い』

☆52龍だけで良く紛れをクリアできてると思います。好評サクサクでした。世界なら優秀作ゲットできたんでは、と思える作品。

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第7回プレ短コン⑥幻想咲花さん作

▲39香 △同龍 ▲38香 △35角 ▲89成銀△43玉
▲44馬 △同角 ▲54銀上迄9手。

正解者数24名 (誤解1 無解1)
評点3.99 (5-7、4.8-1、4.5-1、4-8、3.5-1、3-4、2-1、1-1)3位

☆88成銀を動かして王手したい形ですが、78成銀は99龍ですし、89成銀は88歩。2枚の龍の利きを1枚の遮蔽駒で止めることはできません。初手35香としても22玉で状況が変わりません。ではどうするか。

☆一見大したことなさそうな23地点が実はポイント。2枚の龍の下の利きが外れると、23とで詰むことを利用して、39香、38香と限定打を連発します。39香に22玉なら78成銀、38香に22玉なら89成銀。限定打を利用して遮蔽駒を二枚にできる、という仕掛けです。素晴らしい。

☆玉方も35角中合(88成銀はこの合駒を角に限定するため)で抵抗しますが、これを取らずに89成銀から44馬で仕留めます。作者らしい論理に満ち溢れた構想作で見事3位入賞しました。

** 短 評 **

利波偉さん『初手は打ってから考える。合駒を動かしての収束は手馴れている』
☆無理ない感じが良いですね。

太刀岡甫さん『2度の最遠打に中合を動かし非常に内容の濃い構想作』
柳原裕司さん『鮎川作×2のアイデア。目の付け所が非凡』

これですね。理想的超短編と思います。

不透明人間さん『序の3手から三谷郁夫作5手詰を連想した』
☆こちらは存じ上げません。三谷さんて5手詰ありましたっけ?

EOGさん『わかりやすい手順。成銀は何とかしたいが』
名無し名人さん『これは幻想咲花さん以外ありえない。香遠打二発と、応手によって成銀の移動場所を変える仕組みが面白い。銀合を品切れにせずに割り切れていれば完璧でしたが…』
☆同香と取る手を使えないので、4銀配置ナシでの割り切りは難しそうかな。

ほいさん『初手を入れるのがユニークですね!まとめかたも良いと思いました』
中村雅哉さん『盛り沢山なのだが、今一つの印象。右上の構図が惜しまれる』

☆この仕組みを成立させるシステムとしては、かなり優秀と思ったのですが。厳しい。

u-makuさん『さすがうまく作りますねえ』
後藤進さん『香の犠打による2枚龍の守備力減殺に意外性がもう少しあれば…』

☆技術的には超難度Aだと思うのですが、いかにも、という形なので解く分にはそう苦労しないかも。まあ、作者もそこは承知と思います。

ぬさん『いかにして、龍を横に並べるか?』
ほっとさん『成銀のせいで角合が出るのがバレバレ。成銀を88に置くところも独特の感覚。でもこういう構想物も嫌いじゃない』

☆そう。成銀を88に置く、という見せ方が作者のセンスの良さだと思うんですよね。こういう感覚はなかなか得難い。

夏風さん『理知的ですが、あっさりしすぎ』
蛇塚の坂本さん『攻守秘術の応酬』

☆初形を含めていかにも作り物、という雰囲気を味わえます。

三輪勝昭さん『これは宮原君ですよね。彼らしい作品。彼だとしたら言いたくないけど(笑)優勝候補』
☆今回は命名ありでしたが、なくても作者バレバレだったと思います。

有吉弘敏さん『この構図で香連打・角中合から馬捨ての収束という流れるような構成です』
河童Bさん『構想の妙、それを実現する作者の力に感心。特に35角合は白眉の一手です』
ikz26さん『成銀の移動箇所によって遮る龍のラインを選択できる構図が秀逸。短編でこの銀合の割り切り方はちょっと感心しないが』

☆もう明らかに作者を知っている感じの評が並んでますね(笑)。

金子義隆さん『詰みすぎて困ったがこういうことですか。88成銀は、まだしも22成銀では。しかし意欲を買う』
☆22成銀置くくらいなら、△42香▲43桂を△31銀△42歩かなあ。迂回のキズはありますけど。

占魚亭さん『焦点への連続遠香打とは恰好いい』
秀和歌さん『竜の焦点に手あり。成銀の潔さ』

☆確かに潔い。ほんと、これはこれでアリ、と思います。

奥鳥羽生さん『なるほど受賞級。下辺・右辺の龍筋と斜辺の馬筋の融合により連続遠打を実現。中合~攻方大駒消去のまとめも秀逸。難解ではないが考えさせるパズル性もあり』
☆作者もお気に入りの作品とのこと。納得です。今後も楽しませてもらえるはずで、期待しましょう。

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第7回プレ短コン⑤つつじさん作

▲35銀 △同龍 ▲14金 △同銀 ▲15角 △同龍
▲34金 △25玉 ▲35金 迄9手。

正解者24名(誤解1名、無解1名)
評点 2.86(5-1、4-3、3-11、2.5-1、2-6、1-2) 11位

☆33飛がブラになっているのですが、守備駒が強く、紐付けが難しい。筋の良さそうな15角はあっさり同玉でダメ。

☆初手35銀が伏線手なのですが、その意味がすぐにわからない仕掛けになっているのが作者の工夫。14金、同銀、15角のときの同玉を詰ますようにしているわけですが、14金自体もちょっと打ちにくいので、なかなか想到しないのではないでしょうか。

☆15角に同玉は35飛成なので、同龍から両王手の収束。謎解きの要素も持った重量級短編でしたが、詰上りの感触も少し重くなってしまったのは、(構図上仕方ないかと思うのですが、)少し残念でした。

** 短 評 **

河童Bさん『変化読みで難しい。最後の両王手が面白い好手』
夏風さん『23金から考えました。この収束につながったのは意外』

奥鳥羽生さん『連続捨駒から一変する最終3手、リズムの変調が一興』
☆ちょっと意外性ありますよね。

三輪勝昭さん『これ手筋物ですよね。僕は手筋物のファンだけど、こう言う重苦しい感じは好きになれない。手筋物は所詮直ぐ見えちゃう。効率性を極限まで求めキレを良くする事を望む』
蛇塚の坂本さん『気持ち良い龍の翻弄』

☆個人的には翻弄、という感じはしませんが、そこは人それぞれ。

ほっとさん『初手と3手目のどちらが先か、見極めが難しい。4手目33玉の変化で、金打→金引による両王手が出てくるのが隠し味』
☆ここの手順前後で誤解が1名。33玉は55角、44香、43金、34玉、44金で違う筋の両王手が出てきます。ここも狙いかな?

ほいさん『序盤の味付けからあまり見ない収束で好感』
ぬさん『なぜか14金が見えませんでした』

☆いや、これは見えないのが普通と思います。

後藤進さん『満を持しての15角が好手』
☆まさに。

u-makuさん『うまく出来てると思うけどなんとなくもの足りない感がある。33飛がなくなって欲しいと思うからかな』
名無し名人さん『手順前後に 悩まされました。全体的にゴツい感触の作品です』
中村雅哉さん『全体に重い』

☆桂香歩の手がないんですよね。

太刀岡甫さん『取られずに残る屈強な飛車』
☆胸に飛び込もうとしてラリアットくらうような感じ?

EOGさん『最後が残念』
利波偉さん『変化は難しいけど、作意は今一つか』

☆一手一手は悪くないと思うんですけど。バランスかなあ。

不透明人間さん『形がもうすこし良ければ』
さくかさん『うーん、尻すぼみ。形も整理したい』

☆けっこうギリギリなんですよね。やはり攻駒が強いと大変。

秀和歌さん『手順の組み合わせに苦労』
ikz26さん『序は緊張感があるが、最後は息切れ気味。後一手あれば、です』
占魚亭さん『34地点の制圧を目指す』
☆そうか、初形で4枚効いているんですね。工夫を重ねて無理を通す、といった感じでしょうか。

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第7回プレ短コン④斎藤吉雄さん作

▲54銀 △同飛 ▲55金 △同飛 ▲46香 △同玉
▲35角成△同飛 ▲56金迄9手。

解答者数26名(誤無解なし)
評点2.90(5-1、4-5、3-11、2.5-1、2-7、1-1) 10位

☆64への角の利きを活かして54銀からスタート。同飛に55金が気持ちの良い一手。55地点を埋めてしまえば46香から35角成の決め技が成立します。

☆初手の54銀が46玉の変化では65への利きを活かしており、また46香がただの捨駒というだけでなく43にまで利いて変化を処理。ウソみたいな効率の良さで、簡素な初形と相まって、美しい手筋物、という表現がピッタリ。ある意味作者らしい。

☆あまりに効率が良すぎて、謎解きとしては少し物足りない部分もあるのでしょうか、思ったより伸びませんでした。が、手順前後の割り切り方を含め、これから詰将棋を創ってみたい、という方にとって、お手本となるような好作と思います。

** 短 評 **

ほっとさん『既視感はあるが、何度見ても気持ちがいい。配置は全体に1路左にずらした方が良いような?』
不透明人間さん『きれいに作られている。平行移動して都詰にしては?』
☆できそうですね。あぶりだし臭をきらった?

EOGさん『見たことある詰上りだがオール捨駒でまずまず』
u-makuさん『綺麗な手順が故にほぼ似たようなのありそう。指摘は出来ないけど』
秀和歌さん『うまくできているが、如何せんデジャヴ・・・』
☆引っ張りあげて角成捨ては確かにある筋。

蛇塚の坂本さん『気持ち良い飛の翻弄』
名無し名人さん『序の4手の感触は好み。全く無駄なく出来ていて好作です』

☆同じ駒を動かすテーマはよくありますが、簡素形だと映えますね。翻弄に触れた評が多かったです。

利波偉さん『簡単ですが、飛の翻弄は面白い』
占魚亭さん『飛の翻弄が楽しい』
太刀岡甫さん『軽く翻弄して好作。最後に角が消えるのもいいですね』

☆この初形から、というささやかなサプライズ。

中村雅哉さん『基本的な手筋物』
奥鳥羽生さん『4手消費飛1マス移動を簡潔な配置で表現する技術力。定跡図ともいうべき作』

ikz26さん『主張には乏しいが、確かな技術を感じさせる』

☆さすが良く見ている。

ぬさん『良くある手筋物の印象』
有吉弘敏さん『簡潔な配置で捨駒で構成されており、きれいな作品です』
河童Bさん『最後は角成捨てで締めくくる。綺麗に決まった4連捨て、御見事』

☆いかにもBさん好みですね。なんか、Bさんがヤン詰首位が当てられないの、分かる気がします(笑)。

さくかさん『無駄はないけど、ありきたり』
三輪勝昭さん『僕は手筋の効率性に惚れて詰将棋が好きになりましたから、こう言う作品が最も好きです。しかし、仕上がりは多いに不満。56飛は66飛にして56角、同飛を入れたい。僕の感覚では56飛・57歩の関係は気持ち悪くてたまらない。それと持駒銀は43に置きますね。僕ならとりあえず56飛→66飛、詰方43銀、玉方75歩加、持駒金金金香の11手詰にしてこれでもまだ推敲段階として、発表図ではまだ未完成と思います』

☆不評の部。好みの問題と思いますが、私見で感想を書くと、75歩置くようなら、確かに未完成でしょうね。

夏風さん『手筋を好形で表現』
ほいさん『綺麗な作品。作品集があったら載せたくなる完成度だと思いました』

☆そろそろ斎藤さんも作品集?いや、まだきっと一杯ストック持ってるな(笑)。

後藤進さん『初形及び詰上のスッキリ感に加え、飛を無力化する手順も好印象』
☆どこかほっとするタイプ。本番向けだったかもしれませんね。作者は今回、途中まで出品不足だったのを心配して出していただきました。ありがとうございました。

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第7回プレ短コン③ほいさん作

▲24馬 △同玉 ▲33馬 △同玉 ▲32龍 △同玉
▲31龍 △同玉 ▲42歩成迄9手。

解答者数26名 (誤無解なし)
評点1.96(4-1、3-7、2-8、1-10) 16位

☆大駒4枚捨てを純粋抽出したような作品です。手の伸びるまま、という感じでしょうか。

☆個人的には、ここまで紛れを排除したのに逆に感心しました。こういう作り方もありだな、と。下手に紛れを増やしても、この主題には合わないような気がします。

☆もちろん、これはコンクール。相対的な評価点を付けられてしまうので、低い点になってしまうのはやむを得ないでしょう。この点数を含めて作者の狙い通りなのではないか、そんな気がしてしまう作品です。

** 短 評 **

奥鳥羽生さん『大駒4枚連続捨てでひたすら玉を下段へ落とす・・・、真摯な手順』
三輪勝昭さん『大駒をこれだけタダで捨てているのに変化も紛れもないのは反ってユーモラス』

☆ある意味センスにあふれてますよね。

蛇塚の坂本さん『気持ち良い駒の消去』
ぬさん『大駒4枚捨て』
太刀岡甫さん『全部捨て去り一丁上がり』

☆盤上では気前よく。トイレの中では矢沢永吉、みたいな。

後藤進さん『順は一目だが、馬と龍の4連続捨駒を題材にした最短手数作』
u-makuさん『一度は作ってみたい大駒4枚捨て』
☆9手で大駒4枚捨てって、作例どのくらいあるんでしょうね。

ほっとさん『狙いが明快で良い。駒数はもう少し減らせそう』
夏風さん『大駒4枚捨てるだけでは物足りません。53とが目障り?』
さくかさん『もっと整理できそうだけど…作者の意図が知りたい』

☆確かに二枚位減らせそうだし、貧乏図式にすることも可能。この形はこれで味があるような気がしますけどね。

中村雅哉さん『最終手非限定の味が悪い』
☆45歩を詰方46香にする筋で限定できそう。それだけでは余詰ですが。

EOGさん『ストレート過ぎるか』
占魚亭さん『ど直球』

☆類似短評。ちょっとニヤリ。

ikz26さん『大駒四枚捨て。解くには易しいが、作るのは結構大変かも。捨て方がストレート過ぎるのが難点』
名無し名人さん『大駒4連捨てやで、どや!って感じですかね(笑)』

☆笑った時点で作者の勝ちかな。

秀和歌さん『これは利波さんぽい』
☆なんとなくわかります(笑)。その利波さんは、というと。

利波偉さん『やりたい事がきっちり表現されている所は良い』
☆あ、やはり。

有吉弘敏さん『大駒4連捨ては9手が最短ですが、よく成立しました』
斎藤吉雄さん『分かりやすくていい。高い点は上げられないけど好みです』

☆お、好みが合うなあ。

河童Bさん『大駒の4連捨ては良いけれど、秋の一本道で淋しいな』
不透明人間さん『9手詰コンクールをこの課題で開催すればおもしろいかも』

☆解くのめっちゃ楽じゃないですか(笑)?

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第7回プレ短コン②秀和歌さん作

▲23桂成 △同桂 ▲35角 △同桂 ▲14銀 △24玉
▲27飛 △同桂成 ▲25馬迄9手。

解答者数26名 (誤無解なし)
評点2.38 (4-2、3-9、2-12、1-3) 15位

☆秀和歌さんの意欲あふれる桂の三段跳ね。17飛を見せ球にしつつ35地点を塞ぐのが準備工作。調子よく桂を35まで飛ばします。取れない14銀で玉を射程に入れ、27飛で仕上げ。

☆両王手の筋を使って駒数少なく仕上がっており、好感が持てます。が、反面、その筋が強すぎて余詰防止に強い駒を置かざるを得ず、結果してあまり紛れがなくなってしまったのが少し残念。27飛を同桂成に限定できなかったのも評点に少し響いてしまいました。

** 短 評 **

EOGさん『最初の4手は気持ちいい』
名無し名人さん『悪くないのですが、47飛・58馬が出待ちしているのが機械的に感じました』

☆わかりやすくて解答者的には助かるんですけどね。

占魚亭さん『狙いが見えみえですけど好きです』
夏風さん『両王手があるので安心して攻められます』

☆安心の生涯保障。

蛇塚の坂本さん『桂の誘導面白い』
☆確かに桂の活躍、というより少し誘導っぽい感じですね。

ikz26さん『これも狙いは明快。ただ8手目同とでも良いのは大きな減点で、これだと主張できるのは二段跳ねまでと思う』
後藤進さん『守備桂の動きがユーモラス』
☆桂跳ねモノは2本の筋で飛ぶパターンが多いですね。一方向への4段跳ねとか作例あるんでしょうか。

さくかさん『三段跳ね?もう一工夫欲しいかな』
金子義隆さん『桂の入れ替えという高度なことをやっているのだが、地味なのが惜しい』

☆35桂が入れ替え?地味というか、自然すぎてスルーされちゃうかも。

u-makuさん『8手目限定されて欲しかった』
ぬさん『8手目が限定できていないのが惜しいです』
ほいさん『王方の連続桂跳ねが狙いですか!?最後を同桂に限定させたくなっちゃうけど難しいんだろうな~』

中村雅哉さん『桂3段跳ねがテーマなら、8手目は限定できるよう作りたい』
☆やはり、というか、非限定への言及も多かったです。作者も気にされてました。ちょっと調べてみたのですが、17と⇒歩、玉方22歩追加で限定できそうかな?ただ、17歩・18飛はいかにも気が利かない感じですかね。

三輪勝昭さん『桂を成捨ててそこに角を捨てて二段跳ねさせる順はよくある。9手詰で玉方桂の3段跳ねは容易に出来るから、高い完成度か目新しい方法かでないと…』
ほっとさん『悪くはないが、8手目…流れ上は桂で取りたいが、それだと成生非限定になって味が悪い。後半を伸ばしてでも8手目桂生限定にしてほしい』
☆な、生限定っすか。それは厳しい。

河童Bさん『8手目は同桂成と取って下さいね。作者の願いは叶うかな?』
奥鳥羽生さん『攻方35桂を玉方35桂に置換え退路封鎖。桂の三段跳びが解答者の作法』

☆はーい。あれ、昨日もそう返事したなあ(笑)。
☆ちなみに8手目同との解答は5名。意外に多かった。もちろんそちらでも正解です。

不透明人間さん『8手目が限定できれば』
利波偉さん『8手目の非限定が味悪い』
斎藤吉雄さん『桂馬ピョンピョン。8手目の非限定はもったいないかな』

☆テーマが明快な分、普通以上に非限定が目立っちゃいましたか。

有吉弘敏さん『桂馬の3段跳は、困難なテーマですが、少ない駒数でできています』
☆盤面10枚ですからね。本番の短コンでも良かった?

太刀岡甫さん『最後は非限定ですが、桂がぴょんぴょん跳ねて気持ちいいですね』
☆最初2題が軽趣向系が並びました。意図的ではないのですが、良い導入でしたね(自画自賛w)

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第7回プレ短コン①ほっとさん作

▲38銀△同玉▲47銀△同玉▲56銀△同玉
▲65銀△同玉▲66金迄9手。

解答者数26名(誤無解なし)
評点2.92(5-1、4-6、3-9、2-10) 9位

☆今回は使用駒数を点数付けした後、一定の法則で並べ直して出題順を決めました。本番の短コンと違い、使用駒数制限が無いので、好形悪形でばらつきが出ます。それがなるべくランダムになるように、という配慮でしたが、結局もっともトップバッターにふさわしい作品がそれになった、という感じですね。

☆ちょっと考えて、「もしかして…」と思った順がそのまま展開されます。怒涛の4連銀捨て。それで拍子抜けするか、というとさにあらず。生角の特性や辺をうまく使った変化処理に、技量の高さがうかがえます。たとえば手順だけ設定されて作ってみろ、と言われ、はたしてここまで配置をそぎ落とし、手順をくっきりと浮かびあがらせることができるでしょうか。

☆この作者は実は高名な方です。短編ですごくお洒落な作品を作ります。今回出品いただいて、ちょっとビックリしました。ありがとうございます。

** 短 評 **

太刀岡甫さん『この捨て方が実現するとは驚き』
有吉弘敏さん『変化処理と作意成立のため配置が巧妙』

☆25との配置がなかなか巧み。4手目・6手目・8手目を一枚で片づけてます。

EOGさん『25とがよく利いている』
☆お、意見が一致。

蛇塚の坂本さん『玉の誘導面白い』
奥鳥羽生さん『100m走のような一直線のリズムを感じる短編趣向作。最終同玉が解答者の作法』
☆はーい。

夏風さん『ヤン詰で出題したい作品』
☆取っちゃってすみません(笑)。

ぬさん『初形を見たときこの手順が頭をよぎりましたが、本当にこの手順になるとは思い
ませんでした』

☆うれしくなっちゃいますよね。

ほいさん『くるくる作品を作りなれた人の作品に見えます』
後藤進さん『単調だが連続の銀捨てによる玉の斜め移動は面白い』
u-makuさん『角2枚で操るk』

☆k?あぁー、関根麻里のダンナか(くだらん)

中村雅哉さん『素朴な狙い』
斎藤吉雄さん『銀の打ち捨て趣向。シンプルに徹底してます』

☆シンプルな趣向をシンプルに。案外難しい。

河童Bさん『「おもちゃ箱」のくる展向きの好作。易しく楽しく、これも一興』
名無し名人さん『これはくるくるの類ですね。トップバッターに最適の楽しい作品です』

☆TETSUさんにも少し悪かったかな?

さくかさん『こんなんで成立するのか…これにはさくかも感心しきり』
☆こんなんってw。

不透明人間さん『くるくる系も9手では物足りない』
秀和歌さん『手筋物+くるくるといった印象。楽しい』

☆相反する短評。感じ方はやはり人それぞれですね。

占魚亭さん『13階段』
☆ひええええ。でも感じでてます。降りれない。

ikz26さん『明快かつスマート。既視感はあるが、配置の巧さを買う』
金子義隆さん『偉大なる絶連。好みではある』
☆解けますからね。え、違う?

三輪勝昭さん『最後は65同玉かな?僕は同としました。詰上りが好きなのと、28金~46金の形を3枚の銀の犠打で65とにする考え方も出来るかなと。○○○○。それと同じセンスを感じますから作者はほっとさんかな?凄い簡単な原理でこんな面白い事が出来るとは』
☆本名がわかっちゃう短評ですので、一部伏せました。しかし見事に当ててきましたね。

利波偉さん『短編趣向は駒数が少ないことも大事。またこの作品は変化の割り切り方も巧い』
☆締めてもらいました。

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