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2008年10月

冬眠蛙好みの超短編5 斉田喜道氏作

  

斉田喜道氏作 パラ80.11

▲57馬 △45玉 ▲37桂 △同龍 ▲35馬 △同龍 ▲57桂迄7手。

この作品はなんといっても初手。構図のとり方がうまく、39馬と引く変化がなかなか見えない。合駒を読みづらい、という以前にまず有効な手に見えないです。で、その変化に使った駒が3手目以降の手順にも無理なく活かされているのも見事です。

超短手数での心理作というと、いかにもそれっぽい配置になってしまいがちです。この作品は不自然さが無いあたりに推敲の深さが覗えます。

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9月の新作 短評掲示

New08sep2  

 

 

 

 

 

 

解答手順はコチラでご覧ください。

☆☆ 短 評 ☆☆

☆今回は長編のせいか、長いコメントもたくさんいただけて嬉しい限りです。では紹介いたします。

たくぼんさん「銀のコンベアー経由でお金を捨てて金をはがす。利益を生む為には投資も必要ってことですね。桂合、香合の処理、金のはがし順の限定、収束の飛→香の持駒変換から角捨てまで言うことないですね。難しくないのが一番いいです」

☆冬眠蛙のギャンブルは投資ばっかりなんですけど…(^-^;

DISABLEDさん「非限定が割り切れているところがいいですね、今回は引っ掛かりませんよ」

☆見事正解でした。10月のはヒッカケ作とも言える内容ですのでご注意を…。

jupiterさん「面白いです。実は、初め、初手76角として解いていたのですが、変化が詰まないではありませんか。 なので、軌道修正。

金を取る順番は限定なんですね。その当たりの手順が余詰がありそうに感じ(ある訳無いですけど)調べたので、はまりませんでした。(たぶん)

収束も巧妙です。ここ!と言うところから収束手順に入ってくれたので、解く側からすれば大変ありがたい。ただし、一カ所ケチをつけるとすれば、やっぱり最終手余詰ですか。画竜点睛を欠く感じではあります。

次作、楽しみにしています」

☆修正図、いかがでしょう?ちょっと間延びしてるようにも見えますかね。余詰がなくてよかったです(笑)。

中村雅哉さん「少し眺めていたら、比較的紛れが少なく筋に入りそうだったので解いてみました。大学院クラスを解いたのは久しぶりです。10歩に到達したら解かなくなった、と言われないよう頑張りました(笑)。

易しく楽しい長編でとても良いと思います。飛と香を変換しての収束も綺麗ですね。最終手余詰(93成香)がちょっと惜しい感じですが、これは勿論許容範囲ですので問題ないです」

☆中村さんに解いてもらえた長編、って結構なウリ文句かも(笑)。『易しく楽しい』はこのシリーズ的には嬉しいコメントです。

凡骨生さん「剥がしのサイクルが長いので結構楽しめ(苦しみ)ました」

☆またまた、凡骨生さんには朝飯前レベルでしょう。

しろねこさん「余りの長編なので解答を見て納得するしかありません」

☆納得してもらえましたならそれで十分ありがたいです。( ^-^ )

嵐田保夫さん「難解さはあまりない(尤も玉方の応手に結構手こずりました)が、7六角~5八桂の循環手順から最後は飛角をきれいにさばいたあたりはいつもながら御見事というほかない作品。
ところで、本作品は「詰将棋おもちゃ箱」今月の展示室菅野哲郎氏 の作品と構想が似ていて、どちらも5八桂が出てくるところは面白いですね」


☆ありがとうございます。菅野氏作、さっそく解いてみました。あちらに比べるとだいぶスケールが小さいようで…。冬眠蛙的にはこれでいっぱいいっぱいです(笑)。

竹野龍騎さん「1日目、桂合か香合のところに辿り着く。2日目、86飛捨が見えて、香合は直前の飛と同様に左上で詰むことが分かり、桂合に決まる。3日目、はがす順番は限定とのことだが分からない。金3枚はがしたとすると、収束部で姑息な手数稼ぎがあるとのことだから、最後だけ香合か、ああもう一回香合だ。手数を数えると83手で、合ってそう。4日目、金はがし順限定を確認して解決。
 全種類の駒の特性を活かして実に巧くできていると思うのですが、なぜか中途半端な印象を受けました。金桂香などが片方に4枚にならないからかもしれません」

☆なかなか実践的な解き方ですねえ。面白かったです。中途半端なのは多分4枚ハガシにしなかったせいもあるかと思います。全部限定できればそうしたんですけどねえ。

谷口翔太さん「金剥がしだが、剥がすのには、順番がある。これが巧みに創られている、流石!、蛙さん。昔は「首切り」、今は「リストラ」、嫌な世の中、おおはやり。でも、詰棋の世界は別ですよ。収束、お役御免で飛角が消える、これも上手に出来ている」

☆「流石!」ではないですね。長編で非限定ナシといえる作品って恥ずかしながら今回が初めてです。収束飛角を両方消せたのは正直申しまして、嬉しかったです。

隅の老人Aさん「近代的ロマン派の好作、大駒の捌き捨ては流石。

妄想1、(駒の配置を見ていて)

 盤面81画を池と見立てると、あたかも蓮池の如し。駒の配置が池の端に密集した蓮の葉に似ている。一見、趣向作には見えないので、駒配置からの命題「不忍池」

妄想2、(駒の動きから)

 今は飾り物になってしまった水車小屋の杵の動きに似ている。子供の頃には、田舎に点在していた。“コトコトコットン” 懐かしいなぁ、駒の動きから「水車小屋」と命名」

☆冬眠蛙的には「水車小屋」がなかなか良い感じのネーミングでした。でも最後に水車のパーツを全部壊しちゃうのがイメージダウンかな?(笑)

けんちゃんさん「初手に一寸考えただけで、後は割とすらすら進みました。むしろ剥がす順番が決まっているというので、それを調べるのに費やした時間の方が長かったかも(笑)。個人的には、剥がされる駒の順序の非限定は全然気になりませんね。むしろ一部限定されていたりする方が、本質と関係ない所で悩まされている気がして鬱陶しい。解答する側としては、完全非限定の方がよっぽど気が楽ですね。
趣向の手触りは相馬さんぽいですね。最後中合が変化するのもすぐ分かるし、手数伸ばしの85香も引っ掛けと言うほどのものでもないし。最初72歩の意味が分からなかったんですけど、収束で84香のところ63角成以下の余詰消しなんですね。でも、72歩と94歩を取り除いて63角成、85香、84香、同玉、85馬、83玉、84香以下収束に入るなんて作り方もありそう。(このままだと余詰みますが)また、最終手余詰の消し方も考えてみたのですが、良く分かりませんでした。
 あと、序の変化で収束が見えてしまうのは構成上どうなのかな、と少し気になったことをお知らせしておきます」

☆最初の部分は個人的には全く同感ですね。一部非限定になるパターンを選ばなかったのはそのせいです。でも解答競争的にはやはり非限定って気になるかなって思います。収束で想定された順が実現できたら面白いですね。別の作品のネタになりそう(笑)。あと序奏に関してはおっしゃるとおり、としか言い様がないです。今回収束を直した分少し良くなったかもしれませんね。

 

長編で10名を超すコメントをいただいたのには感激でした。手元に長編のネタは現在(…というか前に小駒図式を出した時点からずっと)ゼロなんですけど、また出す機会がありましたらよろしくお願いいたします。

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順位戦を振り返る。17

 

第19期A級順位戦 評点4.08 2位(残留)

冬「しっかしまた、よくここまで汚い初形にできるもんだ」

市「13枚だから過去最高の盤面駒数ではないんだけど、図面目一杯使っちゃったから、どうしても汚く見えるよね。91馬・71馬の位置じゃないともう一枚使わないと駄目で。それでやむなく」

冬「それでいて最初の3手でほぼ終わりだからな~」

市「2手目34玉の変化(24飛、35玉、26金、45玉、44飛、同馬、46歩、34玉、24金以下)がちょっと面白いので、この手順だけは残そうと思ってました」

冬「せめて16歩が無ければねえ」

市「インパクトだいぶ違うんだけどね。まあ詰まないんでは仕方ないです」

冬「で、ここまで振り返った、ということは来期以降は出ない、ということで」

市「いえいえ、これに出ないと作家であることをすっかり忘れられてしまうので。来年以降もなんとか出品しつづけたいと思ってます」

冬「…何をしたかったんだ、この企画は…」

市「全く意味がないのがワタシらしいということで」

冬「やれやれ。付き合わされる方の身にもなってほしいね」

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順位戦を振り返る。16

 

第18期B級順位戦 評点4.39 1位(昇級)

市「ちょこっとだけ直しました。54香配置を53にしてます」

冬「なんか違うの?」

市「いや、見た目だけ。ちょっと54だと横の広がりだけ目立つから」

冬「意味ねー」

市「これはホントできたのが締切ぎりぎりだった。もう絶対駄目だと思ったもん」

冬「確か新潟に帰ってたときに作ったんだよね」

市「そう。収束は元々素材で持ってたんだけど、序奏が全然入らなくて。でもなんかそのときだけうまく行ったんだよね」

冬「たぶん37銀が入らなかったんだろうね。んで、45飛を入れたらそのタイミングだけ成立したと」

市「だったかなあ。覚えてない。とにかくついてました」

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順位戦を振り返る。15

(修正図)

第17期A級順位戦 余詰降級

市「発表時は49銀→とだったため、5手目27銀、同玉、28金以下余詰でした」

冬「どっちにしろ降級だったんでしょ?」

市「そう。3手目の角の打ち場所と6手目の成生非限定が少しマイナスだったらしい。あと、元々紛れ不足だよね」

冬「守備駒が強すぎるしねえ」

市「う~ん、焦点打とこの収束をつなげよう、という発想自体が駄目だったのかも。一応直してはみたけど、やっぱりイマイチだよね」 

冬「根本的に作り直したら?」

市「う~ん、ちょっとうまくいきそうな気配ないよなあ…。ま、気が向いたら」

冬「…絶対にやらないな、この調子じゃ」

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順位戦を振り返る。14

 

第16期B級順位戦 評点4.38 1位(昇級)

市「これはちょうど冬眠日記を始める直前に創りました」

冬「いかにも切った張った、という感じのやり取りだなあ」

市「逆算だから。最も最初は53馬迄で終らせるはずだったんだけど。序奏で金捨て合入れるのが大変で、最終的に収束を諦めてなんとか実現した、という次第」

冬「まあ良く入ったと言えるかもね」

市「そうそう、阿部さん経由で高坂さんから14龍は24でもいいんじゃないの、って聞かれたんですけど、24龍だと3手目35龍で余詰です」

冬「さっき柿木で調べてたのはこれかい!」

市「いや、元々気付いてはいたの。でも35龍で飛に当てた形がもうこれは耐えられないな、と直感で切って、詳細な検討はしてなかった」

冬「それが珍しく当たりだったと。しかし、そういう創作姿勢はいかんなあ」

市「ホントだよね」

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順位戦を振り返る。13

 

第15期A級順位戦 評点3.90 4位(降級)

市「細々とA級にとどまり続けたのですが、この作品でついに降級しました」

冬「ちょっと順位戦にしては易しすぎるな」

市「ちょうど冬眠日記を始める1年前で、この頃は全然作図してなかった。で、締切間際になってやっと作ったの。それにしてはまあまあうまく出来た方だとは思う」

冬「しかしこの龍馬配置はなんとかならなかったの?」

市「両方ともこの位置から一個でも近づけると余詰。それよりもあまり良い序奏が入れられなかったのが残念でした」

冬「収束で舞台装置をキレイに捌いてるから、見れる作品にはなっているかな」

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