/BEGIN 表題:パラ9301 大橋健司氏作 玉方:24馬、17玉、19銀、27歩。 攻方:49金、47銀、35銀、36角、15金。 持駒:飛歩3。 手順: 16飛、28玉、29歩、同玉、38銀、28玉、 18飛、同玉、27銀、17玉、26銀引、28玉、 29歩、同玉、38銀、28玉、37銀引、17玉、 16金、同玉、27銀、17玉、26銀左、28玉、 29歩、同玉、38銀、28玉、37銀引、17玉、 18歩、16玉、27銀、15玉、26銀左迄35手。 《解説》 2枚の銀を操りながら、少しずつ局面を変えていきます。18手目の局面で 打歩詰になりますが、金を捨てた後、もう一度銀を繰り替えると30手目に して15金がないだけの局面に還元し、18歩が実現する、という仕掛けで す。序奏を含めて軽趣向の雰囲気が良く出ており、大橋氏のいつもの作風と は少し違う、ユーモアあふれる作品でした。 /END /BEGIN 表題:パラ9301 佐々木浩二氏作 玉方:63歩、64香、51玉、55歩、57角、42歩、25飛、26歩、12銀。 攻方:72龍、45角、21と。 持駒:香歩。 手順: 54香、53香合、同香生、41玉、71龍、32玉、 31龍、43玉、34龍、53玉、54龍、62玉、 63龍、51玉、54香、53香合、同香生、41玉、 61龍、32玉、31龍、43玉、34龍、53玉、 54龍、62玉、64龍、51玉、54香、52香合、 同香成、同玉、53香、41玉、61龍、32玉、 31龍、43玉、34龍、53玉、54龍、62玉、 63龍、51玉、54香、53桂合、同香生、41玉、 61龍、32玉、31龍、43玉、34龍、53玉、 54龍、62玉、63龍、51玉、52歩、41玉、 61龍、32玉、31龍、43玉、34龍、52玉、 64桂、62玉、72角成、51玉、52歩、41玉、 31と迄73手。 《解説》 回転型の龍追いですが、53の捨合で奥行きの深い手順が展開されます。 @63歩を剥がす A64香を剥がす B龍を63に据えなおして桂を入手 C52歩を据える D収束 で都合5回転。Bで捨合が香のままだと、同龍、61玉、52龍、71玉、 73香、81玉、72香成、92玉、73成香、93玉、82龍、94玉、 67角以下。64香がある間はこの67角が指せないため、香合で時間稼ぎ が出来る、といううまい仕掛け。また、Aで香を剥がしたにも拘わらず香が 増えない仕掛けも素晴らしい(64龍・52玉型のときは、54香に対して 43玉で詰まないため、53香と打たざるを得ない)。佐々木氏は軽趣向の 名手という印象が非常に強く、復活を熱望する作家のひとり。詰将棋ファン に寄稿しているので、期待できそうですね。 /END /BEGIN 表題:パラ9302 明石六郎氏作 玉方:46歩、37飛、27歩、15歩、16玉。 攻方:52と、58香、44銀、45歩、36角、23飛、14銀、19銀。 持駒:歩。 手順: 25角、26玉、47角、16玉、25銀、26玉、 34銀、16玉、25角、26玉、14角、16玉、 25銀、26玉、36銀、16玉、25角、26玉、 35銀引、17玉、26銀、同玉、14角、16玉、 25銀、26玉、34銀、16玉、25角、26玉、 47角、16玉、25銀、26玉、14銀、16玉、 25角、26玉、43角成、36玉、25馬、45玉、 43飛成、44金合、同龍、同玉、45歩、同玉、 55金迄49手。 《解説》  初形で44銀が邪魔駒なのですが、35銀を同玉と取られないようにする ためには36銀・25角型にする必要があるわけで、それを実現するために 角と銀を細かく位置変更する手順が展開されます。まさに知恵の輪という雰 囲気にピッタリで、銀を消去した後、収束に向かうためにまた元の14銀・ 47角型にしなくてはいけないのもユーモラス。収束も短くまとまって見事 な軽趣向作となりました。この角銀の位置変換機構は柳原裕司氏作で初めて 出たものですが、これを知恵の輪に発展させた慧眼は高く評価すべきと思い ます。半期賞受賞作。 /END /BEGIN 表題:パラ9310 須田将一氏作 玉方:53香、54歩、37歩、25玉、15香。 攻方:46王、22銀、28銀、13と、17馬。 持駒:歩3。 手順: 35馬、16玉、34馬、26玉、44馬、25玉、 26歩、16玉、43馬、34桂合、同馬、26玉、 44馬、25玉、26歩、16玉、43馬、34桂合、 同馬、26玉、18桂、同香生、44馬、15玉、 27桂、25玉、26歩、16玉、43馬、34桂合、 同馬、26玉、38桂、同歩成、35馬、16玉、 17銀、27玉、26馬迄39手。 《解説》  ミニ馬鋸ですが、この作者はやはり只者ではなく、持駒変換をからめ、さ らに知恵の輪のような要素も絡め、見所の多い作品になっています。  26歩と一歩使って43馬と香を狙う手に対し、34桂が逆王手の捨て合 。同馬に26玉で歩と桂の変換になっていることがわかります。勢い3枚の 歩を全て桂に変換すると失敗。持駒桂桂歩のときだけ、18桂が成立します 。持駒桂3枚では、18桂に同香成で17に打つ歩がないわけですね。  玉方は同香生で打歩の状態をキープしますが、今度こそもう一枚の歩を桂 に変換して38桂と捨てれば、18と38の両方が埋まって詰み。収束を含 めて雰囲気を壊さない仕上がりが良く、傑作と思います。 /END /BEGIN 表題:パラ9405 佐々木浩二氏作 作品:『邂逅』 玉方:84圭、85歩、72香、53玉、57歩、41歩、34歩、35銀。 攻方:76桂、66歩、56桂、43銀、47銀、32と、37歩、27馬。 持駒:桂。 手順: 54銀生、62玉、63銀成、51玉、43桂、61玉、 72成銀、52玉、55香、54香合、51桂成、同玉、 54香、52香合、同香成、同玉、55香、54桂合、 64桂右、63玉、54馬、74玉、65馬、63玉、 53香成、同玉、56香、55香合、52桂成、同玉、 55香、54桂合、64桂、63玉、54馬、74玉、 65馬、63玉、53香成、同玉、45桂、44玉、 56桂、45玉、46香、同銀、36銀迄47手。 《解説》  72香を取るまでが序奏(銀の成生の使い分けがあって手が込んでます) 。55香に対しては54香(桂は品切れ)と中合します。ここで64桂左で すと63玉、54馬、74玉、65馬、63玉で届きそうで届きません。こ こで51桂成と捨てるのが1つ目の鍵。同玉の一手に香を取れば52桂合に は同香成、同玉、55香、54香、44桂打があって詰むので52香合とせ ざるを得ません。同香成、同玉にもう一回55香を打つと、前のように54 香合とした場合は53香と打って詰み。43桂が持駒の香に化けている、と いうわけです。  54桂合の場合は53香には63玉、54馬、74玉、64馬は9筋まで 逃げて不詰。64馬のところ65馬だと63玉で千日手。困ったようですが ここで64桂右がちょっとやりにくい2つ目の鍵。この手の意味は65馬、 63玉と追ったときの継続手段を用意しています。それが53香成と捨てて 56香と打ち直す手。63玉には55桂なので55に中合するしかありませ ん。ここでも桂は品切れですので香合。ここで同香、63玉、53香成、同 玉、56香は千日手ですね。  52桂成、と捨てるのが3個目の鍵。64地点を開けておけば、55香に 63玉は54馬から追って詰む仕掛けです。玉方は再び54桂合で粘ります が、64桂が最後の好手。54桂を再び剥がすと持駒が桂桂香となり、これ によって45桂から収束に向かうことが出来る、ということです。玉方の妙 防が構成要素を担う知恵の輪はかなり珍しく、更に詰方のキー設定も巧妙で この作品独自の世界観が成り立っています。その分、普通の知恵の輪に比べ ると理解されにくいのかもしれませんが、中編詰将棋の一つの極限を示すよ うな名作と思います。 /END /BEGIN 表題:パラ9407 波崎黒生氏作 玉方:54と、55玉、45歩、35龍、37歩。 攻方:85と、64歩、65桂、66飛、68金、48歩、33銀、34と。 持駒:角銀。 手順: 56銀、46玉、67銀、55玉、56飛、65玉、 66飛、55玉、56銀、46玉、65銀、55玉、 44銀生、同龍、56銀、46玉、67銀、55玉、 46角、同歩、56銀、66玉、67金迄23手。 《解説》  銀繰り趣向といえばこの方、波崎黒生氏。半期賞を受賞した本作は、手順 の楽しさもさることながら、論理の分かりやすさを併せ持っており、それで いてその鍵の巧妙さには思わず「なるほど!」と膝を打ってしまう。作家的 にも解答者的にも文句のない名作と思います。 /END /BEGIN 表題:パラ9502 近藤真一氏作 玉方:31玉、32杏、21歩、24と。 攻方:22歩、23飛、13飛、14香。 持駒:桂歩8。 手順: 21歩成、41玉、42歩、同成香、31と、51玉、 52歩、同成香、41と、61玉、62歩、同成香、 51と、71玉、72歩、同成香、61と、81玉、 82歩、同成香、71と、91玉、93飛成、92銀合、 83桂、同成香、81と、同玉、83飛成、同銀、 同龍、71玉、72歩、62玉、53銀、51玉、 52歩、41玉、44香、43金合、42銀成、同金、 同香成、同玉、43金、31玉、32歩、21玉、 22歩、同玉、33金、21玉、81龍迄53手。 《解説》 盤面3×4からの追い趣向。途中31以降で同玉と取れそうですが、桂捨て から頭に歩を打つ筋で詰むので、この趣向が成立しています。なんと91ま で追い込んで93飛成で手が変わります。復路は歩の枚数と取った香を使う タイミングに気を使い、金中合も登場します。詰上がりに残った歩の配置に も趣向性を感じる見事な纏めに作者の手腕がうかがわれます。 /END /BEGIN 表題:パラ9504 信太弘氏作 玉方:53歩、36歩、23玉、14歩。 攻方:62歩、51と、52歩、26馬、13歩、15龍、17角。 持駒:香歩。 手順: 24歩、13玉、23歩成、同玉、25龍、24歩合、 同龍、同玉、25香、33玉、44馬、32玉、 22香成、42玉、53馬、33玉、44馬、42玉、 41と、同玉、51歩成、同玉、61歩成、42玉、 43歩、41玉、51と、同玉、62馬、41玉、 42歩成、同玉、53角成、33玉、44馬、24玉、 35馬、33玉、44馬引、42玉、53馬、33玉、 44馬行、24玉、42馬、13玉、23成香、同玉、 33馬行、12玉、13歩、同玉、31馬、12玉、 22馬行迄55手。 《解説》  拠点を作るべく、35馬から香を据えます。5筋・6筋の駒と持駒の歩を うまく使い、後ろの角を馬にすることに成功。しかし、35馬に15玉とさ れたときに16歩が二歩。この時点で初めて、初手24歩〜23歩成で13 歩を消去する事前工作が必要であったことが分かります。変化を多くともな うのでやりにくい手になっており、非常に効果的な伏線だと思います。  以降もうまくまとめられた、貧乏図式の好作です。 /END /BEGIN 表題:パラ9508 波崎黒生氏作 玉方:67と、54桂、57玉、58銀、49銀。 攻方:78金、68歩、56歩、59角、45銀、33馬、27香。 持駒:銀桂桂歩4。 手順: 48銀、46玉、55馬、35玉、44馬、46玉、 47歩、同銀生、55馬、35玉、36歩、同銀生、 44馬、46玉、58桂、同と、55馬、35玉、 47桂、同銀成、44馬、46玉、37銀、同成銀、 55馬、35玉、36歩、同成銀、44銀、34玉、 35歩、同成銀、33銀成迄33手。 《解説》  波崎氏のお家芸、銀の翻弄モノ。最初に馬を44に据えるのは45銀に紐 を付けるためですが、そのあとの47歩に同銀生と応じるのは(成った方が 36歩を打歩詰にできるので)意外な応手かもしれません。実際は同銀成に は38桂と打つ手があり早く詰みます。  知恵の輪のキーは銀を36まで持っていった後、46玉型にしての58桂 にあります。この地点を塞ぐことで、47桂に同銀成を強制できるわけです (同銀生は44馬〜37銀)。成銀にしてしまえば37銀で誘導し、打歩詰 を回避することが出来て詰みあがります。59角や78金が残るのがやや不 満なところかもしれませんが、効果がすぐに見えない58桂を中心に良く出 来た知恵の輪です。 /END /BEGIN 表題:パラ9512 金子清志氏作 玉方:32歩、35銀、21玉。 攻方:41馬、13飛、16桂。 持駒:桂桂桂。 手順: 23飛成、11玉、13龍、21玉、33桂、同歩、 23龍、11玉、14龍、22玉、34桂、同歩、 23龍、11玉、13龍、12歩合、23桂、21玉、 31馬迄19手。 《解説》  2手目の局面と14手目の局面で玉方の歩が2つ進むだけ。龍鋸チックな 動きでそれをストレートに実現しているのが素晴らしいです。10手目21 玉は13桂、11玉、23桂、12玉、21桂成ですが、22玉がまるで詰 方に協力しているかのように見えてしまうところが特に面白いと思います。 冬眠蛙好みの作品。 /END /BEGIN 表題:パラ9605 大橋健司氏作 玉方:43銀、32玉、12銀、16歩。 攻方:63角、42銀、45銀、36金、15角。 持駒:歩。 手順: 41角成、22玉、31馬、23玉、34銀、同銀、 41馬、22玉、33角生、13玉、31馬、23玉、 22馬、14玉、32馬、13玉、22角生、24玉、 33銀生、15玉、24銀生、同玉、42馬、23玉、 33角成、13玉、14歩、同玉、24馬迄29手。 《解説》 3手目33角成は13玉、31馬、14玉で打歩詰。ひねって33角生も2 3玉、22馬、14玉でやはり駄目。首をかしげるところですが、31馬〜 34銀が妙手。43銀の32の効きを外して41馬、22玉で還元させて3 3角生とすれば14玉に32馬で手が続きます。 とは言っても13玉でやはり打歩詰なのですが、ここで22角生から42銀 を消去するのが継続手段。42馬とあえて離すことで42馬・33馬型を作 って収束します。少ない駒数ながら考えさせ、しかもそれが嫌味にならない 絶妙な味加減。大橋氏は本当に何を作らせてもセンスが良いなあ、と思いま す。 /END /BEGIN 表題:パラ9610 波崎黒生氏作※ 備考:※添川公司氏による修正案 玉方:62桂、53金、33歩、22歩、11龍、12玉。 攻方:63角、52銀、54銀、41と、34銀、35桂、25角。 持駒:銀。 手順: 23銀打、21玉、32銀生、同玉、43銀左上生、21玉、 32銀生、同玉、43銀上生、21玉、32銀生、同玉、 43角成、同金、同銀生、21玉、32銀生、同玉、 31金、同龍、同と、同玉、51飛、32玉、 41飛成迄25手。 《解説》  持駒と盤面配置あわせて4枚の銀を全て32に生で捨てる、言葉にすると かなりの無理ゲーなのですが、それをアッサリと実現してみせたのが本作。 1枚目は32誘導するため、2枚目は63角の後ろの効きを通すため、3枚 目は25角の効きを通すため、そして最後は収束で32に出すため。簡明な がら捨てる順番を完全に限定できているのは素晴らしいの一語。  なお、発表後に成生が非限定(成でも手数が長くなるが詰む)となるキズ が判明し、作品集編纂にあたり添川氏が修正した図で今回紹介させていただ きました。 /END /BEGIN 表題:パラ9707 岡村孝雄氏作 玉方:45歩、46と、33歩、21歩、11角、13玉、19飛。 攻方:56馬、28香。 持駒:銀銀銀。 手順: 22銀、14玉、23銀、15玉、24銀、16玉、 38馬、27桂合、同馬、25玉、37桂、同と、 同馬、26桂合、同馬、24玉、36馬、25桂合、 同馬、23玉、35桂、22玉、34馬、31玉、 32歩、同玉、43馬、41玉、53桂、51玉、 61馬、42玉、43桂成、31玉、41桂成、同玉、 52馬、31玉、42成桂迄39手。 《解説》  22に銀を打ってみると取れない形なのはすぐわかり、「上に追い出して 馬で押し返す趣向かな」と見当がつきます。27への合駒も桂限定。以下同 馬、25玉、37馬、26桂…とどんどん桂を稼げるのですが、そのまま趣 向を繰り返すと23玉、35馬、24桂合の後うまくいきません。23玉に 35桂と一工夫しても22玉、34馬、31玉でやはり駄目。実は最初の2 5玉のときに37桂とするのがうまい手。ここで桂と歩を交換することで3 5桂、22玉、34馬、31玉のときに32歩と打つ手があって収束します 。収束も駒を置いていないにもかかわらず全く無理がなく、さすが岡村さん だなあ、と感心する作品です。 /END /BEGIN 表題:パラ9708 石川英樹氏作 玉方:45歩、35歩、37と、38と、24と、15玉。 攻方:48香、32龍、23角、17銀。 持駒:桂桂桂桂香。 手順: 27桂、同と、16香、25玉、34龍、36玉、 45龍、25玉、37桂、同と引、34龍、36玉、 28桂、同と右、45龍、25玉、37桂、同と、 34龍、36玉、25龍、同玉、26歩、36玉、 45角成迄25手。 《解説》  16香、25玉、34龍とすると同とと取れない形。が、すぐやっては3 6玉から27に抜け出されますので初手は27桂。同とに龍を展開して45 歩を剥がし、34龍と45龍を繰り返す知恵の輪趣向が出現します。目指す のは25龍と捨てて26歩とする形で、3桂を捨てて2枚のと金を少しずつ 動かして実現するのが楽しい手順。こちらも無駄な駒が無く、趣向をシンプ ルに楽しめる好作です。 /END /BEGIN 表題:パラ9711 橋本孝治氏作 玉方:63金、52飛、53桂、31玉、33銀、35桂。 攻方:61金、55馬、45角、36金、22香、23金、24香、25香、26香、12王。 持駒:歩18。 手順: 32歩、41玉、42歩、同銀、31歩成、同銀、 42歩、同銀、32金、同玉、33歩、同銀、 23香成、31玉、32歩、41玉、42歩、同銀、 31歩成、同銀、42歩、同銀、32成香、同玉、 33歩、同銀、23香成、31玉、32歩、41玉、 42歩、同銀、31歩成、同銀、42歩、同銀、 32成香、同玉、33歩、同銀、23香成、31玉、 32歩、41玉、42歩、同銀、31歩成、同銀、 42歩、同銀、32成香、同玉、23角生、43玉、 44歩、33玉、34歩、24玉、25歩、15玉、 37馬、16玉、26馬迄63手。 《解説》  この狭い形で持駒歩18枚に驚くかと思います。  その消化のタネは57手目の局面。34歩と打つ手を可能とするために、 24から26の3枚の香を消去する必要があるのですが、52飛の効きと4 4地点での打歩詰の仕組みをうまく利用して、1サイクルで4枚の歩を消費 しています(最後は除く)。  収束で3枚の歩がさらに必要ですが、「この作品のために歩は18枚ある んじゃないか」と思うほどピッタリ。持ち歩18枚の作品は結構多く発表さ れていますが、その中でも至高の一品と思います。 /END /BEGIN 表題:パラ9712 橋本孝治氏作 玉方:42桂、22玉、24と、26と、28圭。 攻方:43歩、32角、33香、23桂、25香、27香、29香、11飛、15桂。 持駒:飛角。 手順: 13飛成、同玉、12飛、同玉、11桂成、同玉、 21角成、同玉、24香、23角合、32角、11玉、 12歩、同角、21香成、同角、同角成、同玉、 26香、23角合、32角、11玉、12歩、同角、 21香成、同角、同角成、同玉、28香、23金合、 13桂、11玉、22角、同金、同香成、同玉、 23金、11玉、21桂成、同玉、32香成、11玉、 22成香迄43手。 《解説》  橋本氏というとどうしても「ミクロコスモス」や「アルカナ」等の大作の イメージが先に来ますが、軽趣向作品も多く発表されており、これもその一 つ。大道棋の香歩問題的な中合を使った趣向は他にもあったかと思いますが 、縦方向に香を並べて繰り返すというのは「なるほど、こんなことも出来る んだなあ」と素直に感心。最後桂を入手すると金合に変わるのも香歩問題っ ぽくてニヤリとしてしまいますね。 /END /BEGIN 表題:パラ9802 摩利支天氏作 作品:『Free Baloon』 玉方:93桂、74桂、61玉、64歩、41桂、44歩、21銀。 攻方:72歩、75香、51銀、42歩、43飛、32香、35歩、24香。 持駒:歩。 手順: 63飛成、51玉、41歩成、同玉、42歩、51玉、 53龍、61玉、71歩成、同玉、74香、81玉、 83龍、91玉、93龍、81玉、73桂、72玉、 61桂成、同玉、63龍、51玉、41歩成、同玉、 31香成、51玉、53龍、61玉、72香成、同玉、 84桂、61玉、73桂、71玉、81桂成、61玉、 71成桂、同玉、73龍、61玉、72桂成、52玉、 62成桂、42玉、41成香、同玉、43龍、31玉、 21香成、同玉、32銀、11玉、41龍、22玉、 21龍、33玉、23龍、42玉、43龍迄59手。 《解説》  作品名(確かアイドルグループの曲名の引用だったかと)のとおり、ふわ ふわと浮遊感のある手順が展開します。21銀を取るのがポイントになるの ですが、5手目31香成では同玉、21香成、同玉で詰みません。そこで、 42歩から一旦左に追い、桂2枚を取った後、1枚の桂を使って右に追いな おし、31香成を実現します。同玉は21香成で詰むので、51玉と逃げる のですが、そこでもう一回玉を左に追い、成桂を据えることで31玉とせざ るを得ない形にすることで収束します。  ものすごく難しい、というわけではないですが、一手一手に細かい変化も 付きまとい、楽しく読ませる長編になっていると思います。 /END /BEGIN 表題:パラ9804 橋本孝治氏作 玉方:43銀、29と、13桂、17銀、18玉。 攻方:64角、39香、21と、23と、25と、12と、14と。 持駒:金銀銀香。 手順: 27銀、同玉、26と、同銀生、18銀、同玉、 19香、27玉、18金、16玉、15と、同銀、 17金、25玉、24と、同銀、16金、14玉、 13と、同銀、15金、23玉、22と、同銀、 14金、12玉、24桂、21玉、31角成、同銀、 12桂成、同玉、13金、21玉、12金迄35手。 《解説》  いきなり銀2枚を手放して不安になりますが、18金と据えて15ととし てみると、同玉は27金〜42角成で詰み。同様にと金を捨てる手に同玉は すべて角成で詰む仕掛け。あまりにうまく出来ていて、協力詰みたいな雰囲 気ですね。収束も角捨てから初志貫徹で12金まで実現しているのは素晴ら しいの一言です。 /END /BEGIN 表題:パラ9805 首猛夫氏作 玉方:45飛、46角、32歩、33香、36と、22玉、25と、27桂、11角。 攻方:42銀、26桂、14香。 持駒:銀香歩。 手順: 24香、同と、13銀、23玉、12銀生、22玉、 11銀生、21玉、12角、11玉、45角成、14と、 12歩、22玉、23飛、12玉、33飛成、11玉、 12香、21玉、23龍、22飛合、同龍、同玉、 23飛、12玉、25飛成、11玉、14龍、13歩合、 12歩、21玉、23龍、22飛合、同龍、同玉、 14桂、同歩、23飛、12玉、25飛成、11玉、 14龍、13歩合、12歩、21玉、23龍、22飛合、 同龍、同玉、23飛、12玉、27飛成、11玉、 23桂、22玉、44馬、33香合、31銀生、21玉、 11桂成、31玉、53馬、41玉、21龍迄65手。 《解説》  角飛による変則ハガシ趣向。34合を防ぐために33香を取り、次は14 とを取るのですが、その歩はすぐに使ってしまいます。14とを13歩に変 換するのが目的になっています。23手目14桂は13玉で詰まない、とい う仕掛け。13歩型にすれば14桂は同歩の一手になります。当然これで2 7桂を取りにいきたくなるのですが、その前にもう一度14歩を13歩にす るのがうまい手順。桂を手に入れれば収束に入ります。趣向に使う飛角は序 奏で取って据えるのですが、その手順も趣向の雰囲気を崩していないのが冬 眠蛙好みです。 /END /BEGIN 表題:パラ9812 市島啓樹作 玉方:31香、21桂、23玉、11香、12香、13香、18銀。 攻方:54歩、41銀、44馬。 持駒:飛角。 手順: 32角、同香、同銀生、14玉、17香、15角合、 同香、同玉、24角、14玉、13角成、同香、 17香、15角合、同香、同玉、24角、14玉、 13角成、同香、17香、15角合、同香、同玉、 24角、14玉、13角成、同桂、16香、15歩合、 23銀生、同玉、22飛、14玉、15香、同玉、 33馬、16玉、17歩、同玉、44馬、16玉、 26馬迄43手。 《解説》  桂香図式からのハガシ趣向。23銀生からの筋に備えて角合にする必要が あり、24角も取れないため趣向が成立しています。最後の桂を跳ねると3 3角の筋が発生するため、歩合に変わって収束する、という仕掛け。18銀 が無ければ54歩も43歩に変えて4×4にできるのですが、制約が厳しく 断念しました。単純な仕掛けに見えてこの図にたどり着くまで何年かかかっ ており、自作の中では印象が強い作品です。 /END /BEGIN 表題:パラ9907 山田修司氏作 作品:『回転銀』 玉方:39玉、26歩、15歩、17馬、18飛、19と。 攻方:57龍、58金、37桂、27銀。 持駒:角金銀。 手順: 49金、同玉、47龍、39玉、48銀、29玉、 38角、28玉、39銀、同玉、48龍、28玉、 49角、29玉、38銀、28玉、47銀、29玉、 38角、28玉、16角、29玉、38銀、28玉、 49銀、29玉、38角、28玉、47角、27玉、 38銀、28玉、29銀、27玉、38龍、同飛成、 同角、36玉、34飛、46玉、47金、55玉、 56金迄43手。 《解説》  龍・角・銀による知恵の輪趣向。47角・49銀型を得るために細かく角 と銀の位置を繰り替えます。この趣向自体はこの好作選でも紹介した明石氏 作が先行している(作者が休眠されていた頃の作品なので偶然の一致)ので すが、 意味づけ・構成ともに違っていて、端正な初形とシンプルながら少 し意外性のある収束が買われ、看寿賞を受賞しました。冬眠蛙的には先行の 明石氏作も捨てがたいですし、ほぼ趣向そのものが主題でそれに先行作があ るのに受賞というのもどうか、という気もしますが、好作には違いないです 。 /END /BEGIN 表題:パラ9911 堀切良太氏作 玉方:51香、54桂、32桂、35香、23桂、24香、12龍、13玉、15歩。 攻方:63と、53銀、44歩、34銀、21龍。 持駒:歩2。 手順: 14歩、同玉、12龍、13金合、同龍、同玉、 11飛、12角合、14金、同玉、12飛成、13飛合、 同龍、同玉、11飛、12香合、14歩、同玉、 12飛成、13飛合、同龍、同玉、11飛、12桂合、 14香、同玉、12飛成、13飛合、26桂、同香、 25角、24玉、13龍、同玉、14飛、22玉、 33銀成、同玉、43歩成、22玉、32と、同玉、 12飛成、22歩合、42銀成、同玉、22龍、32銀合、 43歩、41玉、53桂、同香、42歩成、同玉、 52角成迄55手。 《解説》  飛を使った持駒変換はある筋ですが、合駒が微妙に変わる仕掛けが秀逸。 最初の金合は当然で、21に利かす角合。その角を入手することで25角〜 23銀生の筋が生じるため、その後は13は飛合にする必要があります。次 の12香合は時間稼ぎ的な意味合いで、もう1サイクル回すと桂合が最善と なり、26桂から収束に向かいます。雰囲気を壊さないまま、うまく歩合・ 銀合をひねり出して見事7種合を達成。合駒職人として名を馳せている堀切 氏のセンスが光る傑作です。 /END /BEGIN 表題:パラ0003 岡島民雄氏作 玉方:53と、41飛、44桂、33桂、36歩、26と、12歩、14玉、16馬。 攻方:54歩、46角、23歩、27桂、15桂。 持駒:飛。 手順: 24飛、13玉、26飛、24歩合、14歩、同玉、 24飛、13玉、44飛、24歩合、14歩、同玉、 26桂、同馬、24飛、13玉、26飛、46飛、 35角、24歩合、14歩、同玉、24飛、13玉、 34飛、24歩合、同角、14玉、46角、25玉、 24飛、16玉、17歩、同玉、18歩、同玉、 19飛迄37手。 《解説》  変則ハガシ趣向。26と→44桂の順に剥がし、26桂から今度は馬を取 ります。46飛で根っこの角を取られますが、35角と据えなおして34飛 と取られない位置に開けば飛と歩二枚を手にすることが出来る仕掛け。収束 は少しあっけないですが、剥がす駒が違うことで飽きさせない趣向になって いると思います。 /END /BEGIN 表題:パラ0007 梅本拓男氏作 玉方:67桂、68杏、54と、55玉、59馬、35桂、25と。 攻方:75銀、76飛、66歩、34馬、38飛。 持駒:銀。 手順: 46銀、同玉、65歩、55玉、66銀、46玉、 57銀、55玉、56銀、46玉、67銀、55玉、 66銀、46玉、77銀、55玉、47桂、同桂成、 66銀、46玉、57銀、55玉、56銀、46玉、 47銀、55玉、56銀、46玉、67銀、55玉、 66銀、46玉、77銀、55玉、47桂、65玉、 68飛、同馬、66香迄39手。 《解説》  3枚の大駒の力のバランスで成り立つ銀1枚だけの知恵の輪。75銀を繰 り替えて67桂を剥がしますが、その後一旦77銀と更に遠ざけます。これ は47桂に65玉の変化に備えたもの。同桂成とさせてその成桂を剥がす銀 の旅が始まります。成桂を無事に剥がした後、また銀を77迄戻せば今度は 47桂を取れないため収束する、という仕掛け。簡単に見えますが、攻め駒 が強い中で良く成立できたものと感嘆します。最初の桂を77に置かず67 に置くのも流石のセンスで梅本氏らしさが存分に出た傑作です。 /END /BEGIN 表題:パラ0106 三角淳氏作※ 備考:※正図は24馬⇒34馬(ソフトバグ) 玉方:57歩、42香、36玉、14歩。 攻方:44馬、48王、24馬。 持駒:。 手順: 35馬右、27玉、17馬、36玉、26馬行、46玉、 37馬、56玉、55馬行、67玉、77馬、56玉、 66馬行、46玉、57馬、36玉、35馬行、27玉、 17馬、36玉、26馬行、46玉、37馬、56玉、 55馬行、67玉、77馬、56玉、66馬行、46玉、 55馬行、36玉、45馬寄、25玉、35馬寄、15玉、 16歩、同玉、26馬迄39手。 《解説》  44馬が42香でピンされているので動かせるのは34馬だけなのですが 、44馬の脚の長さを活かして左へ右へと盛大な追いかけっこが展開されま す。57馬と歩を取って正解に近づいたように見えるのですが、なかなか使 いようがない。ややこしいようですがもう一回追いなおして31手目55馬 と上のルートを使うことで15に追い込んで待望の16歩が実現します。少 ない駒数での楽しい馬追いでした。この作品には後続作もあり、いずれブロ グで紹介します。 /END /BEGIN 表題:パラ0108 いのてつ氏作 玉方:71金、62金、63歩、52玉、53歩、43金、32角、33歩。 攻方:73歩、21飛。 持駒:金銀銀銀銀。 手順: 51金、42玉、31銀、51玉、42銀成、同玉、 51銀、52玉、62銀成、同金、51金、42玉、 31銀、51玉、42銀成、同玉、51銀、52玉、 62銀成、同玉、71飛成、52玉、62金、42玉、 51龍迄25手。 《解説》  手の赴くままに指していくとなぜか金が剥がされていきます。銀4枚使い 果たしたところで守備金も無くなってそのまま収束。足すところも引くとこ ろもない完成品で、詰将棋の楽しさを伝えるのに打ってつけでしょう。当時 まだ高校生だった作者、この作品で初入選というのが、なんかとても羨まし いです。 /END /BEGIN 表題:パラ0108 岡田敏氏作 玉方:83歩、86飛、71桂、62歩、64香、51玉、41金、42香、43金、33歩、21桂、13歩。 攻方:92龍、94角、54歩、35金、16歩。 持駒:金銀銀桂香。 手順: 61金、同玉、72銀、52玉、85角、同飛、 61銀打、51玉、63桂、同歩、52香、同金、 同銀成、同玉、61銀生、41玉、52銀生、31玉、 32金、同玉、43銀生、23玉、24金打、12玉、 42龍、22香合、23金、同玉、32銀生、12玉、 23銀成、同玉、25香、14玉、44龍、34角合、 同龍、同歩、32角、23歩合、24金迄41手。 《解説》  72に打った銀が23迄動く趣向。最後の32銀〜23銀を邪魔駒消去に したのが良いですね。また、若干捨てたくなる形ではありますが、しっかり 85角の伏線が入れてあるあたりは流石です。この手を入れないと44龍に 34桂合で不詰。大家の逆算技術が光る佳作です。 /END /BEGIN 表題:パラ0108 山ア泰史氏作 玉方:33歩、35香、36と、23桂、11玉、17歩。 攻方:34飛、24と、25角、27歩。 持駒:角歩4。 手順: 12歩、21玉、43角、12玉、23と、同玉、 14角、12玉、24桂、13玉、33飛生、14玉、 15歩、同玉、16歩、14玉、32角成、25玉、 43馬、14玉、15歩、同玉、13飛生、24玉、 33飛成、14玉、15歩、同玉、16歩、14玉、 32馬、25玉、23龍、16玉、43馬、15玉、 25馬迄37手。 《解説》  9手目に打った桂が邪魔駒になるのですが、他の手段も有力でなかなか気 づかないと思います。これを消すために11手目は生としたうえで、いった ん43角を馬にし、それにより13飛生〜33飛成で所与の目的を達成する 、という仕掛け。いったん突き捨てた16歩を再生させてから収束するのも 味があります。序奏で角を打つ手を入れるところも抜かりなく、流石ですね 。 /END /BEGIN 表題:パラ0109 原亜津夫氏作 玉方:92飛、82金、83歩、73歩、63歩、53歩、43歩、32玉、33歩、23歩、12金。 攻方:93銀、72歩、62歩、52歩、42歩、22銀、13飛。 持駒:金金。 手順: 21銀生、同玉、32金、同玉、12飛成、22金合、 31金、同玉、21金、42玉、22龍、32金合、 41金、同玉、31金、52玉、32龍、42金合、 51金、同玉、41金、62玉、42龍、52金合、 61金、同玉、51金、72玉、52龍、81玉、 71金、91玉、82銀成、同飛、81金打、同飛、 同金、同玉、82飛、91玉、92飛成迄41手。 《解説》  初形のインパクトだけでも相当です。12金を取ったときに22金合とす るのは31金、同玉、41歩成、同玉、21龍と潜り込まれるのを防ぐため なのですが、41歩成の代わりに21金としてみると、同金と取るのは41 歩成で同じ筋になってしまうため、結局42玉と逃げるしかありません。こ れが繰り返されて、まるで協力詰のような趣向が成立しています。  ちなみに22金合のところ銀合とした場合は31金、同玉、21金として 銀を取って追えば、下から銀を打つ筋が生じるので詰む仕掛け。この頃の中 編を席巻していた作者としては軽作だったと思いますが、いやあ、よく出来 ているものですね。 /END /BEGIN 表題:パラ0110 石川和彦氏作 玉方:32香、21桂、12玉、14歩、16龍。 攻方:31馬、25銀、26角。 持駒:桂桂桂。 手順: 24桂、23玉、32馬、13玉、12桂成、同玉、 13香、同玉、35角、12玉、24桂、13玉、 31馬、23玉、41馬、13玉、32桂成、23玉、 31成桂、12玉、24桂、13玉、32桂成、12玉、 22成桂、同玉、32馬、12玉、21馬、23玉、 32馬、12玉、24桂、13玉、14銀、同龍、 12桂成、同玉、13歩、同龍、同角成、同玉、 14飛迄43手。 《解説》  途中で取った桂を含め、24桂を4回繰り返しつつ、微妙に局面を変化さ せる変則趣向。途中馬を遠ざけて成桂による開き王手の形を作るのがうまく 、更に一旦成桂を31に動かさざるを得ない形なので、21桂をハガすために 桂2枚を成桂にする必要がある、という仕掛けです。序奏・収束もうまく2 4桂が入る手順で統一感がありますね。実戦形作品を得意とする作者として は少し異色作になりますでしょうか。 /END /BEGIN 表題:パラ0111 赤羽守氏作 作品:『白銀のゲレンデ』 玉方:82桂、88歩、74桂、66玉、67と、54歩、55飛、48と、36と。 攻方:93飛、95銀、96銀、77桂、78歩、56銀、58角、46馬。 持駒:。 手順: 55銀、76玉、75飛、同玉、66銀、76玉、 65銀、75玉、86銀、同玉、95飛成、97玉、 85銀、87玉、76銀左、78玉、67銀、89玉、 78銀、同玉、79歩、77玉、78歩、87玉、 76銀、78玉、67銀、89玉、78銀、同玉、 45馬、87玉、54馬、78玉、45馬、87玉、 69角、76玉、77歩、66玉、55龍、77玉、 75龍、68玉、79龍、同玉、78馬迄47手。 《解説》  タイトルのとおり盤面を銀が滑り降りてくる趣向が楽しめます。一枚目の 銀は67とを剥がすためで手成りで進められますが、二枚目の銀は実は邪魔 駒的な位置づけで、これを消すことで54歩を取って収束に向かうことが出 来ます。単純な邪魔駒にしなかったことで、作品に深みが出ていると思いま す。収束もパズルチックな感触で、その中で45馬がなかなか味わい深いで すね。 /END /BEGIN 表題:パラ0112 相馬康幸氏作 玉方:12玉。 攻方:21飛。 持駒:銀銀銀桂桂桂桂歩6。 手順: 23銀、13玉、14銀成、同玉、15歩、同玉、 16歩、同玉、17歩、同玉、18歩、同玉、 29銀、17玉、18歩、16玉、28桂、15玉、 27桂、14玉、26桂、13玉、22銀、23玉、 35桂打、24玉、25歩、同玉、33銀生迄29手。 《解説》  以前も書きましたが、冬眠蛙が最も好きな作品集は「相馬康幸Collection 」で、その魅力は1作1作単体だけでなく、トータルで世界観を描出してい るところにあります。ということで、1個1個の作品も十分魅力的なのです が、このコーナーでは今まで紹介を控えてきました。が、今回はこの初形の インパクトが凄すぎて流石に紹介したくなってしまいました。  もちろんこれで持駒金とかだったら「えぇぇ」となってしまうのですが、 もちろんそこは相馬ワールド、ちゃんと考えるポイントがあり、それが13 手目です。17まで引っ張り出してきたので、28銀で押し戻すことが出来 るのですが、それでは詰まない仕掛けになっており、わざわざ18歩〜29 銀として28に桂を据えるのがポイント。その価値は詰上がりで知ることが できます。作者の笑みが浮かんでくるような作品です。  ちなみに相馬氏の作品集は氏のサイト「詰将棋マニアックス」で見ること ができます。ぜひその世界に触れてみていただければと思います。 /END /BEGIN 表題:パラ0203 中村雅哉氏作 玉方:41香、44桂、33飛、34銀、22歩、25玉、12桂、13角、18と。 攻方:37馬、24歩。 持駒:銀銀香香。 手順: 27香、26銀合、同馬、24玉、25香、同銀、 同馬、23玉、43馬、25金合、14銀、同玉、 25馬、23玉、43馬、25金合、14銀、同玉、 25馬、23玉、43馬、25金合、14銀、同玉、 25馬、23玉、43馬、25金合、14銀、同玉、 25馬、23玉、43馬、25飛合、14金、同玉、 25馬、23玉、34金、同飛、14馬、同玉、 15金、同玉、17飛、同と、25金、16玉、 26金迄49手。 《解説》  銀→金の持駒変換趣向ですが、いかにも氏、という難しい変化がたくさん 。全部あげるとキリがないのですが、例えば最初の金合のところ、飛合の変 化が32銀、同飛、14金、同玉、25馬、23玉、53飛以下というもの すごく読みにくい順です。ここを安易に飛を置いて割り切ろうとしないのが この作者の凄さで、これにより4金にしてからの華麗な収束に結びついてい る、という見方もできます。普通に繰り返し手順を終了してからの43馬以 下だけを切り取っても、十分に作品になっているのは並べてみればすぐにわ かると思います。調べれば調べるほど、「よく成立したなあ」と感じさせら れる傑作です。 /END /BEGIN 表題:パラ0205 若島正氏作 玉方:81桂、73玉、61歩、64銀、53飛、41角、43飛。 攻方:82歩、84香、85馬、62と、51銀。 持駒:銀香香。 手順: 72と、同玉、63銀、同飛、74香、73飛、 同香生、同玉、83飛、72玉、63飛成、同飛、 74香、73飛、同香成、同玉、83飛、72玉、 63飛成、同角、94馬、71玉、81歩成、同角、 63桂、同角、93馬、72玉、82馬迄29手。 《解説》  最近だいぶ秘境まで冒険に行かれている感の強い(笑)作者ですが本作は 軽い表現。63の地点をキーにした飛ハガシが展開されます。74香に対し て飛移動合以外ですと94馬で簡単。その飛を取って83飛〜63飛成とす ることでまた63地点を埋めることが出来るわけですね。  飛車がなくなることで横効きが消えて収束に向かうのですが、代わりに詰 方の香も無くなっているため、63桂と最後にまた逃げ道を塞ぐ収束になっ ているのは上手いなあ、の一語です。 /END /BEGIN 表題:パラ0207 杵渕裕樹氏作 玉方:31香、33角、21桂、12玉。 攻方:43桂、44香、34飛、24歩、11角、14と。 持駒:桂桂歩6。 手順: 22角成、同玉、23歩生、11玉、12歩、同玉、 24桂、11玉、22歩成、同玉、32桂成、同香、 23歩、11玉、12歩、同玉、13歩、11玉、 22歩成、同玉、12歩成、同玉、24桂、11玉、 12歩、22玉、32桂成、同玉、31桂成、同玉、 33飛成、同桂、13角、32玉、22角成、同玉、 24香、31玉、32歩、同玉、23と、21玉、 22と迄43手。 《解説》  4×4に収まった端正な初形で、ここから持駒の桂・歩を使って31の香 を剥がすのが骨子になっています。1枚目の桂で31香を32に吊り上げ、 2枚目の桂でその香を取るのですが、微妙に手順を変えているのがまた面白 い。序奏・収束も含めてうまく纏まっており、見事な作品になっていると思 います。 /END /BEGIN 表題:パラ0209 酒井博久氏作 玉方:91玉、81金、82銀。 攻方:97と、88歩、72飛、76歩。 持駒:金3銀3桂4。 手順: 82飛成、同金、83桂、同金、92銀、同玉、 84桂、同金、93銀、同玉、85桂、同金、 94銀、同玉、86桂、同金、95銀、同玉、 86と、同玉、87金、95玉、85金、同玉、 75金、94玉、84金打、95玉、85金引迄29手。 《解説》  持駒に驚き、更に初手に驚きますが、よく見てみると83桂とかでは届き そうにないのでこの一手。同玉は83銀〜84金〜75銀以下。同金と決ま れば、銀桂の打ち捨て趣向が展開されます。ちょっとしたお大臣気分を味わ えますね(笑)。これを成立させるには金3枚持つのが絶対条件ですが、シ ンプルな収束にうまく繋げており、流石に酒井氏と思います。 /END /BEGIN 表題:パラ0209 松本誠氏作 玉方:64銀、51玉、53角、41銀、44歩、23歩。 攻方:72龍、55金、22と。 持駒:角銀。 手順: 33角、42香合、同角成、同角、54香、53角、 同香生、同銀、33角、42香合、同角成、同銀引、 54香、53銀、42銀、同銀直、53香生、同銀、 52銀、42玉、43銀成、同玉、32龍迄23手。 《解説》  変則ハガシと言えば良いのでしょうか。42の合駒が香以外はすべて早詰 、それを取って54香と打つと移動合が最善。2回目の54香に53銀と銀 を差し出したため、42銀からの収束に入れるという仕掛け。両王手から3 2龍まで、もう何も足す必要も引く必要もない、見事な完成作です。羨まし いの一語。 /END /BEGIN 表題:パラ0310 橋本孝治氏作 玉方:92桂、82金、71歩、72桂、61金、62玉、65歩、54と、56歩、47歩、38歩、29圭。 攻方:85桂、75龍、52歩、43金。 持駒:角歩4。 手順: 63歩、同玉、74角、62玉、73桂成、同玉、 92角生、62玉、63歩、同玉、74角生、73玉、 65角、74桂合、85桂、62玉、63歩、同玉、 74角、62玉、73桂成、同玉、56角、74桂合、 85桂、62玉、63歩、同玉、74角、62玉、 73桂成、同玉、47角、74桂合、85桂、62玉、 63歩、同玉、74角、62玉、73桂成、同玉、 38角、74桂合、85桂、62玉、63歩、同玉、 74角、62玉、73桂成、同玉、29角、74桂合、 85桂、62玉、63歩、同玉、74角、62玉、 73桂成、同玉、65桂、62玉、63角成、同玉、 55桂、62玉、73桂成、同金、63歩、同金、 同桂成、同玉、73金迄75手。 《解説》  打歩詰を利用した角生の連取りは前例のあるものですが、桂捨合が作者の 工夫で、これに対し打歩詰を回避するために85桂〜73桂成とする必要が あるため、結局のところ単純に12手目62玉とするのに比べて手数が稼げ る、という仕掛けです。29成桂を取ってからの収束が無駄なく美しく、流 石だなあと感心してしまう作品です。 /END /BEGIN 表題:パラ0405 井上徹也作 玉方:93歩、81香、82玉、71歩。 攻方:74王、62歩、41飛。 持駒:桂桂桂桂歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩。 手順: 83歩、91玉、92歩、同玉、84桂、91玉、 82歩成、同玉、94桂、同歩、72桂成、同歩、 83歩、91玉、92歩、同玉、84桂、91玉、 82歩成、同玉、72桂成、同玉、73歩、82玉、 83歩、91玉、92歩、同玉、93歩、91玉、 82歩成、同玉、72歩成、同玉、84桂、同香、 73歩、82玉、83歩、93玉、91飛成、92金合、 同龍、同玉、82歩成、同玉、83金、91玉、 92歩、81玉、72歩成迄51手。 《解説》  手が限られていて易しいかと思いきや、かなり難しい目の知恵の輪です。 9手目94桂が大事な準備工作で、この手を入れることで72桂成に対し9 2玉は93歩〜43飛成で詰ますことが出来ます。72桂成以降も歩を打つ のか、桂を打つのかの細かい選択が一個一個悩ましいのですが、71歩をは がし、最終的には84桂と香を吊り上げて収束へ。井上氏らしい練り上げら れた作品です。 /END /BEGIN 表題:パラ0407 谷川浩司氏作(改作) 作品:『月下の散歩』 備考:(『月下推敲』収録の改作図) 玉方:62香、56金、35角、21金、22角、13玉。 攻方:39香、29香。 持駒:金金。 手順: 23金、14玉、24金、15玉、25金、16玉、 26金、同角、27金、25玉、26金、14玉、 25金、23玉、24金、12玉、23金、11玉、 22金、同金、同香成、同玉、31角、23玉、 32角、24玉、42角成、25玉、52馬、26玉、 62馬、27玉、54角成、28玉、17馬、同玉、 19香、28玉、27馬、同玉、18金、16玉、 17金、25玉、16金、14玉、15金、23玉、 14金、12玉、13金、21玉、12金迄53手。 《解説》  最近無双・図巧を再度世に出した作者。そんなこともあってか、氏の作品 は古典的な香りを感じることが多いように感じます。本作はパラ発表後に作 品集向けに改められた、金追い〜追い戻し〜馬追い〜追い戻しと2往復を少 ない駒数で実現した快作。特に最後の2枚馬捨ては胸がすく思いです。歴史 に残る作品と思います。 /END /BEGIN 表題:パラ0408 梅本拓男氏作 玉方:67歩、53歩、43と、44玉、48香、34歩、36香、28と。 攻方:63銀、65歩、57馬、58香、47歩、35歩、37角、12と、14歩、19桂。 持駒:飛。 手順: 66馬、35玉、57馬、44玉、55角、同玉、 25飛、35飛合、同飛、44玉、45飛、同玉、 25飛、35飛合、46歩、44玉、45歩、同飛、 同飛、同玉、25飛、35飛合、67馬、46玉、 56馬、37玉、38歩、同と、27飛迄29手。 《解説》  筋がつかみにくいのですが、思い切って55角と捨てて25飛と打つのが 基本形。56馬〜55馬を見せられて困るのですが、35飛と55に効かせ て捨て合し、同飛に44玉とするのが非常手段。ここで冷静に45飛〜25 飛と打ち直し、35飛に同飛とせずに46歩〜45歩とこの歩を消すのがキ ーになっています。最後もう一回25飛と打って67馬とすれば、44玉は 45歩があるので詰みに至ります。  捨て合が出発点かと思うのですが、これを繰り返しにするあたりに作者の 巧さを感じます。 /END /BEGIN 表題:パラ0410 三角淳氏作 玉方:93銀、81歩、86玉、87桂、73金、65香、46と。 攻方:99銀、77桂、78歩、66金、54龍、36角、16龍。 持駒:角歩。 手順: 76金、96玉、97歩、同玉、75角、96玉、 86金、97玉、85金、96玉、56龍、同と、 86金、97玉、76金、96玉、63角成、同金、 86金、97玉、85金、86角合、同角、96玉、 95金、86玉、56龍、66歩合、85金、96玉、 66龍、同香、97歩、同玉、75角、96玉、 86金、97玉、76金、96玉、97歩、95玉、 85金迄43手。 《解説》  角金を動かしながら凝り形になっている54龍・36角・16龍を捌いて 今46にいると金を入手するのが狙いですが、途中角を捨てた後で86角合 の破調が入るのが面白い。これがあるので、もう一枚歩の入手が必要となり 、さらにその入手タイミングも限定されているのは流石だなあ、と思います 。  実は冬眠蛙の中編名作選に載った作品も角金の知恵の輪で、雰囲気は似た 感じです。ぜひお買い求めのうえ、違いをご覧いただければ。 /END /BEGIN 表題:パラ0501 斎藤仁士氏作 玉方:71香、74歩、62銀、53玉、54歩、41金、43金、44歩、31金、32金、22歩。 攻方:73角、64歩、69馬、33と、21と。 持駒:桂桂桂桂歩8。 手順: 65桂、52玉、62角成、同玉、63銀、51玉、 52歩、同金、同銀生、同玉、63金、61玉、 53桂打、51玉、41桂成、同玉、42歩、同金上、 53桂打、51玉、52歩、同金、同金、同玉、 63金、51玉、41桂成、同玉、42歩、同金寄、 14馬、32桂合、同馬、同金、42歩、同金寄、 53桂打、51玉、52歩、同金、同金、同玉、 63金、51玉、41桂成、同玉、42歩、同金、 53桂打、51玉、52歩、同金、41桂成、61玉、 51成桂、同玉、52金、同玉、53桂成、同玉、 63金迄61手。 《解説》  持駒と盤面の金を見て、マニアな方なら金ハガシ趣向かな、と見当は付け られると思いますが、剥がし方は精緻そのもの。42歩〜53桂打〜52歩 が基本線ですが、最初の桂打に同金とする変化は非常に難しいです。また最 初の42歩に対して同金寄は31と以下、同金引は53桂打、51玉、52 歩、同金に41桂成とする手があり早いです。30手目同金寄に対して14 馬で5枚目の桂を入手することでピッタリ駒が足り、足場にしていた56桂 を成り捨てて終わります。 寡作ながら完成度が高く洗練された作品を多く発表している作者で、全国大 会でお話しさせていただいたのがとても嬉しかったです。 /END /BEGIN 表題:パラ0504 宮浦忍氏作 備考:(修正図) 玉方:93桂、99と、85香、86歩、73金、67と、68玉。 攻方:95龍、87金、89歩、63歩、55飛、49金。 持駒:角角香香香。 手順: 59金、78玉、58飛、同と、12角、87玉、 78角打、76玉、77香、65玉、85龍、同桂、 66香、54玉、55香、43玉、44香、33玉、 23角引成、44玉、34馬、55玉、45馬、66玉、 56馬、77玉、67馬迄27手。 《解説》  持駒こそ多いですが凡そ趣向っぽくない初形。12角と遠打することで、 なんと4香連打から馬による追い戻しの趣向が現れます。95龍がうまい配 置で遠打にともなう変化を処理しつつ4枚目の香を取る役割もこなしていま す。また59金〜58飛の序が入ったことで意外性も抜群。作者のセンスが 光る作品です。(余詰が見つかったようで、中編名作選所収の修正図にて掲 載しています) /END /BEGIN 表題:パラ0507 きしはじめ氏作 玉方:67と、53銀、56桂、44玉、31銀、33香、23香、24桂、27角。 攻方:54角、43銀、32飛、12と。 持駒:金桂桂香香。 手順: 47香、45角成、33飛成、同玉、34金、同馬、 25桂、同馬、35香、同馬、34銀成、同馬、 25桂、同馬、35香、同馬、43角成迄17手。 《解説》  47香に対して45角成が妙防ですが、それに対して33飛成〜34金と してから、43銀を原型消去するために馬を25〜35と動かすのが好手順 。さらに消去後にもう一度25桂〜35香を繰り返して詰み。移動捨て合で 出現した馬が都合6回動くリズミカルな作品でした。 /END /BEGIN 表題:パラ0508 高木道雄氏作 玉方:42と、43角、46歩、25銀、27銀、11桂、12歩、13玉、14銀、15銀。 攻方:33と、35香、37角、26龍、17龍。 持駒:金桂桂。 手順: 24金、同玉、15龍直、同銀、36桂、同銀引生、 16桂、同銀直、15銀、13玉、14銀、24玉、 25銀、同銀左、15銀、13玉、14銀、24玉、 25銀、同銀、15銀、13玉、14銀、24玉、 25銀、同角、15銀、13玉、14銀、同玉、 15龍迄31手。 《解説》  15銀と打って14銀と焦点捨てするのですが、どちらで取っても1手詰 。24玉と逃げざるを得ないことで成立する銀ハガシ趣向でちょっとした緊 張感があります。最後は25の効きがなくなるためそのまま詰み。その分序 奏を入れてますが、私だったら最初の3手は入れなかったかなあ。まあ好み の問題ですが。 /END /BEGIN 表題:パラ0508 井上徹也氏作 玉方:37歩、26歩、12玉、14香、16歩。 攻方:42角。 持駒:飛桂歩。 手順: 24桂、23玉、33飛、24玉、36飛成、13玉、 31角成、23玉、32龍、24玉、42馬、13玉、 33龍、23飛合、同龍、同玉、33飛、24玉、 37飛成、13玉、33龍、23飛合、同龍、同玉、 33飛、24玉、36飛成、13玉、31馬、23玉、 24歩、同玉、25歩、15玉、42馬迄35手。 《解説》  今改めて棋譜を入力しても奇跡のような手順。最初に36飛成として33 歩中合を回避することで42角を馬に変え、33龍・23飛の交換から今度 は37歩を剥がします。33歩合には今度は同龍から43馬があります。  歩を二枚手にして、もう一度33龍・23飛から36に龍を置くのが本当 に絶妙。24歩〜25歩の連打で捕まっています。わずか盤面6枚から織り なされる魔法。間違いなく歴史に残る作品と思います。 /END /BEGIN 表題:パラ0509 高坂研氏作 玉方:92香、83金、77と、59玉、37桂、26歩。 攻方:38龍。 持駒:飛。 手順: 57飛、69玉、58龍、79玉、77飛、89玉、 87飛、79玉、88龍、69玉、67飛、59玉、 68龍、49玉、47飛、39玉、37飛、49玉、 38龍、59玉、57飛、69玉、58龍、79玉、 77飛、89玉、69龍、88玉、79龍、98玉、 78飛、97玉、88龍、96玉、76飛、95玉、 75飛、94玉、85龍、93玉、94歩、82玉、 83龍、同玉、95桂、94玉、85金、93玉、 73飛成迄49手。 《解説》  全国大会握り詰で優秀作となった飛龍追いです。9筋の香と26歩がうま い配置で、これにより78龍・99玉型と48龍・29玉型では詰まなくな り、87飛・37飛で折り返す手順が成立し、また逆に37桂を取ることを 玉方は回避できない仕掛けです。  桂歩を手にしたところで77飛・69龍型にして今度は縦追いになるのが 面白いところ。最後までうまく手順が限定されており、握り詰の条件を全く 感じさせませんね。 /END /BEGIN 表題:パラ0512 大和敏雄氏作 玉方:51香、52飛、53歩、41金、45角、31玉、32金。 攻方:55桂、22歩、13龍。 持駒:銀香香。 手順: 42銀、同金寄、33香、32金寄、同香成、同金、 42金、同金、33香、32金、同香成、同玉、 43桂成、41玉、31金、同玉、11龍迄17手。 《解説》  11龍を見せて42銀が鋭い一手。同金寄に33香とすれば32金寄とせ ざるを得ず、巧妙な金ハガシになっています。もう一枚の金も同様に取り、 同玉に43桂成で収束に向かいます。収束も31金と捨てて雰囲気を壊さな い最短の手順で仕上げられ、完成度の高い短編になっていると思います。 /END /BEGIN 表題:パラ0601 金子義隆氏作 玉方:23歩、24玉、26と。 攻方:38香、39銀、12飛。 持駒:桂桂桂香香香歩4。 手順: 25歩、同と、16桂、同と、25歩、同玉、 28香、27桂合、同香、同と、26歩、同と、 17桂、同と、26歩、同玉、29香、28香合、 同香、同と、18桂、同と、27香、同玉、 19桂、同と、28香迄27手。 《解説》  いかにも趣向詰、という初形ですが、手拍子で進めようとすると香と歩の 使い分けができず困ることになります。5手目が1つめのポイントで、ここ をすぐ28香では25桂合とされ後で困ります。 25歩、同玉、28香とすれば玉方は27桂合とするしかありませんが、同 香、同とに17桂と打って、26まで玉を引っ張ってから29香とすれば、 8段目には桂合が出来ないため香合とするしかなく、これでギリギリ駒が足 りる、という仕掛け。 シンプルながら金子氏らしい読みの入った作品と思います。 /END /BEGIN 表題:パラ0606 武紀之氏作 玉方:31龍、34桂、36桂、37歩、22玉、28圭、12香、14銀、15銀。 攻方:38角、25桂、26角、11金、17歩。 持駒:飛。 手順: 12金、23玉、13金、24玉、14金、25玉、 15金、26玉、25飛、17玉、19香、同成桂、 28銀、同桂成、16金、18玉、17金、同玉、 26銀、同桂、15飛迄21手。 《解説》  11の金が17まで移動する趣向。一定の仕掛けに則ったものではないの で、驚かされます。逆算ではないかと思うのですが、独自性の強い作者らし い表現かな、と思います。なお28成桂はと金ですと13手目16金が成立 します。 /END /BEGIN 表題:パラ0607 三角淳氏作 玉方:81歩、86と、87角、72歩、73玉、52銀、55銀。 攻方:94王、95飛、65龍、66歩、54銀。 持駒:角。 手順: 91角、82桂合、同角成、同玉、74桂、73玉、 62龍、74玉、65銀、同角成、同龍、73玉、 91角、82桂合、同角成、同玉、74桂、73玉、 62龍、74玉、75飛、同玉、65龍迄23手。 《解説》  91角とすると逆王手以外の合駒は75飛までの一手詰。桂合には同角の 一手で、74桂から62龍と追い、65銀から角を入手するとちょうど初形 から65銀と87角を消去した形になります。ここでもう一回91角〜62 龍を繰り返せば、87角がなくなっているので75飛と綺麗に収束できる、 という仕掛け。95飛配置が91玉の変化にも対応していて、うまく出来て いるなあ、と思います。 /END /BEGIN 表題:パラ0607 中島久雄氏作 玉方:55馬、44銀、32歩、21玉、25桂。 攻方:42馬、34歩、13龍、15金、16歩。 持駒:桂桂桂歩。 手順: 23龍、11玉、14龍、22玉、23歩、21玉、 13桂、11玉、22歩成、同玉、25龍、23歩合、 21桂成、12玉、14龍、21玉、23龍、11玉、 14龍、22玉、23歩、21玉、13桂、11玉、 22歩成、同玉、24龍、23桂合、33歩成、同歩、 21桂成、同玉、23龍、11玉、14龍、22玉、 34桂、同歩、12龍、同玉、24桂、13玉、 25桂、22玉、32馬、11玉、12桂成、同玉、 13桂成、同玉、14金、12玉、23金、11玉、 22金迄55手。 《解説》  以前に紹介した金子清志氏作を更に発展させたような手順となっておりま す。桂歩をうまく使って25の桂を剥がし、合駒の歩を取り直して24龍と し、23桂合を強要します(歩合は33歩成、同歩、21桂成、同玉、23 龍、11玉、13龍、21玉、43馬以下)。この瞬間に33歩成、同歩と するのがポイント。もう一度14龍・22玉を作り、34桂、同歩と更に吊 り上げてこの地点を塞げば、12龍以下の綺麗な収束につながります。  最初に25桂を取らずに24龍でもよさそうに見えますが、23歩、33 歩成に同銀で失敗します。25桂を剥がしてから24龍であれば、25が空 いているので33歩成、同銀には同龍で詰み。作者は寡作ながら完成度の高 い作品を多く発表されている実力者で、本作にもその片鱗がうかがえます。 /END /BEGIN 表題:パラ0609 小林敏樹氏作 玉方:75と、57玉、58歩、43歩、32歩。 攻方:74馬、66歩、67香、47歩、39飛。 持駒:角金香。 手順: 35角、67玉、68金、66玉、44角、同歩、 36飛、55玉、57香、56香合、同香、66玉、 51香成、55玉、57香、56香合、同香、66玉、 52香成、55玉、57香、56香合、同香、66玉、 53香成、55玉、57香、56桂合、同香、66玉、 55香、同玉、67桂、45玉、63馬迄35手。 《解説》  初手35角は44を押さえる意味があるのですが、68金、66玉に44 角とすぐ捨てます。これは34に飛の効きを通すため。分厚い変化・紛れの ある序を経て、36飛〜57香と据えれば、香合〜香成の趣向が展開されま す。53まで成香を据えれば香が品切れになるため、57香には56桂合が 最善となり、55香から収束する仕掛けです。  ちなみに初手46角は67玉で逃れるのですが、35角に46合をすると 、一枚多く入手したことで早く詰みます。この変化がまた厚く、桂合は特に なかなかの難物。どうぞご確認ください。 /END /BEGIN 表題:パラ0701 山村政氏作 玉方:31玉、35桂、13と。 攻方:41銀、43と、44と、45と、46飛、47桂、48飛、32角、14と。 持駒:。 手順: 42と、同玉、43と、31玉、42と、同玉、 54と、31玉、42飛成、同玉、35桂、51玉、 42飛成、同玉、43と、31玉、23桂打、同と、 同桂生、22玉、21角成、同玉、31桂成、12玉、 13歩、11玉、21成桂、同玉、32銀生、11玉、 12歩成、同玉、23と、11玉、21銀成、同玉、 32と左、11玉、22と直迄39手。 《解説》  4筋の駒柱を崩して飛を働かせば…とあらかた筋は見えていますが、実は なかなか芸が細かくて、特に4手目、8手目は31玉でないと早詰なのに対 し、12手目だけは51玉が正解で、出題時には誤解が続出しました。23 桂打と精算して21角成〜31桂成とすれば、あとは見慣れた煙の収束に。 ものすごく意外性があるわけではないですが、趣向を構成する駒を全て消す のはやはり気持ちが良いです。 /END /BEGIN 表題:パラ0703 高橋和男氏作 玉方:34桂、36香、22角、24玉、13香、16歩。 攻方:53角、43銀、26歩、12歩。 持駒:金桂歩。 手順: 25金、23玉、35桂、12玉、23桂成、同玉、 34金、14玉、15歩、同玉、27桂、14玉、 24金、同玉、35角成、23玉、45馬、34歩合、 同馬、14玉、25馬、23玉、35桂、12玉、 23桂成、同玉、34馬、14玉、15歩、同玉、 25馬迄31手。 《解説》  3手目すぐに34金だと14玉で15歩が二歩になるので、35桂〜23 桂成で邪魔駒消去します。今度は15歩が打てますが、27桂と据えた後、 この桂もまた35桂〜23桂成と捨てることになるのがなんとも味わい深い 手順。35角成〜45馬で1歩稼ぐのを間に挟むのがまた上手く、主題の意 外性を増していて、良い演出だな、と思います。易しいながら解いて楽しい 知恵の輪で、冬眠蛙好みの作品でした。 /END /BEGIN 表題:パラ0705 高橋和男氏作 玉方:53飛、43銀、32歩、11玉。 攻方:41と、33龍、36角、14角、17歩。 持駒:桂桂桂桂歩。 手順: 23桂、12玉、24桂、13玉、25桂、14玉、 13桂成、同玉、12桂成、同玉、11桂成、同玉、 13龍、21玉、33桂、同歩、22歩、32玉、 14角迄19手。 《解説》  桂打〜成捨て趣向ですが、間に無駄手がありません。初手13龍は21玉 とされ、33桂、同歩としても22歩の打歩詰が解消できません。そこで2 3桂〜25桂と打って14玉と角を取らせ、それを全て成り捨てることで1 4角を原型消去する、シンプルかつ美しい趣向が成立しているわけです。  この時期の作者の作品は他もセンスに溢れたものばかりですので、ぜひバ ックナンバーを探していただければと思います。 /END /BEGIN 表題:パラ0708 岩田俊二氏・市島啓樹 玉方:78馬、67角、51歩、42玉、44歩、45銀、21桂、24歩、11香、14と。 攻方:55香、23銀、12歩、13銀。 持駒:金銀歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩。 手順: 43金、同玉、32銀打、33玉、22銀右生、42玉、 31銀右生、33玉、34歩、同銀、22銀引生、42玉、 43歩、同銀、同銀生、同玉、32銀打、42玉、 31銀右生、33玉、34歩、同角生、22銀引生、42玉、 43歩、同角、同銀生、同玉、32角、42玉、 31銀生、33玉、34歩、同馬、22銀引生、42玉、 43歩、同馬、同角成、同玉、32角、42玉、 33銀成、同桂、43歩、31玉、21角成、同玉、 11歩成、同玉、12歩、21玉、22歩、31玉、 32歩、41玉、42香迄57手。 《解説》  銀の送りによるハガシ趣向。趣向自体はそれほど妙味を感じさせない(こ こが自分の主な受け持ちだったんですが…笑)ものの、角生が出たり、32 の駒が角になることによって31銀生に変化が生じるところ、更には収束3 3銀成と手を変えるところ等、細部はうまく出来ているのではないかと。収 束を付けながら桂香図式に出来たのもちょっと気が利いていると思います。 岩田さん(残念ながらこの作品発表の数年後にご逝去されました)のセンス が光る作品です。 /END /BEGIN 表題:パラ0708 高橋和男氏作 玉方:33銀、13香、14玉、19銀。 攻方:43馬、34飛、38銀、39歩、24歩。 持駒:銀。 手順: 25銀、15玉、16銀、26玉、27銀引、17玉、 18銀、同玉、54馬、28玉、27馬、39玉、 49銀、29玉、39飛、同玉、38馬迄17手。 《解説》  馬飛の威力を背景に紐のない状態で25に打った銀が18までノンストッ プで下っていきます。25銀や16銀に同玉は33飛成として13龍に回る 筋があって詰みます。また27銀に15玉は35飛以下。25銀・15玉型 との差がうまく使われてます。18銀に28玉は1手詰なので流石に取るし かなく、自然な収束につながります。この年大活躍した高橋氏、最近は休眠 中のようですが、また作品を見せて欲しいものです。 /END /BEGIN 表題:パラ0710 久保紀貴氏作 作品:『絡まってエイジャ』 玉方:66玉、67香、68歩、53香、54歩、55桂、57と、58飛、44香。 攻方:94角、35飛、37香。 持駒:金歩2。 手順: 76金、56玉、83角成、46玉、47歩、同桂生、 36飛、55玉、65馬、45玉、35飛、46玉、 64馬、56玉、74馬、46玉、36飛、55玉、 66金、45玉、56馬、同と、46歩、同と、 35飛迄25手。 《解説》  手成りで追って5手目36飛とすると45玉で打歩詰。これをどう打開す るか、というのが鍵で、47歩はまずやってみるところですが、同桂生が好 手で36飛に55玉、65馬、45玉でやはり打歩詰。56馬、同とと無理 やり打開しても、46歩、同とで56が空くので詰みません。  ここで35飛とした後、64馬〜74馬と一歩遠ざかる馬鋸が作者の工夫 。46玉、36飛、55玉のとき、66金とすれば、今度は56地点を金が 押さえているので、56馬〜46歩で収束できる、という仕掛け。この後に 緻密な構想作を連発する久保氏のデビュー2作目の作品。当時暗算で気持ち 良く解けて、嬉しくなりつつ感心したのを覚えています。 /END /BEGIN 表題:パラ0805 三角淳氏作 玉方:48歩、35圭、36金、24香、25玉、27歩、29と、13歩、19圭。 攻方:56馬、57飛、49飛、17金。 持駒:角桂歩5。 手順: 37桂、同金、26歩、同成桂、34角、14玉、 15歩、同玉、16歩、14玉、23角成、25玉、 34馬行、36玉、45馬、25玉、34馬引、14玉、 15歩、同玉、26金、同香、16歩、14玉、 23馬、25玉、34馬行、36玉、28桂、同と、 45馬、25玉、34馬引、14玉、15歩、同玉、 19飛、同と、16歩、14玉、23馬、25玉、 34馬行、36玉、28桂、同歩成、45馬、25玉、 34馬引、14玉、36馬、同金、15歩、同玉、 17飛迄55手。 《解説》  最初10手で舞台装置を整えて、二枚馬による知恵の輪がはじまります。 最初に45馬・34馬型を作るのは26金に同玉とされる変化に備えたもの 。同香に16歩と据えなおし、36まで追って28桂と焦点に捨てるのがポ イントとなる一手です。同金は37歩、同歩成は45馬〜34馬引〜36馬 があるので同とですが、19成桂が落ちており、14までまた追って15歩 〜19飛でこれを剥がし、もう一度36まで追って28桂とすれば、今度は 同歩成とするしかありません。先ほどの45馬〜34馬〜36馬引が実現し て綺麗に収束します。  最初に37金型にする何気ない序奏がうまく、知恵の輪の鍵となる57飛 の横利きを見えにくくする効果があります。作者のセンスがうかがわれる好 作です。 /END /BEGIN 表題:パラ0808 本間晨一氏作 玉方:91歩、71歩、62歩、51歩、42歩、31歩、22桂、24と、11玉、13飛、14と。 攻方:93角、83飛、21角。 持駒:金金金金銀銀銀銀。 手順: 12銀、同飛、同角成、同玉、21銀、同玉、 32銀、同歩、31金、同玉、41金、同玉、 52銀、同歩、51金、同玉、61金、同玉、 71角成、同玉、72歩、同玉、73飛打、61玉、 81飛成迄25手。 《解説》  持駒趣向ですが、見たままにどんどん捨てて左側に無理やり玉を引きずり 出します。途中32銀や52銀に同玉ですと金打ち〜桂取り〜角成の筋があ って早い。ぴったり全部使いきって61まで持ってくれば、71角成が実現 して以下は易しい収束となります。持駒飛が必須の趣向ですが、うまいこと ピッタリ金銀8枚まで持ってこれたものです。 /END /BEGIN 表題:パラ0809 石本仰氏作 玉方:94銀、81玉、66と。 攻方:83桂、61銀、35飛。 持駒:角角桂桂香。 手順: 63角、92玉、84桂、93玉、85桂、同銀、 92桂成、同玉、91桂成、同玉、81角成、同玉、 85飛、71玉、17角、61玉、81飛成、52玉、 72龍、43玉、63龍、34玉、54龍、25玉、 45龍、16玉、36龍、17玉、37龍、18玉、 38龍、17玉、28銀、26玉、27香、15玉、 35龍、14玉、24龍迄39手。 《解説》  簡素形から17角の遠打と龍の斜め追いが展開されます。なかなかのイン パクトですが、そのインパクトは序奏によるものが大きい。66と一枚を追 加するだけで、角打〜桂打〜桂成捨て〜角成捨ての味良い積み崩しが実現で きるのは驚き。変化・紛れが紙一重のところで成立しており、作者の推敲の 跡が窺われます。この序奏を潜り抜けた後の17角は本当に格別の味わいで 、着地が若干乱れる(例えば28銀のところ18銀でも良い)のは小キズ。 軽趣向ながら石本氏らしい重厚さも味わえる傑作です。 /END /BEGIN 表題:パラ0810 平松準一氏作 玉方:64と、57と、45歩、34龍、35歩、39角、26玉、16歩、17銀、19角。 攻方:38銀、13龍。 持駒:銀桂桂桂桂歩3。 手順: 27銀打、25玉、26歩、同銀成、同銀、同玉、 27銀打、25玉、37桂、同角成、26歩、同馬、 同銀、36玉、37銀引、25玉、17桂、同角成、 26歩、同馬、同銀、36玉、37銀引、25玉、 69角、58歩合、同角、同と、17桂、同歩成、 16角、同と、26歩、同と、同銀、同玉、 27歩、25玉、17桂、36玉、16龍迄41手。 《解説》  27銀打〜26歩はこうやるところですし、37桂〜26歩で19角を剥 がすのも想像がつきますが、26同銀に36玉と逃げた形で詰みそうでなか なか詰みません。37銀引〜17桂と39角を読んで剥がすのが好手順。あ れ、でもまだ36玉と逃げられます。  ここで37銀引と追いなおして、69角で歩を入手するのが妙手でした。 47への合駒は17桂、同歩成、26銀、36玉(同玉は37角以下)、3 7銀上、27玉、17龍、38玉、27角以下。58歩合とせざるを得ない のですがここで得た歩を使って16歩を剥がしにいくのが更なる好手段。最 後は27歩〜17桂(37桂も可)でピッタリ詰上がります。  この初形から角銀だけでなく16歩まで剥がすのは予想外の展開で、69 角のスパイスも良く効いており、秀作と思います。 /END /BEGIN 表題:パラ0810 利波偉氏作 作品:『鳴門』 玉方:51と、35歩、24歩、25と、11香、12玉、14歩、16と。 攻方:54金、43馬、26桂。 持駒:金銀桂桂桂。 手順: 21銀、13玉、23金、同玉、32馬、13玉、 14馬、22玉、32馬、13玉、31馬、23玉、 15桂、同と引、32馬、13玉、14歩、同と、 同馬、22玉、32馬、13玉、31馬、23玉、 15桂、同と、32馬、13玉、14歩、同と、 同馬、22玉、32馬、13玉、31馬、22飛合、 14歩、23玉、15桂、33玉、22馬、同玉、 23飛、31玉、32銀成、同玉、43金、41玉、 21飛成、31香合、同龍、同玉、33香、22玉、 32香成、12玉、23桂成、同玉、33金、12玉、 22金迄61手。 《解説》  自陣と金はありますが、それ以外はごく自然な初形。21銀〜23金と思 い切って32馬を据えれば、馬桂歩による精巧なハガシ趣向が展開されます 。最終的に香を吊り上げると、11地点が空くので32銀生、12玉、13 歩が打てて詰み。つまり、このハガシ趣向は打歩詰回避のために行われてい ることになります。  最終的には15香型を作る前に31馬に対して22飛合と手を変えますが 、以下も自然な捌きで打った桂も綺麗に成り捨てて収束して文句なし。ちな みにこの収束で15桂と打つ手があり、これならと金を全部剥がされる前に 22飛合とすれば良さそうですが、その場合は桂を余計に持駒に残せるので 、同馬、同玉に34桂合で詰みます。都合良く出来ているものですね。  詰四会作品展での発表作で、ハガシ方がちょっと渦潮をイメージするので 命名もピッタリ、と思いきや、作者曰く「51のと金が『成る”と”』だか ら」とのこと。オヤジだなあ(笑)。 /END /BEGIN 表題:パラ0903 千々岩倫太郎氏作 作品:『真夏の光線』 玉方:11玉、12杏。 攻方:33歩、37香、28杏、13角。 持駒:飛桂桂桂桂香歩5。 手順: 31飛、21歩合、同飛成、同玉、32歩成、11玉、 21と、同玉、31角成、11玉、23桂、同成香、 12歩、同玉、24桂、同成香、13歩、23玉、 32馬、13玉、25桂、同成香、14歩、24玉、 33馬、14玉、26桂、同成香、15歩、25玉、 34馬、15玉、16歩、同成香、同馬、同玉、 17香、25玉、26歩、同玉、27香迄41手。 《解説》  持駒と成香配置が目立つ初形。いきなり飛打で合駒を食いちぎり、32歩 成〜21とは軽い伏線。31角成とすれば、こちらは馬桂歩を使った6手一 組の追い趣向となります。26桂で桂を使い切りますが、16歩から精算す れば、最後はなんと4香詰。なるほど、これで成香配置なのか、と作者のユ ーモアにニヤリとさせられます。手順もさることながら、個人的には命名が 良いです(笑)。 /END /BEGIN 表題:パラ0903 大月淳氏作 玉方:38杏、24香、25歩、28杏、29杏、14歩、16玉、19と。 攻方:46銀、35歩、37飛、27飛、18歩。 持駒:歩3。 手順: 17飛、26玉、27歩、同成香、同飛右、15玉、 17香、16桂合、同香、同玉、28桂、同成香引、 17飛、26玉、27歩、同成香、同飛右、15玉、 17香、16桂合、同香、同玉、28桂、同成香、 17飛、26玉、27歩、同成香、同飛右、15玉、 17香、16角合、同香、同玉、17飛、26玉、 15角、同歩、27飛右、16玉、17歩迄41手。 《解説》  見た目どおりの成香ハガシ。1枚目の成香を取って17香と打ってみると 、例えば銀合とかは取って17歩〜16銀で詰むので桂合となり、「あ、こ れで成香を呼べばいいんだ」と腹落ちします。全部ハガしたときどうなるの かな?と見てみると、角合とするのが最善であるのがわかり、最後は15角 捨てから気持ち良く突き歩詰となります。軽趣向の見本として、最適なサン プルになる作品と思います。 /END /BEGIN 表題:パラ0906 廣瀬崇幹氏作 玉方:65と、52歩、47と、32香、34玉、36歩、24飛、25銀、26歩。 攻方:64馬、56龍、45歩、33歩、13と。 持駒:銀桂桂桂。 手順: 54龍、35玉、44銀、34玉、46桂、同と、 55銀、33玉、44銀、34玉、53銀生、35玉、 47桂、同と、44銀生、34玉、43龍、45玉、 54龍、34玉、33銀生、同玉、45桂迄23手。 《解説》  54龍から44銀と据えて知恵の輪の舞台が完成。守備飛の効きがあり、精 算すると飛のいた24に逃げだされます。それを避けながら詰ますわけです が、まず46桂とします。これは55銀、35玉に46銀で詰ますため。こ れで55銀には33玉とせざるを得ません。44銀、34玉で33歩が消え た状態となります。  続いて行うのが、なんと53銀生として35玉に47桂で、わざわざ呼ん だと金を元に戻す順。一見意味なさそうですが、今度は43龍から54龍と して45歩を消します。これで4手目から33歩と45歩がなくなりました 。もうお分かりでしょう。ここから33銀生、同玉、45桂と邪魔駒が消え た場所への着手で詰みという仕掛けです。  手は限られていますが妙味に溢れており、また45歩を消す前に46と⇒ 47とを入れる順番も謎解き要素として申し分なく、非常に良く出来たパズ ルと思います。 /END /BEGIN 表題:パラ0907 堀切良太氏作 玉方:61飛、63歩、52銀、55桂、45桂、33桂、34桂、21玉、22飛、26と、13歩。 攻方:51銀、46金、32香、24馬、15銀。 持駒:金香歩3。 手順: 31金、11玉、12歩、同飛、33馬、22飛、 12歩、同玉、34馬、23飛、24桂、22玉、 44馬、33飛、23歩、同玉、45馬、34飛、 35桂、33玉、25桂、同と、55馬、44飛、 同馬、同玉、56桂、33玉、34香、同玉、 44飛、33玉、42飛成、22玉、21金、同玉、 31龍迄37手。 《解説》  馬鋸に対して一枚の駒が合駒で応じるのはたまに見ますが、本作は駒を取 りながら遠ざかる馬に対し、退路を確保するために飛が同じように鋸で馬の 道をなぞって移動合を繰り返します。比較的単純な意味づけで実現できてい るように見えますが、構図の取り方には試行錯誤もうかがえます。  25桂が良いアクセントで、これがないと後で25から抜け出されます。 最後は初手に打った金を捨ててうまくフィニッシュ。なお、61飛は収束4 2飛成のところ、42銀生の余詰筋を防いだものです。 /END /BEGIN 表題:パラ0908 須川卓二氏作 玉方:71桂、61桂、54玉、41桂、42歩、43桂、34歩。 攻方:75歩、64銀、66角、67香、55角、45飛、35銀。 持駒:金金。 手順: 53銀成、同玉、44角、54玉、64金、同玉、 55角行、54玉、53角成、同玉、44角、54玉、 53角成、同玉、44銀、54玉、55銀、53玉、 54銀、同玉、44金迄21手。 《解説》  ゴリゴリに飛角銀が凝り固まった初形。44金と打つと65玉と隙間に逃 げ込まれて捕まりません。  となれば53銀成からほぐしていくしかないのですが、44角、54玉( 63玉は55角以下)に手拍子で53角成とすると同桂で不詰。64金から 55角上と開くのが勇気のいる手で、75玉には64角以下同手数駒余りで 詰みます。  54玉と決まれば2枚角を全部捨て、最後に35銀をうまく繰って54に 誘導すれば、当初指したかった44金で詰みとなります。ちょっと変化が厚 すぎる感はありますが、これだけ攻め駒が強い中、このムシの良い手順を成 立させた作者の腕力には拍手あるのみです。 /END /BEGIN 表題:パラ0909 中出慶一氏作 玉方:74馬、65と、55玉、56と、42歩、32歩、33金。 攻方:85飛、73銀、78桂、62と、57桂、58香、35銀。 持駒:銀桂桂。 手順: 64銀打、54玉、66桂、43玉、53銀成、同玉、 45桂、43玉、53桂成、同玉、56香、43玉、 53香成、同玉、54歩、43玉、55桂、同と、 53歩成、同玉、55飛、43玉、53飛成、同玉、 54歩、43玉、55桂迄27手。 《解説》  同じ地点での積み崩しを徹底したパズル。66桂が気持ちの良い導入で、 同と上は46桂〜45飛で、同と寄は46桂〜53銀成〜65桂で詰み。や むをえない43玉に@まずは53銀成〜45桂として香筋を通し、A次は5 3桂成〜56香でと金を取り、B54歩〜55桂でもう一枚のと金を呼んで 、C53歩成〜56飛でそのと金を消し、D53飛成〜54歩と打ち換えて 55桂迄の詰上がり。簡単な仕掛けですが楽しい手順で、飛捨てが最後に入 って、こちらも解後感はバッチリ。知恵の輪入門があったら是非載せたい作 品です。 /END /BEGIN 表題:パラ1001 浦野真彦氏作 玉方:33銀、34歩、22角、23玉、24金、25飛。 攻方:31と。 持駒:飛角金金金。 手順: 32角、13玉、12金、同玉、21角成、23玉、 22馬、同銀、32角、13玉、12金、同玉、 21角成、23玉、13金、同銀、32馬、12玉、 11飛、同玉、21馬迄21手。 《解説》  趣向詰に見えない初形で、ここから角ハガシが出るのはちょっと驚きます 。22馬に同玉は21金、13玉、12金で捕まっています。取った角も同 じように32角〜21角成として、13金と捨てるのが決め手。11の効き を外せば、32馬、12玉に11飛が打てて詰みます。最後まで統一感があ りますね。  25飛がうまい配置で、最小限の駒数で表現できているのに感心。流石” 詰将棋指し”ですね。 /END /BEGIN 表題:パラ1001 菅野哲郎氏作 玉方:76と、78龍、67銀、55と、56玉、57歩、58銀、44と、47全、34歩、38と。 攻方:74銀、77金、64飛、54と、36歩、37金。 持駒:角桂歩3。 手順: 65角、同と、同銀、45玉、44と、55玉、 56歩、同銀成、54と、45玉、56銀、同玉、 65銀、45玉、46歩、同成銀、44と、55玉、 56歩、同成銀、54と、45玉、56銀、同玉、 65銀、45玉、44と、55玉、47桂、同銀成、 54と、45玉、46歩、同成銀、44と、55玉、 56歩、同成銀、54と、45玉、56銀、同玉、 47銀、45玉、46金迄45手。 《解説》  2010年の干支は寅ということで、初形阪神タイガースのエンブレム。 作者はこの初形に銀ハガシ趣向をあしらいました。56地点に呼んで取り、 65に打ち直すワケですが、64飛が浮いているため、取る都度と金の玉移 動が必要になるのがうまい仕組み。58銀を呼び出す手順もうまく出来てい ます。収束尻切れになるのは初形の都合上やむを得ないところでしょう。 /END /BEGIN 表題:パラ1001 松重郁雄氏作 玉方:62歩、64飛、65と、53金、54金、42香、43桂、44金、45歩、34玉、35金、22歩、23角、24角、25桂、12香、13桂、14桂、15歩。 攻方:63飛、52と、55香、32と、33銀。 持駒:銀銀銀歩。 手順: 24銀成、同玉、33銀、34玉、44銀成、同金寄、 24金、同玉、33銀、34玉、44銀成、同飛、 24金、同玉、33銀、34玉、44銀成、同金、 24飛、同玉、33角、34玉、44角成、同玉、 53飛成、34玉、54龍、44香合、33金、24玉、 44龍、34金合、23金、同玉、24香、32玉、 42と、同玉、51角、32玉、34龍、同金、 22香成、同玉、23歩、同玉、24香、32玉、 33歩、同金、42金迄51手。 《解説》  こちらはインパクトのある初形6×4の石畳。こちらは飛金ハガシ趣向に なっています。64飛を最後に残すと最後44角成、同玉に54飛の1手詰 で、これがあるため取る順番が全て限定。一方で詰方は途中で角を使うと最 後に44銀成としたときに24玉で不詰。簡明な仕組みで全部限定に出来て いるのには感心します。  途中合駒選択もありますがそれほど難しいものではなく、最後は香歩の連 打で気持ち良く詰み。数多くある石畳図式でも上位に入る作品と思います。 /END /BEGIN 表題:パラ1003 深和敬斗氏作 玉方:31銀、33歩、23玉、14桂。 攻方:42と、46角、25歩。 持駒:金香。 手順: 24歩、22玉、23歩成、同玉、25香、24桂合、 同香、12玉、23香成、同玉、15桂、12玉、 13角成、同玉、23金迄15手。 《解説》  難しい理屈はなしでリズム感が楽しめる作品。途中の捨て合も他は取って 打てば簡単なので特に迷わないでしょう。自然な流れで歩→香、香→桂に打 ち換えて、最後は13角成でピタリと締めます。センスを感じる作品です。 /END /BEGIN 表題:パラ1005 金子義隆氏作 玉方:76銀、61香、64香、55玉、44香、46銀。 攻方:74香、75銀、52と、53歩、57桂、42と、33歩、34銀、23角。 持駒:飛桂桂桂歩2。 手順: 54飛、同玉、45銀、55玉、56銀、54玉、 32角生、63玉、62と、同香、41角生、54玉、 66桂、同香、32角生、53玉、43角成、63玉、 52馬、54玉、55歩、同銀、43馬、63玉、 64歩、同銀、52馬、54玉、46桂、同香、 43馬、63玉、55桂、同銀、52馬、54玉、 45銀迄37手。 《解説》  飛を捨てて56に銀を据えるまでが序ですが、そこから先がややこしい。 結論を書くと大きく2つの鍵があって、最初の鍵は53歩を消しつつ52に 馬を据えること。そのためには64歩を打つ余地を作る必要があります。6 6桂と打てば64に打つ余地が出来そうですが、7手目すぐに66桂と打つ と63玉と下がられて詰まず。そこで32角から62とと捨てて41に角を 置くことで66桂を可能とにします。ここで角生とするのがポイントで32 角成に43歩合とされる手を防いでいます。細心の注意を払って66桂を実 現し、32角生とすれば53玉とするしかなく、最初の鍵をクリアしました 。  もう一つの鍵は44香を移動させること。そのためには46で睨みを効か す銀をどかさないといけません。64まで誘導するのですが、63馬・63 玉の形で55桂〜64歩でストレートに実現できそう。ところが52馬、5 4玉、46桂、同香で移動は実現するのですが、その後55歩には44玉と 香の移動した場所に逃げられてしまいます。いったん52馬、54玉に55 歩で移動、さらに43馬、63玉に64歩で移動と桂を温存するのが正解。 これで46桂、同香のあと、43馬、64玉に55桂で55を埋め、45銀 が実現しました。  インパクトのある手はありませんが、細部まで練りこまれた手順はまさし く金子氏。見事な作品と思います。私だったら初手は入れないかなあ。まあ 好みの問題ですが。 /END /BEGIN 表題:パラ1006 仲西哲男氏作 玉方:53歩、54と、55桂、45桂、47銀、24と、25歩、27玉、15香。 攻方:57飛、39香、14と、18歩。 持駒:金金金銀銀。 手順: 38金、26玉、36金、同銀生、27金、同銀生、 16金、同銀生、17銀、同銀成、27銀、同成銀、 56飛迄13手。 《解説》  作意は解説不要と言っていいのではないでしょうか。一枚の駒を連続で動 かすのはここ数年流行しましたが、その走りと言っていいかもしれません。 16金の焦点打から17銀で銀を成らせて27銀〜56飛は胸のすく手順で す。変化と紛れを両立させる5筋の配置に苦心の跡が窺えます。 /END /BEGIN 表題:パラ1007 坂東仁市氏作 玉方:51龍、19玉。 攻方:36龍、39角、29角。 持駒:香歩。 手順: 28角、同玉、38龍、17玉、37龍、16玉、 38角、15玉、35龍、14玉、47角、13玉、 33龍、12玉、56角、同龍、13歩、11玉、 31龍、21歩合、12香迄21手。 《解説》  大駒図式から持駒の香を梃にした龍角による追い趣向。19玉が一直線に 11玉まで下がり、角捨ても入って軽趣向として申し分のない手順と言える のではないでしょうか。この月のデパートは飛角図式特集で、本作や次の角 氏作以外もなかなかの好作でした。本当に種はつきないものですね。 /END /BEGIN 表題:パラ1007 角建逸氏作 玉方:66角、31角、24玉。 攻方:45龍、36飛。 持駒:歩2。 手順: 34龍、15玉、35飛、16玉、25龍、17玉、 37飛、18玉、38飛、17玉、28龍、16玉、 36飛、15玉、26龍、14玉、34飛、13玉、 24龍、12玉、32飛成、22歩合、13歩、11玉、 31龍、21銀合、12歩成、同玉、45角、23桂合、 同角成、同歩、13歩、11玉、21龍、同玉、 23龍、31玉、32歩、41玉、43龍、51玉、 52銀、62玉、74桂、72玉、63龍、81玉、 83龍、91玉、82桂成迄51手。 《解説》  飛龍での縦追いです。32飛成に対して22歩合としてアッサリ角を取ら せてしまうのですが、ここで銀合と頑張ると23龍上で簡単なので仕方あり ません。続いて31龍に21銀合とするのは12歩〜34角として23合を 食いちぎったときに32龍とする手を防いだものです。21桂合でも良さそ うですが、先の12歩〜34角で合駒させたときに22龍が成立して早く詰 みます。この辺りは良く綺麗に限定できたものと感心します。  以降は13歩〜21龍と切って横追いに移るのですが、ポピュラーな32 銀〜54桂で追うと、最後に66角が93に効いて詰まない仕組みになって おり、32歩〜43龍で迫るのが正解。最後は少し流れますが、91の方の 雪隠で詰むのは意外性もあるかと思います。あまりこういった条件作を作ら れるイメージはない?作者ですが、縦追いと横追いの繋ぎの丁寧な作りに” らしさ”がうかがえます。 /END /BEGIN 表題:パラ1009 三角淳氏作 玉方:62桂、64歩、66と、67馬、53銀、54玉、56と、34銀。 攻方:86龍、73角、74銀、75桂、63香、57桂、45香、47金、35金、26飛。 持駒:桂歩3。 手順: 55歩、同と、46桂、同と、55歩、同玉、 46金、54玉、65銀、同と、55歩、同と、 同金、同玉、46龍、54玉、44金、同銀、 55歩、同銀、同龍、同玉、44銀、54玉、 56飛、同馬、55歩、同馬、53銀成、同玉、 62角成、54玉、46桂、同馬、44馬迄35手。 《解説》  呼び出しハガシ趣向ですが、よく見る同じ種類や手段によるハガシではな く、一回ごとに剥がす駒や呼び出し方が異なり、またそれを取る駒も次々と バトンタッチしていきます。当然手順前後を許さない仕組みが必要なのです が、2回目の取り駒を龍で設定したことで、65銀と44金の順番をごく明 快に限定しているのがうまい。更には銀を取って据えた後は支えに使った飛 を華麗に捨てて、最後はキッチリと「ケ」の炙り出しは見事の一語です。曲 詰、軽趣向ともに大家である三角氏の面目躍如の一局でした。 /END /BEGIN 表題:パラ1012 広瀬稔氏作 玉方:87歩、76歩、65歩、54歩、43歩、21桂、24歩、11玉、13銀。 攻方:94桂、95桂、85銀、64桂、42角、23と。 持駒:角歩2。 手順: 99角、77歩成、同角、66歩、同角、55歩、 同角、44歩、同角、33歩合、同角引成、同桂、 同角成、21玉、43馬、11玉、44馬、21玉、 54馬、11玉、55馬、21玉、65馬、11玉、 66馬、21玉、76馬、11玉、77馬、21玉、 87馬、11玉、77馬、21玉、76馬、11玉、 66馬、21玉、65馬、11玉、55馬、21玉、 54馬、11玉、44馬、21玉、33桂、31玉、 32歩、42玉、43歩、51玉、52歩、61玉、 62歩、71玉、72歩、81玉、82歩、91玉、 92歩、同玉、93歩、同玉、66馬、92玉、 65馬、91玉、81歩成、同玉、82桂成、同玉、 83桂成、91玉、92成桂迄75手。 《解説》  99角に対して33歩合以外の打合、たとえば77香合は同角、同歩成、 12香までの3手詰。唯一歩が利く33歩合として精算し、あとは馬鋸で4 3歩〜87歩を全部取るのか……と思った人が多いのでは。現実、柿木将棋 に解かせても同じ解答を示します。が、いずれ収束に入るためには歩が7枚 必要なので、87歩まで取るのが必須。ということは、43歩〜76歩まで の4枚は移動合で捨てた方が手数が伸びる、という仕掛けになっています。 いわゆるヤケクソ中合という手筋で、ごくたまに登場するものなのですが、 これを趣向の原理に使える、という作者の着眼が素晴らしい。これにより連 続移動捨合がかつてなくシンプルに、美しく表現されています。  収束も最低限の駒配置でうまく歩を消化。桂成捨てで見事に締めました。 歴史に残すべき作品と思います。 /END /BEGIN 表題:パラ1101 堀切良太氏作 玉方:86歩、74桂、62香、51桂、52香、53歩、54玉、55香、43歩、33歩、23歩、14歩。 攻方:82と、75香、76銀、63と、67飛、42と、47銀、36歩、26桂、17飛。 持駒:。 手順: 14飛、24歩、64飛、45玉、15飛、25角合、 同飛、同歩、67角、56角合、同角、同香、 23角、34角合、同角成、同歩、46歩、55玉、 33角、44角合、同角成、同歩、65飛、54玉、 32角、43角合、同角成、同桂、64飛、55玉、 77角、66角合、同角、同桂、65飛、54玉、 55飛、同桂、43角、63玉、52角成、54玉、 43馬、63玉、65香、64歩合、同香、同玉、 65馬、63玉、73香成、同玉、83馬、63玉、 64歩、同玉、65銀、75玉、74馬迄59手。 《解説》  角打角合趣向。@最初に角合を入手A打歩詰予防のため55香を56に移 動B33を開けるために33歩を34に移動C43に桂を呼ぶために43歩 を44に移動D31桂を43に移動E収束を見据えて74桂を66に移動で 都合6回の角打角合です。AとBを入れ替えると67角に56香合で逃れま す。収束は少し長いですが、単純になりやすい角打角合をここまで理知的に 仕上げるのは流石に合駒職人の堀切氏です。  2手目24角合でも作意同様に進むため、発表時は誤解者が大量発生。2 4歩と突くのが絶妙で、これを同飛と取ると34角合、同飛、同歩と進める こととなり、上記のABの手順前後と同じ仕組みで不詰。精巧の一語です。 /END /BEGIN 表題:パラ1102 町田和也氏作 玉方:46桂、24桂、27玉、14桂、16桂、17龍。 攻方:48歩、49角、37歩、38飛、19角。 持駒:銀銀銀銀。 手順: 28飛、37玉、38飛、27玉、36銀、同桂、 28飛、37玉、26銀、同桂、38飛、27玉、 18銀、同桂成、28飛、37玉、26銀、同龍、 38飛、27玉、37飛迄21手。 《解説》  飛角の両王手を繰り返しつつ逃げ道を埋める趣向。この構図には前例があ るのですが、埋める駒を桂にしたことで18銀を同桂成と取ったときにまた 26の逃げ道が空くため、もう一回りして26銀と再度捨てる手が入ったの が大きい。持駒趣向としても盤面の使用駒から見ても完璧と言っていいので はないでしょうか。  新人コンクールで2.81の高得点をたたき出しました。編集部に横取りされ たようで、石黒教授はかなり残念だったのでは。 /END /BEGIN 表題:パラ1102 鈴川優希氏作 玉方:53歩、31歩、33銀、11玉。 攻方:94飛、84馬、64馬、32と、14銀。 持駒:桂桂桂桂。 手順: 23桂、12玉、24桂、同銀、11桂成、同玉、 66馬、33桂合、同馬、同銀、23桂、12玉、 24桂、同銀、11桂成、同玉、55馬、44桂合、 同馬、33桂合、同馬、同銀、23桂、12玉、 13銀成、同玉、25桂、12玉、11桂成、同玉、 14飛、12歩合、23桂迄33手。 《解説》  馬が飛筋を遮って二枚配置されています。この馬を消すのですが、都度3 3銀にどいてもらう必要があり、23桂〜24桂〜11桂成を繰り返すこと になります。馬を消す順序も限定で、55馬を後にすることにより、単に3 3桂合とする場合には22と、同玉、24飛、32玉、22飛成で早詰です 。66馬型だとこのとき43玉で詰みません。 桂連合を食いちぎって、また手元に桂が3枚。ここで13銀成〜25桂が気 持ちの良い打ち換えで、さらに11桂成と成り捨てて14飛で詰みに至りま す。明快ながら精巧な論理で、かつ繰り返し部分も楽しく、着地もばっちり 。作者の中ではかなり軽い方と思いますが、完成度が高く、未来に残したい で作品です。 /END /BEGIN 表題:パラ1103 馬屋原剛氏作 玉方:91歩、82と、76と、56金、11玉、18角。 攻方:97飛、78金、68銀、47香、39王、22歩、29香、19銀。 持駒:歩2。 手順: 91飛成、81と、21歩成、12玉、82龍、72と、 22と、13玉、73龍、63と、23と、14玉、 64龍、54と、24と、15玉、55龍、同と、 25と、16玉、17歩、同玉、18銀、同玉、 19歩、同玉、37角、28歩合、同角、18玉、 19歩、27玉、55角、36玉、26と、47玉、 48歩、58玉、59歩、69玉、79金迄41手。 《解説》  いや、もう正直、字面見るだけだと信じられない手順です。と金で下段に 玉を追いつつ、龍とと金が「取っていいよ」「取らないよ」とダンスを踊り 続けます。  タネは収束にあり、25と以下、角を取って19歩〜37角からの収束の 手順はどこで龍を取っても成立しています。なんと、と金の移動合は龍を取 るのをなるべく後にするための手数延ばしなのです。55龍とされると56 に金の質駒が落ちているため、ここでやむなく取って収束へ、という仕掛け 。最終的に角で一歩を稼ぐため、という簡明な理屈で、この奇跡的な趣向を シンプルな構図で表現してみせた作者には脱帽の一手です。 /END /BEGIN 表題:パラ1104 相馬康幸氏作 玉方:55角、44角、31飛、32歩、33銀、11玉、12香。 攻方:24歩、15桂。 持駒:金金金金銀銀桂桂。 手順: 22銀、同銀、23桂打、21玉、11金、同銀、 同桂成、同玉、22銀、同角、23桂生、21玉、 11金、同角、同桂成、同玉、22角、同角、 23桂、21玉、11金、同角、同桂成、同玉、 22銀、同玉、23金、11玉、12金、同玉、 34角、21玉、23香、12玉、22香成、同玉、 23歩成、11玉、12と迄39手。 《解説》  23桂に22玉と上がられると金輪際詰まない形になるため、事前に22 を埋めるのが必要になるのですが、この原理をハガシ趣向にするあたりが流 石に相馬氏です。ただし、ハガシ方にも工夫が必要で、最初は23桂に同銀 と取られる手を見越して桂打にするのは当然ですが、次の22角の局面では 桂打ではなくて桂跳ね。これは11金、同角、同桂成に同角とされる変化に 13桂打とする余地を残したものですね。さらに1枚目の角を取った後、2 2に捨てるのが銀ではなくて角というのも芸が細かい。ここで22銀でも同 じようですが、その場合、2枚目の角を剥がした時点で持駒が角角金となり 、22角に11玉とされてアッと叫ぶことになります。  舞台装置そのままでうまく収束できており、12の駒が香なのも最後に納 得する仕掛け。この作者は趣向作は3日位で作る、と前に読んだ記憶があり ますが、本作はどのくらいで作ったんですかね。 /END /BEGIN 表題:パラ1105 日野喜久男氏作 玉方:32銀、33角、23歩、11玉、13金。 攻方:54歩、55馬。 持駒:飛銀銀銀桂。 手順: 22銀、同角、同馬、同玉、44角、33角合、 34桂、12玉、11飛、同角、同角成、同玉、 44角、33角合、22銀、12玉、21銀打、同銀、 同銀生、同玉、22銀、12玉、11銀成、同角、 同角成、同玉、33角、12玉、22桂成迄29手。 《解説》  34に拠点となる桂を打つべく、精算から入ります。44角に対してはも う一度33角合とするのが最善。34桂の後、11飛から再精算して、収束 を見据えてまた44角と打つのですが、これに対しても結局33角合とする のが最善になるのが面白いところ。銀2枚で32銀を剥がし、また11銀成 から精算すれば収束です。54歩一枚で変化と紛れを両立させたのはお手柄 ですね。 /END /BEGIN 表題:パラ1108 馬屋原剛氏作  玉方:31香、33香、21玉、24桂、11歩、12龍。 攻方:41馬、43金、25桂、15歩。 持駒:桂香香歩。 手順: 13桂打、同龍、同桂生、12玉、22飛、同玉、 21桂成、同玉、22歩、同玉、23香、12玉、 14香、13桂合、同香成、同玉、25桂、12玉、 22香成、同玉、33桂成、同香、32馬、12玉、 14香、13桂合、同香成、同玉、25桂、12玉、 23馬、同玉、33金、12玉、13桂成、同玉、 14香迄37手。 《解説》  まずは13の龍を桂の重ね打ちから入手しますが、13桂・12玉型では 結局22飛〜21桂成と捨てるしかありません。駒不足が不安になりますが 、22歩〜23香〜14香としてみると桂合しかないため、25桂を再生す ることができます。  ここから33香を取り、32馬〜14香とすれば、また桂合しかありませ ん。25桂と据えて23馬が決め手。最後また打った桂を成り捨てる収束も 気が利いています。コンパクトな形から細かいやり取りが楽しめる、まさに 軽趣向の好作です。 /END /BEGIN 表題:パラ1109 上田吉一氏作 玉方:73桂、74と、75と、76と、77と、69と、51歩、52玉、41香、24と。 攻方:83と、71銀、72銀、68角、44香、45桂、49飛、31と、34金、36桂、25桂。 持駒:。 手順: 42香成、同香、62銀成、同玉、35角、同と、 69飛、68と、同飛、67と、同飛、66と、 同飛、65と、同飛、同桂、63歩、52玉、 44桂、同香、53歩、42玉、33桂右成、31玉、 32歩、41玉、52歩成、同歩、53桂生、同歩、 42歩、51玉、52歩、同玉、43金、51玉、 41歩成、同玉、42金迄39手。 《解説》  香・銀・角と捨てて69飛とと金を取ったとき、美しいと金の4連合が登 場します。歩合ですと、63歩から5筋に飛が戻って詰みという至って明快 な論理です。これを全部取りきって、手にした5枚の歩を潤滑油に、盤上に 置いた駒をうまく捌きながら詰ます手順は流石と思わせる内容です。少し考 えさせる序奏〜明快な主題〜最短手順での収束と小品ながら上田氏の美学が うかがわれる作品です。 /END /BEGIN 表題:パラ1110 竹村孔明氏作 玉方:83歩、61飛、51香、53玉、41歩、42飛。 攻方:72と、74と、65角、46角、33と、35と。 持駒:桂桂桂桂。 手順: 45桂、同飛、44と、同飛、45桂、同飛、 35角、52玉、64桂、同飛、63と、同飛、 64桂、同飛、74角、同飛、62と迄17手。 《解説》  角が出る場所を塞いでいると金を消すため、桂をうまく使う手順は過去に もある手順です(筆者も1作ある)が、これを左右で繰り返す着眼が素晴ら しい。まさにコロンブスの卵です。持駒趣向にもなっている上に使用駒にも 統一感があり、完成品だと思います。 /END /BEGIN 表題:パラ1111 金子義隆氏作 玉方:56歩、58と、45桂、37玉、38歩、39と、27角、13角。 攻方:44銀、46金、47銀、33と、23香、18飛。 持駒:飛金金金銀。 手順: 38銀、同角生、47金打、同角生、36金打、同角生、 17飛打、27歩合、同飛、同角生、47金打、26玉、 15銀、25玉、36金上、同角生、35金、同角、 26歩、同角、14銀、24玉、25歩、同角、 13銀生迄25手。 《解説》  作者名と持駒で尻込みしそうですが、38銀と取ってみるとごく自然に手 が繋がることがわかります。同角成でも47金打以下1回転する手順になる のですが、作者が用意したのはなんと角生での1回転。15銀、25玉の局 面でその意味が判明します。以下の捌きも見事で、特に打った金を36に捨 てて後の打歩詰を予防するあたり、感心あるのみです。  2手目48玉は49金、同と寄、27銀以下で力押しの手順で詰み。この 変化が作意に比べてだいぶ重いので、冬眠蛙だったら(好みの問題ですが) 46をと金にした上で詰方29金、玉方38銀配置にしたかもしれません。 いずれ、成でも生でも一回転成立できる構図はなかなか得難いもので、打歩 モノで一世を風靡した作者らしい作品です。 /END /BEGIN 表題:パラ1111 鈴川優希氏作 玉方:94飛、61香、62飛、55玉、41香。 攻方:73銀、75金、77銀、53金、57金、33銀、35金、37銀。 持駒:桂歩。 手順: 46銀、同香、66銀、同飛、56歩、同飛、 64銀生、同飛、67桂、同飛成、44銀生迄11手。 《解説》  かなり印象的な初形で、飛香の効きを?い潜れば詰むのは分かるのですが 、相手にするのが飛なので、動いた後の横効きも注意しなければならず、頭 が混乱しそうです。  46銀と最初に4筋の香を動かすのが正解で、44銀生までの詰上がりを 目指すのですが、9筋の飛の効きを外すために66銀〜56歩と準備工作が 必要で、先に62飛を動かすことで64銀生〜67桂が成立します。この配 置から4枚の銀全て動く手順を編み出すセンスは見事です。 /END /BEGIN 表題:パラ1112 利波偉氏作 玉方:42と、44金、45金、36金、22玉、23角、24歩、25金、26角、13歩、14銀。 攻方:43龍、32銀、33香、34歩、35飛。 持駒:桂桂桂。 手順: 23銀成、同玉、41角、12玉、42龍、22桂合、 同龍、同玉、32香成、12玉、22成香、同玉、 33歩成、12玉、22と、同玉、32飛生、23玉、 36飛生、12玉、22金、同玉、32飛生、23玉、 35桂、同金左寄、同飛生、12玉、22金、同玉、 32飛生、23玉、35桂、同金上、同飛生、12玉、 22金、同玉、32飛生、23玉、35桂、同金、 同飛生、12玉、22金、同玉、32飛生、23玉、 35桂、同角、同飛成、12玉、32龍、22桂合、 21角、11玉、22龍、同玉、32角左成、11玉、 23桂、同銀、12歩、同銀、同角成、同玉、 23銀、11玉、22銀成迄69手。 《解説》  密集形で一見23銀成、同玉で続かないように見えますが、41角がうま い手で取ることも合駒することも出来ず、42とを取らせるしかありません 。合駒を食いちぎって香、歩を成り捨てて飛筋を通したところで飛生を繰り 返すハガシ趣向が登場します。生の意味づけも簡明で、普遍性のある楽しい 手順となっています。  35桂に対して金で取る順番は非限定で、最後は同角とせざるを得ず収束 に向かいます。この手順も趣向の延長のような雰囲気で、最後は14を塞い でいた銀も呼び出してはがし詰上がり。最終形と初形を対比したくなる逆算 に拍手。 /END /BEGIN 表題:パラ1203 井上徹也氏作 玉方:39玉、27歩、13桂。 攻方:68飛、55と、48金、37歩、28歩、14と、17歩、18金。 持駒:角銀銀歩5。 手順: 38金、29玉、39金、同玉、93角、29玉、 69飛、18玉、19銀、17玉、71角成、26銀合、 18銀打、16玉、61馬、25銀合、17歩、同銀成、 同銀、同玉、62馬、26銀、18銀打、16玉、 52馬、25銀合、17歩、同銀成、同銀、同玉、 53馬、26銀、18銀打、16玉、43馬、25銀合、 17歩、同銀成、同銀、同玉、44馬、26銀、 18銀打、16玉、34馬、25金合、17歩、同銀成、 66飛、26桂合、25馬、同玉、24金、16玉、 17銀、同玉、18歩、同桂成、26銀、16玉、 15と迄61手。 《解説》  金消去から可成地点の93に角を据え、19銀打で追い込むまでが序奏で す。71角成で合駒選択となりますが、18歩〜61馬〜17銀の筋があり 、これを防ぐ銀合が最善。銀合だと前述の筋は17銀、同銀成、同歩、26 玉で逃れますので、詰方も18銀打と手を変えて61馬と合駒打診。ここで 17歩、同銀成、同銀、同玉、62馬の筋に対して25を開けつつ銀合とす るために25銀合が最善です。この巧妙な仕組みで、1歩消費しながら玉の 銀の延べ棒が再生産されるような手順の馬鋸が成立しています。  35馬型になると簡単に詰むため、34馬の時点で金合を余儀なくされ、 66飛から金を取って収束します。馬鋸をする馬どころか、手順の中核を担 う銀も全て置かない初形に作者のセンスと遊び心が感じられる傑作です。 /END /BEGIN 表題:パラ1204 宮原航氏作 玉方:48と、49角、33桂、38銀、17玉、18龍。 攻方:46馬、47銀、35龍、36歩、37桂、25銀、28歩、14銀。 持駒:金金桂桂歩2。 手順: 26龍、同玉、35馬、37玉、46馬、26玉、 17金、同龍、35馬、37玉、29桂、同銀成、 46馬、26玉、37金、同龍、35馬、15玉、 16歩、同角生、24銀、14玉、26桂、同龍、 15歩、同龍、13銀成迄27手。 《解説》  35馬〜46馬として37桂を消し、17金が鋭い捨駒。これで17を塞 いで37金とすれば、同龍、35馬で15に追い込むことが出来ます。  ところが、ここで27桂としても同銀成とされて、打歩詰が解消されず詰 みません。実は17金、同龍としたところでもう一度35馬として、29桂 と銀をどかす手を入れるのがミソでした。これで49の角の効きが通るため 、先ほどの手順で15に追い込んだときに16歩と打つことが出来ます。同 角生と生で抵抗されますが、26桂と龍を呼んで打歩詰を解消し、詰上がり ます。  確かまだこの作品で入選2回目だったかと記憶していますが、知恵の輪の キーに成による打歩誘致の構想を入れ込むあたり、エンターテイナーとして の作者の才気が既に感じられます。 /END /BEGIN 表題:パラ1204 堀切良太氏作 玉方:41龍、43香、34香、35と、21歩、15玉。 攻方:64歩、44銀、45と、46香、22と、27角、12王、13銀。 持駒:金歩3。 手順: 16金、14玉、24銀成、同玉、23と、14玉、 13と、24玉、25歩、同と、23と、14玉、 15歩、同と、13と、24玉、34と、同玉、 37香、36歩合、同香、35歩合、同香、24玉、 23と、14玉、36角、25香合、同角、同と、 15歩、同と、13と、24玉、27香、26桂合、 同香、同と、25歩、同と、23と、14玉、 15歩、同と、13と、24玉、36桂迄47手。 《解説》  金を捨てて24銀成〜23ととした辺りで、「と金が13〜23を往復す る知恵の輪かな?」と見当が付きます。実際35とを15まで移動させて3 4とと香を取り、その香を36香と打つと35に捨て合せざるを得ず、筋に 入った感触があります。  が、36角とする手に25香合とするのが玉方の抵抗手段。同角、同と以 下27香、26桂合のときに一歩不足で詰みません。実は34と、同玉のと きに36ではなく37に打つのが正解で、35歩には同銀、33玉、34銀 、42玉、43香生以下を見せて36歩、同香でもう一歩余計に稼いでおく のが巧妙なキーでした。これで27香、26桂合にもと金を15まで戻せる わけです。  64歩の配置は残念ですが、知恵の輪の構造自体がシンプルな分、仕掛け の巧さが光る一局です。 /END /BEGIN 表題:パラ1205 町田和也氏作 玉方:51歩、43玉、33歩、24香、26歩。 攻方:63馬、53銀、27桂、28桂。 持駒:角。 手順: 65角、34玉、56角、45歩合、同角、25玉、 36角、34玉、45馬、43玉、54馬、34玉、 45角、25玉、43馬、14玉、32馬、25玉、 36角、34玉、44銀成、同玉、54馬、34玉、 45角、25玉、43馬、14玉、32馬、25玉、 36角、34玉、35歩、44玉、54馬迄35手。 《解説》  角を上から打つしかなく、ひとつ離して打つことで合駒が稼げることもす ぐに気づくかと思いますが、45歩に同馬は43玉で詰まず、同角から角馬 を並べるしかありません。54〜36のラインで追いまわしても行ったり来 たりを繰り返すだけになるため、工夫が必要です。  打開のタネのひとつが一旦馬を54に据えてから、45角、25玉に43 馬と潜る手順。14玉、32馬に25玉とされてあまり効果がないように見 えますが、36馬から44銀成とこの銀を消すのが継続手段。同玉、54馬 、34玉とした後、もう一度馬を32に移動させて36角とすれば、35歩 が打てて詰みに至ります。つまり53銀は邪魔駒だった、という仕掛けです が、最初の舞台作りではもちろん必要であったわけで、いつの間にか邪魔に なる演出をシンプルな舞台装置で実現したのはお手柄と思います。 /END /BEGIN 表題:パラ1207 中筋俊裕氏作 玉方:44角、29と、13桂、14香、17玉、18銀。 攻方:64龍、48馬、36飛、15銀。 持駒:。 手順: 26銀、16玉、35銀、17玉、26馬、28玉、 37馬、17玉、26銀、16玉、15銀、17玉、 16飛、同玉、66龍、17玉、26銀、16玉、 35銀、66角、26馬迄21手。 《解説》  簡単に詰みそうな形ですが、上が開けているのと44角の効きが強く、慎 重な工作が必要です。まずは26銀〜35銀と置き換えて角筋を塞ぎ、次に 26馬〜37馬と据えなおして上部脱出を防止する形を整えます。ここで2 6銀〜15銀と今度は香筋を塞ぐのがポイント。これにより17玉に対して 16飛と捨てて66龍と据えなおす手順が実現します。最後にもう一度26 銀〜35銀とすれば、龍と飛の違いがモノを言い、66角を余儀なくさせて 26馬まで。  初手67龍でも詰みそうですが27金の限定合で不詰。ごくシンプルな構 図で楽しい手順を実現したのはお手柄です。 /END /BEGIN 表題:パラ1207 廣瀬崇幹氏作 玉方:66と、54桂、45玉、34銀、37金、38と。 攻方:57龍、23歩、26馬、14と、17角、19歩。 持駒:桂桂香香香歩。 手順: 44馬、36玉、28桂、同と、48桂、同金、 39香、同金、26馬、45玉、49香、同金、 44馬、36玉、38香、同と、26馬、45玉、 46歩、同桂、44馬、36玉、27龍、同玉、 26馬迄25手。 《解説》  馬を使ったミニ知恵の輪ですが、持駒の使い方に細心の注意が必要です。 まず28桂〜48桂といきなり桂2枚捨てますが、48桂を先にすると、同 と、28桂に27玉と潜られて打った桂が邪魔になり失敗です。  28桂に同金とするのは26馬、47玉、48香と打って、以下46歩、 44馬、36玉、54馬で詰み筋。同との場合は26馬、45玉、48香に は47歩合が効いて詰みません。ここで48桂〜39香と遠打するのが凄い 手段。同とは54馬、45合、28桂、25玉、27龍以下。この27龍を 可能とするのがポイントになっています。  同金と金がソッポに行ったので、26馬、45玉として48香と打ちたく なりますが46歩合とされて44馬、36玉、54馬は25玉で27龍が出 来ないのでペケ。なら39に金を誘導した意味がないように見えますが、4 5玉の局面で49香と更に遠打するのが絶妙手。48を開けておくことで4 6歩合には44馬、36玉に37歩と打つことが出来て、27玉なら26馬 〜48龍、25玉なら34馬〜54龍で詰み。同金と更に金を追いやれば、 44馬、36玉に38香が打てます。同との一手にもう一度26馬、45玉 と戻して46歩とするのが肝要で、これで44馬、36玉に27龍が決め手 となって詰みます。変化・紛れともに厚い中で39香〜49香という絶妙な 手順を実現し、着地まで完璧に仕上げました。この年の看寿賞を受賞した傑 作です。 /END /BEGIN 表題:パラ1209 井上徹也氏作 玉方:81香、36角、11玉。 攻方:92龍、89馬、45歩、35と。 持駒:歩。 手順: 99馬、88歩合、12歩、21玉、98馬、87桂合、 11歩成、31玉、97馬、86桂合、21と、41玉、 96馬、85桂合、31と、51玉、95馬、84桂合、 41と、61玉、94馬、83銀合、同馬、同香、 51と、同玉、52銀、42玉、43銀成、同玉、 44と迄31手。 《解説》  89馬を使って良い合駒を入手できれば詰みなのですが、そんなに簡単に 入手できるわけはなく、99馬には98歩合、12歩、21玉として98馬 には87桂合と抵抗されます。ところが、桂の頭が丸いため、ここで11歩 成とすると同玉には88馬とされてしまうため、31玉の一手となります。 そこで更に97馬が成立し、更に同じ理屈でと金で追いつつ馬を縦に動かず 趣向が成立しています。61まで追って94馬とすれば、桂も品切れになっ てしまい、ついに銀を入手。フル活用したと金を捨てて銀打〜両王手で綺麗 に収束します。  この趣向のために二歩や行きどころのない駒打の禁止のルールがあるんじ ゃないか、と思う位の完璧な構図。それを簡単に解ける易しさに仕上げる作 者の創作力に拍手喝采です。 /END