書評でスタート。

あけましておめでとうございます。
今年はやや更新ペースが落ちることになるかと思いますが、詰将棋を中心に細々と続けていくつもりです。引き続き、駄文にお付き合いいただければ、と。

新年一発目は主に昨年後半に読んだミステリ書評を。新刊本はありません。あしからず。

・麒麟の翼/東野圭吾 ★★★ 
作者の加賀刑事シリーズ物。サイドストーリーを含めて、良く書けていると思うのですが、このシリーズはやはり前の「新参者」の印象が強すぎて、少し物足りなく感じてしまいます。

・マスカレード・ホテル/東野圭吾 ★★
後続作?で「マスカレード・イヴ」という作品も出されており、もしかすると新シリーズとなるのでしょうか。面白いといえば面白いのですが、やや淡白な印象。ドラマ向きなんですかね。

・夜行観覧車/湊かなえ ★★
映画化された作品みたいですね。個々のシーンの描写がうまく、その分、話の重さが響きます。ただ、終わり方は個人的に響かなかった。ミステリとして書いた作品でないのであれば、期待した私の方が悪いのかも。

・ビブリア古書堂の事件手帖1~5/三上延 ★★★★
これはドラマ化されてましたね。市の図書館でなんとなく読んだら、意外と面白かったので、全部買っちゃいました。ブックオフで(笑)
。店で取り扱う古書にまつわる謎や秘密を解いていく、という内容ですが、盛り上げ方やオチの付け方も含めてうまいなあ、と思います。
ただし、仕方ないといえば仕方ないですが、4や5くらいになると、少しクオリティが下がっているように感じます(5は★★位かな)。最近6が出たのですが、これも古本屋待ちです。

・イニシエーション・ラブ/乾くるみ ★★★★
 この作者は「Jの神話」というデビュー作を読んだのですが、個人的にあまり面白くなくて、以降敬遠していました。今回読んだのは、テレビで芸人が「これがすごい!」と推していたのが話題になったので。
 なるほど、確かに面白かった。ストーリーとしては少し異端と言っていいのかもしれませんが、ミステリとしては王道なのかな、と思います。

以上。明日から仕事ですねえ。2日・3日と家族で東京を旅しまして、まだ正月気分が抜けてないんですが、早いとこ切り替えないと。ではでは。

「新参者/東野圭吾」

「このミステリーがすごい!2010」で1位を獲得したタイトルの作品を先日読みました。加賀恭一郎という刑事のシリーズの1作です。このシリーズは今までにも何作か読んでますが、今回の作品が一番良く魅力を出せているな、と思います。

芯に1つの殺人事件があり、それをめぐる様々な謎を1個1個解き明かすのですが、どれもなかなかの味があります。最後にはその殺人事件が解き明かされるわけですが、最後まで雰囲気を壊していない、丁寧な創りが印象的です。

確か作者自身が会心の一作として挙げたものだったと記憶していますが、なによりも構成の新しさが素晴らしい。こういう作りの詰将棋みたいなのもあるといいのになあ、なんて思いました。誰か作ってみてください。

古本レビュー

最近読んだミステリの感想を。最近っつっても、ブックオフで買ったものなので相当古いです。

○藁の楯/木内一裕 ★★★☆☆

この作家、昔ヒットした漫画(ビーバップハイスクール)の作者と同一人物なんだそうですね。読み終わった後で知って驚きました。
高額の懸賞金がかけられた凶悪犯を福岡から東京まで護送する、というちょっと想像しにくい設定なのですが、書き方がうまく、すっと読み進められます。最後の最後まで油断させないストーリーもすごい。ただ、個人的には、ですがもう少し救いのある話にしてほしかったような気もします。

○プラチナデータ/東野圭吾 ★★★☆☆

映画化もされた東野圭吾のミステリ。導入がうまく、ぐいぐい引き込まれます…が、予想された範囲の展開だったので、ちょっと惜しい感じ。究極のDNA鑑定といった話なのですが、これを読んだ後で、つい先日、病院でDNA情報提供を頼まれて、ちょっと怖くなりました(笑)。まあ結局提供しましたけど。

○オーデュポンの祈り/伊坂幸太郎 ★★★★☆

仙台在住のミステリ作家で、作品の大半で仙台が舞台になってるそうです。全体的にファンタジーっぽいのですが、しっかりと練りこまれた謎で楽しめます。ちょっと話のポイントになる部分が、昔読んだ別の小説と似た感じだったのが、個人的に残念。

3冊ともそこそこ楽しめました。読んで損はないと思います。そろそろ「新参者」もブックオフに出回るかな?今度探しに行こうっと。

 

これとは別に「謎解きはディナーの後で」の映画も見たのですが、その感想はまた今度。では。

『真夏の方程式』

東野圭吾のガリレオシリーズの標題の長編を読みました。映画化されるんだそうですね。

茨城の海岸でのストーリーでの元刑事の不審死の謎解きが主題ですが、いつもながらストーリーが良く練られていて、一気に引き込まれます。後で読み返してなるほど、と思わせる伏線もあり、うまいものだなあと感心。良く考えると、事件が起きた時点で犯人はほぼ明らかなのですが、冬眠蛙はミステリファンとしてはかなりライトな方なので、そんなに考えることもなく(笑)、しっかり楽しめました。

 

この「ガリレオ」シリーズは、今テレビでも月曜9時から毎週やってます。前シリーズに比べてややコメディタッチになり、若干批判めいた感想もあるみたいですが、それでも十分楽しめるかと思います。仕事が遅いので録画でしか見れてないんですが。

あと最近読んでいるのは「リフレはヤバイ」という新書。いわゆるアベノミクス本ですが、まあまあ分かりやすいです。一部、「本当にそうかなあ」と思うところもあるのですが、まあきっと後半年もすると答が出るんでしょう。ある意味こわいかも。

ではでは。

聖女の救済/東野圭吾

新潟に行っており、本日戻ってきました。今回旅のお供に購入したのがタイトルのミステリ。ガリレオシリーズの長編です。

冒頭で既に犯人は明らかになっていて、その辺りは前の長編、「容疑者xの献身」に近いものがあります。今回はミステリの5W1Hの「How」が中心となって書かれています。ここから以降はネタバレになるので書きませんが、読んだ後の満足感は最近読んだミステリの中では文句なしの№1。ストーリーテラーとしての作者の技量を見せつけられました。ミステリファンの皆さんには是非お勧めしたいと思います。

「ガリレオの苦悩」

東野圭吾のガリレオシリーズの文庫版の最新刊を読みました。先日の東京行きの帰りに購入したものです。短編集ということ、またこの本からドラマに合わせた人物設定に変わっていて、違和感なく読めました。

映画化された前作「容疑者xの献身」(傑作だったな~)に比べると、トリック自体は軽めですが、やはり当代切っての人気作家だけに、文章のうまさで充分楽しめる内容。最後の「撹乱す」が一番面白い内容でした。

 

また、今週から本屋大賞を受賞した「謎解きはディナーの後で」のドラマが始まったので見ました。原作読んでないのですが、なかなか面白かったです。全体的にコメディタッチなので、気軽に見れるのが良いですね。椎名桔平が少し濃すぎる気はしますけど(笑)。

 

今週末は詰とうほく。なんとか行けそうなので、今から楽しみです。詰四会の臨時作品展の解図をしようかともくろんでますが、果たして何題解けることやら。ではでは。

『館島』(創元推理文庫)

久々にミステリ書評を。『謎解きはディナーの後で』が2011年本屋大賞を受賞した東川篤哉という作家の初期の作品だそうです。え?なんでその受賞作を読まないのか?う~ん、高速バスで読むための本だったので、文庫本にしたかったんですよね。

タイトルからして想像がつくように、孤島で起きる連続殺人、という古典的と言えばあまりに古典的な題材。ただ、このタイプの作品にありがちな無理な導入とかは感じませんでした。トリックも本格的でした。ただ、ユーモアミステリを意識しすぎて、無理に軽いタッチの文章を入れている感じはしました。近作だとその辺りが改善されているのかな?また機会があったら読んでみたいと思います。

せっかくの土日というのにずっと雨模様。まあ仕方ないですか。また今後忙しくなる予定なので、当分更新はこんなペースと思います。 

 

春だ!

GWのうちにサッカーの話が解禁となりました。ああ、勝つっていいもんです。今日は内容はもうひとつでしたが、最後までよく頑張ってくれました。最後ドキドキしたなあ。けんちゃんさんは今日はさぞかしオイシイ酒を飲んでることでしょう。

さて、新潟に戻っていたのですが、今日は行く時に読んだ本のお話を。何回かこのブログでも採りあげている作家、森博嗣の『λに歯がない』というミステリです。名前のとおり?死後に歯を抜かれる殺人事件ということで、密室物です。ちなみにトリックらしいトリックは存在しますが、ストーリー的な盛り上がりはあまりありません。特に今回のGシリーズは敢えて著者がそのように書いている感があります。ただ、充分に楽しめる内容です。淡々と、しかし考えさせる文章、といった感じですね。

で、読み終わって解説を見たら、書いていたのが将棋の瀬川プロでした。なかなか面白い文章でした(さすが文系棋士)が、今回のシリーズの主役の一人、海月のイメージを「どんなときでも黙って詰将棋を解いている宮田プロ」って書いていたのには笑いました。そんな感じなのか、宮田プロは…。ま、瀬川プロも人物設定をしっかり読み違えていた(笑)ので、ワタシの持っている海月のイメージそのまま、という訳でもないかもしれません。

今回は比較的短めのGWでしたが、代わりに明日明後日仕事したらまた休みで、これはこれでいいモノかも。とりあえず今日はこれからスポーツニュース見ます。ではでは。

パズル・パレス

この間、「現在読んでいる本」として紹介したダン・ブラウンのタイトルの本を読了しました。デビュー作品、ということで粗い部分もそこかしこに見受けられますが、話の盛り上げ方がやはりうまく、そこそこ楽しめました。ちなみに「ダ・ヴィンチ コード」「天使と悪魔」の映画化されたラングドンシリーズの他、「デセプション・ポイント」という単発作品も既に文庫で出ており、これもなかなか面白い作品でオススメです。

 他にもまだ読みたいミステリが結構あったりするのですが、仕事もバタバタしているし、創作も進まないし、ということで森博嗣のGシリーズの次の文庫化までは休もうかな。

5月の新作にいただいたコメントをこちらに掲示しました。

犯人に告ぐ

久々に書評を。

映画化されて現在公開中(らしい)の『犯人に告ぐ(雫井脩介)』を読みました。大藪春彦賞受賞作ということで、少しハードボイルドタッチな気がします。ストーリーはというと、連続児童誘拐殺人事件の捜査が行き詰まり、前に別の誘拐事件捜査で失態を犯して左遷させられた警視が劇場型捜査を行なうことになる、という奇抜なストーリーです。上司の課長、さらには本部長の動きや犯人を騙る手紙の登場など、虚々実々の駆け引きが繰り広げられ、楽しめる展開でした。ただ前の失態のストーリーの絡め方が少し物足りないようにも思います。いっそそちらには触れない書き方もあったかな、と。でも良い小説でした。この作家の本を読むのは初めてでしたが、ほかにも面白そうな本があれば読んでみたいと思います。

ブログをお休みしているたくぼんさん程ではないですが、結構忙しい日々が続いており、明日も仕事です。 年末特別出題の賞品の方は送付しましたが、短評の方は日曜にやれればと思っています。もう少々おまちください。ではでは。

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