全国大会in甲府と編集長の長編

 今年もささやかながらお手伝いで参加しました。ちなみに当日よりも前日以前の方がはるかに準備が大変で、それには冬眠蛙はほとんど貢献できておりません。他の幹事の皆様、また現地で仕切っていただいた堀口さんには本当に頭が下がります。無事に開催できて、本当に良かったです。
 大会では休憩時間もずっと記念詰将棋に苦吟して、ほとんどコミュニケーションが取れませんでしたが、懇親会はおかげさまで楽しませてもらいました。飲み物のオーダーに追われ、せっかく大橋さんの近くの席だったのにあまりお話しが出来ず残念。でも久しぶりにあんこうさんと昔話や詰将棋に対する思いについてお話しできましたし、何人かの方から「冬眠日記見てます」と言ってもらえました。ssさんからは「紹介してもらえると嬉しいです」とありがたいお言葉も。嬉しい限りです。
 そんな中でひとつ今回嬉しかったのが、編集長と長編「マリー」のお話が出来たこと。「よう知ってたなあ」と言われましたが、編集長の短編・中編を見慣れているパラ会員の皆さんなら、下の作品が編集長作だ、と言われても「え!」となるのではないでしょうか。


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 「いや、それはもう苦労したよ」と懐かしそうに語っておられました。「収束がちょっと残念でねえ」というお話で、実はちょっと5手前から別詰のキズがありますが、なんといっても趣向によらずにこれだけの手順を捻りだしたことに、秘めたる情熱を感じるばかりです。ぜひ解いて……と言いたいところですが、なかなか大変。
 そんなときにはググるのが一番、ということで、その場でも鑑賞できないか、と探してみたら、ちゃんと詳細な解説つきでつみき書店さんに載っていました。スマホの小さい画面でしたがその場で鑑賞。一緒に見たあんこうさんも「これはスゴイ」とおっしゃっておられました。ぜひコチラをクリックして、作者のほとばしる情熱を感じてください。スマホだとちょっと見にくいので、こちらでも動く盤面を載せておきます。多分見ただけでも熱さを感じてもらえると思います。
 ちなみになぜ詰将棋学校好作選で触れなかったのか、といえば、もちろん本作が半期賞を受賞しているからです。作者の言葉とか当時なかったんですよねえ。そういう意味でも、今回聞けて良かったです。


 次回ももちろん参加したいと思っています。また皆さんお会いしましょう!


今年もよろしくお願いします。

年末から色々とありまして、ちょっと素直に新年を祝う気持ちにはなれませんが、一応準備していましたので作品掲示します。

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30手台。手順前後のキズがあります。

詰将棋全国大会

 昨年から全詰連のお手伝いをしていることもあり、先週開催された全国大会に行って参りました。いや~、暑かったですね。また、熱気も凄かったです。やはり全国大会は良いですね。刺激になります。
 前日に行く必要があったので、香龍会にも初めて参加できました。短い時間でしたが、皆さんと会話を楽しみつつ、全国大会の役割の予習をしました。年寄じみたセリフになりますが、やはり若い人は羨ましい。私にもそんな時代があったはずなんですが。(;'∀')
 桑名には9時半くらいに到着して少し会場設営のお手伝い。事前にやりとりしていたせいか、比較的スムーズに行けたほうではなかったでしょうか。と言いつつ、自分は設営は初めてなのですが。YouTube配信も今回初めてで、これは地元で色々と手配いただいた大川さんの貢献大。自分は滑りっぷりを確認するのが怖くてまだ見れません。人前での解説は初めてなので、お許しください。

 少しだけフリーの時間があったので、本を2冊購入。1冊目の詰将棋年鑑(コチラから購入可能です)は泊まった名古屋で読んで、ポイントを押さえた解説を楽しみつつ、自作が2個も載っていることに感動しました。特に「Unicycle」は自分でも気に入っていた小品だったので嬉しかったです。(コチラで手順鑑賞できます。ぜひご覧ください)
 帰りに飛行機でもう一冊、角さんから牛タンの御礼に、といただいた(角さんありがとうございます)芹田修さんの酔鯨(コチラから購入可能です)を鑑賞。芹田さんの作品は自分では絶対に作れない(笑)、センスあふれる作品が並んでいて、手順を目で追うだけでも爽快になれます。駒数少なく作れる技術、ぜひ教えてほしいものです。

 幹事での打ち上げ(皆さんお疲れさまでした)も含めて、疲れつつも楽しい3日間でした。来年は純粋に参加する側で楽しめるかな?ではでは。

郵便事情と看寿賞感想

 看寿賞が決まりましたねえ。今年は多くの作品が受賞ということで驚きました。選考過程が気になるので早く7月号見たいのですが、残念ながらこの週末は届かず。6月30日が金曜というのが残念でした。土日郵便やらなくなってしばらく経ちましたが、やはりなかなか感覚が戻りませんね。実は6月号に載せた順位戦の作品は4月末に投函したのですが、なんと編集部に届いたのは5月9日。CEOをだいぶ焦らせてしまいました。思ったんですがGW中に投函された郵便物全部まとめて配送するわけですから、GW開けは一番混むのでしょうね。次回からは気を付けないと。

 ということで7月号まだ見れてなかったのですが、実は週末に角さんに会ってて、見せてもらいました。チラ見ですが、なかなか劇的な感はありましたね。受賞者の皆さん、大変おめでとうございました。
 冬眠蛙は中編は短大で半期賞を受賞した山田修司さんの作品が奇跡的な出来で、「これこそは!」と思っていたのですが、残念な結果でした。今回はエンタメ性が強い作品が票を集めたのかな?詰将棋もトレンドというのはあるもので、これからどういう作品が高い評価を得ていくのか、ちょっと興味深いです。
 YouTubeで発表された作品が受賞というのも面白く、これからは更に多様化が進むのかな。そういえば、実はこのブログで開催したプレ短コンの作品も一度候補になったことがありました。初見の方もいるかもしれないので、紹介します。ぜひ解いてみてください。品質は保証します!
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5月の詰とうほく+パラ3月号発表作

 先々週に詰とうほくを開催しました。前回よりは少なかったものの、10名の参加者で引き続きの盛況でした。今回もUraさんの大作参考文献?を受領。毎度ありがたいことです。あとは投稿作や新作を見せ合ったり、暁将棋部屋の作品を皆で解いたり、和やかに過ごしました。
 次回は8月19日(土)にしたのですが、うっかり抽選申込を漏らしてしまいました。辛うじて空いていた戦災復興記念館での開催となります。ちょっとアクセスが悪いのですが、よろしくお願いします。

 さて、3月号に久しぶりに学校に入選した結果稿が載りましたので、一応自作コメントを。
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▲87桂△同馬▲86銀△96玉
▲97銀△95玉▲96香△85玉
▲84金△同玉▲74金△85玉
▲86銀△96玉▲97銀△85玉
▲77桂△同馬▲76龍△同馬
▲86歩△同馬▲96銀△同馬
▲75馬△95玉▲84馬迄27手。

 狭い場所での細かいやり取り。ちょっと知恵の輪風味ですが、実はそこまで一貫したテーマがあるわけではありません。もう少し逆算して徹底できればよかったのですが、あまり気の利いた手順が入りませんでした。それでも96香を打って、その後原型消去し、連続捨駒から空けておいたスペースに銀捨てで収束するのは気持ち良い手順かと思います。
 53歩と89とが残念な余詰消しで、せめてもう一枚位減らしたかったのですが、力不足でした。6月号で結果が載りましたが、そこそこ好評でほっとしました。石黒さんには丁寧な解説をいただき、感謝の一語です。

詰将棋の変同による価値棄損

 「変同」とは詰将棋用語の一つで正しくは「変化同手数」とのことです。定義すると「ある局面で玉方の応じ方が2つ以上あり、正解とされる手順以外の応じ方でも、詰上がりまでにかかる手数が同じであり、かつ詰方に駒が余らない手順が存在した場合の当該手順」位ですかね。
 冬眠蛙が詰将棋を始めた頃から、既にこの変同の存在は減価事項として扱われることが多くなってました。最近はさらに厳しくなって、「変同は消すべき」位の見方の方が普通になっている感があります。
 自分としては変同をすべからく悪者とすることに漠然とした違和感があったのですが、こないだここに載せた自作を見ていて、「ああそういえば、これも変同があったな」と思ったので、ちょっと考え方を整理してみました。だいたい自分の考えは以下のとおりです。
①詰将棋は解く人や見る人がいてこそ価値がある
②したがってその方が本質的ではない部分で「あれ、どちらが正解?」と迷うような状態だと、作品価値は落ちる
③したがって変同や変長は出来る限り避けた方が良い
という辺りが主軸ですが、ここから更に
④作意手順と変同手順で明らかな難易度なり感触が異なり、「ああ、こっちが作意なんだな」という共感が得られるようであれば、減価事項としては小さい
というのが冬眠蛙の考えです。もちろん難易度や感触が異なる、というのは個人の尺度なので一律になるものではないですが、ある程度コンセンサスは得られるのではないかな、と思ってます。

 最初に述べた自作は3月19日の記事に載せた図ですが下の局面で変同があります。
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 ここで作意は「15玉、24馬、同歩、13飛成、同銀、16香」ですが、「14玉、36馬、24玉、34馬、15玉、25馬引」が変同となります。ただ、これで「後者が作意じゃないか」とか「作者はどちらを作意としているのだろう?」と考える方はほとんどいないのではないでしょうか。
 ちなみに例えば玉方47歩を置けば、変同手順の方は駒余りになるので解消できるのですが、明らかに判別できる変同を消すためだけに余計な駒配置する気にはとてもなれませんでした。余計な駒1枚配置する方がよほど価値棄損ですね。

 もちろん自分の見方を強制するものではないですが、詰将棋の楽しみ方として、「こういう考え方をする人もいる」という参考にしていただければと。

心理作

 今日スマホを見ていたら、「人はなぜ寿司の松竹梅のコースで竹を選んでしまうのか」といった内容の記事があり、興味深く拝見しました。なんでも、「竹」と「梅」のコースだけを示すと、だいたい半々になるんですが、「松」「竹」「梅」を用意すると圧倒的に「竹」>「梅」になるそうで、確かに自分もそうかもしれないな、と思う次第。
 これで思い出したのが、昔将棋世界?で見た神吉プロのエッセイで紹介されていた心理マジック。人に「1~4のなかで、どれか一つをすぐに選んでください」と言うと、大半の人は無意識に「1」と「4」を除外し、しかもなぜか残りでは大きい方の「3」を選んでしまう、というものです。冬眠蛙も見事に「3」で、全く同じ思考過程をたどってました(笑)。心理というのは面白いものです。

 詰将棋にも心理的にやりにくい手を主眼とした作品をたまに見かけます。個人的には特に短編では心理的にやりにくい手が入ると作品価値が大きく上がると感じており、うまく入った作品を見ると感心しています。自作でも少ないですがありまして、一局紹介しますね。多分はまると難しいかと。
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 ただ、上で紹介したような「選択肢を多くすることで、中間的な候補手をより有力な手段に見せる」という作品にはあまりお目にかかっていないような気がします。ちょっと興味深いので作ってみたいのですが、いかんせんネタも時間もないです(笑)。もしも良い作例があったら教えていただければ。

 昼にNHK杯を取った方が夜には六冠に。いや~強い。これで詰将棋創作のセンスも抜群ときた日には、もう唖然とするのみです。本当に凄い人が出てきたものですね。ではでは。

来週は詰とうほくです+過去作改作紹介

 相変わらずバタバタの毎日で、なかなか駒に触れる気力も起きませんが、来週2月18日の詰とうほくは開催します。生涯学習センター和室です。よろしくお願いします。
 前回来ていただいた戸村さんが将棋世界の詰将棋サロンで昨年の谷川賞を受賞されたのを見ました。おめでとうございます。また先日見せていただいた作品が3月号の優秀作に。羨ましい。私が最後に優秀作もらったの、もう10年以上前です(;^_^A

 話は戻りまして、昨年暮れにスマホ詰パラに過去の発表作で気になっていた部分を改作したものを発表しました。解いていただいた皆さん、ありがとうございました。
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 元の作品である第2作品集第16番は以前このブログで変同の指摘をいただいた旨を紹介しました(リンク)。今回は上部の配置を見直して変同を消すとともに、全体的に駒数を減らした上で逆算を加えました。原図の「手が届きそうで届かない」味は若干落ちますが、スッキリと表現できたので(作者の欲目かもしれませんが)改善できたかな、と思っています。解答はスマホ詰パラでご覧ください。作品№19596です。
 改めて、元の図にご指摘をいただいたtoshikiさん、ありがとうございました。

2023新春特別出題

あけましておめでとうございます。本年も冬眠日記をよろしくお願いします。
例年どおりの特別出題を。昨年と同じ趣向なので表裏2題で出題しちゃいます。
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両題とも47手。まさしくたまたまです(笑)
。序奏をすぎれば小川さんの方が易しいかな?
●解答(最終手と手数だけでOKです)と短評を募集します。コメント欄にいただくか、こちら(←クリック)にメールください。ソフト解答でも結構ですが、その場合、その旨もコメントいただければと存じます。締切は1月末までとします。
●コメントいただいた方に昔作成したPDFの詰将棋小冊子を送付します。よろしくお願いします。

棋譜表記

 昨日は東京に行っておりまして、その帰りに久しぶりにパラの作品を解図。せっかくなので、ただいま解答作成中です。

 ふと思い出したのですが、以前SNS上で目にした「パラの棋譜表記方法」。ちょっと考えてみます。
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 この局面だと玉方は22に合駒をする一手ですが、特に指定はなく、次に桂を打って詰上がりとなります。この場合、解答はどう書けば良いでしょう?
 同じ理屈で、次の図の応手はどう書きますか?
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 例図①はパラですと「22合」と記載しているようです。駒の種類の記載はありません。どれでも良い、というわけですね。ただ、例図②になると一見同じく「22合」で良さそうですが、厳密には22銀と上がる手も22合のひとつ、として考えられるので、「22合と書いたときに正解とされるのか」は微妙です。まあでも流石に大丈夫かな?
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 例図③はどうでしょう。この図面ですと「23合」のときにそれが角や桂だと24龍で駒が余るので、厳密には正解にできない気がします。
 私の場合、基本的に表記は指し将棋と一緒にの書き方にしていますが、例図①は「22合」、例図②は「22歩」、例図③は「23香」ですね。ちょっと中途半端になっていたな、と思います。

 他にもパラの特徴的な表記があります。一作見てみましょう。
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結構難しかったりしますが、手順は初手71の飛に81に銀を合駒します。その後、92歩、同玉、62飛と進んだ際に、更に82に銀を打つのが正解です。この手順はパラではどう書かれているか、というと以下のとおり。
「71飛、81銀合、92歩、同玉、62飛、82銀打
普通の指し将棋表記だと、あとの方の82銀打はそのとおりですが、先の方の「81銀合」は「81銀」の記載だと思います。これも明らかにパラの記載パターンなのですが、2手目も6手目も両方とも打っているのに片方は「合」、もう片方は表記なしなので、ちょっと違和感ありますね。

 ちなみにあくまでもこれはパラの記載の仕方がこう、というだけであり、実際は解答を出すときに「合」を入れなくてもちゃんと正解扱いです。ただ、普通の指し将棋と違う記載にするメリットって何かあるんですかね。ちょっと疑問だったりします。
 冬眠日記では、今後は指し将棋と完全一致した書き方にしようかと思ってます。ご意見あればいただければ。

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