ブログのアドレス変更+詰将棋学校好作選28

今までこの冬眠日記はHTTP設定で、保護されていない通信扱いでした。「まあそういうサービスなんだろうから仕方ないなあ」と思っていたのですが、実はごく簡単にHTTPSに変更できることが判明しました。ああなんてこったい。


というわけで、本日よりアドレスが「https://sleepingfrog.air-nifty.com/diary/」に変わります。ブックマークされている方がいらっしゃった場合、アクセスできなくなるかと思いますが、どうぞご了承ください。

今日は詰将棋学校好作選です。ちょっとアツイ中編作品です。
20241027seki
▲71角△44歩▲26銀△同玉
▲44角成△同桂▲16金△27玉
▲17金△同桂成▲16銀△同成桂
▲24龍△26成桂▲18銀△同玉
▲15龍△17成桂▲19歩△27玉
▲28歩△同玉▲26龍△同龍
▲29金△27玉▲38馬迄27手。
 持駒こそ強力ですが、玉周辺を強力な守備駒が睨みを効かせており、途方に暮れそうなところでです。71角の最遠打から26銀捨てで強引に迫ります。71角に44銀合ですと、26銀、同龍、34金、同玉、23銀、43玉、32銀生、52玉、51金、同玉、11龍以下。初手62角ですとこの手順が成立せず不詰です。
 とはいえ、26銀、同玉の局面もまだ届かないように見えるのですが、44角成、同桂と食いちぎって16金~17金~16銀が意表の手段で、なんとここからミニ龍鋸の趣向が出ます。ポイントは遠く29の地点を47馬が押さえていることですが、初形からは全く想像がつかないのではないでしょうか。
 ここを潜り抜けた方たちだけが、最後の26龍と捨てからの爽快な収束を味わうことが出来ます。解説安江氏をして「緻密な計算にたつ絶妙のハーモニー」と言わしめた傑作です。
 発表時は詰方33桂・玉方63歩配置が詰方33歩・玉方65桂配置であり、これでも全く届かないように見えるのですが、初手26銀、44玉、53銀、同玉、42角以下で余詰でした。これが無ければ半期賞確実だっただけに残念ですが、関氏らしい見事な作品でした。


 

ダウンロード - 202410270.html

詰将棋学校好作選27(参考)

 前回紹介した傑作『リターンパーツ』について、Sinatoraさんから「傑作だと思うのに反応が薄い。マニアには常識の作品なのか」という趣旨のコメントいただきました。大変ありがとうございます。このブログ自体が超マイナーというのもありますが、あり得る話として、本作には派生作品があり、それとセットで覚えている、という方もいるのかなと。ということで、今回は番外編として、そちらを紹介しようかと思います。
20241014umemotoex
▲24歩△32玉▲33角成△同桂
▲62飛成△42香▲23金△31玉
▲51龍△41桂▲21と△同玉
▲41龍△31飛▲32金△12玉
▲23歩成△同玉▲15桂△12玉
▲22金△同玉▲42龍△32金
▲24香△11玉▲31龍△同金
▲23桂生△22玉▲31桂成△同玉
▲51飛△41桂▲21香成△同玉
▲41飛成△31飛▲32金△12玉
▲24桂△23玉▲33金△同飛
▲21龍△22金▲15桂まで47手。
 一見、『リターンパーツ』とは全然違う構図に見えるのですが、4手目の局面になると、『リターンパーツ』の収束に入った局面と結構似た感じになります。実はこの作品は『リターンパーツ』の収束の紛れ筋から創作したもの。確かに精算して32歩と叩く局面で42金~53龍とすると同じような筋に入ることが分かります。
 本作は62飛成の局面の合駒読みからスタート。22金~42龍とする筋があり、そのときに詰まないのは香だけです。41桂合は14手目の局面で自明。その14手目の飛合のところ香合ですと25手目の局面で23桂成が成立して早詰となります。
 飛合の場合は23桂成、同玉、24香は12玉で詰みませんので、24香と打って31龍からその金も取ります。ここでまた41桂合~31飛合が再出現するのが作者が用意したマジックでした。31飛合に32金、12玉の局面を良く見て欲しいのですが、14手目の局面から24歩が消去されており、その空いたスペースに桂を打つことで収束出来る、という仕掛けです。
 前回の記事を見れば分かりますが、『リターンパーツ』と本作は掲載が1か月ズレただけ。多くの解答者に「『リターンパーツ』の副産物では」と見破られつつも、細かいヤリトリを経て気づけば同じような局面が作られることに高い支持が集められ、見事半期賞を受賞しました。作者的には複雑かも。まあ、受賞ってこういうものなのかもしれません。

詰将棋学校好作選27

 ちょっと間が空いてしまいました。仙台はすっかり涼しくなりました。これからの季節に着るパーカーを新調しました。

 今日は詰将棋学校好作選。傑作長編、気合を入れていきます。
20241006umemoto
▲13香成△同歩▲35桂△同と
▲24歩△34玉▲25金△同と
▲同龍△44玉▲55龍△34玉
▲37香△36角▲同香△同飛
▲25龍△44玉▲62角△53香
▲同角成△同歩
A『▲47香△46香▲同香△同飛
▲55龍△34玉▲37香△36角
▲同香△同飛』
B『▲12角△23香打▲同角成△同香
 ▲25龍△44玉』
『A』
C『▲45角△24玉▲23角成△同玉
▲25香△24香▲同香△34玉
▲25龍△44玉』
『A』『B』『A』『C』『A』
『B(同香の代わりに同金)』『A』
▲45角△24玉▲23角成△同玉
▲24歩△32玉▲31と△同玉
▲32歩△同玉▲23金△41玉
▲32金△52玉▲53龍△61玉
▲63龍△62金▲53桂生△71玉
▲72歩△同金▲61桂成△82玉
▲91銀生△同玉▲92金△同玉
▲72龍△93玉▲83金△94玉
▲92龍まで153手。
 角打香合と香打角合を絡ませた香の呼び出しハガシと言えばよいでしょうか。最初に62角で52歩を53に吊り上げるのは47香に46角合とする手を防ぐ準備工作です。53歩と吊り上げたので47香に46角合は同香、同飛、35角で詰みます。一方で37香に36香合は26桂で簡単。これで持駒角+34玉・36飛型を作ることで、12角から香を入手しつつ香を吊り上げる手段と45角から23に吊り上げた香を取る手段が成立します。52歩型ですと12角に23香合、同角成、同香、27龍、44玉、47香、46角合でやはり不詰で、合駒の綾で手順前後を防いでいるのは巧みです。
 21香を吊り上げてはがし、金を入手してからが収束。制約がなかなか厳しかったはずですが、無理のない手順で少ない駒配置での収束を実現しており、金を持っているときだけ成立する初手の伏線をはじめ、作者の確かな構成力がうかがわれる傑作です。

 

詰将棋学校好作選26

 次回詰とうほくは11月23日(土)13時から、生涯学習センター和室(久しぶりだなあ)となりました。よろしくお願いします。


 いろいろあって1週飛ばしてしまいました。詰将棋学校好作選は今回より1996年上期の作品紹介です。今回は高校級の作品です。
20240916nagakabe
▲52銀△同歩▲51飛△同玉
▲42角成△62玉▲74桂△同銀
▲53銀生△同歩▲51馬△同玉
▲52金まで13手。
 手が付けやすそうで付けにくい感じ。特に62~73~74の逃走経路が気になるところです。52銀~51飛が力強い序奏で、41飛と合駒を欲張ると62玉で先ほどの逃走経路を防げません。51飛に62玉なら53銀生が効きます。
 同玉に42角成が英断で、上部をがら空きにしてしまうので不利感があるのですが、62玉に74桂と捨てるのが後続の好手で、73玉には51馬~65金でピッタリ詰み。同銀と74を塞ぐことで53銀生~51馬が決め手となります。強度の高い手が続く序と気持ちの良い収束をバランスよく組み合わせて、13手ながらこの半期の高校最高点を取りました。
 調べてみると、1枚駒追加+αで42桂は持駒に出来そう。紛れ重視したくなるタイプの作品なので、冬眠蛙だったらそちらを採ったかもしれません。
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 パラ9月号が届いて、順位戦の結果は予想外に良い点をいただいたのですが、結果としては降級でした。投稿直前に「ああ、この素材はこういう風に作るのが良いかなあ」というアイデアはあったのですが、時間切れでした。まあこの筋の本命はまだ手元にあるので、そちらに活かせないか、考えてみます。


詰将棋学校好作選25

 先週台風の心配をしましたが、今週も同じ状況になっていますね。シーズンとはいえ、今年は多い気がします。被害が少なく済むことを祈っています。
 今日は学校好作選。短編です。
20240825tahara
▲56銀△同馬▲77桂△同と
▲57桂△同馬▲54銀△同玉
▲63飛成△同玉▲53金まで11手。
 見える手がたくさんあって迷う形ですが、その中で56銀は意外な手かもしれません。76玉は87金、75玉、84銀、74玉、86桂、85玉、97桂まで。この変化で4枚ある持駒を全部使わなくてはいけないのがポイントで、初手57桂と省略したり、56銀打と欲張ると76玉で逃れます。
 56銀には同馬が最善ですが、77桂と退路封鎖をした上で、57桂と馬を無力化すれば、54銀~63飛成の狙いの妙手順が実現します。

 古典的だなあ、という思いをされた方も多いかもしれませんが、これは本作発表時点でも十分雰囲気的には古典的で、その中でも高評価を得たことに、解答者が詰将棋解図に求めているものを感じますね。

詰将棋学校好作選24

 お盆ですが地震があり台風も来て、落ち着かないですね。被害が少なく済むことを祈っています。

 今日は詰将棋学校好作選です。
20240811kondo
▲13飛△12金▲22金△同玉
▲33飛成△11玉▲22金△同金
▲14香△13飛▲同香生△12香
▲同香成△同金▲22金△同金
▲14香△13角▲同香生△12桂
▲同香成△同金▲31龍△21歩
▲同龍△同玉▲43角△32銀
▲同角成△同玉▲33飛△41玉
▲42歩△51玉▲62銀△同玉
▲74桂△71玉▲83桂△81玉
▲91桂成△71玉▲81成桂△同玉
▲83飛成△91玉▲82龍まで47手。
 
7種合です。5種までは1筋の香の王手で、泉から水が湧くように合駒が発生します。でも、よく見るとわかりやすいものが多いのではないでしょうか。動く将棋盤の方でぜひご確認いただければと思います。
 飛角桂を手にしたところで31龍と手を変えます。43角で33桂から飛打ちの筋を見せると32銀合が最善となり、3×3の狭い範囲で見事7種合が完成しました。
 収束は枠から飛び出しますが、非常に綺麗にまとまっていて、作者が「これで良し」としたのも良く分かります。全体的な雰囲気で、7種合の中でも記憶に残る作品と思っています。

詰将棋学校好作選23

 今日は東北楽天の野球の試合を見に行きました。5回までで0-6、しかもパーフェクトに抑えられて、よほど帰ろうかと思ったのですが、よもやのサヨナラ勝ちで盛り上がりました。

 本日はこないだ出勤途上で偶然お会いした方(笑)の作品を紹介。
20240728ogata
▲35銀△23玉▲34銀打△22玉
▲33銀打△11玉▲12歩△同玉
▲23銀成△同玉▲34銀△12玉
▲24桂△11玉▲22銀成△同玉
▲33銀成△11玉▲22成銀△同玉
▲32飛成△11玉▲12龍まで23手。
 上部を押さえているのが斜めの効きのない飛ということもあり、35銀は飛の効きを遮るものの、仕方ないかな、というところですが、23玉に敢えて重く打つ34銀打は少し打ちにくいのではないでしょうか。省略して34銀は14玉、25銀打、15玉とヌルヌル逃げだされます。
 更に22玉に27飛は届きそうにないので、更に重く33銀打とします。31玉は43桂、21玉に27飛と2筋を空けておいた効果が出るので、11玉としますが、12歩と叩いて23銀成~34銀と一枚捨てて軽くしておくのが好手段。24桂と足場を作ると残りの2枚の銀も邪魔になっており、これを軽く捌き捨てれば32飛成が実現します。
 3筋に重く打った3枚の銀が綺麗に跡形もなく消える手順が好評を博しました。自然な流れで実現できており、使用駒種が少ないこともあって、爽やかさを感じる作品です。

詰将棋学校好作選22

 詰将棋学校好作選は半期賞選考時に担当者の方がコメント言及した作品を選んでます。……と言い訳した上で。

20240707ichishima
▲22金△同銀▲34香△33銀
▲同香成△同玉▲42角成△34玉
▲44銀成△同玉▲26角△同香
▲45銀△35玉▲36銀上△46玉
▲24馬まで17手。
 初手いきなり金を手放すのがやりにくい一手。34香が継続手で、33歩合等では42銀成、21玉、22角成、同玉、31角で早詰。角銀は品切れで、31に効かす33飛合は42銀成、21玉、32角、12玉、22角成、同玉、33香成、同玉、43飛以下で同手数駒余りです。
 質駒を逃がす33銀移動合を食いちぎり、44銀成と捨てて26角が狙いの限定打。香を跳ね上げることで、最終手の24馬が成立します。
 純逆算で、銀4枚使っての序奏は賛否分かれるところでしょう。実は昔は「ちょっと無理あるな」と思っていた逆算でしたが、今見てみるとちょっとした意外性と適度な難易度で、比較的好ましいコになりました。将来作品集を編むときには必ず入れたいと思います。

 

詰将棋学校好作選21

 全国大会が近づいて参りました。冬眠蛙は前日に国立競技場でサッカー観戦することにしました。どちらも楽しみです。ただ、見に行った試合の勝率悪いんですよね。ちょっと心配です(笑)。


 今日は学校好作選。長編趣向作です。
20240623kondo


▲31銀打△12玉▲44桂△23銀
▲同銀成△同成銀▲13歩△同玉
『▲79馬△24銀▲22銀打△12玉
▲13歩△同銀▲同銀成△同成銀
▲21銀△23玉▲32銀生△12玉
▲78馬△23銀▲同銀成△同成銀
▲13歩△同玉』
『▲68馬~▲67馬~△同玉』
『▲57馬~▲56馬~△同玉』
▲46馬△24銀▲22銀打△12玉
▲13歩△同銀▲同銀成△同成銀
▲21銀△23玉▲45馬△34歩
▲32銀生△12玉▲34馬△23銀
▲同銀成△同成銀▲13歩△同玉
▲35馬△24銀▲22銀打△12玉
▲13歩△同銀▲同銀成△同成銀
▲21銀△23玉▲24歩△同馬
▲32銀生△12玉▲34馬△23銀
▲22銀成△同玉▲23銀成△同成銀
▲32桂成△12玉▲13歩△同玉
▲24馬△同成銀▲22角△23玉
▲24飛△同玉▲35銀△25玉
▲26銀打△36玉▲37金△45玉
▲46金△54玉▲55金△53玉
▲44角成まで123手。



 成銀配置と持駒の歩、更に79馬配置で「歩を消費しながら成銀を操って馬鋸で近づくのかな」と慣れた方なら気づくかもしれませんが、この作者は更に欲張った味付けを用意していました。それが『銀合を2回繰り返し、その銀を剥がしながら近づく馬鋸』。44桂に23他合は21銀生から32桂成で、79馬に24他合は22銀~13歩で成銀を剥がして22銀打以下で詰みますので32桂成と13歩を取るために銀合が必要で、その銀を取ってまた打つことで馬で王手できる筋を空けることが出来る仕掛けです。
 近づくごとに2歩消費する仕組みで、最も近い35まで行くことでちょうど10枚使い切る……と実は失敗。途中45馬のタイミングを一路早め、34歩合を強要して同馬~35馬と引くのが正しい追い方で、これで1歩を稼ぎ、最後にその歩で13に吊り上げて24馬から収束に向かいます。最後は打った金が55までスルスルと上がって44角成まで。銀のスクリーンの開閉が機械仕掛けのようで面白い表現になっていると思います。

詰将棋学校好作選20

 妻の実家で網戸の張替をしてきました。久しぶりにやったのでやり方だいぶ忘れてましたが、なんとか完了。DCMで買った網押えゴムの太さを間違ってしまったのですが、話したら快く交換してもらえて助かりました。同じミスやってる人結構いるんですかね。


 今日は詰将棋学校好作選です。当時なかなかの衝撃をもたらした作品です。
20240617sakaguchi
▲55桂△33玉▲39香△同馬
▲34龍△42玉▲43龍△51玉
▲63桂生△61玉▲71桂成△同玉
▲83桂△81玉▲72銀△92玉
▲91桂成△同玉▲93香△同馬
▲41龍△92玉▲81龍まで23手。

 3手目34龍と追うのが普通ですが、42玉、43龍、51玉、63桂生、61玉で逃れます。ここで93馬の効きに打つ39香が狙いの遠打。23玉、15桂、13玉、63龍、24玉、23龍、15玉、26銀、15玉、25龍、27玉、37銀の変化のための限定打で、38歩合とかですと今度は同香、23玉に34龍で詰みですので同馬と取りますが、93馬の83の効きが無くなるので、34龍以下同様に追って、71桂成~83桂と打ち換える手が成立します。92まで追い込んで、91桂成~93香と今度は39馬を93まで呼び戻すのが作者の描いたストーリーでした。スイッチバックの表現手法が鮮烈で、当時高い評価を得た傑作です。
 発表時は玉方85歩・95と配置がなく、71桂成のところ、51桂成、71玉、61成桂、81玉、71成桂の迂回手順のキズが発生。修正案は作者ご自身によるものですが、今見ると85歩と95とのどちらか一枚でも修正できているように見えます。作者にお伝えできれば良いのですが。