詰将棋学校好作選41

 次の土曜日、5月17日は詰とうほくです。場所が変わりまして、青葉区中央市民センターですので、ご注意ください。
 さて、今日は学校好作選です。短編曲詰の傑作です。
20250511mizoguchi
▲46桂△同桂▲94飛△74桂
▲63銀生△同香▲65銀△55玉
▲66金△同桂▲54飛△同銀
▲64馬△同香▲54馬△同龍
▲56銀打まで17手。
 94の成銀を取ると55玉で上に逃げられます。そこで初手46桂。55玉は82馬、64歩、65馬、同玉、83馬が好手順で詰み。同桂に94飛と取れば、55玉には66銀、56玉、92馬で詰みます。この92馬を防ぐ74桂中合が最強の抵抗。63銀生、同香、65銀、55玉、66金に同桂を用意しています。作意はここから更に大駒3枚捨てで畳みかけ、56銀打までで鶴の巣籠もりの詰上がりが実現します。
 駒取りこそありますが、密度の高い短編曲詰で申し分ない作品と思います。


詰将棋学校好作選40

 ちょっと仕事の事情で先週は更新できませんでした。来週以降もちょっと微妙ですが、まずは更新できるうちに。今日は詰将棋学校好作選です。


20250427miura
▲24桂△13玉▲12金△同香
▲同桂成△同玉▲14香△同と
▲22歩成△同玉▲31角△12玉
▲24桂△23玉▲35桂△24玉
▲13角成△同と▲25金まで19手。
 実戦に出てきても不思議なさそうな、端正な初形です。22歩成とするのが自然に見えますが、同玉、31角、23玉とした形で11香と15とが強く、届きません。初手は24桂が正解で、23玉は45角と打って34合に32角成~23金と打つのが少し見え難い順ですが詰み。13玉とよろけるのが正解ですが、ここで更に重く12金から精算するのが意表の手段でした。14玉や23玉は13金打から46角です。
 更に精算して香を消した後、14香とするのも重要で、一見と金を近づけて損なようですが、22歩成~31角としたときの逃げ道を封鎖しています。35桂で足場を作り、13角成が爽快な収束。作者らしい丹念な作りが活かされた中編です。

詰将棋学校好作選39

 少し風邪気味になってしまい、さえない週末です。早く治さないと。

 詰将棋学校好作選は本日長編です。小駒趣向作にしてかなりの難問です。
20250406hamada

▲53香成△同玉▲45桂△同金上
▲44金打△42玉▲33金△53玉
▲43金△64玉▲55と△同金
▲63金△65玉▲56と右△同金
▲同と△同銀生▲64金打△55玉
▲45金△同銀▲47と△59成桂
▲56歩△同銀▲同と△同玉
▲57銀△55玉▲54金△同玉
▲45銀上△55玉▲56銀引△54玉
▲53金左△64玉『▲65歩△同と
▲63金△54玉▲45銀上△55玉
▲56歩△同と▲同銀引△54玉
▲53金左△64玉▲63と△74玉』=A
▲75歩△同と寄▲73と△64玉
『A』
▲75歩△同と▲73と△64玉
『A』
▲73成桂△同香▲同と△同玉
▲72成桂△同玉▲82香成△同玉
▲85香△73玉▲83香成△74玉
▲84と△64玉▲63金△同玉
▲73成香△64玉▲74と△54玉
▲45銀上△55玉▲56歩△65玉
▲75と まで113手。
 盤面ぎっしりに駒が配置された小駒図式。まずは53香成~45桂として43金と右辺を押さえるしかありません。64玉に55とと取ると、「ああ金ベルトを敷くんだな」と見当が付きます。56で精算して45金~47とと開き王手をし、再度56での精算から57銀を据えれば舞台装置は設置完了。54金から45銀上でと金ハガシに入ります。まずは65とを剥がし、次いで75歩捨てで85とを呼び出して剥がします。最後に76とを呼び出したいのですが、56に打つ歩がもうありません。かと言って76とを残したままでは詰まず。さてどうしたものでしょう。
 実はタネははるか遡って5手目にありました。43金と打つのが当然の一手に見えたのですが、実は44金と控えて打つのが妙手。同金は同金以下、64玉は55と以下詰むので42玉と逃げるしかなく、33金~43金とすれば、43金と単純に追うのに比べて1歩多く持っているため、最後の56歩を打つことが出来る、という仕掛けでした。
 無事に76とを剥がした後、73成桂から精算し、84香を打てば収束に向かいます。ここでも捨て絞り趣向が出て最後まで楽しませてくれます。

 44金~33金は下段に逃げる変化もあるので、結構やりにくく、かつ単純に43金としても作意順が途中までそのまま成立する仕組みが素晴らしい。と金を剥がす順番も限定されており(最初の75歩に同と引の場合は、と金を剥がした後、45銀上~56歩~66歩で早い)、小駒趣向作の傑作と言って良いかと思います。

 

詰将棋学校好作選38

 今年の詰将棋全国大会は福岡開催ということで、そろそろ…と思い某トラベルサイトにて飛行機含めて確保しました。今回は夏の家族旅行をかねて思い切って3泊4日にしましたが、行きたいところを調整した結果、全国大会の二次会は途中で失礼することになりそうです。でも今回は多分そんなに役割ないと思いますので、目いっぱい楽しむ予定です。参加される皆様、よろしくお願いします。


 本日は学校好作選。短編です。
20250323aguni
▲26香△同馬▲25香△同馬
▲24銀打△同馬▲22飛△33玉
▲32飛成まで9手。
 33銀が浮いている一方で上部が開けており、単純に24銀打と33銀を守ると34玉、44飛、25玉で逃げだされます。そこで持駒の香を使うのですが、25香ではなく26香が深謀遠慮の一打。26地点を埋めることで、25香に対して14玉としたときに、24銀成、15玉、14飛までの変化を用意しています。
 26香に対しては同馬と取るのが最善で、25香も同桂ではなく同馬と取れるのですが、更に24銀打と馬を呼び寄せるのが好手で、22飛から32飛成でピッタリ詰上がります。33銀が浮いた状態での展開は緊張感がありますね。手順のインパクトがやや弱く、半期賞は逃しました(ちなみにこの期は該当作なし)が、完成度が高く好感が持てる仕上がりです。


 ところで、先週紹介した軽趣向好作選の鈴川氏作に対して、EOGさんから「似ている作品あり」という連絡をいただきました。
Sankou20250323kannno
確かに鈴川氏作の3手目以降と段は違いますが同じ手順。ありがとうございました。鈴川さんのmy cubeにも何も書かれていませんでしたので、おそらく知らなかったものと思います。作品的には2手逆算(軽趣向的には非常に大きい2手)と構図の取り方がまるで違うことを含めて、新作と言って良いでしょう(なんか偉そう…笑)。

詰将棋学校好作選37

 詰将棋学校好作選は今日から1998年上半期になります。まずは中編無仕掛けから。
20250309nagareda
▲14飛△13桂▲11飛△同玉
▲13飛成△21玉▲23龍△22銀
▲32角△11玉▲14龍△12銀
▲同龍△同玉▲21銀△11玉
▲23桂△同銀▲33角△22飛
▲12歩△同銀▲同銀成△同玉
▲22角成△同玉▲23銀△33玉
▲34飛△42玉▲41角成△同玉
▲32飛成△51玉▲63桂まで35手。
 無仕掛けで、とりあえず上から飛で押さえるしかないですが、13の合駒がまず難しい。未定のまま進めるのが実は正解ですが、8手目や12手目もまた迷うポイントで、組合せを読まないといけません。
 先に8手目31玉の変化。22角、42玉、33角成、52玉、41角、62玉、32龍以下。また12手目12歩合だと23桂、同銀、22角、同玉、23角成、31玉、34龍以下。つまり2手目の合駒が何であっても成立することになります。その上で15手目の局面で、仮に2手目が歩合だと早く詰むのですが、ここも結構難しい。13歩、同玉、35角、24飛、25桂、12玉、13歩、同銀、23銀、同飛、同角成、同玉、13角成以下となります。
 ようやく2手目桂合が正解と判明し、15手目21銀から第2幕。23桂~33角とすると精算して13歩~25桂と打つ筋があり飛合が正解となり、その飛を取って23銀~34飛で収束に向かいます。最後は桂ツルシまで、うまくまとまりました。
 かなり読みを要求される作品ですが、手順の妙味が難度に埋没することなく表現できており、解答者に軒並み高評価を得ました。作者は確か私と同年代だったかと記憶しており、洗練された作品を多く発表されていました。復活を期待したい作家の一人です。


詰将棋学校好作選36

 昨日の軽趣向好作選、いかがでしたでしょう。楽しんでもらえていると良いのですが。
 X(Twitter)でも書きましたが、アプリのバグで正しい図だと棋譜再現が出来ず、応急処置かましてます。正しい図は下のとおりですが、収録図では34馬⇒24馬になってます。アプリだと34馬→35馬を「引」で整理したうえで、再現するときに44馬を引いてしまって後手大喜びの展開になっちゃってます(笑)。
Misumi0106


 さて、今日は詰将棋学校好作選です。初見の方は結構悩むと思います。
20250224yamato
▲33桂成△同角▲34銀△24玉
▲25銀△同桂▲34金まで7手。
 それらしい筋がいっぱい浮かびます。12銀~25金ですとか、14銀~25金もらしい感じですが届きません。33桂成と成り捨てるのはまだ見えるかと思いますが、その後の34銀がいかにも大和氏らしい不利感あふれる一手。24玉で35に逃げられそうな瞬間、25銀と打ったばかりの銀を捨てれば詰む仕掛けです。
 多分手順を見ただけだと、ちょっとピンとこないかもしれません。大和氏の作品群はどちらかというと、そういった「解く人にだけその良さが伝わる作品」が多いような気がします(短編コンクールですと上位常連で優勝も経験)。独特な感覚で、こういった個性はちょっとうらやましいですね。

詰将棋学校好作選35

 思うところあった……わけでもないのですが、最近解く方ばかりの冬眠蛙です。せっかくなので解答送付してますが、これだけメールが普及すると、なかなか印刷して封入して切手貼って出すのが不便に感じちゃいますね。ちなみに、2月号ですと利波さんの作品展がメール解答なしなのですが、こちらについてはhirokiichishima*mineo.jp(半角にして*を@に変えてください。)で解答もらえれば、私の方から解説するヒト(笑)にそのまま転送しますので、よろしければご利用ください。

 さて、本日は詰将棋学校好作選。力と熱の感じられる短編を。
20250211sakaguchi
▲55と△同玉▲68角△57龍
▲77角△46玉▲55角△同龍
▲38桂△同と▲49龍△48香
▲同龍△同と▲38桂△同と
▲47香まで17手。
 初形に驚きますが、良く見れば玉は身動き取れない形です。しかし66角は65玉、77角、68歩と顔面で受けてギリギリ逃れ。また48角や68角は57歩で龍の効きが強い。55とと捨てて68角と龍筋を閉ざすのが意表の手段。64玉なら46角で、65玉は77角、68歩、66飛以下同手数駒余りです。
 ここで57龍は移動捨て合のようで実は取られる駒を逃がす手段。同香は64玉で今度は46角が出来なくなります。空振りを許容して77角とし、46玉に55角と捨てて龍筋を逸らせば38桂以下の収束につながります。
 余詰筋がかなり強く(例えば81桂がないと、初手66角の筋で93の銀が浮いているため詰み。また25とが無いと3手目66角、64玉、55角、53玉、64角以下詰み)、初形配置駒がかなり多くなったため、発表時は賛否両論でした。ただ、当時著名な解答強豪だった作者がソフトもない中で丹念に読みを重ねて実現した狙いには、共感を覚える方も特に現代では多いのではないかと思います。

 週末から月曜まで金沢⇒白川郷と旅して来ました。凄い雪でしたが、景色がとても綺麗で楽しめました。今週末15日は詰とうほくで、今度は詰将棋を満喫したいと思います。仙台駅近くの生涯学習センターの会議室での開催となります。皆さまもぜひどうぞ。

詰将棋学校好作選34

 最近ドラマを見ながら詰将棋を解くことにハマっています。最近見終わったのが「十角館の殺人」。実写化といっても原作どおりに作られることは稀と思いますけど、これは本当に忠実に作っていましたね。初めて観た人はどれくらい衝撃だったかなあ。

 さて、今日は詰将棋学校好作選です。
20250126kamosida
▲54金△同香▲43角成△同玉
▲42桂成△44玉▲43成桂△55玉
▲22角△46玉▲13角生△24歩
▲同角生△45玉▲44成桂△同玉
▲45歩△同玉▲65龍△55桂
▲46歩△44玉▲33角成△53玉
▲63歩成まで25手。
 33玉の逃走経路を防ぐ手段がなく、極めて不詰感が強い初形です。現に初手54金に33玉でも詰むように見えないのですが、42角、23玉、22桂成として、同玉には33香成、13玉には23成桂、同玉、33香成、14玉、15歩でぴったり詰みます。
 ただ、本作の主題は更に後。43角成、同玉、42桂成と更に針の穴を通すような細かい手順を紡ぎ、22角からが作者の狙い。46玉、13角生とすると45玉は65龍、55玉は56歩で詰み。24歩の打診中合が登場します。同角成は35歩、同馬、55玉で打歩詰。同角生が正解で、45玉には44成桂から打診中合で稼いだ45歩で65龍で詰み筋に至ります。序の難しさが主題を際立たせてますね。
 残念ながらその打診中合に極めて近い前例があった(下図)のですが、合駒限定を含めて良く練られた中編です。
20250126nakamura

 

 

詰将棋学校好作選33

 正月休み最後ということで、隣町にある岩盤浴に行ってきました。リフレッシュして仕事始め……の前に詰将棋学校好作選を。

20250105soma
▲53金△同玉▲55龍△54金
▲52金△43玉▲33金△同玉
▲35龍△34金▲32と△43玉
▲55桂△同金▲53金△同玉
▲55龍△54金▲52金△43玉
▲35桂△同金▲33と△同玉
▲35龍△34銀▲32金打△43玉
▲55桂△同金▲53金△同玉
▲55龍△54金▲52金△43玉
▲35桂△同銀▲33金△同玉
▲35龍△34桂▲42銀△43玉
▲53金△同金▲同銀成△同玉
▲55香△54桂▲同香△43玉
▲53香成△同玉▲55龍△54桂
▲52金△43玉▲35桂△33玉
▲32金△同玉▲42金△同玉
▲44龍△31玉▲33龍△41玉
▲33龍△31玉▲22香成△同玉
▲23桂成△11玉▲12歩△21玉
▲32龍まで77手。
 金4枚並んだ初形が特徴的。75龍から合駒選択となりますが、飛角香が全部使われており、また56歩配置もあるので合駒できるのは金か銀だけ。銀合だと19手目42銀で簡単なので金合が正解です。同じように33金から35龍にも金合、更に55桂~53金で剥がして55龍にも金合が続きます。このまま桂捨て~金捨て~合駒取りのリフレインだと桂を消費する分損しているように見えますが、次に33に捨てるのがと金なのがミソで、金が切れるため銀合に変わります(桂合は頭が丸いので後で35桂が取れない)。
 更に55桂・35桂を繰り返して銀を入手しますが、持駒の桂が切れましたので34合、42銀、43玉のときに55に打つ桂がなく、53金から収束に向かいます。また桂が切れたことで34合も今度は桂合が正解になります。(金銀合は作意同様に53で精算した後、54金~46桂で早い)
 最後55龍と戻して54桂合が最後の踏ん張り(他合は45桂以下早い)ですが、52金から35桂で足場を作った後、32金~42金の連続捨てが決まり収束。玉方の持駒の変遷をタネにしたちょっと珍しい金知恵の輪でした。

 

詰将棋学校好作選32

 昨日の記事はちょっと力入ってしまって、そこかしこで表現がヘンになってました。修正かけてますが、いかがでしょうか。


 来週は新潟に戻る予定もあり更新できないかもしれないので、2日連続ですがアップします。


20241222koma
▲32銀成△同飛▲31金△同飛
▲13桂△同香▲31銀成△同玉
▲43桂△同金▲41飛△22玉
▲55馬△44桂▲同馬△同金
▲42飛成△32金▲同龍△同玉
▲24桂△41玉▲61飛成△42玉
▲31龍△同玉▲32金まで27手。
 12に逃がしても飛が取れる形ですが、初手32金では12玉、34馬、23歩合として、以下22金、同玉、33銀でかなり追えますが届きません。32銀成といきなり手がかりを捨てるような手から入り、31金から精算するのが意表の手順。その前に13桂とひとつ入れるのが巧みな一手で、12飛を打てるようにしておくのがポイントとなります。
 とはいえ、8手目31同玉の局面では足掛かりになる駒がなさそうなのですが、ここで43桂が好手で、同玉に41飛と拠点を築き、22玉に55馬と寄ってギリギリのところで合駒を稼ぐのが巧い手段でした。41飛と63飛が43を押さえているので、33合は同馬!と食いちぎる手が成立します。44合が正解なのですが、同馬、同金、42飛成で2枚龍の筋が実現。これを防ぐ44桂合~32金合の組合せが最善(44他合は32金のときに33飛成として早詰)になりますが、今度は同龍と切って落とし、24桂とすれば収束に入ります。頼った2枚の飛を両方とも消して見事頭金までとなりました。
 これといった主眼手がないのは作者的には珍しいかもしれませんが、薄い攻めを巧みにつなげる手順が印象に残る佳作です。

 ちなみにこの半期、作者は短大でもなかなかインパクトのある作品を発表されています(下図)。どうしても変長が消せなかったとのことで、最高得点でしたが作者自身が「賞には選ばないよう」と告げていたのだとか。作者の姿勢が窺われますね。
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