詰将棋学校好作選51

 仙台はここのところ一気に寒くなりまして、コタツもストーブも早くも登板が必要となっている状況です。次の土曜、11月1日は詰とうほくです。今のところ少し暖かくなる予報のようですが、天気も変わりやすいですので、皆さまお気をつけてお越しください。場所は仙台駅から歩いて10分ほどの宮城野区生涯学習センターとなります。


 さて、今日は詰将棋学校好作選です。よく練られた中編です。
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▲24飛成△12玉▲34馬△23歩
▲15龍△21玉▲33桂△22玉
▲14桂△11玉▲21桂成△同玉
▲22桂成△同玉▲44馬△33角
▲34桂△21玉▲11龍△同角
▲同馬△同玉▲33角△12玉
▲22角成まで25手。
 盤面は僅かに6枚。飛馬2枚で簡単に詰みそうですが、持駒が頭の丸い桂だけなので、意外に苦労します。
 24飛成から34馬は23に合駒されるだけにやりにくいのですが、銀等の強い合駒ですと同馬、同桂、14龍がありますし、23香合は同馬、同桂、14香なので歩合しかありません。そこで15龍とソッポに引くのが好手。13歩合は24桂、22玉、32と、同金、同桂成、同玉にいったん24桂と捨てるのが好手で、以下同歩、44桂、22玉、32金以下で詰み。
 15龍には21玉と逃げるのが最善ですが、13桂、22玉、14桂打てるのが15龍とした効果。そして21桂成、同玉、22桂成と打った桂を両方捨てて、玉を22に移動させるのが玄妙な手順になります。44馬からの収束もうまく龍捨てでまとまりました。
 2手目の変化で14龍を読むだけに、歩合のときの15龍の味はまた格別。いかにも作者らしい、味の良い中編になっています。

詰将棋学校好作選50

 X(旧Twitter)でも書きましたが、今週は出張で大阪に行ってました。金曜休暇を取れたので、某専門誌の編集部まで足を伸ばしましたが、編集長ご不在で残念でした。せっかくなので近くの大阪天満宮に行ったのですが、なんと全館工事中で見える場所にあるのは賽銭箱だけ(笑)。一応お参りしましたが、ご利益はあまり期待できなそうです。


 さて、今日は詰将棋学校好作選です。
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▲97銀△95玉▲94と△同玉
▲95歩△同玉▲96香△85玉
▲75金△同玉▲76歩△同玉
▲87銀△同玉▲89龍△97玉
▲79馬△96玉▲46飛△同角成
▲78馬△95玉▲77馬△94玉
▲76馬△93玉▲66馬△92玉
▲56馬△65歩▲同馬△91玉
▲98龍△81玉▲92龍△71玉
▲61と△同玉▲83馬△51玉
▲52歩△同金▲81龍△62玉
▲61龍まで49手。
 初手からして度肝を抜かれます。同玉は99龍、87玉、88歩、77玉、79龍以下。以下96に香を据えるところまではやってみる手ですが、85玉に75金~76歩がまたやりにくい。65玉は66歩として飛の横効きが通って詰み。さらに76玉に87銀と捨て、同玉(85玉は86銀左~75銀~79龍の筋で詰み。これも難しい)に89龍としてようやく筋に入ります。
 以下は79馬~馬による縦追いなのですが、74馬、91玉まで来たときに37角の効きが強く、これは詰みません。どこで間違ったのでしょうか。
 実は96玉のときに46飛と捨てるのが作者狙いの一手でした。同角成とさせておいて、馬で追うときに75馬-74馬ではなく、66馬-56馬と46に呼んだ馬にぶつけに行くことで、捨て合の一歩を稼げる仕掛けです。その歩を使って83馬~52歩で収束します。
 厚く深い序をようやく潜り抜けたところで、深謀遠慮の伏線手が飛び出す構成で、これを征服した解答者からは絶賛を浴びました。評点は2.9を超えましたが、「構想そのもので十分勝負できる作品なのに、序盤の変化をやたら煩雑にして間口を狭める必要もなかったのではないかという気がします」という担当の言葉には賛同します。

詰将棋学校好作選49

 今年はサンマが豊漁で、肉付きも良い……までは良かったのですが、なんだか徐々にお値段も上昇中( ;∀;)。最近のインフレ傾向からして仕方ないのかもしれないですけど。


 さて、学校好作選は今日から1999年上半期に入ります。
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▲33歩成△同玉▲42銀△22玉
▲13香成△同玉▲14飛△22玉
▲24龍△23金▲同龍△同玉
▲24金△32玉▲12飛成△同馬
▲33金まで17手。
 初手は龍筋を通す33歩成で自然ですが、同馬と馬が近づくので少しやりにくい。実は24銀と打って同馬は43龍、32玉は33銀成、同玉、42角、同玉、41飛以下。
 同玉に42銀と打ち換えします。同玉なら41飛以下。22玉が最善。24龍で詰みそうですが、23金合で逃れます。ここで13香成~14飛とまた打ち換えるのがうまい。22玉に対して24龍として今度は23金合には同龍が成立する仕組みです。24金~12飛成で収束もうまくまとまりました。
 シンプルな初形から、変化も作意も味良く仕上げられており、手筋物として理想的な仕上がりになっています。ベテランの実力発揮の短編でした。

詰将棋学校好作選48

 この土日は仙台はストリートジャズフェスティバルが開催されてました。毎年やってますが今回もとても楽しめました。大変多くの方が運営されているのですが、本当にありがたいことです。


 さて、本日は詰将棋学校好作選。中編の名工の技をご覧いただきます。
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▲85金△96玉▲88桂△同と
▲95金△86玉▲87歩△同と
▲53角△同銀▲96金△同玉
▲94飛△95飛▲63角△86玉
▲85角成△同飛▲96飛△同玉
▲85銀△86玉▲76飛△94玉
▲96飛まで25手。
 配置も持駒も強力なのですが、痒いところに手が届かないような難しさがあります。まず75金を85~95金と滑らせますが、普通にやると95金に同玉と取り、75飛に85桂合が玉方の妙手で詰みません。これを回避するため、95金の前に88桂と捨てておくのが周到な一手で、88と型にしておけば95金、同玉、75飛、85桂合は同飛で簡単、という仕掛けです。
 95金、86玉に87歩でと金を元に戻しておいて、53角と守備銀にぶつけるのが強烈な一手。同銀とさせて63地点の効きを外すのがポイントで、96金~94飛と鮮やかな連続捨てで63角が見えてきました。……が、ここで94飛を取らず95飛が玉方の抵抗。同飛は同玉、96飛、84玉でぎりぎり逃れます。構わずに63角~85角成と捨ててしまうのが正解で、同飛に96飛と捨てて見事に着地しました。
 爽やかな初形→こまやかな序奏→主題の大技→華麗な収束と言うことない完成度。さすが大橋氏、という作品です。

詰将棋学校好作選47

 8月も終わるというのに関東や中部はすごい暑さだったとか。仙台は今日は30度前後でしたが、油断して今ジョギングしたら予想以上に蒸していて汗だくになってしまいました。

 さて、今日は詰将棋学校好作選です。
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▲54銀△同玉▲55銀△同龍
▲66桂△同龍▲36角△同龍
▲43銀△同玉▲53金まで11手。
 玉方の龍と角が守りに睨みを効かしており、52とが浮いていることも相まって詰ましにくそうな初形です。とは言いつつも、初手54銀と思い切って捨てれば同龍は42金までなので同玉の一手で、と金が取られる心配がなくなり、少し筋に入った感はありますでしょうか。ところが、ここで平凡な53金や筋に見える66桂は64玉とされると駄目。55銀と打つのがちょっとやりにくい一手でした。同龍と取らせて66桂と跳ねるのが継続手段で、今度は64玉には55龍~54飛と打てば、58角の左右の効きで捕まえることができます。
 したがって66桂には同龍と取りますが、36角と更に捨てて55への龍の効きを外せば龍の守備がほぼ無効化され、43銀が決め手となります。初手では成立しない53金で最後詰上がるのも味良いですね。ちょっとした不利感ある手が良い味付けになっている佳作です。

詰将棋学校好作選46

 帰省先の実家でパラを読んで初めて気づいたのですが、次回詰とうほくの予告の原稿送付をすっかり忘れていました。次回詰とうほくは8月23日、前回と同じく青葉区中央市民センター和室での開催となります。ご覧になった方、ぜひよろしくお願いします。


 今日の詰将棋学校好作選は超短編です。
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▲66角△57桂生▲43飛△38玉
▲49飛成△同桂成▲65角まで7手。

 66角が最終手を見据えた限定打。43飛~49飛成を取りつつ取られるのを防ぐ57桂生が最善となり、最後は透かし詰での詰上がりです。最終手まで無駄手を排除しつつ味の良い桂生を入れて、かつ極限まで配置を絞っており、現代的な好短編です。

詰将棋学校好作選45

 蒸し暑い日が続きますねえ。どちらかというと寒がりな自分ですが、最近は特に夜寝苦しくなって眠りが浅いのが悩みです。あとは冷房効きすぎの部屋も困りもの。いずれ早く落ち着いてほしいものです。……といってもまだ7月なのですが。

 さて、今日は前回予告した詰将棋学校好作選を。
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▲41飛△22玉▲33と△同桂
▲23香△同玉▲21飛成△22銀
▲41角成△13玉▲22龍△同玉
▲34桂△同飛▲23銀△13玉
▲35角成△24飛▲14銀成△㋑22玉
▲34桂△21玉▲22歩△12玉
▲23馬△同飛▲13馬△同飛
▲24桂まで29手。
 作者名で身構えてしまいますし、実際手が付けにくい初形です。初手34香は22玉、34飛は33香合でそれぞれ手は続きますが逃れ。41飛~33とがうまい序で、13玉なら35角成で、同玉なら43角成で捕まります。23香として21飛成で41角成の筋を見せると、11に効かす銀合が最善です(22金合は41角成、34玉、35角成、43玉、42馬、同玉、22龍以下。63歩はこの変化のための配置)。
 41角成で網に入れた感がありますが、実はまだまだここから。13玉にすぐ目に見える35角成は24金合で詰みません。22龍と取って34桂を入れるのがポイントで、飛を移動させてから23銀~35角成とすれば24金合には同馬と切って詰み。飛移動合が最善となりますが、14銀成から34に桂を据えて、23馬~13馬の連続馬捨てが見事なフィニッシュです。この初形からは想像もつかない詰上がりではないでしょうか。
 ㋑12玉が34馬、21玉、43馬以下、2手変長になるのが惜しいところですが、序奏から収束の細部に至るまで作品全体が気品高く保たれており、良く練られた好作です。

 

詰将棋学校好作選44

 新潟の実家から母親が遊びに来てました。朝ドラの影響でアンパンマンミュージアムに行ったり、今日は近くの動物園にホッキョクグマの子供を見物に。80歳過ぎているのですが元気で、親孝行少しは出来たかな。

 今日は詰将棋学校好作選。ちょっと意外性のある短編です。
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▲51飛△41香▲同飛成△22玉
▲25香△同桂▲21龍△同玉
▲23飛△22銀▲33桂△12玉
▲13金△同銀▲21飛成まで15手。
 ほぼ無仕掛に近い初形。44歩もすぐには活かせそうにないので、持駒の飛2枚でサンドイッチを狙う筋かな、というところ。実際41飛と打てば31合には11飛で詰みますが、22玉で詰みません。実は遠ざけて51飛と打つのが大事で、22玉には21飛打、13玉、25桂、同桂に53飛成で詰みます。33桂配置で飛の後ろの効きを活かすのをカムフラージュしているのがベテランの技ですね。
 これに対しては41に捨て合で抵抗しますが、歩は二歩、桂は品切れ、更に銀とかですと同飛成、22玉、21飛打、13玉、25桂、同桂、24銀で詰みます。最善は香合で、この場合だけ22玉に21飛打では詰まず、25香~21龍と捨てる展開になるのが素晴らしい。また、21龍、33玉には43金、34玉、33飛ですが、二歩禁防止のための45歩配置をちゃんと活用しているのも巧い。最後の合駒は非限定ですが、主題が明確に伝わる好作です。

詰将棋学校好作選43

 6月ももう半ばですね。順位戦の解答がなかなか進まず、今月も全コーナー解答は厳しいかなあ。

 さて、詰将棋学校好作選は本日から2018年下半期。今日は鮎川氏の長編趣向作です。
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▲75と△54玉▲63馬上△同金
▲65金△54玉▲63馬△46玉
▲45金△同龍▲同馬△同玉
▲56銀△同玉▲66飛△45玉
▲55金△同玉▲65と△44玉
▲45歩△同玉▲47飛△34玉
▲35金△同玉▲36飛△25玉
▲27飛△26桂▲同飛寄△34玉
▲35歩△44玉▲45歩△同玉
▲47飛△35玉▲36飛△24玉
▲25歩△14玉▲15歩△同玉
▲16飛△25玉▲27飛△34玉
▲35歩△44玉▲45歩△同玉
▲47飛△35玉▲36飛△24玉
▲25歩△14玉▲15歩△同玉
▲17飛△16歩▲同飛寄△25玉
▲27飛△34玉▲35歩△44玉
▲45歩△同玉▲47飛△35玉
▲36飛△24玉▲25歩△同玉
▲27飛△26桂▲同飛上△14玉
▲15歩△同玉▲27桂△14玉
▲16飛△24玉▲25歩△同玉
▲26飛左△34玉▲35歩△44玉
▲46飛△53玉▲56飛△62玉
▲52飛成△71玉▲83桂△81玉
▲93桂まで101手。
 冒頭20手が序奏で、17手目すぐに47飛としたくなるところ、いったん55金~65とで玉方55歩を消しておきます。これで45歩に対して53玉と引く手に56飛を用意します。ただ、56飛に62玉以降の手順も52飛成、71玉、72歩、82玉、87飛以下と結構指しにくい手順になっています。
 作意は45歩、同玉に47飛で2枚飛による知恵の輪になります。ポイントとなる形は36飛・25玉型での27飛で、ここで26桂合を入手することが出来ます。ただ、1回目は流れで実現するのですが、2回目は36飛、24玉、25歩に14玉とし、先に16桂を犠牲にして延命を図ります。これに対しては27飛からまた一旦左に追い、47飛・36飛型を作りますが、次も25歩に14玉とする手が成立します。そのタネは15歩、同玉、17飛に更に16歩捨て合とする手。これで36飛を動かして36飛・25玉型を防げるわけです。
 もう一度47飛・36飛型を作って25歩とすると、今度は14玉とする手には15歩、同玉、16飛、25玉に17桂とする手があり早くなります(詰方からすると17歩を消した効果ということ)ので、ようやく25同玉、27飛で最後の桂を入手して収束に向かえる、という仕掛け。44玉に45歩と叩く歩がなくあれっ?と思うかもしれませんが、45歩と叩かなくても46飛に適当な合駒がないので、53玉とせざるを得ず、最後は入手した桂2枚で桂ツルシ。

 精緻に出来た趣向作なのですが、残念ながら89手目収束に向かうところで17桂からの余詰が成立。作意順がギリギリの手順で、残り駒の制約もあり修正困難、とのことでした。今回少し調べてみましたが、序の4手をカットして、玉方22歩→21歩、11角配置すれば33香に紐がつくので余詰順は防げそうではあります。

 

詰将棋学校好作選42

 米騒動がなかなか収まらないうちに、年金についても変な動きに。どうも思うんですけど、政治家の方はどうして、現実を見せようとしないんですかね。私の中では、もう日本はどうやって痛みを分かち合いつつ、将来に向けて何を捨てなければならないかを議論しなければならない、という感じなんですが、皆うまい話しかしないんですよね。現実を認識させつつ、将来のビジョンを見せて欲しいものです。

 本日は詰将棋学校好作選。一桁モノです。
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▲77桂△74玉▲85桂△83玉
▲73桂生△72玉▲61桂成まで7手。
 ノンストップで桂が四段跳ねする超短編です。前例はどのくらいあるのでしょうか。香二枚並べつつ、54銀の余地を残す仕組みが秀逸で、ごくシンプルな仕組みで実現しました。ちゃんと桂を跳ねる選択だったり、桂成とする余地も残しているのが深みを与えています。変化・紛れを含めて味わっていただければと思います。

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