軽趣向好作選128

 今年もノルマの全国大会記念詰将棋の解説を書かせていただきました。いつも自前のワードファイルで作っているのですが、今年は最初に昨年のをクリアしたときに1行を14文字設定にしてしまったらしく、須藤さんがPDFにしたところで18行オーバーという大惨事に。なんとか4ページに納めましたが、解説文がやたらギュウギュウに見えたら、「ああ、全部ギリギリの文字数になるように削ったんだな」と思ってもらえれば間違いないです(笑)。


 その点、このブログは行数気にせずに書けるのが良いところ。今日は軽趣向好作選です。
20241104miyaura
▲33銀△45玉▲36角△56玉
▲59龍△67玉▲58角△56玉
▲85角△66玉▲68龍△56玉
▲67角△66玉▲94角△56玉
▲67角△66玉▲58角△56玉
▲57歩△45玉▲65龍△同馬
▲36角△34玉▲35歩△同桂
▲45角△同玉▲44金まで31手。
 比較的手が付けやすく、調子よく59龍~58角としますが、56玉と銀を取らずに逃げるのがうまい抵抗で、94に落ちている歩を取ると45玉とされて失敗。94角ではなく一歩手前の85に開くのが落ち着いた手で、45玉には54龍、同玉、63角成で詰み。これで66銀を取らせてから67角・66玉型で94歩を取るのが正解です。
 2歩を手にして58角といったん元に戻し、57歩から収束に入ります。長くなりすぎず、かつ知恵の輪を形成した龍・角を綺麗に消した着地が見事で、軽趣向らしい楽しさ満点の作品です。


軽趣向好作選127

 すみません、前回の記事の詰将棋学校好作選(参考)の数字が間違ってました。27の参考図となります。

 ということで、今回はだいぶ久しぶりの軽趣向好作選です。
20241020souma
▲89角△87玉▲78馬△76玉
▲45馬△87玉▲78角△76玉
▲56角△87玉▲37飛△同香成
▲78角△76玉▲89角△87玉
▲78馬△76玉▲12馬△87玉
▲78角△76玉▲23角成△87玉
▲78馬△76玉▲89馬△87玉
▲78馬引△76玉▲56馬△87玉
▲78馬上△76玉▲88馬まで35手。
 玉方の65~64と96の2つの逃避ルートを防ぐため、89~12の馬の開き王手が続く仕掛けになっています。96玉と唯一逃げられるのは37飛の瞬間だけですが、それを予防するために45馬・56角型を作っておくわけです。
 ではなぜ37飛と捨てるのか、は角を馬にするため。23手目でそれを実現します。角を馬にすることで何が出来るか、は最終手で明らかになります。初形と34手目の局面を比べると……とわざわざ言うまでもないですね。とても分かりやすく楽しい趣向で作者の違った一面を窺うことが出来ます。
 なお、12手目同銀成ですと、27手目68馬が生じます(同手数なので希望限定ですが)。

軽趣向好作選126

 昔遊んでいた戦国シミュレーションゲームがまだプレーできることを知って買ってみたのですが、昔と変わらずハマってしまい、だいぶ時間を費やしてしまいました。今のネトゲはもっと面白いんでしょうね。廃人になる、というのもわかる気がします。

 本日は軽趣向好作選。こちらもハマる内容となっております。
20240923inoue
▲45飛△35桂▲26銀打△14玉
▲15飛△24玉▲35銀△15玉
▲26銀引△24玉▲25銀△15玉
▲16銀引△24玉▲25銀△15玉
▲16歩△同と▲同銀引△24玉
▲25銀△15玉▲36銀引△24玉
▲35銀△15玉▲16歩△25玉
▲17桂△14玉▲15歩△同玉
▲46銀△24玉▲35銀△15玉
▲44銀△24玉▲33銀生△34玉
▲44銀成△24玉▲25飛△14玉
▲26桂まで45手。
 45飛と離して打つ手にいきなり桂中合が出ます。これを同飛と取ると25桂、26銀、24玉で逃れるので26銀打と押えますが、14玉とされると虎の子の飛を打たざるを得ず、35銀にその飛を取られてしまって心細くなりますが、実はここからが主題。26銀引、24玉に25銀~16銀でまず16歩をはがし、さらにその歩を使って17のと金も消去。これはその次に25銀~36銀引としたときの35桂合に16歩を用意したもの。そこで36銀には24玉としますが、35銀として、26桂と打つ形を作りにいきます。たとえば14玉なら26桂、15玉、46銀、25金、16歩、24玉、25飛以下。これを防ぐため、玉方は15玉、16歩、25玉で桂を17に打たせて凌ぎます。が、15歩、同玉、46銀と落ちている桂を取る手がありました。14玉にはまた26桂ですので24玉ですが、落ち着きはらって35銀~44銀とソッポに開き、33銀生~44銀成とすることで34の逃げ道が無くなり、25飛で収束します。
 舞台装置を作る序からひらひらと左右に舞う銀の動きが理知的で美しく、見るだけで十分に楽しめます。作者の面目躍如の傑作です。

軽趣向好作選125

 最近、令和のコメ騒動みたいなことが起きてますが、構図としては昭和のオイルショックのときと大して変わっていないような気がします。ネット時代になっても、そういうところは変わっていない、ということなのかな。


 今日は軽趣向好作選。似た雰囲気の2作品です。
20240901hirose
▲27龍△46玉▲19角△28歩
▲同角△35玉▲47桂△同飛生
▲24龍△36玉▲48桂△同飛成
▲27龍△35玉▲47桂△同龍
▲36歩△同龍▲24龍△同玉
▲46角まで21手。
 27龍、46玉に19角と遠打。35玉は24龍までですので、28歩と捨合しますが、この時点で「ああ、24龍と捨てて46角までの筋かな」と見当が付きますが、すぐに24龍は36玉で詰みません。一方で36歩は打歩詰になっています。
 落ち着いてまず47桂と打ちます。同飛生とされて打歩詰は打開されませんが、47を塞いでおくのがミソ。これで24龍、36玉に48桂が局面打開の好手です。同飛生は27龍、35玉に今度は17角とする手があります。同香成は26龍まで、46玉は35角、55玉、57龍まで。この57龍を防いで同飛成とするのが最善ですが、再度27龍として47桂と戻せば今度は龍になっているので打歩詰が打開され、36歩と捨てて予定調和の24龍捨てが実現します。
 角遠打から両王手の筋は作例もいくつかあるのですが、飛成らせを入れることで軽趣向に仕立て上げるセンスは流石です。

20240901ueda
▲28桂△同と▲48桂△同角成
▲45銀△同銀25龍△37玉
▲28龍△36玉▲25龍△37玉
▲38歩△同馬▲49桂△同馬
▲28龍△36玉▲48桂△同馬
▲37歩△同馬▲25龍△同玉
▲35馬まで25手。
 初手28桂~48桂とまず桂を連続捨てし、1筋の香の効きを通して45銀が舞台作りの一手。同玉なら34龍以下で詰みます。同銀には取れない25龍が気持ちの良い一手で、37玉に28のと金を取って調子が良いのですが、36玉とされたときに25龍~28龍の千日手になることに気づきます。37歩と打てれば良いのですが生憎二歩。そこで、25龍、37玉に38歩と消し、49桂~28龍~48桂で馬を元の位置に戻せば、37歩が実現して25龍捨てが決まります。
 軽めのテイストですが、タネとなる28と金と48馬を序奏で動かす部分を含めて完璧な表現で、流石上田氏と唸らされます。

軽趣向好作選124

 昨日は詰とうほく。台風の影響が心配されましたが、ギリギリでそれてなんとか無事開催できました。くるくる展示室の冊子をUraさんからいただき、楽しみました。石川さんや小笠原さんの作品を解いたり、長編の修正について懇談したりであっという間の4時間でした。
 次回は11月23日(土)で申込しています。


 本日は軽趣向好作選です。
20240818tanigawa
▲28飛打△39玉▲38飛△29玉
▲28飛右△19玉▲18飛△29玉
▲28飛左△39玉▲49金△同玉
▲48飛△59玉▲58飛△69玉
▲68飛△59玉▲58飛右△49玉
▲38銀△39玉▲59飛△28玉
▲29銀△27玉▲18銀△26玉
▲29飛△15玉▲16歩△14玉
▲15歩△同玉▲65飛△45歩
▲同飛△14玉▲24飛△13玉
▲14歩△12玉▲23飛成△同玉
▲34金△22玉▲13歩成△同玉
▲43飛成△14玉▲23龍△15玉
▲24龍△16玉▲27龍△15玉
▲16歩△14玉▲24金まで59手。
 入玉形の無防備図式で飛打から入るしかありませんが、すぐ左に追うのではなく、いったん28飛右~18飛で19の桂を消去します。19桂を消去した効果は49金~48飛~58飛としたとき、49玉の変化で明らかになります。48飛右、39玉、28銀、29玉、49飛、18玉で桂がないので19飛までで詰み。
 やむを得ない69玉に68飛とすると、79玉は88銀があり、右に戻ることになります。前が空いている68飛を残して58飛と持駒の銀で今度は上に追います。15玉に65飛を急がず、16歩~15歩と消去しておくのがうまい。玉方も65飛に45歩で抵抗します。24飛に13玉とギリギリ逃れたように見えますが、14歩~23飛成~34金とし、13歩成~43飛成を実現すれば詰みに至ります。
 飛の横追いに不規則な縦追いを組合せ。プロ棋士らしい読み込まれた構成の作品です。

軽趣向好作選123

 来週はお盆ですが、その後17日に詰とうほくが予定されています。夏休み中という方、ぜひ足をお運びください。


 本日は軽趣向好作選です。前回と打って変わって、いかにも、という作品。
20240804tonami
▲37龍△同玉▲33飛△26玉
▲36飛成△17玉▲29桂△同と
▲16龍△28玉▲18龍△37玉
▲38龍△26玉▲36龍△17玉
▲16龍△28玉▲18龍△37玉
▲48龍△26玉▲46龍△17玉
▲19香△同と▲18歩△同と
▲16龍△28玉▲18龍△37玉
▲48龍△26玉▲46龍△17玉
▲16龍△28玉▲29歩△39玉
▲36龍△29玉▲38龍△19玉
▲18龍まで45手。
 大駒4枚ながら王手すら限られている初形。よく見ると37龍捨てから33飛と打ち直し、29桂で18の効きを外せば龍追いが実現します。38香を取った後、もう一度回転して48龍~46龍で更に持駒を補充します。
 香歩を手にしてどうするか、というところで、いったんどかした29と金を19香と呼び戻し、18歩からこれもハガしてしまうのが好手順でした。このと金を消すことで29歩と打つことができ、収束します。33~35手目は38~36龍でも可。配置と手順のバランスが良く、楽しめる作品になっていると思います。

 


軽趣向好作選122

 昨年冬にガス給湯器が壊れて、交換まで1か月半、エライ目にあったのですが、今年は夏突入と同時にエアコンが故障( ;∀;)。気温も出費もアツイ。

 こんなときにはやはり軽趣向ですよねえ(強引)。
20240721ueda
▲36桂△同と左▲25歩△同と
▲34飛生△23玉▲24歩△13玉
▲14歩△同玉▲15歩△同と
▲23歩成△同玉▲32銀生△13玉
▲14歩△同と▲23銀成△同歩
▲25桂△同と▲14歩△22玉
▲31飛成△同玉▲32桂成まで27手。
 33飛成は14玉で届きそうにないので36桂は打ってみたくなる手ですが、同と左とされるとやはり33飛成では打歩詰。そこで25歩と叩いて34飛生と13玉のときの打歩詰を回避する工夫が必要です。なお、25歩に13玉は14歩、同玉、15歩、13玉、12銀成、同玉、24桂以下。23玉とされたときに32銀生としたくなりますが、それではやはり13玉で打歩詰。24歩と叩くことで同とならば14の飛の効きが切れるので32銀生~14歩と打って詰みます。
 13玉が最善ですが、ここで慌てずに14歩~15歩と連打してと金を15に誘導。これで23歩成~32銀生と置き換え、14歩を実現します。最後は23銀成から綺麗にまとまりました。
 上田氏としては手遊びかもしれませんが、細かい手順と完成度に感心させられます。
20240721fukawa
▲26金△同銀▲61角△52香
▲同角成△27玉▲49角△37玉
▲39香△38香▲同香△27玉
▲31香成△37玉▲39香△38香
▲同香△27玉▲32香成△37玉
▲39香△38香▲同香△27玉
▲33香成△37玉▲39香△38歩
▲同香△27玉▲28歩△17玉
▲15飛△同銀▲18歩△26玉
▲36金まで37手。
 26金~61角と72金に狙いを付ける角打に捨合することで金取りを回避するのですが、歩合ではなく香合とするのが正解。この香合は何のためか、というと54に効きを作るため……ではなく、同角成、27玉のときに28香、17玉、15飛、同銀とすると18歩が打歩詰。これが歩合だと18歩が打てるので26玉、36金までです。つまり玉方香先香歩の捨て合です。
 さて、ではそれをどう打開するか、というと27角、37玉、39香で合駒をねだります。これで歩合ならば先ほどの手順で詰み。玉方はここでも香先香歩で38香合としますが、移動して繰り返すことで最終的には歩合を余儀なくされて詰む、という仕掛けです。
 深和氏らしい意欲的な表現ですが、ミステリ好きとしては33~31のどこかに駒を置いて邪魔駒消去できたらなあ、と思ってしまいます。作者も試してみたのかもしれませんが。

軽趣向好作選121

 昨日は来仙された角さんと懇親。年に1度の楽しみです。詰とうほくとタイミング合わないんですよねえ。惜しいところです。
20240630serita
▲37銀打△25玉▲26銀引△16玉
▲17銀△25玉▲16銀△同玉
▲45銀△25玉▲26銀△16玉
▲17銀△25玉▲36銀△15玉
▲26銀△16玉▲25銀左△同角
▲17銀△15玉▲16飛△同角
▲26銀まで25手。
 初手はほぼこの一手で、25玉に26銀上は36玉と戻られるので26銀引~17銀もこう指すところですが、25玉の局面でどちらの銀を26に上げても千日手模様。これを46銀を使ってうまく打開します。16銀と思い切って捨てて45銀とまず角の道を閉ざしつつ開き王手。26に合駒が効きそうですが、全部取って16飛と捨て、取った駒を打って詰みます。25玉とするしかないですが、そこで36銀と引く手を急がず、26銀~17銀と銀を置きなおすのが好手順。17銀型にして36銀と引くことで、15玉とする一手となり、26銀~25銀左とすることで25の逃げ道を塞ぐことが出来ます。最後は16飛と捨てて26銀まで、綺麗に収束。
 わずかな舞台装置の上を3枚の銀がチョウのように舞う美しい趣向で、この年のデパート年間優秀作を受賞した傑作です。

軽趣向好作選120

 同僚のススメもあり、日傘デビューを検討中です。7月に甲府でくたびれた格好で日傘さして歩いてる人がいたら、声かけてみてください(笑)。


 本日は軽趣向好作選です。
20240616nakamura
▲18龍△17金▲15金△同玉
▲17龍△16金▲14金△同玉
▲16龍△15金▲13金△同玉
▲15龍△14金▲22龍△同角
▲14龍△同玉▲15歩△同玉
▲16歩△同玉▲17歩△同玉
▲27金△18玉▲28金△19玉
▲18金打まで29手。
 1筋の縦の金送り。普通、縦の金合ですと同龍と取られて早く詰んでしまいそうですが、角桂の効きと25地点を空けることで巧みに早詰を回避しています。また、下段で収束するのが考えられるところ、12歩を壁にしつつ、11龍を配置することで13金に同歩の変化を成立させています。
 その龍を22に捨てる手をキーにして、歩を連打して玉を吊り上げれば、3手目同龍では成立しなかった27金の筋で雪隠まで追い込んで詰む仕掛け。力の籠った作品が多い作者ですが、器用な面を持ち合わせていることを感じます。

軽趣向好作選119

 次回詰とうほくは8月17日(土)の13時から、前回と同じ生涯学習センターの第1セミナー室を予約しました。だいじょうぶ、こんどは5階です(笑)。

 本日は軽趣向好作選。前々回でも紹介した深和氏の作品です。
20240602fukawa
▲26銀△16玉▲35銀△17玉
▲26銀△16玉▲37銀△26香
▲17歩△同玉▲26銀△16玉
▲37銀△26香▲17歩△同玉
▲26銀△16玉▲37銀△26香
▲17歩△同玉▲26銀△16玉
▲37銀△26銀▲17香△同玉
▲26銀△16玉▲17香△同桂成
▲25銀打△同歩▲17銀△同玉
▲29桂△同成桂▲18香まで39手。
 26銀と据えてまずは35歩を取り、今度は37銀と引いて28銀引を見せます。26香と飛を引き寄せる捨て合が最善で、これに対し17歩~26銀とすることで持駒の歩が香に変換されたことになります。これをもう2回繰り返し、持駒香3枚で37銀引とすれば香が品切れ。金合は17香、同玉、26銀、16玉に15銀が成立。角合は17香、同玉、26銀、16玉、17香、同桂成、34角があります。銀合が最善ですが、17香からその銀を入手し、桂を跳ねさせて25銀打が決め手。29桂、同と、18香でピッタリ詰みあがります。
 易しいですが、どうやったらこう都合よく出来るのか、と思うほど全く無駄のない作り。序奏・収束を含めて見事な軽趣向作品です。

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