第4作品集 あとがき+ファイル掲示

第4作品集はあとがきを付けております。

『あとがき

 第4集にして初めてあとがきも付けてみました。印刷したときに最後の紙の裏が白い方がいいかな、と。それだけの理由です(笑)。

 ブログ「冬眠蛙の冬眠日記」を始めたのがミニ作品集③を作る少し前でしたが、この④にはブログ発表作も結構多く収めています。「詰パラや将棋世界に出せばよいのに」といったコメントをいただいたりしたことも何回かありますが、個人的には雑誌発表とブログ発表にあまり差を感じていない、というのが正直なところ。思いついたときにすぐに掲載できて、感想もリアルタイムに確認できる点では、ブログのほうがベターといえる部分もあるかも。
 もちろん、そんなことが言えるのはコメントをいただけてこそ、なので私の駄文に付き合っていただいている皆さんには感謝あるのみ。今後もあまり質が上がることは見込めないのですが(汗)、よろしくお付き合いをお願いしたいと思います。』

ということで、長らく連載しました第4作品集紹介もこれにて幕。PDFファイルをアップロードしておきます。
「works4answercomment.pdf」をダウンロード

次回からはまた駄文に戻ります。九州は台風が大変なようですが、こちらの方にも向かってきそう、ということで今からガクブル。あまり大きな被害が出ないように。

第4作品集⑳解答

ここのところ仙台は雨続きで冴えない週末となりました。ヨメさんは土日で山登りの予定だったのですが、残念ながら中止に。安全第一ということで仕方ないですね。

さて、第4作品集紹介。最後の⑳の解答です。

20170709

▲47金 △45玉 ▲56飛成△イ44玉▲55銀 △ロ33玉
▲44銀 △ハ同玉 ▲53龍 △34玉 ▲36香 △ニ35歩
▲同香  △同玉  ▲A36歩△34玉 ▲35香 △45玉
▲B56龍△44玉 ▲24龍 △ホ同馬 ▲53龍 △45玉
▲37桂 △同と  ▲46金 △同玉  ▲56龍迄29手。

○イ34玉は35香、44玉、36桂以下。
○ロ53玉は64銀、44玉、53龍、34玉、35香、同玉、36香、45玉、56龍、44玉、53銀生、43玉、35桂以下。
○ハ22玉は23龍、同玉、15桂、12玉、13香、同玉、31角、24玉、35銀、同玉、13角成、34玉、23馬、25玉、26香、同桂、36金以下早い。
○ニ・○ホ 桂(打)合は品切れ。
○A36香は45玉、56龍、44玉、24龍、同馬、53龍、45玉、37桂、同と、46金、同馬で逃れ。
○B先に37桂は同と、56龍、44玉、24龍のとき34桂打合で逃れ。

 制約美の世界である詰将棋においては「理屈は成り立つのだが、図化するのは難しい論理」というものがあると思う。変化・紛れ・作意が紙一重だと、「ある作意を成立させた瞬間に、変化が詰まなくなったり、紛れが余詰んだりする」といった事態が、ごく当たり前に発生する。このため、構想作では舞台設定がかなり重要な意味合いを持つ。
 本作の狙いは「後の局面で馬筋を遮るため、普通に香を打てるところを歩香重ね打ちする必要があり、その歩香重ね打ちをするために歩を事前に消去しておくこと」である。言葉にすると「なんだそりゃ?」であるが、最終3手前の局面が全てを物語る。

201707302

右の図がそれ。この図で36歩・35香が仮に36香一枚だったとすると、46金に対して同馬で不詰。したがって、15手目の局面で、単に36香ではなく、36歩~35香と重ねて打つ必要がある。しかし33歩が残っていては36歩が二歩で打てないわけで、このことから、55銀~44銀として事前に33歩を消去する手が必要になるわけだ。
 理論としては難しくないが、実現までの作図ハードルは相当に高かった。舞台設定を変
えればもう少し簡明に出来るかもしれないが、謎解きとしての妙味も残しておきたい。そういった意味で、本作は満足できる展開。歩消去にともなう変化が厚い分、構想発見の瞬間の喜びを解答者の方に与えられるのでは、と思う。

ss「見たことのない構想。馬筋を遮り、歩香を重ね打ちするため、33歩を消去する」
詰鬼人「序の変化がなかなか難しく、36歩から35香の団子打ちも面白い手です」
須川卓二「二歩禁がらみの作品の好作は久しぶりだ。55銀がやりにくい手になっているのも見事」
 こういった構想作は根気と着想の双方が必要。大変は大変だが、創作の醍醐味を味わえる。いつかまた、こういう作品でお目にかかり、少しでも解ける感動を与えられれば、と思う。


(詰将棋パラダイス H20・9)

第4作品集紹介⑳+⑲解答

看寿賞が発表されましたね。今年は冬眠蛙的には納得の作品選出でしたが、皆さんいかがでしたでしょう?受賞された皆様、大変おめでとうございました。

さて、第4作品集もいよいよ大詰めです。最終、⑳の紹介を。

20170709
20手台。この作品限りのペンネームで出しました。特に深い意味はありません。結構な苦心作ですが、いかがでしょうか。

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⑲解答・解説
20170617

▲43角成△イ77金▲64龍 △ロ86玉▲95角成△ハ同金
▲98桂 △同と  ▲87金 △同金  ▲84龍 △同香
▲53馬 △85玉 ▲75馬迄15手。

○イ77合は42角成以下。76金は42角成、66玉、76馬、56玉、57金以下。
○ロ同玉は65金、63玉、55桂、72玉、77香以下。
○ハ同玉は94龍、86玉、98桂、同と、87金以下。

 龍をどかして馬を寄って詰み、がやってみたかった形。87金、同金を逆算した段階で、「この金を捨合で出せるよう頑張ろう」と目標を立てた。なので、以下この初手に至るまでの逆算は全て2手目の移動捨合成立を目指して入れたもの。制約が厳しくて収束を2手延ばさざるを得なかったが、なんとか当初の狙いを実現できた。不器用な私にとっては、かなり稀有な体験であり、そういった意味で印象深い作品。
宮○忍「64龍で一気に網を絞る」
野口○治「移動中合以下すべてがカレイでカッコ良し」
近藤○「大胆な動きの中に緻密に計算された配置と手順がある。好みの作です」
真○千秋「強手がこれほど続くとは驚き」
 移動合実現までが精いっぱいで、序奏等の飾りを入れる余裕は一切なし。ただその一方で配置に関してはベストをつくしたつもり。一見多いように見えるが、どの駒も複数の変化・紛れに関与しており、機能的には好形と思う。ダイナミックな作意の裏にある、この張りつめた感じを汲みとっていただいたのか、B級順位戦で首位を獲得した。
(詰将棋パラダイス H17・6)



第4作品集紹介⑲+⑱解答

 最近、豪華列車が話題になっていますね。テレビ等で紹介されるたび、「すごいなあ」と感じるのですが、自分が乗ることを想像したとき、基本的にコース決まってる、というのがどうもなあ、と思ってしまいます。特に国内であれば、気ままに行くところを決めて、当日の予定変更も全然アリ、が自分のスタイルなので、多分そういう人間には合わないんでしょうね。

 さて、第4作品集紹介も2作品を残すのみとなりました。今日は⑲です。
20170617
10手台です。大した作品ではないですが、配置はベストを尽くしたつもり。

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⑱解答・解説

20170523

▲13金 △同玉  ▲14銀 △24玉 ▲23銀成△14玉 
▲13成銀△同玉  ▲35角 △イ同と ▲14銀 △24玉 
▲23銀成△14玉 ▲24金 △同銀  ▲13成銀△同玉  
▲14香 △同玉  ▲32角 △13玉 ▲23角成迄23手。

イ24金合は14香、同玉、23銀、同金、15銀、同玉、26金以下。この変化のため、35角は限定打。

 密集した小駒図にボリュームのある持駒で腰が引けそうだが、実は14銀~23銀成~13成銀を繰り返す軽趣向作。24桂を消去することで35角が打てるようになり、と金をずらすことで24金と捨てて退路を封じることができる仕掛け。
加■孝志「14に玉を持って来る、33とがブラなので一苦労、ダダッ子をあやす母親、穴をふさいで眠りにつく」
凡骨生「14銀打~23銀成のリフレインが心地よい」
■口賢治「邪魔駒を消した跡地の退路塞ぎが詰将棋」
 頭2手を追加。当然の一手だが、主題に合わせてみた。


(詰将棋パラダイス H18・7改)

第4作品集紹介⑱+⑰解答

20170523

⑱です。20手台ですが多分暗算向きですね。

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⑰解答・解説

20170507
▲23金 △14玉 ▲13金 △24玉 ▲23金 △14玉
▲24金 △同玉  ▲13銀 △14玉 ▲23銀 △同銀
▲24銀成△同銀引 ▲12飛成△同銀  ▲26桂迄17手。

 「24玉・32飛・63飛の形で32飛が横に動くと玉が3筋に逃げられる形」をスタート地点に暗算創作したもの。ただし収束や余詰検討等の仕上げは盤駒使用。最後まで暗算でやれる技能が欲しいなあ(笑)。
 最終手を除く全ての詰手が捨駒で、また全ての応手に変化が付き纏うが、どの変化も異常に短いあたりは、いかにも暗算創作。内容は普通の手筋モノだが、軽い趣向詰のような雰囲気を持っていて、お気に入りの小品。
中村■哉「リズミカルかつ巧妙な手順で、これが暗算創作とは脱帽です」
チャンボコ「持駒の使い方がうまいと思いました」
ほい「軽くて気持ちが良いです」

(冬眠日記 H23・5)

有吉さん、コメントありがとうございました。作ったときは「一本道すぎるなあ」と思っていたんですが、やはり暗算創作だからなんですかねえ。

第4作品集紹介⑰+⑯解答

ゴールデンウィークは久しぶりに実家に戻ったり、近くに遊びに行ったり映画を見たり、といった感じで過ごしました。おしまいかぁ。

さて、第4作品集紹介を。もうあと一息です。
20170507

10手台。これも結構好きな作品です。本当は将世向きかな?ネタがなかったこともあり、このブログ上に出しました。
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⑯解答・解説
20170416


▲29香 △28角 ▲同香  △27角 ▲同飛  △16玉
▲17飛 △同玉  ▲37飛 △27桂 ▲同飛  △16玉
▲17飛 △同玉  ▲29桂 △16玉 ▲27角 △26玉
▲17角迄19手。

 詰将棋全国大会の握り詰入賞作。いきなり角の連続捨合という大技が飛び出すが、論理はいたって簡単で、歩は二歩、桂は5手目同香~18飛、それ以外は6手目の局面で打てば詰み。二枚角を手にしたところで盤上の飛車を二枚とも捌き捨て、最後は角をベタベタ打って詰み。普通なら絶対にありえないセンスの収束だが、連続捨合でもらった角なので、逆にユーモラスに感じられる。人間心理というのは不思議なものだ。

ぷら「こーゆうの好きです。初形見て解こうって気にさせてくれます。内容もあって詰将棋の面白さをやさしく教えてくれてるようです」
首●夫「いいね、これ。詰上がりもこれでいいと思う。捨て味より切れ味」
須川●二「まさに握り詰らしい好作ですね」

(詰将棋パラダイス H17・9)

第4作品集紹介⑯+⑮解答

 先日、たまたま民進党を離党した長島衆議院議員の記者会見の挨拶文を見る機会があったのですが、内容にとても感心しました。同じように考えている国民は非常に多いと思うんですけど、自分だけですかね。
 選挙区は全然違うので投票はできませんが、今後の政治活動に幸あれと願っております。いや、本当に。

 話は変わりまして、今週末(22日)は詰とうほくです。今日は仙台も気温が25度を超え、コタツがまだ出ているのが気恥ずかしくなるような陽気でしたが、週末は予報では最高気温15度とやや寒め?おいでいただける方におかれましては、衣服の調節にご注意ください。
 
冬眠蛙は朝町内会なのですが、多分時間までには着けると思います。万一に備えて、先にお金払っておきますね。

 さて、では第4作品集紹介を。今日は⑯。そろそろラストスパートですね。

20170416

10手台。ちょっとしたユーモア作のつもりです。

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⑮解答・解説

20170325

▲24金 △イ同玉 ▲A16角△ロ26飛▲B同香 △35玉
▲46銀 △同馬  ▲C55飛△ハ45馬▲24銀 △26玉
▲56飛 △同馬  ▲27金迄15手。

イ26玉は25金打、同桂、同金、同玉、16角以下。
ロ28馬や他合は34金、13玉、24銀、同飛、同金、22玉、23金以下。
ハ同馬は24銀、26玉、27金迄。
A36角は35玉、24銀、34玉、35銀、43玉、44銀、42玉で逃れ。
B34金は14玉、23銀、同飛で不詰。
C65飛以遠は45歩、24銀、44玉で逃れ。したがって55飛は限定打。


 手の密度という点で、自作中上位に来る作品。変化・紛れの森をくぐり抜けての55飛は、指がしなる手になるのでは。A級順位戦優勝作。

今川健一「捨合で入手した飛の活躍、良し。おまけは、馬の移動合」
宮本慎一「4手目26飛中合とはビックリ。55飛から56飛で馬の無能化を図る」
竹中健一「初手から難しい。取った飛車もうまく消えた」

 初手が自然に入る等、ツキがあった一方、変化・紛れの両立が難しく、52銀・63歩は苦心の配置。52となら一枚で済むが…。

(詰将棋パラダイス H21・6)


第4作品集紹介⑭+⑬解答

震災から今日で6年。ちょうどその頃のブログを読み返したりしています。冬眠蛙は運よく、物理的な被害はほとんど受けていないのですが、震災以降はものの考え方がだいぶ変わったような気がします。気のせいかもしれませんけど。

さて、第4作品集紹介を。
20170311

10手台。前にも書いたかもしれないのですが、実は詰将棋を本格的にやりだす前に遊びで作ったものを手直しした作品です。本当に懐かしい。結構気に入っています。

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⑬解答・解説
20170219


▲A36桂打△イ35玉▲26金 △同玉  ▲23飛 △35玉
▲24飛成△45玉 ▲54飛成△同桂  ▲46歩 △同桂
▲81馬 △同馬  ▲44龍迄15手。

イ34玉は24飛、35玉、26金、45玉、44飛、同馬、46歩、34玉、25金以下。
A14飛は24香、同飛、35玉で逃れ。

 順位戦は基本的に自由出品なので、前衛的な試みに向いた催し。本作は形にこだわらず、序の3手の不利感を狙った。16歩配置はやや残念だが、偶然入ったイの変化が良いアクセントになっており、まずまずの出来。
宮○卓也「もったいないような金のポイ捨てで、打歩詰が回避できた」
小○寺達也「かなりの時間を要した。金捨てから23飛に気付くのが遅れた。収束部捨駒が良い」
詰鬼人「26金~23飛は巧い狙いで、大駒を捌いての収束も好手順」
 もしかすると左右反転した方が、若干不利感が増すか?まああまりヒネたことは考えないようにしよう(笑)。

(詰将棋パラダイス H20・6)

第4作品集紹介⑬+⑫解答

先日より、たまたま入手できた日本酒「〆張鶴 大吟醸金ラベル」を晩酌に少しずつ飲んでいます。いや~、うまい。辛口ですが、全くしつこさがありません。ちょっとお高めですがみなさんにもオススメです。

さて、では第4作品集紹介を。今日は⑬です。

20170219

すごい形ですが、短編です。いかにも順位戦、という感じかな。解後感はそう悪くない…はず。

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⑫解答・解説(有吉さん、ありがとうございました。)
201702052

▲25銀 △同玉  ▲A44角△イ27銀▲35金 △26玉 
▲37銀 △同玉  ▲46銀 △同玉  ▲47銀 △37玉 
▲36金 △同銀成 ▲48金 △同飛成 ▲26龍 △同成銀 
▲55角迄19手。

イ34玉は35金、43玉、23龍、54玉、76角以下。
A53角成は28歩、35金、26玉、37銀、同玉、38銀、46玉で逃れ。

 3手目44角が渋い一手。作意47銀のとき55玉を防止するわけだが、変化をともなうので53角成としたくなるところだと思う。収束の3連捨てが狙いの手順。

○田和彦「第一感は53角成。44角は宙ぶらりんで指しにくい。37銀以下手が続くのには驚いた。金と龍が消えて見事な収束」
天○包子「48金を見つけて作意に入ったと思った。大苦戦」

 発表時は23馬を21桂にしていたが、4手目角合が割り切れず愕然。修正により、44角の味が少し落ちるのは残念。

(詰将棋パラダイス H17・11修正)

第4作品集紹介⑫(アンケートつき?)

昨日の記事に書いた、収録作の直しが終了したのですが、修正図が2パターンあり、迷っております。

20170205


201702052

どちらも作意は同じです(10手台)。やはり下かなあ。。。上の方が原図の雰囲気に近いんですよね。こういうツマラナイことで悩むのも、詰将棋作家の性でしょうか。こっちが良い!という意見がありましたらコメントいただければと。ちなみに、馬配置はどうしても必要で、他の駒での代用は変化の都合上不可です。