« 2025年9月 | トップページ | 2025年11月 »

2025年10月

詰将棋学校好作選51

 仙台はここのところ一気に寒くなりまして、コタツもストーブも早くも登板が必要となっている状況です。次の土曜、11月1日は詰とうほくです。今のところ少し暖かくなる予報のようですが、天気も変わりやすいですので、皆さまお気をつけてお越しください。場所は仙台駅から歩いて10分ほどの宮城野区生涯学習センターとなります。


 さて、今日は詰将棋学校好作選です。よく練られた中編です。
20251026mizukami
▲24飛成△12玉▲34馬△23歩
▲15龍△21玉▲33桂△22玉
▲14桂△11玉▲21桂成△同玉
▲22桂成△同玉▲44馬△33角
▲34桂△21玉▲11龍△同角
▲同馬△同玉▲33角△12玉
▲22角成まで25手。
 盤面は僅かに6枚。飛馬2枚で簡単に詰みそうですが、持駒が頭の丸い桂だけなので、意外に苦労します。
 24飛成から34馬は23に合駒されるだけにやりにくいのですが、銀等の強い合駒ですと同馬、同桂、14龍がありますし、23香合は同馬、同桂、14香なので歩合しかありません。そこで15龍とソッポに引くのが好手。13歩合は24桂、22玉、32と、同金、同桂成、同玉にいったん24桂と捨てるのが好手で、以下同歩、44桂、22玉、32金以下で詰み。
 15龍には21玉と逃げるのが最善ですが、13桂、22玉、14桂打てるのが15龍とした効果。そして21桂成、同玉、22桂成と打った桂を両方捨てて、玉を22に移動させるのが玄妙な手順になります。44馬からの収束もうまく龍捨てでまとまりました。
 2手目の変化で14龍を読むだけに、歩合のときの15龍の味はまた格別。いかにも作者らしい、味の良い中編になっています。

軽趣向好作選152

 今週末は解図をちょっと休んで、ちょっと久しぶりの創作にいそしんでました。解答を頑張ると、創作も少し上達するかなと思ったんですが、そう甘くはないですねえ。ふう。


 さて、気を取り直して軽趣向好作選。またまた合駒趣向です。今回はちょっとゴツイですが、楽しさは保証します。
20251019aoki
▲42香成△同玉▲44香△43香
▲同香成△51玉▲63桂生△同歩
▲42成香△同玉▲44香△43香
▲同香生△32玉▲35龍△同飛
▲42香成△同玉▲44香△43香
▲同香成△51玉▲95角△同飛
▲42成香△同玉▲44香△43香
▲同香生△32玉▲48角△38と
▲42香成△同玉▲44香△43香
▲同香成△51玉▲84角△73香
▲同角成△同歩▲42成香△同玉
▲44香△43香▲同香生△32玉
▲22銀成△同玉▲24香△12玉
▲13香まで53手。
 ぎょっとする初形ですが、手は限られています。42香成から44香と打ち換えすれば32玉は43香成、51玉は41香成で詰み。困るようですが、43香の捨て合がうまい手で、同香成なら51玉、同香生なら32玉で凌ぐ狙いです。
 さて、それに対してどう詰ますかが本番。まずは同香成、51玉のときに63桂生と捨て、同歩に42成香から44香と再度打ち換え。当然また43香合とされるのですが、今度は同香生として32玉に35龍と捨てます。このように43香合を成で取るか、生で取るかを使い分けて局面を打開する趣向となっています。
 次は同香成で51玉に95角として3筋から飛をどかせ、次は同香生、31玉に48角と引く手を入れ、更に同香成、51玉型にしたうえで84角で合駒をもう一枚稼ぎ、最後は同香生、32玉に22銀成が決め手となって詰みに至ります。
 
 成生によって応手を変える、打診合の手筋ですが、香のときだけ打歩詰を使わなくても成立するわけで、そこに着眼しただけでなく、それを元に成生の繰返し趣向に仕立て上げた作者のセンスに脱帽。傑作です。

詰将棋学校好作選50

 X(旧Twitter)でも書きましたが、今週は出張で大阪に行ってました。金曜休暇を取れたので、某専門誌の編集部まで足を伸ばしましたが、編集長ご不在で残念でした。せっかくなので近くの大阪天満宮に行ったのですが、なんと全館工事中で見える場所にあるのは賽銭箱だけ(笑)。一応お参りしましたが、ご利益はあまり期待できなそうです。


 さて、今日は詰将棋学校好作選です。
20251013yamada_20251013205501
▲97銀△95玉▲94と△同玉
▲95歩△同玉▲96香△85玉
▲75金△同玉▲76歩△同玉
▲87銀△同玉▲89龍△97玉
▲79馬△96玉▲46飛△同角成
▲78馬△95玉▲77馬△94玉
▲76馬△93玉▲66馬△92玉
▲56馬△65歩▲同馬△91玉
▲98龍△81玉▲92龍△71玉
▲61と△同玉▲83馬△51玉
▲52歩△同金▲81龍△62玉
▲61龍まで49手。
 初手からして度肝を抜かれます。同玉は99龍、87玉、88歩、77玉、79龍以下。以下96に香を据えるところまではやってみる手ですが、85玉に75金~76歩がまたやりにくい。65玉は66歩として飛の横効きが通って詰み。さらに76玉に87銀と捨て、同玉(85玉は86銀左~75銀~79龍の筋で詰み。これも難しい)に89龍としてようやく筋に入ります。
 以下は79馬~馬による縦追いなのですが、74馬、91玉まで来たときに37角の効きが強く、これは詰みません。どこで間違ったのでしょうか。
 実は96玉のときに46飛と捨てるのが作者狙いの一手でした。同角成とさせておいて、馬で追うときに75馬-74馬ではなく、66馬-56馬と46に呼んだ馬にぶつけに行くことで、捨て合の一歩を稼げる仕掛けです。その歩を使って83馬~52歩で収束します。
 厚く深い序をようやく潜り抜けたところで、深謀遠慮の伏線手が飛び出す構成で、これを征服した解答者からは絶賛を浴びました。評点は2.9を超えましたが、「構想そのもので十分勝負できる作品なのに、序盤の変化をやたら煩雑にして間口を狭める必要もなかったのではないかという気がします」という担当の言葉には賛同します。

軽趣向好作選151

 総裁選、高市氏でしたねえ。今は誰がなっても大変かと思いますが、この現在状況だと、政治家には夢じゃなくて現実を見せて欲しい、と思ってます。どう転んでも大変だけど、その中で辛くてもこれがベストなんだ、という施策を見せて欲しいです。


 今日は軽趣向好作選です。今回も合駒趣向になります。
20251005wakashima
▲65飛△同玉▲74歩△75飛
▲同飛△64玉▲65飛△同玉
▲66飛△74玉▲76飛△75飛
▲同飛△64玉▲65飛打△53玉
▲44馬△同玉▲74飛△同桂
▲64飛△同香▲54金△35玉
▲34銀成△同銀▲36歩△同と
▲24銀△45玉▲55金迄31手。
 飛の不利合を絡めた知恵の輪と言えば良いでしょうか。仕掛けは右辺にあり、たとえば65飛に53玉とすると、44馬、同玉、54金、35玉、34銀成、同銀で打歩詰の形ですが、54金の前に64飛、同香と捨てる手を入れれば、36歩が打てて詰みます。 ということは45とがピンされていれば打歩詰逃れ、そのピンを外せば詰みという構図で、玉方はピンを外させないよう抵抗します。
 その手始めが74歩に対して75飛打合と捨て合する手。75歩合ですと、同飛、64玉に65歩と打つ形になり、飛の横効きが消えるので詰み。75飛合に同飛、64玉として65飛打と重ね打ちさせればピンが解除できないので逃れます。
 65飛打の代わりに65飛と捨てて、同玉に85飛と打つと75飛合で摩訶不思議な千日手になるのですが、それを打開するのが66飛と下から打つ手。74玉に76飛と寄ると、64玉には85飛のときと同様86馬で詰みますので、やはり75飛と捨て合しますが、同飛、64玉のときに74歩が無くなっているのがポイント。これにより、65飛打、53玉、44馬、同玉のときに74飛、同香、64飛、同桂と二枚とも飛を消せるので収束に向かうことが可能となる仕掛けでした。
 明快な論理で飛の押し付け合いが展開されており、詰将棋の楽しさが詰まった一品です。

« 2025年9月 | トップページ | 2025年11月 »