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2025年3月

軽趣向好作選138

 今日は詰将棋解答選手権が開催されましたね。ネットでは前半の斎藤氏作が難しいと話題になっていました。見るのが楽しみです。見てみたら、チャンピオン戦は出場資格に制限があるんですね。普通の人だと「一般戦で全題正解経験あり」が一番近道かな?昔主催者側で仙台で開催したときは、自分もその場で全部解けましたが、今は厳しいかもしれないなあ。最近解図頑張ってるのでちょっと興味はありますが。


 ということで自分のフィールドに戻って(笑)、今日は軽趣向好作選。短編2作です。
20250330kubo
▲15香△同龍▲14香△同龍
▲13香△同龍▲12香△同龍
▲同銀成△同玉▲11飛△同玉
▲21馬まで13手。
 4香連捨てです。初手13香は22玉で駄目、14香は同角、13香、22玉で駄目で、最初に15に龍を呼ぶ手が必要となる仕掛け。15香に13合は12香で簡単ですが、14合の変化がちょっと面白く、たとえば桂合ですと同香、同角、13香、22玉、12香成、23玉、15桂以下。つまり合駒を取って使うことで処理しています。この手の連打モノではちょっと珍しいタイプかと思います。なので16歩は香の打場所を限定しつつ、歩合も回避しています。
 12龍まで引っ張ってきて同銀成~11飛は最短距離の収束で綺麗にまとまりました。配置駒数も少なく、美しい仕上がりです。


20250330uetani
▲18香△17桂▲36飛△25玉
▲38飛△16玉▲17香△同玉
▲18歩△16玉▲36飛△25玉
▲37飛△16玉▲28桂△同香成
▲17歩まで17手。
 この作品はアレコレ解説するよりも、ただ並べて味わって欲しい。美しい繰り替えです。あれこれ修飾せず、主題を簡潔に伝えることを優先した作者のセンスを含めて拍手。

詰将棋学校好作選38

 今年の詰将棋全国大会は福岡開催ということで、そろそろ…と思い某トラベルサイトにて飛行機含めて確保しました。今回は夏の家族旅行をかねて思い切って3泊4日にしましたが、行きたいところを調整した結果、全国大会の二次会は途中で失礼することになりそうです。でも今回は多分そんなに役割ないと思いますので、目いっぱい楽しむ予定です。参加される皆様、よろしくお願いします。


 本日は学校好作選。短編です。
20250323aguni
▲26香△同馬▲25香△同馬
▲24銀打△同馬▲22飛△33玉
▲32飛成まで9手。
 33銀が浮いている一方で上部が開けており、単純に24銀打と33銀を守ると34玉、44飛、25玉で逃げだされます。そこで持駒の香を使うのですが、25香ではなく26香が深謀遠慮の一打。26地点を埋めることで、25香に対して14玉としたときに、24銀成、15玉、14飛までの変化を用意しています。
 26香に対しては同馬と取るのが最善で、25香も同桂ではなく同馬と取れるのですが、更に24銀打と馬を呼び寄せるのが好手で、22飛から32飛成でピッタリ詰上がります。33銀が浮いた状態での展開は緊張感がありますね。手順のインパクトがやや弱く、半期賞は逃しました(ちなみにこの期は該当作なし)が、完成度が高く好感が持てる仕上がりです。


 ところで、先週紹介した軽趣向好作選の鈴川氏作に対して、EOGさんから「似ている作品あり」という連絡をいただきました。
Sankou20250323kannno
確かに鈴川氏作の3手目以降と段は違いますが同じ手順。ありがとうございました。鈴川さんのmy cubeにも何も書かれていませんでしたので、おそらく知らなかったものと思います。作品的には2手逆算(軽趣向的には非常に大きい2手)と構図の取り方がまるで違うことを含めて、新作と言って良いでしょう(なんか偉そう…笑)。

軽趣向好作選137

 おもちゃ箱の年賀詰コンクールで2位に入賞しました!投票いただいた皆様、ありがとうございました。


 さて軽趣向好作選、今日で2014年最後になります。
20250316suzukawa
▲44銀△26玉▲35銀△15玉
▲24銀△26玉▲15銀△同銀
▲25飛△同玉▲36馬まで11手。
 55の銀がノンストップで15まで移動します。2手目35桂合は36馬、15玉、35飛で、35香合は同飛で各々早詰。初手36馬だと15玉で逃れるので、わずかな局面の違いでうまく手順が成立できていることがわかります。収束も25飛捨てで気持ちよく纏まりました。
 難しくはありませんが、オリジナリティを含めて完成度の高い小品で、本当に何をやっても巧い作者ですね。


20250316souma
▲53歩成△同桂▲72馬△74玉
▲54飛△64角▲同飛△同桂
▲63馬△同玉▲81角△72飛
▲同角成△74玉▲79飛△76角
▲同飛△同桂▲63馬△同玉
▲81角△72飛▲同角成△74玉
▲54飛△64角▲同飛△同玉
▲56桂△74玉▲63馬△同玉
▲81角△72歩▲同角成△74玉
▲75歩△84玉▲93銀生△同金
▲85歩△同玉▲63馬△86玉
▲96馬まで45手。
 不利合をベースにした驚きの繰返し趣向が展開されます。まず54飛に64角合。これは同飛、同桂、63角、84玉、93銀生、同金のときに85歩を打歩詰にするためです。例えば歩合だと63角の代わりが75歩になるので、85歩、同玉、63馬以下で詰む仕掛けです。
 64角合には同飛、同桂とした後、63馬~81角と92に金に狙いを付けるのですが、ここで72角合は同角生、74玉、52角で73が空くため打歩詰が打開されます。これで解決……と思いきや、今度は玉方は72飛合とここでも不利合を繰り出します。75飛、84玉、93銀生、同金のときに85歩が打歩詰になるわけです。
 ここで飛を離して打てば85歩が打てるのですが、76歩合のときに75歩以下で詰ますため、72飛合に同角成が絶対。72の駒が馬になったので76の合駒をまた角合にすれば打歩詰誘致できます。
 これをまた回避するために63馬~81角とし、72飛合をまた強要。最終的には48桂を56桂と跳ね、64に効きを作ることで打開します。56桂型だと81角、72飛合には同角成、74玉、64飛で詰むので72歩合(桂・香も可)とせざるを得ず、収束に向かいます。
 (前にもブログに書いたのですが)飛の不利合の仕組み自体は自作でもあるのですが、まさかこのように発展できるとは驚きで、これを繰り返す仕組みも含めて素晴らしい。この年の看寿賞を受賞した傑作です。

詰将棋学校好作選37

 詰将棋学校好作選は今日から1998年上半期になります。まずは中編無仕掛けから。
20250309nagareda
▲14飛△13桂▲11飛△同玉
▲13飛成△21玉▲23龍△22銀
▲32角△11玉▲14龍△12銀
▲同龍△同玉▲21銀△11玉
▲23桂△同銀▲33角△22飛
▲12歩△同銀▲同銀成△同玉
▲22角成△同玉▲23銀△33玉
▲34飛△42玉▲41角成△同玉
▲32飛成△51玉▲63桂まで35手。
 無仕掛けで、とりあえず上から飛で押さえるしかないですが、13の合駒がまず難しい。未定のまま進めるのが実は正解ですが、8手目や12手目もまた迷うポイントで、組合せを読まないといけません。
 先に8手目31玉の変化。22角、42玉、33角成、52玉、41角、62玉、32龍以下。また12手目12歩合だと23桂、同銀、22角、同玉、23角成、31玉、34龍以下。つまり2手目の合駒が何であっても成立することになります。その上で15手目の局面で、仮に2手目が歩合だと早く詰むのですが、ここも結構難しい。13歩、同玉、35角、24飛、25桂、12玉、13歩、同銀、23銀、同飛、同角成、同玉、13角成以下となります。
 ようやく2手目桂合が正解と判明し、15手目21銀から第2幕。23桂~33角とすると精算して13歩~25桂と打つ筋があり飛合が正解となり、その飛を取って23銀~34飛で収束に向かいます。最後は桂ツルシまで、うまくまとまりました。
 かなり読みを要求される作品ですが、手順の妙味が難度に埋没することなく表現できており、解答者に軒並み高評価を得ました。作者は確か私と同年代だったかと記憶しており、洗練された作品を多く発表されていました。復活を期待したい作家の一人です。


軽趣向好作選136

 次回詰とうほくは5月17日(土)開催となりましたが、場所は青葉区中央市民センター和室となりました。前回5個くらい当選したのが今回は1個だけ。ツキとかとはまた違うような気がするのですが。


 さて、今日は軽趣向好作選。Vol2に向けて(いつになるんだ)、2作紹介。
20250302horiuchi
▲41桂成△同玉▲52銀△42玉
▲43角成△同と▲34桂△同銀
▲43香成△同銀▲34桂△同銀
▲45飛△同銀▲34桂△同銀
▲43歩△同銀▲41銀成まで19手。
 62飛が間接的に22の先手玉をにらんでいる中、41桂成と初手から逆王手をかけさせる展開は意表かもしれません。つづく52銀は必然手になりますが、同飛の変化が難しい。同角成、同玉に32飛と打つのが好手で、42歩は82飛成、43玉、87角で、63玉は55桂、同と、83飛成、54玉、63龍以下で詰み。
 そこで52銀には42玉ですが、43角成が思い切った手で、52銀を浮かせた状態のままで45銀を連続で動かす趣向手順が展開されます。34桂に52玉は81飛成がピッタリ。43とを剥がした後、85飛を消して最後にもう一度43に銀を呼んで詰上がります。緊張感ある中での銀翻弄で独特の爽快感がありますね。
20250302miwa
▲56金△同玉▲57龍△45玉
▲54角成△同銀▲46龍△34玉
▲44龍△25玉▲37桂△同と
▲24龍△36玉▲26龍△45玉
▲46龍△34玉▲44龍△25玉
▲24龍△36玉▲48桂△同と
▲26龍△45玉▲46龍△34玉
▲44龍△25玉▲26銀△16玉
▲17銀△27玉▲24龍△36玉
▲26龍△45玉▲46龍△34玉
▲44龍△23玉▲15桂△32玉
▲22桂成△同玉▲13角成△同玉
▲33龍△14玉▲23龍△15玉
▲26銀△16玉▲25龍△27玉
▲35銀△37玉▲26龍△47玉
▲46龍まで61手。
 35角を軸とした龍の回転追いです。まず37桂を打って26桂を剥がし、次に26銀から17桂を剥がす……と見せかけて、48桂捨てを入れるのがミソ。47玉の変化に対応できるのは銀を手にしているこのタイミングだけです。もう一度回って今度こそ26銀から17銀としてもう一周すれば37桂があるので25玉とはできず、収束に向かう仕掛けです。その収束も上部で詰むかと思いきやまた下段に戻ってくるのが良いですね。
 個々の回転の意味づけは単一にするのが一般的ですが、本作の場合は最初の1周目が27との移動と26桂取りを兼ねたものとなっていますが、還元玉にこだわった?序奏を含めて作者らしさが感じられる作品です。


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