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2024年12月

軽趣向好作選132

 本当は今日はカミさんの実家の掃除する予定でしたが、年末腹をこわしてしまい、家で一人静養中です。ということで上げれるうちに年内最後の記事更新を。軽くて楽しい作品です。


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▲21銀生△23玉▲12銀生△22玉
▲23銀成△同玉▲32角△22玉
▲21角成△23玉▲32馬△12玉
▲23銀△同銀▲21馬まで15手。
 23銀打としたくなる形ですが32が銀では無理筋で、これを角に置き換えたい先手とさせたくない後手でユーモラスな追いかけっこが展開。21銀生、23玉に12銀生が好手で同玉は21角、14玉は36角で捕まります。22玉が土俵際の踏ん張りですが、これに対する23銀成が更なる好手で、同銀は44角以下。同玉でついに32角が実現します。
 22玉に対して21角成~32馬で追い込んで23銀で収束。12・21・23・32の菱形で角銀の王手を繰り返す趣向的な手順で、易しいながら考える所もある好作です。


 今年も色々ありつつ、なんとかブログを続けることが出来ました。ありがとうございました。また来年もよろしくお願いします。

詰将棋学校好作選32

 昨日の記事はちょっと力入ってしまって、そこかしこで表現がヘンになってました。修正かけてますが、いかがでしょうか。


 来週は新潟に戻る予定もあり更新できないかもしれないので、2日連続ですがアップします。


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▲32銀成△同飛▲31金△同飛
▲13桂△同香▲31銀成△同玉
▲43桂△同金▲41飛△22玉
▲55馬△44桂▲同馬△同金
▲42飛成△32金▲同龍△同玉
▲24桂△41玉▲61飛成△42玉
▲31龍△同玉▲32金まで27手。
 12に逃がしても飛が取れる形ですが、初手32金では12玉、34馬、23歩合として、以下22金、同玉、33銀でかなり追えますが届きません。32銀成といきなり手がかりを捨てるような手から入り、31金から精算するのが意表の手順。その前に13桂とひとつ入れるのが巧みな一手で、12飛を打てるようにしておくのがポイントとなります。
 とはいえ、8手目31同玉の局面では足掛かりになる駒がなさそうなのですが、ここで43桂が好手で、同玉に41飛と拠点を築き、22玉に55馬と寄ってギリギリのところで合駒を稼ぐのが巧い手段でした。41飛と63飛が43を押さえているので、33合は同馬!と食いちぎる手が成立します。44合が正解なのですが、同馬、同金、42飛成で2枚龍の筋が実現。これを防ぐ44桂合~32金合の組合せが最善(44他合は32金のときに33飛成として早詰)になりますが、今度は同龍と切って落とし、24桂とすれば収束に入ります。頼った2枚の飛を両方とも消して見事頭金までとなりました。
 これといった主眼手がないのは作者的には珍しいかもしれませんが、薄い攻めを巧みにつなげる手順が印象に残る佳作です。

 ちなみにこの半期、作者は短大でもなかなかインパクトのある作品を発表されています(下図)。どうしても変長が消せなかったとのことで、最高得点でしたが作者自身が「賞には選ばないよう」と告げていたのだとか。作者の姿勢が窺われますね。
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短編作家の独白(またはいかに9月号デパート②弘中氏作が巧い作品か、という話)

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 短編詰将棋の創作のポイントは「いかに狙いを品質高く詰め込む舞台を用意できるか」ってのが持論でして。特に私の場合、「一手のインパクト」を重視するタイプですが(前回記事参照)、そのインパクトはやはり舞台装置の良し悪しで伝わり方がだいぶ違うと思うのです。
 今年、自分は打診移動中合というちょっと珍しい作品を6月に発表しました。ちなみに打診移動中合自体の作例は前にもあります。有名な作品ですのでご存知の方も多いかもしれません。(ちなみにこれより前に作例があるかどうかは知りません)

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 動く将棋盤も載せてみました。何度見てもワケわからないスゴイ手順で、これだけの複雑なシステムを良く制御できたものだな、と今でも感心します(なお、同年4月号の結果稿で作者の解説も載っています)。
 一方で打診移動中合というテーマ単体ならば、どちらかというと短編向きだよね、という思いもありまして、何年か前に取り組んでました。が、このテーマですと、
①打診移動中合ということは、他の打合だと早く詰む必要がある
②打診移動中合を成で取ると、その後打歩詰に誘致する手順が成立する
③一方で打診移動中合を生で取ると、生で取ったことにより玉方が逃げ方等で抵抗する手順が成立する
④で、成で取るか生で取るかのどちらかで、駒も余らせず詰ます必要がある

という条件を満たすことが絶対、かつ
⑤それなりのインパクトを持たせる打診移動中合ならば角や桂で表現したいが、その場合は歩合を早詰にしなくてはいけない、
 これが非常に難度が高い。これを二歩で割り切ろうとするとミエミエになってしまいがちなんですよね。何個か作ってみたのですが、どうしても原理図みたいな感じになってしまう。今年順位戦に出したのがまさにソレでして、実は他にも少しマシなものも作ったのですが、もうちょっとなんとかしたくて、敢えて元々あった原理図の方を出品したワケです。ただ、納得いかないまま出すのはやっぱり後悔してまして、残りの図の方はまだまだ練らないとな、と。

 そうしたところに、12月号の結果稿を覗いてみたら、この記事の冒頭で図を掲示した弘中氏作の短編が。何がビックリしたって、『53角の隣にいる43馬を44馬と打診移動中合する』という唖然とするような応手をアッサリ実現していること。どうやったらそんな手順成立できると思います?タネが分かったとき、愕然としました。ポイントは打診移動中合を取る以外の手順で詰む順を用意すること打診移動中合にその順への抵抗の意味合いを兼ねさせることで、これで他合の変化もそして王手をした駒を取る順も全部クリアしていること。実は上で示した条件の内、④は絶対条件でなかったのです!
 いや、目から鱗とはこのことなのですが、ただ、『打診移動中合を取る以外の手順で詰む順がある、ということは、そもそも打診移動中合出す前にその順に行った場合は詰まないようにしなくてはいけないんですよね。打診移動中合自体の構図も結構難しいというのに、そんなムシの良い舞台そうないはずなんです。弘中氏作の優れているところは、25香の意味が単なる開き王手というだけでなく、もう一つの詰む順(26歩)を行うための手であるという巧みな舞台設定。この発想には参りました。これはもう、短編作家として脱帽するしかありません。序奏も入って収束も飛捨てでピタリ。いや年の瀬に良いものを見させてもらいました。
 というわけで、最後に手順を動く将棋盤で紹介。ぜひ皆さんも、この作品の素晴らしさを味わっていただければと思います。では。

 

軽趣向好作選131

 次回詰とうほくですが、2月15日(土)13時から、生涯学習センター会議室が取れました。厳しいと思った抽選が結構当たっており、他に申し込まれた方には悪かったかも?

 今日は軽趣向好作選です。
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▲65飛△同龍▲66銀△同龍
▲同金△46玉▲56金△47玉
▲57金△48玉▲58金△49玉
▲27角△同歩成▲48飛△39玉
▲18飛△49玉▲48金△39玉
▲38金△49玉▲39金△同と
▲48飛まで25手。
 66金では46玉でまったく届きません。65飛から66銀で飛を手に入れて56金が気持ち良い一手で同桂は45飛まで一手詰。47玉と逃げますが、57金から58金が更なる追撃で同玉は48飛まで。更に49玉と逃げるのが正解ですが、ここで27角と睨みを効かせ続けた角を捨てて、48飛~18飛と足場を築き、48金~38金~39金とするのが決め手となり、最後は48飛まで。67金が66に前進した後で39まで追う動きを楽しむ趣向作でした。

詰将棋学校好作選31

 今日はサッカーのJ1最終節。応援するアルビレックス新潟はなんとかJ1残留できました。今日は心配で試合見れなかったです。ほっ。

 詰将棋学校好作選については、前も書きましたが、担当者の方が半期賞選考コメントで言及した作品から選んでます。ということで想像ついたかもしれませんが、自作です。
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▲24香△22桂▲同香成△同金
▲12馬△同香▲31飛△同玉
▲23桂△同金▲32金まで11手。
 初手の香打ち(24以遠可)に対する合駒選びがちょっと難しい。普通に22歩合は12金からばらして13香、同玉、14飛の筋があります。それを防ぐ必要があるのですが、22銀合とかでは単純に同香成、同金、31飛以下。ひねって23歩中合は32金、同金、同銀成、同玉、22飛で詰みます。14で防ぐ22桂合が正解です。
 これに対して同香成、同金と取った局面がポイントで、31飛、同玉、23桂は21玉、31金のときに23桂が馬筋を塞いでいるので12玉で逃れます。12馬捨ては23桂で筋がふさがれないよう、先に捨てておく、という意味なのですが、かなりのインパクトではないかと思います。
 これに対して同玉が変同(24桂、23玉、34金以下)で、15歩を26桂にすれば防げますが、12馬のインパクトが強くなる方を優先しました。
 当時メールのやりとりしていた安江さんから「絶対2.8以上」と言われたのに、結果を見たら2.7にも届かずガッカリしたこと、看寿賞選考で柏川氏から◎をもらえたこと、伊藤正氏に名作選で褒めてもらったり、天月春霞さんにYouTubeでも解説してもらったこと等、思い出の多い作品です。

 

軽趣向好作選130

 早いものでもう12月ですね。今年はちょっと色々とあって疲れる一年だったような気がします。最後くらいは落ち着いて過ごしたいものです。
 今日は軽趣向好作選です。良く練られた2作品を紹介します。
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▲18桂△同と▲29香△28銀
▲同香△同と▲18桂△同と
▲29香△28銀▲同香△同と
▲18桂△同と▲29香△28金
▲15銀△同馬▲27銀△17玉
▲26銀△同玉▲28香△同と
▲17金まで25手。
 桂香を金駒に変える持駒変換ですが、最初の銀合が「一番安い駒」というものなのに対して、2回目の銀合は「27銀、17玉、36銀のときに37歩で逃れるため」、更に3回目の金合は「15銀、同馬、27銀、17玉、36銀のときに27香合で逃れるため」と都度意味づけが違っているのが普通の持駒変換と違うところ。持駒の微妙な違いを持駒変換に活かすのは珍しく、良く見つけたものだなと思います。無理のない収束も含めて完成度の高い好作ですね。
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▲16金△35玉▲36龍△同玉
▲58角△47桂▲同角△同銀
▲同銀引△35玉▲24銀打△34玉
▲46桂△同歩▲25金△同玉
▲36銀△34玉▲45銀△25玉
▲27飛△16玉▲26飛△同桂
▲27銀△25玉▲26銀上△16玉
▲25銀△同玉▲36銀△16玉
▲27銀△25玉▲16銀△同玉
▲27角△25玉▲37桂△34玉
▲16角まで41手。
 16金に同玉は17龍、25玉、14銀以下。35玉に36龍と捨てて58角以下で銀桂を手にし、24銀打して敵玉を狭くした後が主題。まずは46桂と捨てて角筋を通し、25金~36銀~45銀とするのがちょっと意表の手段。同金は同角で早いので25玉ですが、57飛の横効きが通ったので27飛で継続することができます。前に効く合駒は同飛~36銀、桂合は同飛~37桂で早詰で合駒せずに16玉と逃げるのが最善ですが、26飛から38銀を活用して桂を入手。この桂をトドメに使うため、25銀と消去して45銀を再活用するのが巧い。16玉を作って27角~37桂とし、最後は気持ちの良い透かし詰です。
 逆算かな、という気がしますが、捨てる飛を活かす序を含めて40手を超える手数を小気味よい駒繰りで統一できたのはお手柄。センスの光る一品です。

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