詰将棋学校好作選27(参考)
前回紹介した傑作『リターンパーツ』について、Sinatoraさんから「傑作だと思うのに反応が薄い。マニアには常識の作品なのか」という趣旨のコメントいただきました。大変ありがとうございます。このブログ自体が超マイナーというのもありますが、あり得る話として、本作には派生作品があり、それとセットで覚えている、という方もいるのかなと。ということで、今回は番外編として、そちらを紹介しようかと思います。
▲24歩△32玉▲33角成△同桂
▲62飛成△42香▲23金△31玉
▲51龍△41桂▲21と△同玉
▲41龍△31飛▲32金△12玉
▲23歩成△同玉▲15桂△12玉
▲22金△同玉▲42龍△32金
▲24香△11玉▲31龍△同金
▲23桂生△22玉▲31桂成△同玉
▲51飛△41桂▲21香成△同玉
▲41飛成△31飛▲32金△12玉
▲24桂△23玉▲33金△同飛
▲21龍△22金▲15桂まで47手。
一見、『リターンパーツ』とは全然違う構図に見えるのですが、4手目の局面になると、『リターンパーツ』の収束に入った局面と結構似た感じになります。実はこの作品は『リターンパーツ』の収束の紛れ筋から創作したもの。確かに精算して32歩と叩く局面で42金~53龍とすると同じような筋に入ることが分かります。
本作は62飛成の局面の合駒読みからスタート。22金~42龍とする筋があり、そのときに詰まないのは香だけです。41桂合は14手目の局面で自明。その14手目の飛合のところ香合ですと25手目の局面で23桂成が成立して早詰となります。
飛合の場合は23桂成、同玉、24香は12玉で詰みませんので、24香と打って31龍からその金も取ります。ここでまた41桂合~31飛合が再出現するのが作者が用意したマジックでした。31飛合に32金、12玉の局面を良く見て欲しいのですが、14手目の局面から24歩が消去されており、その空いたスペースに桂を打つことで収束出来る、という仕掛けです。
前回の記事を見れば分かりますが、『リターンパーツ』と本作は掲載が1か月ズレただけ。多くの解答者に「『リターンパーツ』の副産物では」と見破られつつも、細かいヤリトリを経て気づけば同じような局面が作られることに高い支持が集められ、見事半期賞を受賞しました。作者的には複雑かも。まあ、受賞ってこういうものなのかもしれません。
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