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2024年10月

ブログのアドレス変更+詰将棋学校好作選28

今までこの冬眠日記はHTTP設定で、保護されていない通信扱いでした。「まあそういうサービスなんだろうから仕方ないなあ」と思っていたのですが、実はごく簡単にHTTPSに変更できることが判明しました。ああなんてこったい。


というわけで、本日よりアドレスが「https://sleepingfrog.air-nifty.com/diary/」に変わります。ブックマークされている方がいらっしゃった場合、アクセスできなくなるかと思いますが、どうぞご了承ください。

今日は詰将棋学校好作選です。ちょっとアツイ中編作品です。
20241027seki
▲71角△44歩▲26銀△同玉
▲44角成△同桂▲16金△27玉
▲17金△同桂成▲16銀△同成桂
▲24龍△26成桂▲18銀△同玉
▲15龍△17成桂▲19歩△27玉
▲28歩△同玉▲26龍△同龍
▲29金△27玉▲38馬迄27手。
 持駒こそ強力ですが、玉周辺を強力な守備駒が睨みを効かせており、途方に暮れそうなところでです。71角の最遠打から26銀捨てで強引に迫ります。71角に44銀合ですと、26銀、同龍、34金、同玉、23銀、43玉、32銀生、52玉、51金、同玉、11龍以下。初手62角ですとこの手順が成立せず不詰です。
 とはいえ、26銀、同玉の局面もまだ届かないように見えるのですが、44角成、同桂と食いちぎって16金~17金~16銀が意表の手段で、なんとここからミニ龍鋸の趣向が出ます。ポイントは遠く29の地点を47馬が押さえていることですが、初形からは全く想像がつかないのではないでしょうか。
 ここを潜り抜けた方たちだけが、最後の26龍と捨てからの爽快な収束を味わうことが出来ます。解説安江氏をして「緻密な計算にたつ絶妙のハーモニー」と言わしめた傑作です。
 発表時は詰方33桂・玉方63歩配置が詰方33歩・玉方65桂配置であり、これでも全く届かないように見えるのですが、初手26銀、44玉、53銀、同玉、42角以下で余詰でした。これが無ければ半期賞確実だっただけに残念ですが、関氏らしい見事な作品でした。


 

ダウンロード - 202410270.html

軽趣向好作選127

 すみません、前回の記事の詰将棋学校好作選(参考)の数字が間違ってました。27の参考図となります。

 ということで、今回はだいぶ久しぶりの軽趣向好作選です。
20241020souma
▲89角△87玉▲78馬△76玉
▲45馬△87玉▲78角△76玉
▲56角△87玉▲37飛△同香成
▲78角△76玉▲89角△87玉
▲78馬△76玉▲12馬△87玉
▲78角△76玉▲23角成△87玉
▲78馬△76玉▲89馬△87玉
▲78馬引△76玉▲56馬△87玉
▲78馬上△76玉▲88馬まで35手。
 玉方の65~64と96の2つの逃避ルートを防ぐため、89~12の馬の開き王手が続く仕掛けになっています。96玉と唯一逃げられるのは37飛の瞬間だけですが、それを予防するために45馬・56角型を作っておくわけです。
 ではなぜ37飛と捨てるのか、は角を馬にするため。23手目でそれを実現します。角を馬にすることで何が出来るか、は最終手で明らかになります。初形と34手目の局面を比べると……とわざわざ言うまでもないですね。とても分かりやすく楽しい趣向で作者の違った一面を窺うことが出来ます。
 なお、12手目同銀成ですと、27手目68馬が生じます(同手数なので希望限定ですが)。

詰将棋学校好作選27(参考)

 前回紹介した傑作『リターンパーツ』について、Sinatoraさんから「傑作だと思うのに反応が薄い。マニアには常識の作品なのか」という趣旨のコメントいただきました。大変ありがとうございます。このブログ自体が超マイナーというのもありますが、あり得る話として、本作には派生作品があり、それとセットで覚えている、という方もいるのかなと。ということで、今回は番外編として、そちらを紹介しようかと思います。
20241014umemotoex
▲24歩△32玉▲33角成△同桂
▲62飛成△42香▲23金△31玉
▲51龍△41桂▲21と△同玉
▲41龍△31飛▲32金△12玉
▲23歩成△同玉▲15桂△12玉
▲22金△同玉▲42龍△32金
▲24香△11玉▲31龍△同金
▲23桂生△22玉▲31桂成△同玉
▲51飛△41桂▲21香成△同玉
▲41飛成△31飛▲32金△12玉
▲24桂△23玉▲33金△同飛
▲21龍△22金▲15桂まで47手。
 一見、『リターンパーツ』とは全然違う構図に見えるのですが、4手目の局面になると、『リターンパーツ』の収束に入った局面と結構似た感じになります。実はこの作品は『リターンパーツ』の収束の紛れ筋から創作したもの。確かに精算して32歩と叩く局面で42金~53龍とすると同じような筋に入ることが分かります。
 本作は62飛成の局面の合駒読みからスタート。22金~42龍とする筋があり、そのときに詰まないのは香だけです。41桂合は14手目の局面で自明。その14手目の飛合のところ香合ですと25手目の局面で23桂成が成立して早詰となります。
 飛合の場合は23桂成、同玉、24香は12玉で詰みませんので、24香と打って31龍からその金も取ります。ここでまた41桂合~31飛合が再出現するのが作者が用意したマジックでした。31飛合に32金、12玉の局面を良く見て欲しいのですが、14手目の局面から24歩が消去されており、その空いたスペースに桂を打つことで収束出来る、という仕掛けです。
 前回の記事を見れば分かりますが、『リターンパーツ』と本作は掲載が1か月ズレただけ。多くの解答者に「『リターンパーツ』の副産物では」と見破られつつも、細かいヤリトリを経て気づけば同じような局面が作られることに高い支持が集められ、見事半期賞を受賞しました。作者的には複雑かも。まあ、受賞ってこういうものなのかもしれません。

詰将棋学校好作選27

 ちょっと間が空いてしまいました。仙台はすっかり涼しくなりました。これからの季節に着るパーカーを新調しました。

 今日は詰将棋学校好作選。傑作長編、気合を入れていきます。
20241006umemoto
▲13香成△同歩▲35桂△同と
▲24歩△34玉▲25金△同と
▲同龍△44玉▲55龍△34玉
▲37香△36角▲同香△同飛
▲25龍△44玉▲62角△53香
▲同角成△同歩
A『▲47香△46香▲同香△同飛
▲55龍△34玉▲37香△36角
▲同香△同飛』
B『▲12角△23香打▲同角成△同香
 ▲25龍△44玉』
『A』
C『▲45角△24玉▲23角成△同玉
▲25香△24香▲同香△34玉
▲25龍△44玉』
『A』『B』『A』『C』『A』
『B(同香の代わりに同金)』『A』
▲45角△24玉▲23角成△同玉
▲24歩△32玉▲31と△同玉
▲32歩△同玉▲23金△41玉
▲32金△52玉▲53龍△61玉
▲63龍△62金▲53桂生△71玉
▲72歩△同金▲61桂成△82玉
▲91銀生△同玉▲92金△同玉
▲72龍△93玉▲83金△94玉
▲92龍まで153手。
 角打香合と香打角合を絡ませた香の呼び出しハガシと言えばよいでしょうか。最初に62角で52歩を53に吊り上げるのは47香に46角合とする手を防ぐ準備工作です。53歩と吊り上げたので47香に46角合は同香、同飛、35角で詰みます。一方で37香に36香合は26桂で簡単。これで持駒角+34玉・36飛型を作ることで、12角から香を入手しつつ香を吊り上げる手段と45角から23に吊り上げた香を取る手段が成立します。52歩型ですと12角に23香合、同角成、同香、27龍、44玉、47香、46角合でやはり不詰で、合駒の綾で手順前後を防いでいるのは巧みです。
 21香を吊り上げてはがし、金を入手してからが収束。制約がなかなか厳しかったはずですが、無理のない手順で少ない駒配置での収束を実現しており、金を持っているときだけ成立する初手の伏線をはじめ、作者の確かな構成力がうかがわれる傑作です。

 

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