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2024年7月

詰将棋学校好作選23

 今日は東北楽天の野球の試合を見に行きました。5回までで0-6、しかもパーフェクトに抑えられて、よほど帰ろうかと思ったのですが、よもやのサヨナラ勝ちで盛り上がりました。

 本日はこないだ出勤途上で偶然お会いした方(笑)の作品を紹介。
20240728ogata
▲35銀△23玉▲34銀打△22玉
▲33銀打△11玉▲12歩△同玉
▲23銀成△同玉▲34銀△12玉
▲24桂△11玉▲22銀成△同玉
▲33銀成△11玉▲22成銀△同玉
▲32飛成△11玉▲12龍まで23手。
 上部を押さえているのが斜めの効きのない飛ということもあり、35銀は飛の効きを遮るものの、仕方ないかな、というところですが、23玉に敢えて重く打つ34銀打は少し打ちにくいのではないでしょうか。省略して34銀は14玉、25銀打、15玉とヌルヌル逃げだされます。
 更に22玉に27飛は届きそうにないので、更に重く33銀打とします。31玉は43桂、21玉に27飛と2筋を空けておいた効果が出るので、11玉としますが、12歩と叩いて23銀成~34銀と一枚捨てて軽くしておくのが好手段。24桂と足場を作ると残りの2枚の銀も邪魔になっており、これを軽く捌き捨てれば32飛成が実現します。
 3筋に重く打った3枚の銀が綺麗に跡形もなく消える手順が好評を博しました。自然な流れで実現できており、使用駒種が少ないこともあって、爽やかさを感じる作品です。

軽趣向好作選122

 昨年冬にガス給湯器が壊れて、交換まで1か月半、エライ目にあったのですが、今年は夏突入と同時にエアコンが故障( ;∀;)。気温も出費もアツイ。

 こんなときにはやはり軽趣向ですよねえ(強引)。
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▲36桂△同と左▲25歩△同と
▲34飛生△23玉▲24歩△13玉
▲14歩△同玉▲15歩△同と
▲23歩成△同玉▲32銀生△13玉
▲14歩△同と▲23銀成△同歩
▲25桂△同と▲14歩△22玉
▲31飛成△同玉▲32桂成まで27手。
 33飛成は14玉で届きそうにないので36桂は打ってみたくなる手ですが、同と左とされるとやはり33飛成では打歩詰。そこで25歩と叩いて34飛生と13玉のときの打歩詰を回避する工夫が必要です。なお、25歩に13玉は14歩、同玉、15歩、13玉、12銀成、同玉、24桂以下。23玉とされたときに32銀生としたくなりますが、それではやはり13玉で打歩詰。24歩と叩くことで同とならば14の飛の効きが切れるので32銀生~14歩と打って詰みます。
 13玉が最善ですが、ここで慌てずに14歩~15歩と連打してと金を15に誘導。これで23歩成~32銀生と置き換え、14歩を実現します。最後は23銀成から綺麗にまとまりました。
 上田氏としては手遊びかもしれませんが、細かい手順と完成度に感心させられます。
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▲26金△同銀▲61角△52香
▲同角成△27玉▲49角△37玉
▲39香△38香▲同香△27玉
▲31香成△37玉▲39香△38香
▲同香△27玉▲32香成△37玉
▲39香△38香▲同香△27玉
▲33香成△37玉▲39香△38歩
▲同香△27玉▲28歩△17玉
▲15飛△同銀▲18歩△26玉
▲36金まで37手。
 26金~61角と72金に狙いを付ける角打に捨合することで金取りを回避するのですが、歩合ではなく香合とするのが正解。この香合は何のためか、というと54に効きを作るため……ではなく、同角成、27玉のときに28香、17玉、15飛、同銀とすると18歩が打歩詰。これが歩合だと18歩が打てるので26玉、36金までです。つまり玉方香先香歩の捨て合です。
 さて、ではそれをどう打開するか、というと27角、37玉、39香で合駒をねだります。これで歩合ならば先ほどの手順で詰み。玉方はここでも香先香歩で38香合としますが、移動して繰り返すことで最終的には歩合を余儀なくされて詰む、という仕掛けです。
 深和氏らしい意欲的な表現ですが、ミステリ好きとしては33~31のどこかに駒を置いて邪魔駒消去できたらなあ、と思ってしまいます。作者も試してみたのかもしれませんが。

全国大会in甲府と編集長の長編

 今年もささやかながらお手伝いで参加しました。ちなみに当日よりも前日以前の方がはるかに準備が大変で、それには冬眠蛙はほとんど貢献できておりません。他の幹事の皆様、また現地で仕切っていただいた堀口さんには本当に頭が下がります。無事に開催できて、本当に良かったです。
 大会では休憩時間もずっと記念詰将棋に苦吟して、ほとんどコミュニケーションが取れませんでしたが、懇親会はおかげさまで楽しませてもらいました。飲み物のオーダーに追われ、せっかく大橋さんの近くの席だったのにあまりお話しが出来ず残念。でも久しぶりにあんこうさんと昔話や詰将棋に対する思いについてお話しできましたし、何人かの方から「冬眠日記見てます」と言ってもらえました。ssさんからは「紹介してもらえると嬉しいです」とありがたいお言葉も。嬉しい限りです。
 そんな中でひとつ今回嬉しかったのが、編集長と長編「マリー」のお話が出来たこと。「よう知ってたなあ」と言われましたが、編集長の短編・中編を見慣れているパラ会員の皆さんなら、下の作品が編集長作だ、と言われても「え!」となるのではないでしょうか。


20240715mizukami


 「いや、それはもう苦労したよ」と懐かしそうに語っておられました。「収束がちょっと残念でねえ」というお話で、実はちょっと5手前から別詰のキズがありますが、なんといっても趣向によらずにこれだけの手順を捻りだしたことに、秘めたる情熱を感じるばかりです。ぜひ解いて……と言いたいところですが、なかなか大変。
 そんなときにはググるのが一番、ということで、その場でも鑑賞できないか、と探してみたら、ちゃんと詳細な解説つきでつみき書店さんに載っていました。スマホの小さい画面でしたがその場で鑑賞。一緒に見たあんこうさんも「これはスゴイ」とおっしゃっておられました。ぜひコチラをクリックして、作者のほとばしる情熱を感じてください。スマホだとちょっと見にくいので、こちらでも動く盤面を載せておきます。多分見ただけでも熱さを感じてもらえると思います。
 ちなみになぜ詰将棋学校好作選で触れなかったのか、といえば、もちろん本作が半期賞を受賞しているからです。作者の言葉とか当時なかったんですよねえ。そういう意味でも、今回聞けて良かったです。


 次回ももちろん参加したいと思っています。また皆さんお会いしましょう!


詰将棋学校好作選22

 詰将棋学校好作選は半期賞選考時に担当者の方がコメント言及した作品を選んでます。……と言い訳した上で。

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▲22金△同銀▲34香△33銀
▲同香成△同玉▲42角成△34玉
▲44銀成△同玉▲26角△同香
▲45銀△35玉▲36銀上△46玉
▲24馬まで17手。
 初手いきなり金を手放すのがやりにくい一手。34香が継続手で、33歩合等では42銀成、21玉、22角成、同玉、31角で早詰。角銀は品切れで、31に効かす33飛合は42銀成、21玉、32角、12玉、22角成、同玉、33香成、同玉、43飛以下で同手数駒余りです。
 質駒を逃がす33銀移動合を食いちぎり、44銀成と捨てて26角が狙いの限定打。香を跳ね上げることで、最終手の24馬が成立します。
 純逆算で、銀4枚使っての序奏は賛否分かれるところでしょう。実は昔は「ちょっと無理あるな」と思っていた逆算でしたが、今見てみるとちょっとした意外性と適度な難易度で、比較的好ましいコになりました。将来作品集を編むときには必ず入れたいと思います。

 

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