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2024年3月

軽趣向好作選115

 諸都合により今回も軽趣向好作選です。今回は宮原氏の2作品。

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▲38桂△同馬▲27銀△同馬
▲38桂△同馬▲29香△同馬
▲16龍まで9手。
 玉方馬のスイッチバック。一旦27まで行った後、元来た軌跡をそのまま戻るのが凄い。39角が絶妙の配置です。29香がわかっていても気持ちの良い一手。
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▲21桂成△15角▲同香△同飛
▲45角△同飛▲26桂△15角
▲同香△同飛▲45角△同飛
▲19飛△15角▲同香△同飛
▲89角△67馬▲同角△45歩
▲同角△同飛▲23角△同成桂
▲13歩△同成桂▲11銀成まで27手詰。
 初手当然の21桂成に15歩合とすると同香、同飛に13歩で詰み。前に効く駒を渡すと常にこの手段が生じる構図です。しかし、15角合とされたとき、この角を離して打って歩を合駒で入手できれば……というところなのですが、残念ながら角を打つ場所は全部そのまま取られて適当な場所がなさそうです。
 ところが、唯一取られずに打てる場所がありました。それは今詰方の飛が置かれている89。その89の飛を動かして89角を実現するため角合→角捨てが繰り返されます。首尾よく19飛として角合を食いちぎり、89角でゴール、と思いきや、最後に67馬と捨てて45歩合とする非常手段がありました。同角、同飛で13歩が打歩詰になるのですが、最後は23角と打開して綺麗に詰みます。簡潔な構図から繰り出される輪廻転生(リインカーネーション)。傑作あふれる作者の作品群でも、特に楽しさが際立つ一作です。

軽趣向好作選114

 パソコンが急に暴走するようになって、ちょっと困った事態に。一日待ってみて再起動して実験のための連日投稿です。でも記事は手抜きしませんよ。今回は特に私好みの好作です。
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▲27香△同飛生▲17桂△同飛生
▲35飛△26玉▲25飛△同玉
▲27香△同飛生▲43馬△14玉
▲26桂△同飛生▲25馬△同飛
▲26桂△同飛▲15歩△25玉
▲35金 まで21手。
 上部が抜けているので27香とまず打って塞ぎ26歩と叩きたくなります。が、26に龍が来ると、以下35金、同龍、同飛、26玉、25飛打、17玉で逃れ。35に攻め駒が残った状態で26玉にするとアウトとなる仕掛けです。
 それを避けるため、27香とした後で一旦17桂と捨て、35飛~25飛とこの飛を消去して43馬とするのが巧い手段でした。おっとその前にもう一度27香と捨てないと駄目ですね。飛を捨てるためだけに27香~17桂~27香と呼び戻す手触りが素晴らしい。
 更に素晴らしいのがここから。43馬、14玉、26桂としたところで初めて、先ほどの3連打は全て飛生で取るのが正解であると分かります。打歩詰になりそうな形ですので想像できたかもしれませんが、それにしてもうまく出来ています。25馬捨てを挟んで26桂を繰り返し、着地も見事に決まっています。
 縛り駒を消す収束の手段は打歩モノでは見る筋ではありますが、飛捨てを入れることでこんなに楽しい作品に出来るとは。いわゆる作者が羨ましくなるタイプの完成品です。
 
 あれ、ちゃんと書けた。昨日が調子悪かっただけかな。であるといいんですが。

詰将棋学校好作選15

 詰将棋学校好作選は『詰将棋パラダイスの代表コーナーである詰将棋学校から、賞に漏れた作品で「これは」という作品を紹介』するのが趣旨となっております。今回はそんな趣旨をふまえ、残念ながら発表時不完全だった作品ですが、まさしく「これは!」という作品を紹介します。
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▲54と△同玉▲53桂成△45玉
▲78角△67香▲同角△55玉
▲56歩△45玉▲55歩△同玉
▲57香△56香▲Ⓐ54成桂△同玉
▲53と引△55玉▲56香△45玉
▲44と△同玉▲43と△45玉
▲52香成△54玉▲53と左△55玉
▲57香△56香▲同香△45玉
▲44と△同玉▲43と△45玉
▲53香成△55玉▲57香△56香
▲同香△45玉▲44と△同玉
▲43成香△45玉▲53香成△55玉
▲57香△56歩▲同香△45玉
▲55香△同玉▲54成香△同玉
▲76角△45玉▲35と△同玉
▲36金△24玉▲25歩△14玉
▲23銀生△13玉▲14歩△23玉
▲33成香△同玉▲32角成△44玉
▲56桂△55玉▲65馬まで75手。


序奏で87に落ちている歩を取るべく、53とを捨てて53桂成とし、65地点を空けます。78角に55玉とすると、54成桂、同玉、87角、45玉、35と、同玉、36金、24玉、25歩、14玉、23銀生、13玉(変化図)、14歩以下で詰み。
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 ところが、実はこの変化を回避する妙防が玉方に残されていました。それが78角に対して67香合と捨て合する手。一見54成桂、同玉、76角以下同じようですが、上図の25に打つ駒が香になるので、14歩が打歩詰になる仕掛けです。逆に詰方は持駒が香をなんとか歩にすれば詰み。この構図が以下の56歩~55歩、同玉、57香に56香合とする仕掛けが生まれる、というわけです。
 56香合に同香、45玉、55香、同玉、57香では千日手になってしまいます。それを打開するのが45玉に対して、44と、同玉、43成桂として53地点を空け、53香成とする手を作ることですが、これだけだとまだ詰まず。実は56香合としたときに54成桂、同玉、53と引と52地点を空けるのが鍵で、これにより44と、同玉、43と、45玉のときに52香成と一歩奥まで成ることが出来ます。
 それだけですと意味がよく分からないですが、以下57香合、56香を繰り返した後、今度は53と左として4筋に追い、同じ手順を繰り返します。更に繰り返して43・52・53の駒を全て成香にするのが真の狙い。ついに55香に56歩合を強要することが出来て(下図)、待望の1歩を入手して収束します。
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 見事な作品でしたが、Ⓐで同香、45玉、44と、同玉、43成桂、45玉、53香成、55玉、57香、56香、同香、45玉、44成桂、同玉、43成香、45玉、53香成、55玉、57香、56香、同香、45玉、47香、46歩、55香、同玉、54成香、同玉、76角、45玉、46香、同桂、35と以下で余詰でした。これだけなら47歩配置だけでもなんとかなりそうですが、手順中43成桂のところ、54成桂、33玉、43成桂でも詰むようです。(以下22玉、32と、12玉、14香のときに適当な合駒がない)
 他にも迂回手順のキズもあり、修正は難しそうなのですが、高難度の玉方香先香歩を利用した駒の入れ替えパズルで、更に52と消去という構想に直結する鋭い狙いも入り、作者の熱さが伝わる作品でした。

軽趣向好作選113

 まず最初に、次回詰とうほくは5月18日(土)に、前回と同じ生涯学習センターで、今度はミーティング室となりました。ちょっと狭めの部屋ですが、その分会場費は安いです。ちゃんと原稿出さないと(汗)。


 さて、本日は軽趣向好作選です。
20240320miyahara
▲48歩△37玉▲38歩△36玉
▲55と上△46歩▲37歩△同玉
▲47歩△同玉▲56龍△36玉
▲45龍△47玉▲39桂△同と
▲56龍△36玉▲28桂△同香生
▲45龍△47玉▲48歩△37玉
▲29桂△同香成▲47歩△同玉
▲56龍△36玉▲28桂△同成香
▲37歩△26玉▲46龍△同馬
▲27歩△同成香▲同銀△同玉
▲28香 まで41手。
 この作者とこの持駒で趣向を期待してしまいます。48歩に37玉は一見38歩と拠点を作られて損に見えますが、55と上、46歩に37歩と結局捨てるので手数稼ぎになっています。47歩、同玉(59馬は46龍)として56龍、36玉、45龍、47玉で繰り返しの形。これを打開するひとつめのカギが39桂で、まず28地点の利きを外します。今度は56龍、36玉型にして28桂捨て。これを同香成は収束に直結するので同香生が正解。更に48歩を据えて45龍・37玉型にして29桂が好手。同ととすると38歩、26玉、15銀以下で、この38歩が打歩詰にならないのが28桂捨ての効果です。
 したがって29桂には香で取るのが正解ですが、香成とせざるを得ないため56龍、36玉型を作り直して28桂とすれば27歩が打歩詰にならない形になり収束します。最後龍が消えるのは流石ですね。
 香成らせ自体はある筋ですが、玉の可動域を広げることでより精巧なカラクリとなっていると思います。29桂、同歩成も論理的に入れられそうですが、桂の枚数が足りないのがちょっと惜しいところです。

詰将棋学校好作選14

 最近、ヨメさんとの協定で、毎週日曜は晩飯を作ることになっています。面倒は面倒ですが、その代わり自分が食べたいものを食べれるのは魅力。先々週はタイの酒蒸し、先週はキャベツとジャガイモのコンビーフ煮込み、今日はソラマメと桜海老のパスタ。見事なまでにバラバラです(笑)。来週はどうするかな。

 本日は学校好作選。重厚な作品をどうぞ。
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▲22銀△同角▲12銀△同玉
▲13銀△同玉▲16香△15歩
▲同香△同金▲23桂成△同桂
▲12飛△同玉▲24桂△21玉
▲41飛△31角▲22歩△11玉
▲31飛成△同銀▲21歩成△同玉
▲12角まで25手。
大量かつ強力な持駒ですが、32に逃げられることに配慮する必要があります。初手22銀に32玉は44桂~43銀で綺麗に詰み。3手目12銀に対して32玉と逃げられる変化が難物で、22角成、同玉、11角、32玉、33香、41玉(同銀は52飛以下)、61飛、51金、53桂、同銀、31香成以下早詰。なんとなく詰みそう、で済まない不詰感があるかと思います。
13まで引っ張り上げれば一安心で16香で合駒を聞きます。14合では25桂、同金、14香、同玉、15飛があるので15に合駒しますが、同香、同金のときに23桂成がちょっと気づきにくい好手です。同桂に12飛、同玉、24桂と追い、21玉に41飛と打てるのが23桂成で31桂を跳ねさせた効果。31歩合とかでは32桂成で簡単で、31角と移動合するのが最善の抵抗になります。また、このときに15の合駒は歩が最善だったことがわかります。22歩として角を取ればゴールです。
PCソフトが普及していない当時、この作者は似た系統の作品を多く出しており、異彩を放っていました。本作もそうですが、ただの難解とは違う手順としての面白く、多くのファンを獲得していました。ごく短期間で姿を消してしまいましたが、また作品を見せて欲しいものです。(仙台在住だったんですよね。詰とうほくにも来てほしいところです)

軽趣向好作選112

先週土曜日24日に詰とうほくを開催。パラ掲載忘れで心配しましたが、8名出席で年賀詰鑑賞会を実施しました。栃木より小笠原さんが初参加。ありがとうございます。最近創作復帰されたのだそうで、今後楽しみですね。二次会は人数少な目ということもあり、皆で牛タン定食を食べる会にしてみました。仙台名物、楽しんでいただけたら良かったですが。


さて、軽趣向好作選を。
20240303kitaoka
▲25龍△33玉▲24角△23玉
▲57角△33玉▲24角△23玉
▲46角△33玉▲45桂△同歩
▲24角△23玉▲35角△33玉
▲43と△同桂▲24角△23玉
▲42角成△13玉▲14龍△同玉
▲24馬 まで25手。
 25龍とすれば13玉は24龍、12玉、21角で詰むので33玉の一手。24角から57角で桂を入手するまではごく自然な流れですが、後は剥がす駒も見当たりません。工夫が必要です。
 その第一弾が46角。33玉に45桂と捨てます。42玉は53歩成、51玉、73角成、41玉、63馬以下。57に角がいたままで45桂ではこの63馬が出来ないため、57角を46に据えなおしたわけですが、肝心の45桂の意味づけは、次に46角を35に据えなおすことで明らかになります。42のと金を43に捨てるのが継続手段。同玉に53角成を用意しています。42のと金を捨てたのはその空いた場所に角が成るためで、やむを得ない13玉に14龍捨てで速やかに収束します。連取りではよく見る仕掛けですが、取る駒を57桂一枚にして46・35とだんだん近くに置くのが面白い。遊び心あふれる知恵の輪でした。

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