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2023年12月

軽趣向好作選108

 来週は新潟に帰るため、今年は今日が最後の更新です。疲れた1年でした。歳ですかねえ。

 本日は軽趣向好作選です。
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▲42龍△23玉▲24歩△同飛
▲12龍△33玉▲25桂△同飛
▲42龍△23玉▲24歩△同飛
▲12龍△33玉▲55角△同銀
▲42龍△23玉▲35桂まで19手。
 28角で55桂を取りたくなる図で、初手45桂に誘われますが、同銀、55角、43玉で54が空いて失敗。桂を取る前に工夫が必要です。
 いったん23玉型で24歩、同飛として、12龍、33玉に25桂と逆に跳ねるのが巧い。54を空けずに37桂を消去すれば良い訳ですね。これで首尾よく55角と桂を取って……とすぐに餌に飛びつくのは作者の罠。同飛と取られると以下42龍、23玉で打歩詰です。桂を取る前にもう一度23玉型にして24歩、同飛と飛を無効化してから、再度33玉に今度こそ55角が実現します。最後は桂ツルシまで。
 ごく簡単な仕組みながら巧い仕掛けで2往復半を実現。
器用な作りが光ります。

詰将棋学校好作選9

 今日仙台は急激に冷え込みました。雪が積もらないと良いのですが。
 本日は学校好作選です。長編傑作!


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▲35歩△同角生▲43銀△33玉
▲42龍△44玉▲32銀生△54玉
▲43龍△64玉▲73龍△54玉
▲43銀生△44玉▲53龍△33玉
▲42龍△44玉▲45歩△同角
▲32銀生△54玉▲43龍△64玉
▲73龍△54玉▲53と△44玉
▲54と△同玉▲43銀生△44玉
▲53龍△33玉▲42龍△44玉
▲34銀生△54玉▲43龍△64玉
▲73龍△54玉▲45銀引△同金
▲43角△44玉▲53龍△33玉
▲34角成△同玉▲45銀△同玉
▲36金△同桂▲43龍△55玉
▲56金△64玉▲73龍△54玉
▲46桂△同角▲53龍まで63手。
 初手35歩に同角生とするのは後で打歩詰に誘致するため。43銀、33玉で角筋を避けて42龍、44玉とすると、うっすらと知恵の輪であることが見えてきます。さて、ではどのようなキーが隠されているでしょう。
 まず32銀生~43龍と左辺に追って73の歩を拾うのは見えやすい。その後でいったんまた42龍まで龍の位置を戻して45歩とその歩で叩きます。同金には32銀生、54玉、43龍、64玉、73龍、54玉の後で53桂成、44玉、54成桂と65の桂を消すのが巧い手段。こうすることで同角に43銀生、44玉、45銀、同玉、75龍と桂を取る手が生じます。以下65歩合には36金、同桂、37桂、55玉、67桂で詰み。
 ということで、45歩には同角が正解。この場合は65桂を消す順では46金の上部の利きが残るため、75龍、65歩合で駄目。ではどうするかというと、同じように73龍・54玉型を作った後で53と~54と、と今度は52とを消します。一見あまり効果がないようですが、もう一度42龍・44玉型にして34銀生とする手が成立します。同玉は45銀、同金、52角まで。このために52とを消去する必要があった、というわけです。
 34銀生には54玉としますが、落ち着いてもう一度73龍・54玉型を作ってから45銀引で角を入手します。その角も34に成り捨て(その前に53龍を入れておくのも流石です)、45銀以下収束に入ります。73龍・54玉型を作り直して46桂が決め手で、最後まで知恵の輪の雰囲気を壊さないあたり、作者らしい心配りです。

 オリジナリティの強い知恵の輪に、取る駒で邪魔駒が変わる対比を織り交ぜる手腕に嘆息するばかり。作者の代表作と言っても過言ではないかと思います。詰将棋ファンの創刊号(電子版でまだ購入可能なはずです)作者の作図メモが載っているのですが、ここには載せきれない細やかな心配りが記されており、本当に凄いです。ぜひお読みください。

軽趣向好作選107

 次回詰とうほくは2月24日(土)に仙台市東口の生涯学習センターの会議室で行うこととなりました。3連休の中日になります。遠方からもぜひ。

 さて、1週空いてしまいましたが、本日は軽趣向好作選です。大御所の一作を紹介。
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▲24歩△12玉▲13歩△11玉
▲23桂△同歩▲12歩成△同玉
▲23歩成△同玉▲24歩△13玉
▲14歩△同金▲23歩成△同玉
▲56馬上△22玉▲23歩△12玉
▲13歩△同金▲22歩成△同玉
▲55馬上△21玉▲22歩△11玉
▲12歩△同金▲21歩成△同玉
▲65馬上まで33手。
 遠くから馬がにらんでいるのですが、うまく追わないと馬筋を外されて上部に脱出されてしまいます。そのために使うのが持駒の桂と歩7枚で、これをうまく使って15金を壁にします。まずは24歩~13歩と叩きます。同玉は14歩、同金、23歩成、同玉、56馬上、34歩、同馬以下手数は長いですが駒余り。11玉が正解ですが、これには思い切って23桂と捨て、22歩を剥がします。
 23歩成、同玉となったところで残りは歩しかないですが、歩2枚で金を動かしようやく56馬上が実現。22玉とする一手ですが、同様に23歩~13歩~22歩成で今度は55馬上、最後に22歩~12歩~21歩成で65馬までの詰上がりです。馬二枚と歩だけで微妙なバランスの上で成り立っており、この作者らしい、オリジナリティあふれる作品です。

 

 

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