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2023年10月

詰将棋学校好作選6

 生まれて初めてチョコレートドリンクなるものを飲みました。チョコを溶かしたものを想像して今まで敬遠していたワタシが大馬鹿でした。美味しかった。

 さて、詰将棋学校好作選。今回は短大から。
20231029ogasawara
▲19歩△27玉▲18銀△26玉
▲44馬△同歩▲35馬△同桂
▲29飛△28角▲同飛△27角
▲同飛△16玉▲17飛△26玉
▲16飛△同歩▲15角△同桂
▲27歩△同桂成▲15角まで23手。

 19歩~18銀は足場作り。19銀にも誘われますが、27玉、28銀、18玉で逃れます。
 26玉の局面で48馬は37歩で全然駄目、となると35馬と捨てて29飛と回る手段に想到しますが、すぐ35馬は同桂で27に効きを作られてしまいます。これを回避するため、先に66馬を44に捨て、35馬、同桂に86飛を準備する必要があります。
 2枚馬を捨てて29飛で今度は玉方が困っているようですが、ここで先ほどもらった二枚角を連続捨て合するのがまさに返し技の妙防でした。これを取って、17飛から16飛で収束します。
 明快な論理で盤上の二枚の馬を持駒にしてしまうマジックで、ストーリー性豊かな好作です。

軽趣向好作選104

 久しぶりにパラの解説を書いてました。年々文章を書くのが下手になっている気がします。そのうちAIが解説文書いてくれる時代が来たりしますかね。
 さて、本日は軽趣向好作選。ちゃんと自分で書いてます(笑)
20231022nakasuji
▲25飛△24香▲同飛△33玉
▲44飛△24香▲同角△23玉
▲33角成△同玉▲35香△34角
▲同香△23玉▲33香成△同玉
▲51角△42角▲同角成△同銀
▲15角△24香▲同角△23玉
▲33角成△同玉▲35香△34角
▲同香△23玉▲25香△24角
▲同香△13玉▲23香成△同歩
▲22角△同玉▲32香成△同玉
▲42歩成△21玉▲32と△同玉
▲21角△31玉▲22銀△同玉
▲42飛成△21玉▲22歩△11玉
▲31龍まで53手。
 飛打に対し香捨て合として44飛で舞台設置完了。24香合には同角~33角成として35香とすれば34角合は比較的平易な合駒選択。これに対して同香~33香成として51角、42角合の交換を入れて31銀を動かすのが味噌で後でこれが効きます。
 再び15角と据えて24香合、同角、23玉、33角成で持駒変換。これで香2枚として、35香・25香で角2枚を手にして収束に向かいます。22角と打てるのが銀を動かした効果。32香成~42歩成として21角が痛打で、31玉の粘りに22銀と捨てるのがトドメの妙手。最後は雪隠詰となりました。
 易しいながら不規則な合駒趣向に51角の伏線を織り交ぜ、50手超えの長編に仕立て上げたのは見事。丹念な作りに作者らしさがうかがえる好局。

詰将棋学校好作選5

 マラソンのグランドチャンピオンシップをテレビ視聴。川内優輝の走りに感動しました。私にもまだやれることがあるんじゃないか、という気になりますね。

 本日は学校好作選。超短編から1作紹介します。
20231015yamada
▲14角△46玉▲25龍△47玉
▲45龍まで5手。
 使用駒わずか8枚ですが、実に含蓄のある手順が展開されます。
 初手83角にも誘われ、同龍なら38龍までですが36玉で逃れ。正解は非可成地点に打つ14角。これに対して25合は57金~25龍で駒が余ります。46玉には25龍と打った角の効きに潜り込むのが好手で、これは37合に57金を用意したもの。47玉と戻らせると、なんといつのまにか14角・25龍形になっているので45龍の両王手で詰み、という仕掛けです。
 バッテリー交換しているわけですが、まだ「バッテリー」という言葉すらない時代にこれだけ完成度の高い作品を出しているのは驚きです。山田氏の開拓者としての一面が良く現れた作品と思います。
 

軽趣向好作選103

 なんとか更新できました。週末は新潟に行っていました。久しぶりに家族で胎内温泉に。泉質が相変わらず独特で良かったです。転びそうになっちゃいますが。

 では軽趣向好作選を。
20231009sakai
▲38銀△同馬▲47金△27玉
▲38龍△同玉▲29角△27玉
▲18角△38玉▲29角△27玉
▲16銀△同と▲18角△28玉
▲55角△38玉▲29角△27玉
▲38角△同玉▲39歩△27玉
▲37金△28玉▲38金まで27手。
 詰方がだいぶ強いように感じる初形ですが、持駒がないので意外と大変です。まずは38銀で馬を質に入れて、47金~38龍で入手します。29角と打つと39玉には66角までですが、27玉、18角、38玉で打歩詰となります。
 ここからが主題で、まずはもう一度29角として16銀と捨てます。これで28の効きが消えたのでもう一度18角とすれば38玉には39歩と打てて、以下28玉、55角、17玉、63角成、26玉、36馬、15玉、37角までで詰みます。そこで18角には28玉として、先に55角と引かせて38玉とします。これでまた39歩が打歩詰になるのですが、今後は29角から38角で角を消してしまうのが決め手。今度こそ39歩が打てて、37金~38金で両王手までの詰上がりとなりました。軽めの知恵の輪ですが、中心となる角を打たせて後で邪魔になる構成に巧さを感じます。

詰将棋学校好作選4

ここのところ予期していないイベントもあり、忙しい状態が続いていました。来週の3連休も更新できないかもしれません。

今回は学校好作選。大好きな作品で以前も紹介したのですが、良いものは何回紹介しても良いということで。
20231001souma
▲14角△21玉▲23香△12玉
▲62龍△42銀合▲22香成△同玉
▲33銀成△11玉▲22成銀△同玉
▲42龍△13玉▲12龍△同玉
▲23銀△21玉▲31馬△同玉
▲32銀成まで21手。

 初手目につく62龍ですと、23玉、41角に34玉と上に逃げられてしまいます。14角が作家的に美味しい導入。同龍は34香がピッタリ。23香合くらいだと62龍、21玉、31馬と捨てて33香で詰みます。23金合の変化が難しいのですが、43銀生とするのが好手で、以下22玉、23角成、同玉、34銀生、同龍、同龍、同玉、35飛以下同手数駒余りで詰みます。
 というわけで2手目は21玉が最善なのですが、これには23香で合駒を尋ねます。何かしら入ると将来的に11に逃げられたときにその駒を打って詰む筋が生じる仕掛け。12玉と合駒せずに頑張ります。
 実はこの4手が序奏で、ここからが主題となります。といってもこの局面では62龍ですぐ詰みそうに見えます。13玉は31馬、14玉、12龍まで。31馬を防ぐ42歩合には22香成、同玉、33銀成として、以下同玉は42龍、11玉は51龍で簡単。進退窮まったように見えますが、ここで42銀合が妙防です。銀合することで22香成、同玉、33銀成、11玉のときの51龍を防いでいます。
 同龍は13玉で届かず、今度は先手が困ったように見えますが、ここで33銀成から22成銀と44銀を消すのが見事な手順。これは44の地点を空ける意味合いで、これを経由して42龍と銀を取り、12龍と捨てる手が成立します。23銀、11玉のときに44馬を用意している仕掛けですね。最後は21玉に31角成と捨てて見事な清涼詰となりました。(11玉、44馬以下でも正解です)
 きめ細かな序奏から秘術を尽くした攻防、着地も完璧で、これをわずか盤面8枚の配置で実現する作者の表現力には脱帽の一手です。当然半期賞、看寿賞を狙えた作品だと思うのですが、実は同じ期に同じ作者で見事な中編作品(下図)が発表されており、最終的にそちらが選ばれました。今の制度でしたら、間違いなく看寿賞を含めて2作受賞になったと思います。
20231001souma2

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