軽趣向好作選99
この企画は発表年月順で紹介しておりますが、同じ守備駒を連続で動かすというのがだんだんとトレンドになってきてまして、今回紹介する2作は両方とも玉方の応手が馬だけです。
▲16香△同馬▲34飛成△同馬
▲25銀△同馬▲24飛△同馬
▲16香△15馬▲24金まで11手。
初形で盤面から26馬が無効化されれば、持駒が香だけでも16香で簡単。さすがにいなくなってはくれませんが、24まで馬を移動させれば同じ手順が成立します。では25銀~24飛で、というところですが、25銀には15玉で詰みません。この手を防止するために更に準備工作として16香~34飛成が必要、という仕掛けです。
最後も駒余りを防ぐ馬の移動合が入り、ごく簡単な仕掛けで全応手馬を実現しました。比較的考えやすくて好感が持てます。表紙に採用した詰パラ編集部にも拍手。
▲27銀△同馬▲18桂△同馬
▲28香△同馬▲27銀△同馬
▲36金△同馬▲27銀△同馬
▲18桂△同馬▲28香△同馬
▲46飛△同馬▲27銀まで19手。
当時の冬眠蛙は中編以上になるとほとんど他人の作品を解くことはなくて、解説を眺めては感心する、というばかりだったのですが、本作は有名なトラブルもあったためか(笑)、リアルタイムで解いて非常に感心した覚えがあります。
こんなに持駒が無くても簡単に詰みそうな局面に見えますが、27地点をカバーする16角が浮いているのが絶妙で、例えば初手28香とすると27飛、同香、16玉で27への脱出を防げません。そこで一工夫して27銀、同馬、18桂、同馬と18に追いやってから28香とします。27合とすると27地点が埋まるので36金~25銀で簡単。そこで同馬ですが、27銀とまた捨てます。これは次の36金のときに角を取られるのを防ぐ準備工作。ただ、その代わりに36金にも同馬と取られてしまいます。ここでまた27銀~18桂~28香が繰り返されるのが驚きの手順。実は前の28香、同馬の時点で46金が邪魔駒だったのですが、なかなか気づかないのではないでしょうか。最後、46飛も完璧な着地で、これだけ動いた馬が最後46と玉から離されて、浮き続けた16角を最後まで守り切っての詰上るのには感嘆するばかり。この年の看寿賞を受賞した文句なしの傑作です。
馬と言えば、お隣福島県ではこの夏、4年ぶりに「相馬野馬追」という祭りが開催されました。なかなか勇壮な催しで、ぜひ一度見に行きたいのですが、聞いたところでは開催時期の変更が検討されているのだとか。暑いと馬の調子にも響くんですかね。まあそれ以前に、人間も武者姿がツライですか。時代を感じてしまいますね。
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