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2023年4月

軽趣向好作選93

 今日で4月もおしまい。今年に入って多忙の日々を過ごしていますが、これだけせわしないと、ロクに駒どころかPCすら触らなくて、順位戦も「もういいか、しょうもない作品だけど在庫処分しちゃえ」という気になりますね。おかげで欠席で迷惑かけずにすみました(笑)。

 では今日は軽趣向好作選を。
20230430shimizu
▲39銀△29玉▲38銀打△19玉
▲48銀△18玉▲29銀△19玉
▲28銀△同玉▲19銀△38玉
▲49銀△29玉▲58銀△38玉
▲47銀直△同馬▲49銀△29玉
▲48銀△38玉▲39飛迄23手。

8段目の受方玉に9段目の詰方飛、
持駒に複数枚の銀を持たせて知恵の輪風に追う構図はたまに見ますが、本作は玉方馬と詰方馬が睨みあい、47を開けておくことでちょっとした緊張感が漂います。
 39銀、29玉に詰キストなら直観的に48銀としてしまいたくなりますが、これは作者の罠で、38玉、39銀打、29玉となるともう詰みません。銀をたくさん持っている内に38銀打として19に追い込んでから48銀として、18玉に38銀~28銀として馬筋を遮って19銀を据えるのがポイントでした。
 38玉で残り銀1枚になりますが、その銀を49銀~58銀と据えれば47銀直で15馬筋を通すことに成功します。最後は49銀~48銀と据えなおせば39飛まで。ちょっとした構図の工夫で他にない手順構成を見せるあたり、流石に実力者ですね。

詰将棋の変同による価値棄損

 「変同」とは詰将棋用語の一つで正しくは「変化同手数」とのことです。定義すると「ある局面で玉方の応じ方が2つ以上あり、正解とされる手順以外の応じ方でも、詰上がりまでにかかる手数が同じであり、かつ詰方に駒が余らない手順が存在した場合の当該手順」位ですかね。
 冬眠蛙が詰将棋を始めた頃から、既にこの変同の存在は減価事項として扱われることが多くなってました。最近はさらに厳しくなって、「変同は消すべき」位の見方の方が普通になっている感があります。
 自分としては変同をすべからく悪者とすることに漠然とした違和感があったのですが、こないだここに載せた自作を見ていて、「ああそういえば、これも変同があったな」と思ったので、ちょっと考え方を整理してみました。だいたい自分の考えは以下のとおりです。
①詰将棋は解く人や見る人がいてこそ価値がある
②したがってその方が本質的ではない部分で「あれ、どちらが正解?」と迷うような状態だと、作品価値は落ちる
③したがって変同や変長は出来る限り避けた方が良い
という辺りが主軸ですが、ここから更に
④作意手順と変同手順で明らかな難易度なり感触が異なり、「ああ、こっちが作意なんだな」という共感が得られるようであれば、減価事項としては小さい
というのが冬眠蛙の考えです。もちろん難易度や感触が異なる、というのは個人の尺度なので一律になるものではないですが、ある程度コンセンサスは得られるのではないかな、と思ってます。

 最初に述べた自作は3月19日の記事に載せた図ですが下の局面で変同があります。
20230423
 ここで作意は「15玉、24馬、同歩、13飛成、同銀、16香」ですが、「14玉、36馬、24玉、34馬、15玉、25馬引」が変同となります。ただ、これで「後者が作意じゃないか」とか「作者はどちらを作意としているのだろう?」と考える方はほとんどいないのではないでしょうか。
 ちなみに例えば玉方47歩を置けば、変同手順の方は駒余りになるので解消できるのですが、明らかに判別できる変同を消すためだけに余計な駒配置する気にはとてもなれませんでした。余計な駒1枚配置する方がよほど価値棄損ですね。

 もちろん自分の見方を強制するものではないですが、詰将棋の楽しみ方として、「こういう考え方をする人もいる」という参考にしていただければと。

軽趣向好作選92

 パラ4月号を眺めてます。大学院の半期賞選考は驚きました。なるほどな、と思う反面、半期賞ってなんだっけ、と思う面も。難しいですね。

 今日も軽趣向好作選。楽しさ満点の作品を紹介。
20230408kitaoka
▲17歩△同角生▲25銀△15玉
▲17飛△同銀生▲33角△24角
▲同角成△同歩▲37角△26角
▲同角△同銀生▲19飛△17角
▲同飛△同銀生▲37角△26桂
▲同角△同銀生▲27桂△同銀成
▲26角△同成銀▲16歩△同成銀
▲24銀△14玉▲15歩△同成銀
▲23銀生迄33手。
 17歩と突いてみれば、早速打歩詰の形が飛び出てきて、おおよその構図はつかめますが、玉方が徹底的に生で抗戦するので意外と手間がかかります。7手目33角がポイントで、まずここで24歩を質に入れます。そこで37角として銀を動かして19飛と活用。これで角2枚を手に入れることで、次の37角には桂合せざるを得なくなります。27桂で銀を成らせて呼び戻せば打歩詰打開に成功。質にしておいた24歩を手にして銀送りで詰上がります。
 わかりやすい形に目いっぱいキーを詰めこむことで、誰にでも楽しめる、いかにも軽趣向という雰囲気に仕上がっています。

軽趣向好作選91

あっという間に4月になってしまいました。相変わらずの日々ではあるものの、久しぶりに駒を握っているのですが、逆算の仕方をすっかり忘れており、一向に作図が進みません。長いリハビリになりそう。

今日は軽趣向好作選。
20230401machida
▲65角△34玉▲56角△45歩
▲同角△25玉▲36角△34玉
▲45馬△43玉▲54馬△34玉
▲45角△25玉▲43馬△14玉
▲32馬△25玉▲36角△34玉
▲44銀成△同玉▲54馬△34玉
▲45角△25玉▲43馬△14玉
▲32馬△25玉▲36角△34玉
▲35歩△44玉▲54馬迄35手。
 角を上から打つしかなく、ひとつ離して打つことで合駒が稼げることもすぐに気づくかと思いますが、45歩に同馬は43玉で詰まず、同角から角馬を並べるしかありません。54~36のラインで追いまわしても行ったり来たりを繰り返すだけになるため、工夫が必要です。
 打開のタネのひとつが一旦馬を54に据えてから、45角、25玉に52馬と潜る手順。14玉、32馬に25玉とされてあまり効果がないように見えますが、36馬から44銀成とこの銀を消すのが継続手段。同玉、54馬、34玉とした後、もう一度馬を32に移動させて36角とすれば、35歩が打てて詰みに至ります。つまり53銀は邪魔駒だった、という仕掛けですが、最初の舞台作りではもちろん必要であったわけで、いつの間にか邪魔になる演出をシンプルな舞台装置で実現したのはお手柄と思います。

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