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2022年12月

軽趣向好作選86

 前回記事について、その後ちょっと思ったんですけど、例図①で2筋の下の方に玉方の歩があったり、関係ないところに4枚香が配置されていた場合に「22合」だと正解なんですけど、「22歩」「22香」はやっぱり誤解になるんですかね。または極端な話全然関係ないところに歩以外の全部の駒が花駒として配置されているときは「22歩」以外は誤解?寒いとしょうもないこと考えちゃうんですかね(笑)。

 今日は軽趣向好作選ですが、資料フォルダに発表年月間違えて登録した作品があって、ちょっとだけ遡って紹介となります。
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▲45桂△同飛▲44と△同飛
▲45桂△同飛▲35角△52玉
▲64桂△同飛▲63と△同飛
▲64桂△同飛▲74角△同飛
▲62と迄17手。
 角が出る場所を塞いでいると金を消すため、桂をうまく使う手順は過去にもある手順です(筆者も1作ある)が、これを左右で繰り返す着眼が素晴らしい。まさにコロンブスの卵です。持駒趣向にもなっている上に使用駒にも統一感があり、完成品だと思います。

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▲23銀成△同玉▲41角△12玉
▲42龍△22桂▲同龍△同玉
▲32香成△12玉▲22成香△同玉
▲33歩成△12玉▲22と△同玉
▲32飛生△23玉▲36飛生△12玉
▲22金△同玉▲32飛生△23玉
▲35桂△同金左▲同飛生△12玉
▲22金△同玉▲32飛生△23玉
▲35桂△同金上▲同飛生△12玉
▲22金△同玉▲32飛生△23玉
▲35桂△同金▲同飛生△12玉
▲22金△同玉▲32飛生△23玉
▲35桂△同角▲同飛成△12玉
▲32龍△22桂▲21角△12玉
▲22龍△同玉▲32角左成△11玉
▲23桂△同銀▲12歩△同銀
▲同角成△同玉▲23銀△11玉
▲22銀成まで69手。
 密集形で一見23銀成、同玉で続かないように見えますが、41角がうまい手で取ることも合駒することも出来ず、42とを取らせるしかありません。合駒を食いちぎって香、歩を成り捨てて飛筋を通したところで飛生を繰り返すハガシ趣向が登場します。生の意味づけも簡明で、普遍性のある楽しい手順となっています。
 35桂に対して金で取る順番は非限定で、最後は同角とせざるを得ず収束に向かいます。この手順も趣向の延長のような雰囲気で、最後は14を塞いでいた銀も呼び出してはがし詰上がり。最終形と初形を対比したくなる逆算に拍手。

 今年は29日より実家に帰るため、年内の更新はおそらく最後です。皆さん本年もありがとうございました。来年1月1日に例年どおり特別出題を予定しております。ぜひご解答およせいただければと思います。よろしくお願いします。

棋譜表記

 昨日は東京に行っておりまして、その帰りに久しぶりにパラの作品を解図。せっかくなので、ただいま解答作成中です。

 ふと思い出したのですが、以前SNS上で目にした「パラの棋譜表記方法」。ちょっと考えてみます。
202212171
 この局面だと玉方は22に合駒をする一手ですが、特に指定はなく、次に桂を打って詰上がりとなります。この場合、解答はどう書けば良いでしょう?
 同じ理屈で、次の図の応手はどう書きますか?
202212172

 例図①はパラですと「22合」と記載しているようです。駒の種類の記載はありません。どれでも良い、というわけですね。ただ、例図②になると一見同じく「22合」で良さそうですが、厳密には22銀と上がる手も22合のひとつ、として考えられるので、「22合と書いたときに正解とされるのか」は微妙です。まあでも流石に大丈夫かな?
202212173
 例図③はどうでしょう。この図面ですと「23合」のときにそれが角や桂だと24龍で駒が余るので、厳密には正解にできない気がします。
 私の場合、基本的に表記は指し将棋と一緒にの書き方にしていますが、例図①は「22合」、例図②は「22歩」、例図③は「23香」ですね。ちょっと中途半端になっていたな、と思います。

 他にもパラの特徴的な表記があります。一作見てみましょう。
202212174
結構難しかったりしますが、手順は初手71の飛に81に銀を合駒します。その後、92歩、同玉、62飛と進んだ際に、更に82に銀を打つのが正解です。この手順はパラではどう書かれているか、というと以下のとおり。
「71飛、81銀合、92歩、同玉、62飛、82銀打
普通の指し将棋表記だと、あとの方の82銀打はそのとおりですが、先の方の「81銀合」は「81銀」の記載だと思います。これも明らかにパラの記載パターンなのですが、2手目も6手目も両方とも打っているのに片方は「合」、もう片方は表記なしなので、ちょっと違和感ありますね。

 ちなみにあくまでもこれはパラの記載の仕方がこう、というだけであり、実際は解答を出すときに「合」を入れなくてもちゃんと正解扱いです。ただ、普通の指し将棋と違う記載にするメリットって何かあるんですかね。ちょっと疑問だったりします。
 冬眠日記では、今後は指し将棋と完全一致した書き方にしようかと思ってます。ご意見あればいただければ。

軽趣向好作選86

 「鎌倉殿の13人」、いよいよ大詰めですねえ。今年のはここ数年の中で一番面白くて、毎週欠かさず見ています。一時は「この流れで本当に終わるのか」と思うレベルのペースでしたが、キッチリ納められるもので、感心しています。来年は久しぶりの家康主人公。単体での主人公だと滝田栄以来かな?これも楽しみです。

 本日は軽趣向好作選です。今回は短編2作品。
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▲46銀△同香▲66銀△同飛
▲56歩△同飛▲64銀生△同飛
▲67桂△同飛成▲44銀生まで11手。
 かなり印象的な初形で、飛香の効きを搔い潜れば詰むのは分かるのですが、相手にするのが飛なので、動いた後の横効きも注意しなければならず、頭が混乱しそうです。
 46銀と最初に4筋の香を動かすのが正解で、44銀生までの詰上がりを目指すのですが、9筋の飛の効きを外すために66銀~56歩と準備工作が必要で、先に62飛を動かすことで64銀生~67桂が成立します。この配置から4枚の銀全て動く手順を編み出すセンスに拍手。

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▲37金△同桂成▲47銀△同成桂
▲46金△同成桂▲45銀△同成桂
▲37金まで9手。
 8手かけて盤面の桂を成桂にする魔法のような手順。原型で駒を成駒に変換するテーマ自体は類例も多いのですが、桂を成桂にするのは創作難易度はかなり高い。それを極限まで配置も紛れもそぎ落とし、純粋にテーマだけを抽出して表現することで、より多くの人に楽しんでもらえる作品に出来たのは素晴らしいと思います。
 盤面七色の生駒配置で遊び心を徹底しているのも小憎らしい演出で、短編趣向の傑作です。

次回詰とうほく日程+過去作解説

 次回詰とうほくは2月18日(土)で生涯学習センター和室となりました。久しぶりに和室取れましたが、実は会議室の方がやりやすい?次回意見を聞いてみます。個人的には横になれる利点も捨てがたいのですが。(何のために行ってるんだw)

 もうだいぶ前ですが、スマホ詰パラに一作、お蔵入りにしていたモノから発表してました。今日はネタもないので試しに解説してみます。
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▲57馬△46桂▲34金△同玉
▲25銀打△35玉▲24銀△36玉
▲25銀△同飛▲同桂△39龍
▲31飛△25玉▲43馬△同桂
▲26歩△同玉▲15銀△同香
▲48馬△37金▲27香△16玉
▲36飛成△同金▲15馬△同玉
▲16歩△同玉▲17香 まで31手。

 前にもどこかで書いた記憶がありますが、自分がネタがないときに好んで作る香打での詰上りからの逆算です。
 3手目34金と13手目31飛がセットとなる伏線で、3手目24銀、36玉、25銀と進めると、同飛、同桂、39龍で飛を可成地点から打つことが出来ません。そこで34金から25銀~24銀として金を消去するわけです。なお、飛を打つ場所は31限定で、33飛は25玉、26歩、24玉ですし、32飛だと25玉、43馬、同桂、26歩に14玉、15銀、23玉で不詰です。
 26歩、同玉に15銀が最後の伏線で、ここで吊り上げた香を最後に食べて詰む仕掛けです。これに対して16玉は17香、25玉、47馬、36歩、同馬、同龍、26歩以下。48馬、37金を先に入れてしまうと、先ほどの変化手順の47馬が出来ず不詰です。飛馬を最後に叩ききって香打までの詰上がり。まあまあ気持ち良いでしょうか。ただ、全体的に駒数が増えすぎで、狙いの実現に拘り過ぎたかな、とは思います。31飛の遠打がもう少しスマートに入れば最初の伏線は入れなかったかもしれません。

 スマホ詰パラは玉方の応手は自動処理ですので、詰方の妙手はあるけど全部を読むのは大変、という本作みたいなタイプは少し向いているかな、と思って出してみました。コメントいただいた皆さん、ありがとうございました。リベンジ、というわけではないですが、現在もう1作、今度は過去作の改作図を投稿しています。「ふろっぐ2」というハンドルネームを見かけたら、どうぞよろしくお願いします。

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