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2021年7月

冬眠蛙第5作品集 番外その3

 先週ワクチンを打ってまいりました。二日間くらい筋肉の痛みがありましたが、熱も上がらずまずは一安心。副作用で急に創作意欲がわいたり、とかだと良かったんですが(笑)。

 本日は第5作品集の番外その3。

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例によってブログ発表ですが、クイズは「この作品はあるカードゲームを作品名として付しています。その作品名とはなんでしょう?」というもの。

 作品自体の正解手順は以下のとおり。
▲49桂△36玉▲18角△27歩▲同角△25玉
▲43角△34歩▲同角成△26玉▲25馬△同玉
▲36角△同玉▲37歩△46玉▲47歩△同玉
▲45飛△同飛▲48香迄21手。

2手目の局面と14手目の局面を対比して、持駒の二枚の角が最も弱い駒である歩に変換されています。というわけで、正解は以下のとおりでした。
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 大貧民の人が最も強いカード2枚を強制的に大富豪と交換させられてしまうルールを表現したつもり。結構伝わりやすいテーマと思ったのですが、正解者は半分くらい。トランプの中ではかなりメジャーなゲームのつもりだったが、そうでもない?表現力の問題だとしたらちょっと悲しい。
 ただ、前に紹介したウォークラリーもそうですが、詰将棋は色々な楽しみ方があっても良いかと思っており、また何か思いついたらSNS等使ってやってみたいとは思います。

 ちなみに、出題時も紹介したのですが、上の作品には姉妹作があります。
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 持駒が違うだけ。上の「大貧民」を見た後で本作品の題名を見れば、もはや解けたようなもの?ちょっとしたジョークでした。

 4連休も今日でおしまい。最後くらいは、ということで、家内と近くの動物園に行ったのですが、暑いせいで半分以上の動物は日陰で休んでました。人間と同じですね(笑)

軽趣向好作選58

 仙台も今週梅雨明けしました。今年も暑くなるんですかね。今さっきジョギングしてきたんですがもう汗だくです。つい帰りにアイス買っちゃいました。運動の意味が(笑)。

 本日は久しぶりに軽趣向好作選を。
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▲63角△92玉▲84桂△93玉▲85桂△同銀
▲92桂成△同玉▲91桂成△同玉▲81角成△同玉
▲85飛△71玉▲17角△61玉▲81飛成△52玉
▲72龍△43玉▲63龍△34玉▲54龍△25玉
▲45龍△16玉▲36龍△17玉▲37龍△18玉
▲38龍△17玉▲28銀△26玉▲27香△15玉
▲35龍△14玉▲24龍迄39手。

 簡素形から17角の遠打と龍の斜め追いが展開されます。なかなかのインパクトですが、そのインパクトは序奏によるものが大きい。66と一枚を追加するだけで、角打~桂打~桂成捨て~角成捨ての味良い積み崩しが実現できるのは驚き。変化・紛れが紙一重のところで成立しており、作者の推敲の跡が窺われます。この序奏を潜り抜けた後の17角は本当に格別の味わいで、着地が若干乱れる(例えば28銀のところ18銀でも良い)のは小キズ。軽趣向ながら石本氏らしい重厚さも味わえる傑作です。

 珍しく羽生九段の詰将棋に関する記事(FLASH)がネットで掲載されていて驚きました。なんかちょっと嬉しくなりますね。芸能事務所に所属したとのことで、これからは少し露出も増えるのでしょうか。楽しみです。

続・パラ7月号

 詰将棋パラダイスで今毎月楽しみなのはなんといっても「詰将棋の眺め方」。超一流の方々の独自視点での解説が本当に興味深いです。今月は有吉さんの『山田康平氏「理」の世界』。オールラウンダーの山田氏ですが、短編では論理性の強い作品が多く、その作品群を丁寧に解説されており、冬眠蛙はリアルタイムで見たり解いたりした作品も多いのですが、改めて楽しめました。

 …で、その中で「あれ?」と思ったのがこの作品。

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 実は冬眠蛙がパラ購読を始めたのが93年でして、この作品もリアルタイムで解き、その狙いに感動しました。簡単に書くと、32桂生とはできないので桂を歩に打ち換える、という構想。これはもう、発想力に脱帽するしかないです。

 で、なぜ取り上げたのかというと、実は発表時にこの作品、不完全扱いだったのです。10手目33歩で変化長でした。

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同角成に21玉なら11馬なので無駄合ですが、ここで更に22歩合だとすぐには詰まず。冬眠蛙も当時、完全に見落としてました。当時の解説は柳原さんで、確か「修正が難しい」という記述もあったかと記憶しています。

 このまま不完全扱いにするのは本当に惜しい。差し出がましいと思いつつちょっと色々調べてみたのですが、冬眠蛙ではなかなか厳しかったです。康平氏は修正もかなりうまい方なので、もう直されているのかなあ。できれば完全な姿で残してあげたい作品ですね。

冬眠蛙第5作品集 第16番+第15番解答

 ありがたいことに、看寿賞受賞のお祝いとのことで、高坂さんに自作を12局選んで解説していただいています(こちら)。作品の狙いも含めて、こそばゆくなるくらいに良く書いてもらっており、作者冥利につきます。感謝あるのみです。

 さて、本日は第5作品集紹介を。第16番です。

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20手台ですが、実質的には短編という認識です。冬眠蛙は解く方だと、こういう捉えどころのない作品は苦手です(笑)

○第15番 解答
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▲42銀成△同玉▲53角△33玉▲44銀△22玉
▲52龍△㋑42桂合▲33銀生△13玉▲22銀生△同玉
▲32角成△13玉▲43龍△同銀▲25桂△同飛
▲35角成△同飛▲23馬まで21手。

㋑歩合は13手目より42龍、13玉、14歩、同飛、12角成以下同手数駒余り。

収束5手からの逆算。桂を合駒で出そうとしてなかなかうまくいかなかったが、単に質駒にしてみたら思いのほか良く手が入った。42桂合と中合した瞬間、33銀生~22銀と捨てるのが自慢の手順。13角の紛れが程よい序も含め、会心の出来。

けんちゃん「序に少し迷ったが、5手目の44銀が見えてからは一瀉千里。入って欲しい手が全部入っているので、難易度は低いが解後感は非常に良い」
原○清○「中合はこうやって出すんだなと勉強になった」
神谷薫「(類作云々ではなく)相馬さん作をふと思いだした」

 神谷氏の評の『相馬さん作』は下図(ちなみにけんちゃんからも言及あり)。実は自分も創作時にこの作品を思い出した。なぜ思い出すのかはぜひ解いて確認してみてほしい。それだけの価値を保証。

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パラ7月号と自作改作

 ……が届きました。賞選考の記事を読んで喜びをかみしめています。実はどのあたりが評価されたのか分からず、受賞の言葉がちょっと書きにくかったのですが、正直な気持ちを書きました。読んだミステリが何かは詮索しないよう(笑)。

 さて、パラパラと結果稿を読んで、どこかで見覚えのある手順だなあ、と思ったのがヤング・デ・詰将棋④の鈴川氏の作品。はてどこで見たんだっけと少考のあと、気づきました。ブログ出題の自作でした(笑)。

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43手詰。当時の記事を探し当ててみたら、「別の作品を作っていて出てきた収束を逆算したもの。ただし、この収束自体は森田氏作で前例あり」と書いてありました。森田氏作は「春霞」に所収の実戦形だったと記憶しています。(ただ、この後何かの記事で、更にこれよりも前の作品で同じ収束のものがあったのを見たような。違っていたかも。)

 それはさておき、この収束ですと、飛を縦に使う紛れをクリアするのが必須で、鈴川氏作は52銀で済ませているところを自作では45飛としています。これは大駒を置くのを厭わない悪い癖が出たものと思うのですが、54銀がなんのために置かれたのか今見ると全く分からない。ちょっと調べてみました。
 結論は、というと、「10手目の変化を詰ますための配置だが、銀である必然性はなし」。一体何を考えていたのでしょう。普通歩ですよね。

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 この図を更に見て、「もしかして46角も馬に出来るのか」と更に欲をかいてみましたが、流石に駄目でした。

 いずれ本作、ちょっと途中の手順に緊張感がなくて、第5作品集選定の際に外れました。鈴川氏の手数は短いものの、初形を美しく保ちつつ、味のある紛れの入った作品を見て、「やはりセンスのある人は違うなあ」と感心しました。

 宮城県もやっとWEBでワクチン接種の申込ができるようになり、早速予約しました。30分くらいで全て枠が埋まったようで、早めの日が取れてよかったです。副作用があまり出ないといいなあ。ではでは。

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