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2021年1月

冬眠蛙第5作品集 番外その2

 小川さんの特別出題、解答募集本日までとなっております。あんまり解答届いていなくて、やっぱり難しかったんですかねえ。。。こないだ手紙が届いて、パラの購読を再開されたとのこと。年齢を重ねても楽しめる趣味はやはり良いですね。ちなみに結果発表は翌週になるので、厳密には今週金曜までセーフです。ぜひお願いします。

 さて、本日は第5作品集の番外その2を。

Bangai2

詰将棋自体は形は悪いですがフツーです。で、やったのは、『順位戦風の面倒そうな初形の詰将棋を推理将棋風に出題することで易しい好作に変えてしまう実験』。出したヒントは以下のとおりです。
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『隣の将棋、あの局面からもう終っちゃったんだって!?』
『そうそう。10手台で後手玉が詰んでしまったんだ』
『どんな将棋だったの?』
『なんか大駒の手が多かったなあ。え~と…確か大駒が動く手は4回あったね』
『へえ。華々しい手順だったんだねえ』
『でも、お互い駒を取る手もあったみたい』
『じゃあ結構泥臭い将棋だったんだね』

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……で、実は本当にやったのは『ウソは1個もついてないが、解図上は逆に迷うヒントを出す』というもの。上のヒントで本当にヒントらしいのは『大駒が動く手が4回』と『お互いに駒を取る→詰方に駒を取る手がある』ということ位なのですが、前者を意識すると序盤で大駒を動かす手を読んでしまい、後者を意識すると34桂を取りたくなるわけです。本当に我ながら性格悪い。この出題をやった直後に小川さんにお会いできたのですが、『あのヒントはひどい』と言われました。まあ二度とやれない企画ですね。

 作意は56金、同玉、59香、46玉、55馬、同飛、36飛、47玉、46金、同桂、31飛成、25飛、39桂まで。ね、ウソではない。……ごめんなさい。

 

次回詰とうほくについて+年賀詰解答

 年末年始でどうしても人が集まりがちなこともあり、コロナ禍がなかなか収束しませんね。緊急事態宣言も延長されそう?次回詰とうほくは以前ご案内のとおり2月27日とまだ先ですので、今のところ実施予定に変更はありません。今の宣言内容から、仮に緊急事態が延長になった場合も実施する方針で考えています。でも二次会は無理かな。

 本日は1月1日に掲示しました年賀詰の解答を。あ、小川さんの特別出題(←クリック)は月末まで解答募集中です。ちょっと難しいのですが、感想だけでもぜひ。

Nenga21_20210124183801
▲33桂生△42玉▲41桂成△53玉▲52金△43玉
▲42成桂△33玉▲32成桂△43玉▲42金△53玉
▲52と△63玉▲73金△同玉▲72金△同歩
▲74歩△63玉▲72銀生△同玉▲82歩成△63玉
▲73歩成△同玉▲83香成△63玉▲62と△同玉
▲72と△63玉▲73成香△53玉▲52金△同玉
▲62と△53玉▲63成香△43玉▲42成桂△同玉
▲52と△43玉▲53と△33玉▲23歩成△同銀
▲34歩△同銀▲22飛成まで51手。

 去年作成しました「R2」が図面にしてみると見づらかったので、今年はフォントを大きめに設定してみました。手順は金知恵の輪→捨て絞り趣向で正月らしい楽しさになっているのではないでしょうか。7手目42成桂~32成桂と成桂の位置を変えておくのがささやかながら伏線のつもりでした。45手目は53金でもOK 。収束は字形を崩さず、かつ無駄駒配置を置かないように、ということで実は結構苦労しているのですが、そんなことは気にせず、笑ってみてもらえればと思います。

軽趣向好作選50

 Kifu For jsですが、個々の記事に張り付けているんですけどトップページで表示すると最初の記事の分しか表示されていません。個々の記事でjsdelivrを呼び出しするスクリプトを貼っているのが悪さをしているようで、このスクリプトをタイトルあたりで読み込みするように変えられればいいんですが、どうもそのような機能はココログではなさそう。個々の記事のリンクを見ていただければ表示できます。ご了承ください。
 またスマホでの閲覧にすると盤面が切れてしまいます。小さくすれば良いのですが、どちらかというとPC向けなので無理に変えないことにします。ChromeだとPC表示切替にすると全体が表示できます。お試しください。

 本日は軽趣向好作選を。50回になるんですねえ。

20210117take

▲89香△87銀生▲96金△同玉▲76龍△同銀生
▲86金△同銀生▲95金△同銀▲85龍△同銀
▲87金迄13手。

89香は打ってみたくなる手で、同銀には96金、同玉、76龍の筋があるのですがここで87銀生が妙防。これに構わず96金~76龍として、以降も徹底的に銀を動かします。意外性タップリかつ適度な変化の厚みで武氏の代表作のひとつと言っていいのではと思います。

 

20210117yamamura

▲42と△同玉▲43と△31玉▲42と△同玉
▲54と△31玉▲42飛成△同玉▲35桂△51玉
▲42飛成△同玉▲43と△31玉▲23桂打△同と
▲同桂生△22玉▲21角成△同玉▲31桂成△12玉
▲13歩△11玉▲21成桂△同玉▲32銀生△11玉
▲12歩成△同玉▲23と△11玉▲21銀成△同玉
▲32と左△11玉▲22と上迄39手。

 4筋の駒柱を崩して飛を働かせば…とあらかた筋は見えていますが、実はなかなか芸が細かくて、特に4手目、8手目は31玉でないと早詰なのに対し、12手目だけは51玉が正解で、出題時には誤解が続出しました。23桂打と精算して21角成~31桂成とすれば、あとは見慣れた煙の収束に。ものすごく意外性があるわけではないですが、趣向を構成する駒を全て消すのはやはり気持ちが良いです。

冬眠蛙第5作品集 第11番+第10番解答

 小川さん特別出題について、今まで解答いただいた皆様に本日ミニ作品集のPDFファイルをメール送付させていただきました。解答大変ありがとうございました。月末までまだまだ解答募集しておりますので、よろしくお願いします。図面再掲しますね。(解答はコチラ(←クリック)までメールいただくか、記事内にコメントください)

Ogawa2021_20210111175901

 本日は第5作品集紹介を。第11番です。
0511
 ちょっと感覚的にやりにくい手があります。ソフトだとすぐに解けちゃうんですけどね。


○第10番 解答
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▲93歩成△同玉▲63龍△同馬▲92龍△84玉
▲94金△74玉▲72龍△73馬▲63龍△同馬
▲64金△同馬▲92馬△73玉▲83馬迄17手。

 3手目が狙いの一手。①普通に見える92龍では84玉、94金、74玉となったときに92龍が邪魔駒となり、72龍と捨てたときに65玉と逃げだされる。②このとき55金で詰められるよう54馬の効きを事前に外せば詰む③63龍を入れたいが、42龍では63に移動できない。④そこで62龍をあらかじめ63龍と捨てて、42龍を92に活用する、という龍の事前入れ替えが必要、という仕掛け。
 63に馬を呼んでおくことで72龍が成立するが、この事前工作をやったため、玉方も73馬の捨合が飛び出し、更に切り返しの63龍捨てで収束する。新鮮さはないが、短編の構成としてはまあまあと思う。

谷●源●『3手目の63龍捨てがピカリ。10手目の馬の移動合も面白い』

 発表時は62龍を52に置いて65に桂を配置する15手詰だったが、こちらの図の方が主眼手の味が良いと判断した。

 

 

デザイン更新+短コン感想

 おもちゃ箱とmyCubeを見ながらKifu for jsを導入してみました。先ほど軽趣向好作選49に付けてみたのですが、ここには第5作品集の第9番を掲示してみます。ちゃんと貼れるかな?

 

TETSUさん、鈴川さん、ありがとうございます。

さて、本日は毎年恒例の短コンの感想+予想を。今年はこころもち甘めに評価を付けてます。

1:初手一発。B
2:変化で37飛が重なるのがやや損か。B
3:初手で全て読み切る必要あり。いよいよ復活でしょうか。B
4:祝初入選。収束少し面白い。B
5:2手目で「あげる」と言っておいて6手目では「あげない」というのが面白い。A
6:64角配置が絶妙。A
7:詰んでるはずだけど、主張が良く分からない。C
8:飛角を最大限活用した手順。B
9:これだけで桂香不成が出来るんですね。ちょっと感心。A
10:7手コンでこれだとほぼ協力詰。変化の違いは楽しめる。B
11:類作だいじょうぶかな?手順としてはB
12:いつもながら目いっぱい攻めてくる作者。B
13:個人的にそろそろ食傷気味。B
14:もう少し逆算したい素材。B
15:タメを作って突進する飛。B
16:焦点を作って捨駒はやはり気持ちいい。B
17:カムフラージュできてないかな。C
18:53歩が惜しいなあ。B
19:合駒処理はうまいが少し紛れ不足。C
20:論理パズルの趣。B
21:連続跳ねは桂成を使うと意外性に欠けるのが弱点。B
22:同上。B
23:作者名で身構えるが結構普通。B
24:移動合にしたのが工夫?C
25:惜しい3手収束。B
26:2マスと3マスの対比。最終手も別ならもっと良かったかな?B
27:詰上がりのダブつき感は仕方ないかな。B
28:「あ、な~んだ」の3手目。面白いです。A
29:初手で決まり。C
30:大きいことは良いことだ。B
31:最近の流行りですね。スマートに表現されてます。B
32:作者にしては薄味。B
33:力任せの攻めで気持ちよし。B
34:ちょっと一本道。C
35:龍の位置関係を利用した巧妙な作図に感心。A
36:一瞬の不利感で勝負。B
37:少ない駒数で緊張感のある表現になっているのを評価。A
38:2手目銀生の変化が盲点になって不詰かと思った。A
39:玉の動きを制限する駒が周辺にない状態でこの初手は素晴らしい。A
40:わかっちゃいるけどやめられない、気持ちの良い捨駒。B
41:柳原氏作と狙いが被った。厚みはこちらの方が上か。B
42:最小駒数のソッポかな?流石に練られた配置。B
43:5手目34銀では詰まないのが良いが、もう一手意外性がある手が欲しい。B
44:先行作はあるが、よく10枚で作れたもの。B
45:攻め口が限られていて考えやすい。C
46:持駒なしなので、ちょっと見えやすい。B
47:詰方に好手がなくて、少し寂しい。C
48:3手目が理想的な逆算なだけに初手がちょっと残念。B
49:暗算解答だと頭がこんがらがる。独創的な感覚。B
50:実戦なら見落としそう。発見賞。B

3連単予想は個人的好み込みだと39・6・38。31と41のどっちかはここに割り込むかも。まあ例年見事に外しているんですけどね。

軽趣向好作選49

 新春特別出題の小川さん作について、締切の記載が漏れておりました。1月末までに解答・コメントいただきたいと思いますのでよろしくお願いします。

 今年はコロナ禍で新潟には戻らず、妻の実家の掃除に行ったくらいで後は家で過ごしました。映画化もされた塩田武士の「罪の声」を読了。グリコ森永事件をモチーフにしたもので、個人的には同じ事件を扱った内田康夫の「白鳥殺人事件」が印象に残っており、スピード感は後者の方が上のように思いますが、こちらは重厚な読み物として楽しめました。

 さて、本日は軽趣向好作選。

20210103nakajima

▲23龍△11玉▲14龍△22玉▲23歩△21玉
▲13桂△11玉▲22歩成△同玉▲25龍△23歩
▲21桂成△12玉▲14龍△21玉▲23龍△11玉
▲14龍△22玉▲23歩△21玉▲13桂△11玉
▲22歩成△同玉▲24龍△23桂▲33歩成△同歩
▲21桂成△同玉
▲23龍△11玉▲14龍△22玉
▲34桂△同歩▲12龍△同玉▲24桂△13玉
▲25桂△22玉▲32馬△11玉▲12桂成△同玉
▲13桂成△同玉▲14金△12玉▲23金△11玉
▲22金迄55手。

 以前に紹介した金子清志氏作を更に発展させたような手順となっております。桂歩をうまく使って25の桂を剥がし、合駒の歩を取り直して24龍とし、23桂合を強要します(歩合は33歩成、同歩、21桂成、同玉、23龍、11玉、13龍、21玉、43馬以下)。この瞬間に33歩成、同歩とするのがポイント。もう一度14龍・22玉を作り、34桂、同歩と更に吊り上げてこの地点を塞げば、12龍以下の綺麗な収束につながります。

 最初に25桂を取らずに24龍でもよさそうに見えますが、23歩、33歩成に同銀で失敗します。25桂を剥がしてから24龍であれば、25が空いているので33歩成、同銀には同龍で詰み。作者は寡作ながら完成度の高い作品を多く発表されている実力者で、本作にもその片鱗がうかがえます。

20210103kobayashi

▲35角△67玉▲68金△66玉▲44角△同歩
▲36飛△55玉▲57香△56香▲同香△66玉
▲51香成△55玉▲57香△56香▲同香△66玉
▲52香成△55玉▲57香△56香▲同香△66玉
▲53香成△55玉▲57香△56桂▲同香△66玉
▲55香△同玉▲67桂△45玉▲63馬迄35手。

 初手35角は44を押さえる意味があるのですが、68金、66玉に44角とすぐ捨てます。これは34に飛の効きを通すため。分厚い変化・紛れのある序を経て、36飛~57香と据えれば、香合~香成の趣向が展開されます。53まで成香を据えれば香が品切れになるため、57香には56桂合が最善となり、55香から収束する仕掛けです。

 ちなみに初手46角は67玉で逃れるのですが、35角に46合をすると、一枚多く入手したことで早く詰みます。この変化がまた厚く、桂合は特になかなかの難物。どうぞご確認ください。

 

 

2021 新春特別出題

あけましておめでとうございます。本年も冬眠日記をよろしくお願いいたします。

さて、今年は小川さんからいただいた作品(年賀詰)を新春出題します。

Ogawa2021

大模様ですが手数は20手台です。ちょっと変化が難しかったりしますが、お正月休みにぜひ。
記事掲載後、ヒント?をコメント欄に出します。

●解答・短評募集いたします。コメント欄にいただくか、 こちら(←クリック)までメールください。
短評をいただいた方全員に以前このブログで紹介したシリーズ記事をまとめたPDF版冊子(非売品)を送付いたします。コメント欄に短評記載いただいた方は送付先メールアドレスをコメントに付していただくか、こちら(←クリック)にご連絡ください。

ちなみにいただいたコメントはもれなく作者に紹介させていただきます。あらかじめご了承ください。

 

なお、冬眠蛙の今年の年賀詰はこちら。

Nenga21

50手台です。去年より字形を大きくしてちゃんと見えるように気を使ったつもりですが、手順はだいぶ易しいです。こちらもよろしければどうぞご笑覧ください。

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