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2020年7月

ご意見募集+冬眠蛙第5作品集 第3番+第2番解答

まずはお伺いから。隅の老人Aこと小川さんから、作品集の扱いは全てお任せ、というご連絡をいただきました。お任せ、と言われてしまうと却って迷ってしまうのですが、

①このブログで1作ずつ紹介
②全部一度にこのブログで公開
③書籍化
④もっと良いサイトで紹介してもらう
⑤上記①~④の複数の組み合わせ

といったところが考えられるところでしょうか。できれば多くのコメントをいただいて小川さんに見ていただきたいと思っているのですが、どうしたものか、ご希望等あればコメントいただければと思います。

さて、第5作品集紹介を。今日は第3番です。

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簡単そうに見えますが、さてどうでしょう。


〇第2番解答
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▲37金△同桂生▲35銀△47玉▲29角△同桂成
▲36龍△同玉▲46角成迄9手。

 

広がった初形からダイナミックな手順、というのは私が詰将棋に夢中だった頃の短編のトレンド。本作は29角の一手から36龍までの詰上がりを想定して創作を開始→29角を取る桂を生で飛ばせたい→このままでは桂成でも収束変同なので36龍を捨駒にする収束に変更→詰上がりに必要な35銀を開き王手で開かせる、という経緯で創作している。目的だった桂生を含め、手順は想定どおりだが、あまり紛れが無いのでもう少し駒数少なくできたらな、というところ。

藤〇〇太郎「なぜか3手目を45銀として解けたと思ってしまい、あとから変化が詰まないことに気づきました。おかげで収束の龍捨てが際立つことになり好感度アップでした」
隅の老人A「蛙さんの作風が分からないと、大いに悩む初手です。切返しての、桂生、之で作品が締まる。流行の手順ですが、流石に水準を超えています」
風みどり「確かに冬眠蛙さんの作品としては規格外の易しさ。それでプレ短コンには出品されなかったのでしょうか。もしくは主催者が賞品を獲得してはまずいという配慮か。ともあれ、2手目と3手目は最高!好みです」

プレ短コンは今の裏短コンの前身、と言えば良いでしょうか。7回ほどこのブログで開催させていただきました。今の裏短コンは結果発表が配信で行われており、スゴイなあ、の一語です。

軽趣向好作選40

 藤井棋聖誕生しましたねえ。いよいよ新時代という感じでしょうか。王位戦も楽しみですね。

 今日は軽趣向好作選を。

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▲31飛△同玉▲33香△32龍▲同香成△同玉
▲31飛△同玉▲33香△32飛▲23桂生△21玉
▲22香△同飛▲31香成迄15手。

表紙の載った作品。31飛~33香に対し、龍の移動合とするのは23桂生から22香に対し同龍としたときに31に効きを残すためですが、取ってもう一度31飛~33香とすれば、龍を打つことが出来ないので詰み、という仕掛けで易しいながら楽しめます。上田氏らしい軽作と言えるかもしれませんね。

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▲83歩△91玉▲92歩△同玉▲84桂△91玉
▲82歩成△同玉▲94桂△同歩▲72桂成△同歩
▲83歩△91玉▲92歩△同玉▲84桂△91玉
▲82歩成△同玉▲72桂成△同玉▲73歩△82玉
▲83歩△91玉▲92歩△同玉▲93歩△91玉
▲82歩成△同玉▲72歩成△同玉▲84桂△同香
▲73歩△82玉▲83歩△93玉▲91飛成△92金
▲同龍△同玉▲82歩成△同玉▲83金△91玉
▲92歩△81玉▲72歩成迄51手。

手が限られていて易しいかと思いきや、かなり難しい目の知恵の輪です。9手目94桂が大事な準備工作で、この手を入れることで72桂成に対し92玉は93歩~43飛成で詰ますことが出来ます。72桂成以降も歩を打つのか、桂を打つのかの細かい選択が一個一個悩ましいのですが、最終的には84桂と香を吊り上げて収束へ。井上氏らしい練り上げられた作品です。

冬眠蛙第5作品集 第2番 + 第1番解答

風みどりさんに連絡を取っていただいた小川さんから手紙をいただきました。風さん、大変ありがとうございました。今返事を送るべく色々準備中です。

さて、本日は第5作品集紹介を。今日は第2番です。

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今となっては比較的古典的と言えるかも。

〇第1番解答
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▲66桂△同と左▲54龍△同桂▲75銀△63玉
▲55桂△52玉▲51角成迄9手。

 超短編ではいまだに「妙味が凝縮された一手」を目指している。本作は言うまでもなく54龍がそれだが、初手に純粋な伏線手である66桂が入ったのが作者のお気に入り。2手目同と右は85銀、63玉、62角成、同銀、75桂迄。中核となる51角成の筋が変化で出て来ないのもお作法。収束が緩くなったが、54龍のインパクトを優先した。

有吉弘敏『54龍の不利感がうまく表現されています。構図と手順がコンパクトでバランスがよくとれています』
秀和歌『非常に手こずった。好作と思うが、前半偏重が評価されにくいのは辛い』
ほい『竜捨ての前の6六桂が鋭い。9手詰めなのに読みを要求される好作ですね』
短評は敬称略させて掲載します。ご了承ください。

軽趣向好作選39

 パラ7月号が届きました。看寿賞は全体的にちょっと意外でした。有吉氏作の中合3回の作品や馬屋原氏の「円環の理」、あとは岸本氏の曲詰も個人的には受賞級でした。ただ、全体的にハイレベルでしたね。本当に選ばれる方は大変だな、と思います。

 さて、軽趣向好作選を。看寿賞級ではなくとも、今回も楽しい作品を紹介します。

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▲43歩△同角▲54桂打△同角▲同桂△43玉
▲42桂成△同玉▲43歩△同玉▲65角△42玉
▲54桂△43玉▲44歩△同馬▲42桂成△同玉
▲43歩△同馬▲同桂成△同玉▲65角△42玉
▲54桂△43玉▲44歩△同金▲42桂成△同玉
▲43歩△同金▲同角成△同飛▲33金△同飛
▲44龍△43飛▲33香成迄39手。

 雰囲気としてはミニ呼び出しハガシ、というところでしょうか。65角を据えて42玉の局面は打歩詰ですが54桂打から44歩で取歩駒を呼んでくることで打開できる、という仕掛け。こういう作品だと、角や桂がもっと枚数多ければ繰り返せるのにな、なんて思ってしまいます(笑)。72香は11手目34龍以下の余詰を防ぐものですが、これを角打の限定に使うあたりに作者の細やかな心遣いを感じられますね。

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▲63歩△同玉▲74角△62玉▲73桂成△同玉
▲92角生△62玉▲63歩△同玉▲74角生△73玉
▲65角△74桂▲85桂△62玉▲63歩△同玉
▲74角△62玉▲73桂成△同玉▲56角△74桂
▲85桂△62玉▲63歩△同玉▲74角△62玉
▲73桂成△同玉▲47角△74桂▲85桂△62玉
▲63歩△同玉▲74角△62玉▲73桂成△同玉
▲38角△74桂▲85桂△62玉▲63歩△同玉
▲74角△62玉▲73桂成△同玉▲29角△74桂
▲85桂△62玉▲63歩△同玉▲74角△62玉
▲73桂成△同玉▲65桂△62玉▲63角成△同玉
▲55桂△62玉▲73桂成△同金▲63歩△同金
▲同桂成△同玉▲73金迄75手。

 こちらは連取り。打歩詰を利用した角生の連取りは前例のあるものですが、桂捨合が作者の工夫で、これに対し打歩詰を回避するために85桂~73桂成とする必要があるため、結局のところ単純に12手目62玉とするのに比べて手数が稼げる、という仕掛けです。29成桂を取ってからの収束が無駄なく美しく、流石だなあと感心してしまう作品です。

 

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