2019年3月号D級順位戦 自作解説
えーと、解説というか、ちょっと自慢話っぽくなることをご了承ください。形はいつもどおりの悪形ですが、手順構成は冬眠蛙の考える「美しい短編」を体現できたと思っています。
94角が悪目立ちしていて、とっつきにくい初形かと思います。平凡に26銀上では、34玉で67角に同龍とは取ってもらえず、56歩合で逃れます。(失敗図1)
というわけで一工夫必要ですが、同角に同桂と取る余地があるから詰まない、ということに気づけば、初手36金で桂を跳ねさせる手に想到します。15玉は16飛、24玉、14金、34玉、26桂でピッタリ。同桂と首尾よく桂の効きを外しました。では今度こそ26銀上で詰むか、というと、まだ34玉で逃れます。(失敗図2)
桂を飛ばせたばかりに、44に逃げ道が出来てしまいました。しかし、ここで、もし仮に65龍が55龍であれば、44玉には43金の一手詰。そこで、3手目55飛が伏線手として成立するわけです(途中図)。
これで同龍は先ほどの26銀上~67角の筋で詰みます。同とは26銀上、34玉、35金まで。45合駒も26銀上から35金の筋があるので効かないようですが、ただ一つ、35金を防ぎつつ、敵に渡った場合には歩になる合駒があります。それが54とを45に移動合させる手です(途中図)。
ここからは収束になりますが、この移動合の場合のみ角の使い方が変わり、龍の54の効きを外す61角成が好手になります。合駒の意味づけの延長線にならない収束を発見できたのは幸運でした。
インパクト的には圧倒的に3手目・4手目なのですが、結果稿を見ると初手に触れていただいた評も多く載っており、とても嬉しかったです。また、作者予想で私にしていただいた有吉氏には感謝いたします。
ちなみにパラ解説では「初手55飛だと同龍、36金、同桂、26銀上に34玉で不詰」的に記載されていますが、その手順は34玉以下67角で簡単に詰みます。36金は15玉で逃れですね。そもそも初形では55飛はあまり有効な紛れになっていないかな、と思い投稿用紙に載せませんでした。ちょっと不親切だったかも。
(作意手順)
▲36金△同桂▲55飛△45と▲26銀上△34玉
▲61角成△同龍▲44金△同と▲25銀△同桂
▲26桂迄13手。
パラに迷惑をかけるわけにはいかないので、仮に昇級しても出品できる作品を準備してから投稿しているのですが、この間の詰とうほくで準備した作品を見せたところケチョンケチョンに貶されており、作り直しが不可避となっています。これくらいの作品が出来れば満足できるのですが、果たして。ではでは。改めて、解いていただいた皆様、この解説を読んでいただいた皆様、ありがとうございました。
« 軽趣向好作選13 | トップページ | 日本酒の記録(2019年5月)+『盤上に死を描く』 »
コメント