軽趣向を楽しもう! -順次香成趣向③-
▲44歩△同銀▲53香成△同銀▲44歩△同銀
▲48飛△44香▲同飛△同銀▲45金△43玉
▲44香△同銀▲54金まで27手。
最初の53歩成、同銀に同馬は32玉、同香成は44玉で詰まずこの銀は取れずの銀となっています。44歩と叩いて銀をうまく使いながら4香をすべて成捨てし、質駒となっている48金を取って詰まします。コミカルな感じですが、少し易しすぎますか。
易しすぎる原因は、慣れた人なら、「ああ、4枚香を成り捨てて68飛で金を取るんだな」と、仕組みが一見して分かってしまうこと。
この趣向の場合、『たくさんある香を成る理由』が必要で、多くの作例で見られるのが、
①香の後ろに飛、または龍を置いて、香と龍の違いを使って収束するもの
②最後の香を成ることで遮られていた大駒の効きが通り、それによって収束が可能となるもの
の2パターン。前回紹介した高木氏作は①、上の自作は②ですね。ただ、最初に紹介した角氏作はどちらでもなく、成る香の微妙な意味づけの違いで趣向を成立させました。では、他にはどんな意味付けの作例があるか、見てみましょう。
▲82歩成△同玉▲72歩成△91玉▲92歩△同玉
▲93歩△同桂▲84桂△91玉▲82と△同玉
▲73香成△81玉▲72桂成△同角▲同成香△92玉
▲83角△91玉▲82成香△同玉▲73香成△81玉
▲72角成△同角▲同成香△92玉▲83角△91玉
▲82成香△同玉▲73香成△81玉▲72角成△同銀
▲同香成△91玉▲92歩△同玉▲83銀△同玉
▲73香成△92玉▲82成香寄まで45手。
この作品は成り捨てるのは2枚だけで、残りの2枚の成香で収束します。では最初の2枚はなぜ成り捨てるのか、というと2枚の角を剥がすため。打歩詰を使いつつ、剥がし趣向と組み合わせることで、72に歩・桂・角を成る独特な手順になりました。序奏も良く、形も洗練されていますね。
もっと凝った意味づけになっているのがこちら。
この作品は、収束に入る手順を選択する権利を持っているのは詰方になっています(この趣向では珍しい)。76~79の全ての香を消去するのですが、消去しないまま収束に向かうとどうなるか。
▲72桂成△同玉▲63歩成△同玉▲73歩成△64玉
▲74と△53玉▲44銀△同龍▲同金△同玉
▲43飛△35玉▲33飛成△26玉▲22龍△37玉
▲27龍△48玉▲38龍△59玉▲49龍△68玉(失敗図)
おわかりでしょうか。76~79全ての香を消去することで、69歩を打歩詰にならないようにする必要がある、というわけです。
では作意を。
▲72桂成△53玉▲63歩成△同玉▲73歩成△64玉
▲74と△53玉▲63と△同玉▲73香成△64玉
▲74成香△53玉▲63成香△同玉▲73香成△64玉
▲74成香△53玉▲63成香△同玉▲73香成△64玉
▲74成香△53玉▲63成香△同玉▲73香成△64玉
▲74成香△53玉▲44銀△同龍▲同金△同玉
▲43飛△35玉▲33飛成△34香▲同龍△26玉
▲25龍△37玉▲27龍△48玉▲38龍△59玉
▲49龍△68玉▲69香△78玉▲58龍△87玉
▲88龍△76玉▲77龍△85玉▲84成香△同玉
▲74龍△93玉▲92と△同玉▲82成桂△93玉
▲92成桂△同玉▲72龍△93玉▲82銀生△84玉
▲74龍△95玉▲94龍まで75手。
手順中の34香合が手数伸ばしの捨て合で、発表時はここで誤解した方が多数発生。この手数伸ばしが成立するのが4枚香を消去した場合のみ、というのが味わい深い。面白い作品と思います。
さて、ではもう一作。解答は次回載せます。どんな狙いでしょうか。
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