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『雨滴』配布特別出題 ③解答

お待たせしました。最難関の③です。

▲23龍△同香▲24金△同香▲同銀△32玉

▲33香△同角▲同銀成△同玉▲11角△43玉

▲42桂成△同玉▲41桂成△43玉▲42成桂△同玉

▲51銀生△43玉▲34角△同香▲42銀成△同玉

▲34桂△43玉▲44角成△同玉▲35金△33玉

▲44金△同玉▲45香△33玉▲43香成△同玉

▲42桂成△同玉▲43歩△同玉▲44歩△同玉

▲45香△55玉▲56龍まで45手。

(詰上り「☆」)

初手はほぼ必然。3手目筋が良い人は43金~42桂成で凝り固まった左辺を捌きに行きたくなるのではないでしょうか。それでは右辺の守備駒が強すぎて足りません。攻め駒が強いうちに右辺に足がかりを作るのがポイントになっています。

…と言うのは簡単ですが、冬眠蛙には24金からバラすのはまあまだ読めるとして、33香で手が続くようにはとても見えませんでした。一目21玉でペケですよね。とにかく深い変化がもりだくさんで、相当な根気がいります。

・4手目32玉、23金、43玉、42桂成、同玉、34桂、43玉、42桂成、同玉、51銀生、43玉、53香成以下(邪魔桂を消去して龍を左展開させる手順がなかなか良いです)

・6手目21玉、31香成、同玉、41桂成、同玉、51銀成、31玉、41成銀、同玉、43香以下

・12手目32玉は22角成、43玉、42桂成以下4手目32玉の変化に準じる。

11角と強い足場を作っていよいよ左辺の捌きに入ります。先の変化もあり、46桂を早めに捌きたくなりますが、51銀生と香を先に取ってから34角を決行するのが正解です。34桂に22玉は33香、43玉、42桂成、同玉、32香成、同玉、35龍。この変化も綺麗ですね。

43玉には44角成とするしかないですが、足場が無くなり足りるかどうか不安になります。…にもかかわらず、更に代わりの足場になりそうな35金も捨ててしまうのがすごい手順。36龍と持駒香で意外にも捕まっています。冬眠蛙はここが見えず苦しみました。

45香から43香成を見つければいよいよ大団円。詰上りの作意は「☆」。うーん、一般的には「+」かな。でも作者の意図を尊重しましょう。全体的に重厚な手順で、どちらかというと服部さんっぽいような感じのあぶり出しでした。

 

作者の言葉「知らなかったとは言え、吉村達也さんの「王の帰還」と同じ詰上がりに驚く。思いもよらず、吉村さん追悼の作品になりました」

吉村氏は大学の先輩(関わりはないですけど)。本当に早い逝去で残念です。ご冥福をお祈りいたします。

** 短  評 **

たくぼんさん『以前、見せてもらったことがあります。改めて解図してみましたが7手目23銀成の紛れにはまり一苦労。一度解いたらすぐ手順忘れちゃうんですよねえ。確か「☆」という題名でしたが「+」(ミニ十字)の方がしっくりくるかな。』

☆やはり「+」?ところが後でもっと名案が出てきます。

安武利太さん『この詰上りは収束が限られるので非常に創作困難なはずですが、ここまで手数を伸ばし、密度の濃い一局に仕上げたのは流石です。序盤の力業も、中盤の何もないところでの手造りの妙も、どちらも小川流の一面であり、作者の持ち味がよく表れた一局と言えるでしょう』

☆冬眠蛙は特に中盤が印象に残りました。

飯尾晃さん『34角からは奇跡的な手順』

☆全く無理筋に見えますよねえ。ほんと信じられませんでした。

嵐田保夫さん『2四金の俗手が打ちづらく、その後も2三銀成や1五角、3四桂跳等の亡霊に悩まされ悪戦苦闘。こちらを立てればあちらが,あちらを立てればこちらがといった状態で整理がつかず挙句の果ては盤に並べ出す始末で丸2日もかかって何とか解決(情けない)。それにしても隅々まで良く計算し尽くされた久しぶりの力作でした』

☆2日はものすごく早い!実は冬眠蛙は(うろ覚えですけど)2週間近くかかってます。実はもっと早く出題できたはず、という(笑)。

凡骨生さん『「ドット」否「雨滴」でしょうか?』

☆「雨滴」!感心しました。こっちにしませんか、Aさん(笑)

 

◆他に解答をいただいた皆様

國吉進さん

次回総評掲載後、賞品を送付予定です。お楽しみに。

 

夜更かししてEURO観戦中。オランダ負けるとはびっくり。さあ次はドイツ-ポルトガル。楽しみです。ではでは。

 

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コメント

解答を寄せて頂き、有難うございます。
「雨滴」の題名も頂きました。
盤面32歩の配置は「不詰順を消す為の策」で、初手はそのカモフラージです。

①、②、③の創作動機はB爺との会話からで、いずれも「将棋世界かヤング向きに易しい短手数の曲詰を創ろうか?」です。
今回の特別出題のチャンスが無ければ、パラ誌のヤングか将棋世界に初入選していました。
(入選は無理かな?)

        

僕はこの作品初めから柿木将棋で答えを見ていますのであしからず…

まず11手目11角これはほとんどの作家はこうしたくなるところです。
しかし、それ以前は余り妙味はないような…
色々変化・紛れを読ます事によってよりその後の細かい手順は生きるのかもですが…
これは解いた人でないと分かりません。

11角以降は玉はほぼ4筋を上がるか下がるかだけ。
僕はこう言う狭い所の細かい手順こそ曲詰に向いていると考えて創作しています。
(上手くいかないけど…)
曲詰は長ければ良いものではありませんが、このタイプの作品は長い方が優れます。
3回の駒取りで30手以上で非常に高度な作品と言えます。

三作拝見して普通に詰パラに発表すると何の問題があるのかなって思ったのが正直な気持ちです。


それとどうでも良い事ですが最終手は56香になっていて誤植。
それより僕のパソコンは、動く将棋盤は以下同銀となり(銀はいないのに)逆向き手順のような手順で82手で終わります。
これって僕のハードに問題があるのでしょうか?

題名は「雨滴」が最適として、ピンポン詰の球を思い出しました。時代に合わせてカラーになったというところでしょうか。
手順については、角金を捌いてしまい、香歩の持駒だけで詰んでいるところが妙。
解答は①のみとなってしまいましたが、3局共通して、適度(?)な紛れ・変化とキレイな収束に作者一流の達人の技を感じました。

三輪さん、指摘ありがとうございます。直しておきました。(動く将棋盤は非限定情報があるとおかしくなっちゃうんです)
 
>三作拝見して普通に詰パラに発表すると何の問題があるのかなって思ったのが正直な気持ちです。

作者もパラ発表の予定だったのを無理やりいただいたのです。当初③だけだったんですが、これだと解答者が少なくなりそうだったもので…(笑)。すみません。
 
奥鳥羽生さん、感想ありがとうございます。冬眠蛙も球をちょっと思い出しました。中に玉が入った分、重い球になったのかも(笑)。

え~と、これでは自力で③を解いたと誤解されそうですが、解いたのは柿木先生です
つまりは無解。
私のは短評というより、作意を鑑賞した上での感想ですので、念のため…。

③の発表図は11角打までの変化がややこしくて(ややこしいのは好きじゃない)
一度34角以下をメインにした改作図を蛙さんに見せました。
(没になりましたが)
そんな訳で、発表図は小川本来の作風とやや異なります。三輪さんの言われる様な趣旨で序盤をつけたのでは有りません。

三部作はサイトの発表はもったいないとは思いませんが、詰パラ発表でも満足のいく内容でした。
僕としてはサイトでも一緒なんですが、詰パラ誌上でも作品をみたいと思っています。
この三部作を見たら詰パラにドンドン発表して欲しいと言う気持ちが強くなりましたね。
お願いしておきます。

それとは別に、僕は現在曲詰の未発表作が30作以上あります。
僕の学校発表基準には充たしていない作品は10作以上有りますのでその内のいくつかをここで発表させて頂けたらありがたいな〜と思っているのですがどうでしょうか?

作品のレベルとしては現在学校に発表している作品と比べるとハッキリ落ちます。
しかし、自分自身では愛着のある作品で発表価値のある作品のつもりです。
もし採用して頂けるのなら投稿方法を教えて下さい。
よろしくお願いします。

三輪さん、ご返事遅れてすみません。
現在自身が詰棋活動休止中ですので、定期的な作品出題はこちらとしても咽喉から手が出るほどありがたいです。ただ最近更新が週イチペースなので解答どれくらいもらえるものかがちょっと心配。。。
 
あ、あと上の記事にも書きましたが、メールアドレスをご連絡ください。よろしくお願いします。

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