前回に引き続き、今回は②の解答を発表します。さあ、どんな形が浮かび上がるでしょう。
▲33龍△46玉▲55銀△同玉▲44飛成△56玉
▲36龍△46銀▲同龍△同玉▲37銀△56玉
▲55龍△同玉▲77角△54玉▲64香△同玉
▲55角△同玉▲65馬迄21手。
(詰め上がり「ミ」の字)
物理的に飛か龍で王手かけるしかない初形ですが、どれが正しいのか逡巡します。感覚的に41の飛に手が伸びた人も多いのではないでしょうか。実は冬眠蛙もそうでした。
正解は44への利きを2枚とも残す33龍ですが、その意味合いに気付かないと苦労します。たとえば初手31飛成は46玉、55銀、同玉、77角に46玉と逃げられて続きません。角を活用したいのですが、37への利きがなくなったときの対策が必要なのです。
その対策が33龍・44龍型にすること。この場合のみ、56玉を強要して36龍で合駒を強要し、46を塞ぐことが出来る、というわけです。…が、細かい変化が付きまとい、気付くのは大変だったのではないか、と思います。たとえば55銀に57玉は66馬、58玉、38龍、59玉、77馬以下。また、44飛成に同金は37角、56玉、36龍、57玉、66龍まで等、少し気付き難い手がそこかしこに。
46合を強要すれば55龍~77角が成立します。仮に歩合としますと、77角以下作意どおりに進んで詰み。55角を防ぐ銀合が最善ですが、あっさり同龍から37銀で形を決めてしまえば、以下同じように詰ますことが出来る仕掛けです。最後の64香~55角は気分爽快ですね。
他合の変化が作意とかぶるの仕方ないところで、手順の構造を利用した初手限定が印象的なパズルでした。
作者の言葉「来年の年賀詰候補作だって、気の早い爺様だ」
ちょっと早すぎ、ということで使わせていただきました。来年にはまた別の作品をご準備ください(笑)。
** 短 評 **
たけとひでさん「初手に飛車が成って、紛れの森へ深く入る」
さわやか風太郎さん「初手どちらにしようか迷いました。4四の銀が邪魔で当初は3五銀から2六銀、3七銀と捌くのかと思ったら結局3五銀に5六玉でどうにもならなくなりました。5九の角が一番の働き者でしたね」
☆冬眠蛙も解図時同じような順にハマりました。56に逃げられると何も出来ないんですよね(笑)。
たくぼんさん「銀合限定の順が都合いいように作意となり字となる。難しい字もなんのそのですね」
☆冬眠蛙はそちらには疎いのですが、「ミ」って作図難しいんですか。今度チャレンジしてみるかな。
ほいさん「意外と簡単でした。(とか言って間違ってたりして)大駒の力の消し方がうまいですね。勉強になります」
☆見事正解。確かに大駒4枚で良く成立するものです。
安武利太さん「詰上り「ミ」の字。初手から最終手まで、流れるような手順が美しい。難易度が控えめなのも好印象で、個人的には「あぶり出しはかくありたい」と思います」
荒川貴道さん「初手が難しかったように思います。3一飛成としたくなりました。
きれいな「ミ」の字あぶり出しです」
☆すみません、荒川さん第1問も解答いただいてました。詰上りの字形だけだったのでウッカリしました。
☆でも思ったんですけど、あぶり出しなら確かに「字形だけ解答」でも逆に風情があっていいかもしれませんね。まあ流石に誌上では無理筋ですか。
坂本栄治郎さん「6四香が、シブイのと全体的にバランスが取れて最後には全ての駒が躍動しているように見えました」
☆大駒4枚中3枚を捨てますからね。最後の角捨てが特に気持ちいい。元々59にいた角、というのが良いです。
飯尾晃さん「駒を効率的に使う燃費のいい手順」
風みどりさん「初手31飛成がだめとわかれば、わりと一本道。しかし飛成から龍捨てのリズムはこれぞ詰将棋」
☆パズル色全開です。
嵐田保夫さん「銀合の頑張りもあっさり同龍で“ナミダ”か?」
☆そうそう、これを書いておけばよかったな、ってのがあって。「今回出題の3題に関連性はありません」と。余計なことを考えさせてしまったなあ、と反省しております。
☆この際だから「ダ」も創ってもらいますか(笑)。
◆他に②に解答をいただいた皆様
羅刹國さん 國吉進さん 凡骨生さん 躑躅さん
次回はいよいよ最難関の③です。あ、今回や前回の記事への感想をコメントでおよせいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。
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