『雨滴』配布特別出題 ①解答
大変お待たせしました。では①の解答・結果を発表します。
▲44銀生△同玉▲35金△55玉▲56金△同玉
▲46飛△同と▲45馬△同と▲57銀△55玉
▲65金△同飛▲56歩△同と▲45金打まで17手。
(詰上り「ナ」の字)
36飛が馬筋の邪魔をしている構図。しかし初手35飛は45歩合であえなく撃沈。56金から46飛と捌く手も同とでいかにも届かない感じです。この形で、26金が35に居れば45馬が成立することに気付くかどうか、がポイント。
しかしそれに気付いたとしても、44銀生~35金はちょっとやり難く、見事な伏線になっています。4手目33玉は34金、22玉、31角成、同玉、43金以下。75角が良く利いています。
35に金を据えて、56金~46飛を決行。同とに45馬が気持ちの良い一手で、55玉に65金が決め手となります。詰上り「ナ」の字。ちょっと考えさせつつも気持ち良い手順で、冬眠蛙もお気に入りの一品です。
作者の言葉「『詰将棋五十音図』によると『ナ』の曲詰は少ないそうだ。どれどれ、と好奇心で試作してみた」
この内容で「試作」ですか。さすがです。
ところで、作図動機からすると、これからも「この詰上りは少ないらしい」というのがあれば、また創ってもらえるわけですね(笑)。今度募集してみますか。
** 短 評 **
UKB48さん「初手が見えませんでした」
さわやか風太郎さん「9手目4五馬が快感です」
☆わかっちゃいるけど、っていうヤツですね。
たくぼんさん「大事そうに見える53銀を消去し、45馬や65金の好手を含むなど密度の濃い作品ですね」
たけとひでさん「馬を捨ててから、歩を奪う手は気づきにくい」
☆少し足りなさそうに見えるところがミソですね。
ほいさん「変化を読まなくても安心な曲詰。最後の持ち歩の使い方がうまいですね」
☆こらっ!ちゃんと読みなさい!(笑)
占魚亭さん「小気味良い捌きが素晴らしいですね」
磯田征一さん「一番易しいという①だけでもと思ってトライしましたが、わたしにはむずかしかったです」
☆熟練の方でも一目、というわけにはいかないかと思います。そこはやはり作者が作者ですし(笑)。
宮原航さん「曲詰なのに紛れ多く中々難しいです。特に第一感の初手56金の紛れはハンパではありませんでしたね。10~15分ほどしてようやく44銀生発見、ここでも45金を結構考えましたが普通に35金で筋に入れました。43玉や33玉や読み飛ばしました。(^^;
後は初手の紛れで散々読んだ筋だったのでスラスラ解けました。
しかしこれだけの捨て駒にこの収束で曲詰とは、理想してはいたもののやはりすごい技術です。見習いたいものです。(^^;」
☆44銀生発見のとき「これだ!」と思いますよね。詰将棋の醍醐味が味わえます。
坂本栄治郎さん「初手4四銀が、非常に意外性があり、6五金が絶妙」
谷本治男さん「玉が74に逃げた時に金の手持が必要、どういう形で46金を手に入れるのか、といったところが解図のポイントだったと考えます。5手目45金~33飛成~65金~63龍といった手順も頭をかすめたりして、適度な紛れと変化を含んだ中で、45馬捨てを中心に、35金のちょっとした不利感、キレイな収束の、曲詰の好作で、さすがと感じました」
☆5手目45金も確かに誘われますね。別で創れるかも。
嵐田保夫さん「一目5六金の筋だが其の前に遊び気味の金の活用が肝でした」
飯尾晃さん「短編曲詰の理想的手順」
☆全く同感です。
風みどりさん「他に手はないとわかっていても、56金~46飛は英断」
安武利太さん「自ら包囲網に穴を開けるような初手に始まり、その後も随所に好手の散りばめられた好作です。しっかりした後半に意表を衝く序を加えて、飛躍的に完成度を高めているのは、熟練の作者ならでは。見習いたいものです。」
☆最後を締めていただきました。
●他に①に解答をいただいた皆様
羅刹國さん 國吉進さん 凡骨生さん 躑躅さん
予想どおり、一番多く解答をいただきました。次回は②です。
あ、ぜひ解けなかった皆様も、感想をコメント欄におよせいただければ、と思います。よろしくお願いします。
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遅ればせながらコメントを…
本局の創作のポイントは57銀の局面かな?
最後に持駒の金を使う事により、47玉に48金。65玉の形は66銀に76玉には86金。
そして何より63飛の形にして74玉に84金。これで65金捨てが入りピタリと決まります。
曲詰創作はまずこのピタリと決まる局面の発見がポイント。
後は簡単。
…ではなくてここからがスタートでしかないのですが、作者は腕の見せ所で創作が楽しくなります。
僕としてはせっかく考えても、捨ててばかりの無駄な事ばかりしていて苦しい素材創りの方がより好きだったりしますがね〜
投稿: 三輪 勝昭 | 2012/06/05 19:01
三輪さんへ
面白いコメントですね。
あぶり出し曲詰創作の苦労?と面白さは素材創りに
あります。
「捨ててばかりの無駄?」じゃ無いですね。
「無駄があるから、好作、会心作が出来る。」と思います。
蛙さんへ
三輪さんに「後編ー①」を送ってください。
第26番の解説?にこれに似たコメントが出てきます。
よろしくお願いします。
投稿: 隅の老人A、 | 2012/06/06 16:24
コメントいただいたのですから、もちろん送付します。しかし曲詰の専門家らしい感想で、とても面白いですね。
投稿: 冬眠蛙 | 2012/06/06 23:00
三輪勝昭です。
コメントに何か送付して頂けるような事が書いてありましたが、もしメールアドレスに送信されたなら、消去してしまっています。
迷惑メール削除作業は登録名と件名で判断していますので…思い込みで判断したりしますし。
もしメール送信されたのでしたらもう一度お願いします。
それとひとつ間違いがありますね。
僕は曲詰の専門家ではありません。
自分では手筋派作家のつもりです。
曲詰でもその持ち味は出せていると思っています。
まあ、今年の学校の発表作は全て曲詰だから否定する事は出来なかったりして…
それと今年は曲詰を全校に登場させれると思っています。
それから前回のコメントは一番苦労したのは意外に素材創りかなと思ったから。それと素材創りは苦労が多いけど一番楽しいと書いたつもり。
コメントの返信を見ると隅の老人さんも曲詰創作は素材創りの楽しさは同感のようですね。
投稿: 三輪 勝昭 | 2012/06/07 14:54
A爺も自分では、曲詰作家とは思っていません。
第21番の解説ではこんなコメントを書いています。
「私は曲詰作家と見られているけれど、好き好んで曲詰を創っているのでは有りません。(中略)
ぼんくらな私には単に形を決めれば、創作開始OKな曲詰が1番楽だからです。」
但し、何と思われようがヨロシイ。
投稿: 隅の老人A、 | 2012/06/07 17:55
三輪さん、すみません、送付作業はこれからです。結果発表終わってからになりますので、ご了承ください。
投稿: 冬眠蛙 | 2012/06/09 08:17