ミステリにおけるトリックの取扱
天秤と重量計のパズルはいかがでしたでしょうか?アロエさんからのコメントにもあるとおり、2回で特定可能です…ということは天秤でないのはバレバレですね(笑)。あれはつけたしです。
このネタは「金田一少年の事件簿」というミステリ漫画から拾ってきました。この漫画は結構ヒットして堂本剛でTVドラマ化もされましたし、TVアニメでも放映されていたと思います。なんだ漫画かよ、と思われるかもしれませんが、ストーリーもトリックもしっかりしていて、下手なミステリ小説よりもよほど楽しめます。
第2話の「異人館村の殺人」というのがありまして、実はここで使われているトリックは島田荘司のデビュー作「占星術殺人事件」のものをほぼそのまま使っています。この小説は本格回帰の原点としてあまりにも有名であり、当時から賛否両論があったと聞いています。個人的には「占星術」よりも「異人館村」の方が好きですね。それは当時非難された「読者に対する挑戦」がどうのこうの、ということを問題にしているわけではなくて、ストーリーの一貫性の有無があります。「占星術」の方は中盤のほとんどが実は本筋には関係ない、というのが正直、読んでてがっかりでした。それを踏まえてみると、「今なら中編で書ける話だよなぁ」と思います。その点で「異人館村」の方は(多少動機に無理があるかもしれませんが)無駄のないストーリーになっているので読んで納得できる作品になっていると思います。
…でも、言ってみれば「トリックそのままパクリ」なわけで、詰将棋で言えば"主軸となる趣向部分がほぼ同一の作品"みたいなハナシですよね。これがなんの問題にもならずにスルーされてしまうあたり、意外とこの世界は大雑把なんだなあ、と思った次第です。で、これもまた悪くはないかもしれないな、と。この漫画が新しいミステリファンの開拓に大きく貢献しているのは言うまでもないことなので。
そういう意味では有限の世界である詰将棋において、類作についても寛容であっていいのかもしれないな、と思いました。
ちなみに今日やっとパラ11月号の作品に手を付けはじめ、短大に前このブログで出した作品が入選していたことがわかりました。久々の入選ですので桂花さん、なにとぞお手柔らかに…。
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