軽趣向好作選146

 いよいよ来週博多で全国大会ですね。今のところ暑い日になりそうで、ご出席される皆さんはどうぞお気をつけて。私もなんとか参加できそうで、楽しみにしています。


 ということで、本日はパターンですと詰将棋学校好作選ですが、今回は九州Gの中核メンバーの楽しい作品で期待値を上げたいと思います。
20250713yahiro
▲23桂△12玉▲24桂△13玉
▲25桂△14玉▲26桂△同と
▲13桂成△同玉▲15香△14歩
▲12桂成△同玉▲14香△13歩
▲11桂成△同玉▲13香生△12歩
▲同香成△同玉▲13歩△同玉
▲14歩△同玉▲15歩△同玉
▲16香△同と▲同金△14玉
▲25金上△13玉▲24金左△12玉
▲56角△11玉▲12角成△同玉
▲23金△11玉▲22と△同歩
▲12歩△21玉▲31歩成△同飛
▲同香成△同玉▲41飛△同銀
▲同と△21玉▲11歩成△同玉
▲12銀まで57手。
 いきなり桂4枚を並べ打ってスタート。最後の26桂は同とと取られますが、これで19香の効きが通ったので、今度は桂成捨てから香での王手で下段に追います。桂合は打つ手があり簡単で、歩合を繰り返すのですが、これを全部取って歩を叩いて再び玉を上部へ。16香と打って精算し、27金から再度下段に追い立てます。24金左から56角として39香の筋を通すのが遠大な構想でした。23金から22とで打歩詰を打開し、最後は52銀を入手して11歩成~12銀で詰め上げます。
 簡単そうに見えますが、これを破綻なく実現する作図はなかなか大変だったのではと思います。何よりも、難しい変化をほとんど付さず、解いて楽しい作品になっているのが素晴らしい。軽趣向らしい秀作です。

軽趣向好作選145

 暑い日が続いてますね。体調がいまひとつなのですが、九州行きに備えて整えていきたいところです。

 今日は軽趣向好作選です。
20250706takano
▲34角△72玉▲45角△63角
▲同角成△61玉▲34角△43桂
▲72馬△同玉▲45角△63角
▲同角成△61玉▲72馬△同玉
▲54角△63角▲同香成△61玉
▲43角成△同金▲73桂△同香
▲72角△71玉▲82歩成△同玉
▲83と△91玉▲81角成△同玉
▲72成香△91玉▲82と まで35手。
 34角の両王手から45角と引くと、63に捨合するしかなく、同角成、61玉の局面でその捨合が角であることも気づきます。ここで34角と打つと、同角成に同金を用意した43桂合が最善となります。ここで72馬と捨ててまた45角とするとまた角合の一手。同角成、61玉で手詰まり感がありますが、またもや72馬と捨てて、今度は54角と桂に当てて打つのが好手段でした。角捨合に対して今度は同香成と取り、43桂を剥がした後、73桂~72角で収束します。
 この角打角合機構は前例がありますが、本作は43に発生させた桂を取るためもう一度繰り返す作りが良く出来ていると思います。7手目の34角が、その後の72馬捨てに52玉と逃げたときに63香成~32歩成で詰ますための限定打になっているのも巧みですね。

詰将棋学校好作選44

 新潟の実家から母親が遊びに来てました。朝ドラの影響でアンパンマンミュージアムに行ったり、今日は近くの動物園にホッキョクグマの子供を見物に。80歳過ぎているのですが元気で、親孝行少しは出来たかな。

 今日は詰将棋学校好作選。ちょっと意外性のある短編です。
20250629nitta
▲51飛△41香▲同飛成△22玉
▲25香△同桂▲21龍△同玉
▲23飛△22銀▲33桂△12玉
▲13金△同銀▲21飛成まで15手。
 ほぼ無仕掛に近い初形。44歩もすぐには活かせそうにないので、持駒の飛2枚でサンドイッチを狙う筋かな、というところ。実際41飛と打てば31合には11飛で詰みますが、22玉で詰みません。実は遠ざけて51飛と打つのが大事で、22玉には21飛打、13玉、25桂、同桂に53飛成で詰みます。33桂配置で飛の後ろの効きを活かすのをカムフラージュしているのがベテランの技ですね。
 これに対しては41に捨て合で抵抗しますが、歩は二歩、桂は品切れ、更に銀とかですと同飛成、22玉、21飛打、13玉、25桂、同桂、24銀で詰みます。最善は香合で、この場合だけ22玉に21飛打では詰まず、25香~21龍と捨てる展開になるのが素晴らしい。また、21龍、33玉には43金、34玉、33飛ですが、二歩禁防止のための45歩配置をちゃんと活用しているのも巧い。最後の合駒は非限定ですが、主題が明確に伝わる好作です。

軽趣向好作選143

 全国的にも同じ傾向っぽいですが、梅雨入りしたと思ったら急に暑い日が続いてますね。空梅雨にならないと良いですが。

 さて、今日は軽趣向好作選。ちょっと長めですが、一流趣向作家の腕をご覧ください。
20250622sionoiri
▲12歩△21玉▲22歩△同龍
▲11歩成△同龍▲22歩△同龍
▲同角成△同玉▲21飛△同玉
▲31歩成△同玉▲34香△33歩
▲同香生△22玉▲32角成△11玉
▲12歩△同玉▲13歩△同玉
▲16香△15歩▲同香△24玉
▲14馬△33玉▲34歩△同玉
▲35歩△同玉▲38香△37歩
▲同香△26玉▲36馬△15玉
▲16歩△同玉▲17歩△同玉
▲19香△28玉▲18馬△37玉
▲38歩△26玉▲46龍△25玉
▲36馬△34玉▲35龍△43玉
▲54馬△同玉▲55龍△43玉
▲44金△42玉▲52龍△同玉
▲53銀成△41玉▲24銀△32玉
▲33金△21玉▲31銀成△同玉
▲42銀成△21玉▲32成銀まで75手。
 まず龍を手に入れるのですが、単純精算の前に12歩を消去するのが芸が細かい。すぐに効果が分からないのですが、進めてみます。
 31歩成~34香と打ってみると、22玉には32角成、13玉、15香、24玉、27香として、以下15玉には17香、16歩、33馬以下。この33馬を防いで、33歩中合が最善です。同香生から32角成として16香と離して打つと、24玉、27香のときに15玉を用意して15歩中合が必要。更に14馬・35玉型のときの38香にも単に26玉では29龍で簡単なので37歩中合が必要となります。こうして1筋・3筋で香打→歩中合→馬引きを繰り返し、その形になるまで持駒の歩で玉を誘導する趣向が展開される仕組みです。ここで最後の17玉・19香型に持っていくために1筋で歩を連打しますので、そのために最初の歩消去が必要であった理由も判明します。
 18馬・37玉で折り返し、今度は龍と馬で玉を上部に追い戻します。54馬で金を入手した後、44金と上部を押さえて52龍と切れば後は易しいながら気持ちの良い捌き。最後は見事に還元玉で詰みあがりました。
 趣向のオリジナリティもさることながら、序奏から収束まで精緻に仕上げられていて、塩野入氏らしい完成度の高い趣向作品でした。

詰将棋学校好作選43

 6月ももう半ばですね。順位戦の解答がなかなか進まず、今月も全コーナー解答は厳しいかなあ。

 さて、詰将棋学校好作選は本日から2018年下半期。今日は鮎川氏の長編趣向作です。
20250615ayukawa
▲75と△54玉▲63馬上△同金
▲65金△54玉▲63馬△46玉
▲45金△同龍▲同馬△同玉
▲56銀△同玉▲66飛△45玉
▲55金△同玉▲65と△44玉
▲45歩△同玉▲47飛△34玉
▲35金△同玉▲36飛△25玉
▲27飛△26桂▲同飛寄△34玉
▲35歩△44玉▲45歩△同玉
▲47飛△35玉▲36飛△24玉
▲25歩△14玉▲15歩△同玉
▲16飛△25玉▲27飛△34玉
▲35歩△44玉▲45歩△同玉
▲47飛△35玉▲36飛△24玉
▲25歩△14玉▲15歩△同玉
▲17飛△16歩▲同飛寄△25玉
▲27飛△34玉▲35歩△44玉
▲45歩△同玉▲47飛△35玉
▲36飛△24玉▲25歩△同玉
▲27飛△26桂▲同飛上△14玉
▲15歩△同玉▲27桂△14玉
▲16飛△24玉▲25歩△同玉
▲26飛左△34玉▲35歩△44玉
▲46飛△53玉▲56飛△62玉
▲52飛成△71玉▲83桂△81玉
▲93桂まで101手。
 冒頭20手が序奏で、17手目すぐに47飛としたくなるところ、いったん55金~65とで玉方55歩を消しておきます。これで45歩に対して53玉と引く手に56飛を用意します。ただ、56飛に62玉以降の手順も52飛成、71玉、72歩、82玉、87飛以下と結構指しにくい手順になっています。
 作意は45歩、同玉に47飛で2枚飛による知恵の輪になります。ポイントとなる形は36飛・25玉型での27飛で、ここで26桂合を入手することが出来ます。ただ、1回目は流れで実現するのですが、2回目は36飛、24玉、25歩に14玉とし、先に16桂を犠牲にして延命を図ります。これに対しては27飛からまた一旦左に追い、47飛・36飛型を作りますが、次も25歩に14玉とする手が成立します。そのタネは15歩、同玉、17飛に更に16歩捨て合とする手。これで36飛を動かして36飛・25玉型を防げるわけです。
 もう一度47飛・36飛型を作って25歩とすると、今度は14玉とする手には15歩、同玉、16飛、25玉に17桂とする手があり早くなります(詰方からすると17歩を消した効果ということ)ので、ようやく25同玉、27飛で最後の桂を入手して収束に向かえる、という仕掛け。44玉に45歩と叩く歩がなくあれっ?と思うかもしれませんが、45歩と叩かなくても46飛に適当な合駒がないので、53玉とせざるを得ず、最後は入手した桂2枚で桂ツルシ。

 精緻に出来た趣向作なのですが、残念ながら89手目収束に向かうところで17桂からの余詰が成立。作意順がギリギリの手順で、残り駒の制約もあり修正困難、とのことでした。今回少し調べてみましたが、序の4手をカットして、玉方22歩→21歩、11角配置すれば33香に紐がつくので余詰順は防げそうではあります。

 

軽趣向好作選をWeb版にしてもらいました。

 次回詰とうほく、8月23日(土)の13時から、前回と同じく青葉区中央市民センター和室となりました。なんとか予約取れて良かったです。暑い最中になるかと思いますが、ぜひ。

 さて、前に軽趣向好作選をまとめたものを図面作成ソフトで鑑賞できるようにしたものを公開しました。(コチラ
 これはこれで楽しめるかと思いますが、UraさんからWeb上で同様に棋譜再生も含めてできるようなプログラムをいただきました。Webでの鑑賞ということで、文字も大きく見やすく仕上げてもらってます。Uraさんありがとうございます。

 せっかくなのでこちらに公開します。添付のzipファイルをダウンロードして解凍後、「Program」フォルダにある「WebView.html」のファイルを開くと、以下のような感じで鑑賞できます。20250608

図面下の▶ボタンで再生も可能です。図面上でのクリックでもやれると思います。ぜひお楽しみください。

ダウンロード - 軽趣向好作選1.zip

 

軽趣向好作選142

 仙台はここのところ気温の低い日が続いてます。私寒がりなんですよねえ。今日から6月なのでこれからは暖かくなるかな。

 さて、今日は軽趣向好作選。有吉氏の2作品です。
20250601ariyoshi
▲19飛△79銀▲同飛△98玉
▲88金△同飛成▲89銀△同龍
▲同馬△87玉▲81飛△96玉
▲78馬△95玉▲77馬△94玉
▲76馬△93玉▲85桂△92玉
▲93歩△81玉▲54馬△同金
▲72香成△91玉▲82成香△同玉
▲73飛成△91玉▲92歩成△同玉
▲93桂成△91玉▲82成桂まで35手。
 18飛の効きがなければ77馬で詰むので、19飛は打ちたくなる一手。ただ、これに対して79銀合が粘りのある一手。ここまで近づけることで、97金寄、同角成、76馬の筋には88玉で逃れることが出来ます。
 ここからが少し驚きで、88金~89銀として飛を手に入れ、81飛の遠打が飛び出し、更に馬追いで下段に追い込む手順が展開されます。桂打から93歩で遠打の飛を取らせ、更に54馬捨てから収束します。おそらく遠打から作り始めたと思いますが、捨て合で近づけた飛を最後にしっかり働かせるあたりは流石の演出です。
20250601ariyoshi2
▲47金△同玉▲48飛△36玉
▲58馬△26玉▲27歩△同玉
▲39桂△同と▲18金△16玉
▲17歩△26玉▲28飛△37玉
▲27飛△46玉▲47飛△36玉
▲44飛△26玉▲38桂△同と
▲24飛△37玉▲27飛△46玉
▲47飛△36玉▲43飛成△26玉
▲23龍△37玉▲27龍△46玉
▲47龍まで37手。
 こちらは3手目に据えた飛が回転する趣向。途中開き王手で展開するのが面白い。意味づけは非常にシンプルで、桂を取り、2回目に飛を成ることで収束しますが、46歩が消えて55角の筋が通るので、2回目に入る前に38桂捨てが必要になる(省略すると27飛、38玉で逃れ)のがちょっとしたポイント。この55角は22にも効いているため、2回目の飛の成る位置も限定されており、気が利いてますね。
 ほぼ全ての舞台装置を作るところから始まるので、趣向にたどり着いたときには嬉しくなります。

 

詰将棋学校好作選42

 米騒動がなかなか収まらないうちに、年金についても変な動きに。どうも思うんですけど、政治家の方はどうして、現実を見せようとしないんですかね。私の中では、もう日本はどうやって痛みを分かち合いつつ、将来に向けて何を捨てなければならないかを議論しなければならない、という感じなんですが、皆うまい話しかしないんですよね。現実を認識させつつ、将来のビジョンを見せて欲しいものです。

 本日は詰将棋学校好作選。一桁モノです。
20250525nuita
▲77桂△74玉▲85桂△83玉
▲73桂生△72玉▲61桂成まで7手。
 ノンストップで桂が四段跳ねする超短編です。前例はどのくらいあるのでしょうか。香二枚並べつつ、54銀の余地を残す仕組みが秀逸で、ごくシンプルな仕組みで実現しました。ちゃんと桂を跳ねる選択だったり、桂成とする余地も残しているのが深みを与えています。変化・紛れを含めて味わっていただければと思います。

軽趣向好作選141

 昨日は詰とうほくでした。若干離れた中央市民センター開催になったうえ、生憎の天気となってしまい、ちょっと参加者減かな、と心配したのですが、久しぶりの戸村さんを含めて今回も11名参加でにぎわいました。利波さんの握り詰や戸村さん、小笠原さんの新作を解いたり、類作チェックしたり、馬屋原さんからいただいたUraさん作の改作案の話題であっというまの4時間でした。次回は8月23日か30日で調整しています。結構空きが少なくて、ちょっと心配。当選すると良いですが。

 さて、今日は軽趣向好作選。看寿賞特別賞を受賞した傑作です。
20250518hirose
▲55銀△同桂▲65銀△同香
▲64金△同香▲63銀△同歩
▲53金△同歩▲43銀△同桂
▲44金△同桂▲45金△同角
▲46桂まで17手。
 大量の持駒でびっくりするかと思いますが、なんとこれが17手詰。つまり、先手は全て持駒を打つ手の詰将棋です。さて、ではどのような手順なのでしょうか。
 目を引くのは持駒の桂ですが、玉の周囲は守備駒が効いており、足場に出来そうなのは46地点くらい。でも初手46桂では45玉で全然詰みません。では45銀、同角と塞いで46桂なら…44玉で駄目。なら44地点を44金で塞いでからやれば。でも53玉とされると42が抜けちゃいますね。では53地点をなんとか塞げれば。53金、同玉を詰ますためには。そこで気づきます。55地点で桂を飛ばしてから6筋の駒を全部吊り上げる手順が必要なのだと。そして、その順番は55銀からが正解です。初手65銀では53玉で詰まないので、最初に桂を跳ねさせて香筋を通すことになります。
 これで正解にたどり着きます。55銀からスタートして、65→64→63→53→43→44→45と玉の周辺に時計回りに捨てて、46桂まで!!よもや、と思われる手順をごくシンプルな構図で実現しました。軽趣向好作選75でも紹介した独特の発想の光る作者による、夢のような手順。この年の看寿賞特別賞を受賞した傑作です。

 

詰将棋学校好作選41

 次の土曜日、5月17日は詰とうほくです。場所が変わりまして、青葉区中央市民センターですので、ご注意ください。
 さて、今日は学校好作選です。短編曲詰の傑作です。
20250511mizoguchi
▲46桂△同桂▲94飛△74桂
▲63銀生△同香▲65銀△55玉
▲66金△同桂▲54飛△同銀
▲64馬△同香▲54馬△同龍
▲56銀打まで17手。
 94の成銀を取ると55玉で上に逃げられます。そこで初手46桂。55玉は82馬、64歩、65馬、同玉、83馬が好手順で詰み。同桂に94飛と取れば、55玉には66銀、56玉、92馬で詰みます。この92馬を防ぐ74桂中合が最強の抵抗。63銀生、同香、65銀、55玉、66金に同桂を用意しています。作意はここから更に大駒3枚捨てで畳みかけ、56銀打までで鶴の巣籠もりの詰上がりが実現します。
 駒取りこそありますが、密度の高い短編曲詰で申し分ない作品と思います。


«軽趣向好作選140