詰将棋学校好作選25

 先週台風の心配をしましたが、今週も同じ状況になっていますね。シーズンとはいえ、今年は多い気がします。被害が少なく済むことを祈っています。
 今日は学校好作選。短編です。
20240825tahara
▲56銀△同馬▲77桂△同と
▲57桂△同馬▲54銀△同玉
▲63飛成△同玉▲53金まで11手。
 見える手がたくさんあって迷う形ですが、その中で56銀は意外な手かもしれません。76玉は87金、75玉、84銀、74玉、86桂、85玉、97桂まで。この変化で4枚ある持駒を全部使わなくてはいけないのがポイントで、初手57桂と省略したり、56銀打と欲張ると76玉で逃れます。
 56銀には同馬が最善ですが、77桂と退路封鎖をした上で、57桂と馬を無力化すれば、54銀~63飛成の狙いの妙手順が実現します。

 古典的だなあ、という思いをされた方も多いかもしれませんが、これは本作発表時点でも十分雰囲気的には古典的で、その中でも高評価を得たことに、解答者が詰将棋解図に求めているものを感じますね。

詰将棋学校好作選24

 お盆ですが地震があり台風も来て、落ち着かないですね。被害が少なく済むことを祈っています。

 今日は詰将棋学校好作選です。
20240811kondo
▲13飛△12金▲22金△同玉
▲33飛成△11玉▲22金△同金
▲14香△13飛▲同香生△12香
▲同香成△同金▲22金△同金
▲14香△13角▲同香生△12桂
▲同香成△同金▲31龍△21歩
▲同龍△同玉▲43角△32銀
▲同角成△同玉▲33飛△41玉
▲42歩△51玉▲62銀△同玉
▲74桂△71玉▲83桂△81玉
▲91桂成△71玉▲81成桂△同玉
▲83飛成△91玉▲82龍まで47手。
 
7種合です。5種までは1筋の香の王手で、泉から水が湧くように合駒が発生します。でも、よく見るとわかりやすいものが多いのではないでしょうか。動く将棋盤の方でぜひご確認いただければと思います。
 飛角桂を手にしたところで31龍と手を変えます。43角で33桂から飛打ちの筋を見せると32銀合が最善となり、3×3の狭い範囲で見事7種合が完成しました。
 収束は枠から飛び出しますが、非常に綺麗にまとまっていて、作者が「これで良し」としたのも良く分かります。全体的な雰囲気で、7種合の中でも記憶に残る作品と思っています。

詰将棋学校好作選23

 今日は東北楽天の野球の試合を見に行きました。5回までで0-6、しかもパーフェクトに抑えられて、よほど帰ろうかと思ったのですが、よもやのサヨナラ勝ちで盛り上がりました。

 本日はこないだ出勤途上で偶然お会いした方(笑)の作品を紹介。
20240728ogata
▲35銀△23玉▲34銀打△22玉
▲33銀打△11玉▲12歩△同玉
▲23銀成△同玉▲34銀△12玉
▲24桂△11玉▲22銀成△同玉
▲33銀成△11玉▲22成銀△同玉
▲32飛成△11玉▲12龍まで23手。
 上部を押さえているのが斜めの効きのない飛ということもあり、35銀は飛の効きを遮るものの、仕方ないかな、というところですが、23玉に敢えて重く打つ34銀打は少し打ちにくいのではないでしょうか。省略して34銀は14玉、25銀打、15玉とヌルヌル逃げだされます。
 更に22玉に27飛は届きそうにないので、更に重く33銀打とします。31玉は43桂、21玉に27飛と2筋を空けておいた効果が出るので、11玉としますが、12歩と叩いて23銀成~34銀と一枚捨てて軽くしておくのが好手段。24桂と足場を作ると残りの2枚の銀も邪魔になっており、これを軽く捌き捨てれば32飛成が実現します。
 3筋に重く打った3枚の銀が綺麗に跡形もなく消える手順が好評を博しました。自然な流れで実現できており、使用駒種が少ないこともあって、爽やかさを感じる作品です。

詰将棋学校好作選22

 詰将棋学校好作選は半期賞選考時に担当者の方がコメント言及した作品を選んでます。……と言い訳した上で。

20240707ichishima
▲22金△同銀▲34香△33銀
▲同香成△同玉▲42角成△34玉
▲44銀成△同玉▲26角△同香
▲45銀△35玉▲36銀上△46玉
▲24馬まで17手。
 初手いきなり金を手放すのがやりにくい一手。34香が継続手で、33歩合等では42銀成、21玉、22角成、同玉、31角で早詰。角銀は品切れで、31に効かす33飛合は42銀成、21玉、32角、12玉、22角成、同玉、33香成、同玉、43飛以下で同手数駒余りです。
 質駒を逃がす33銀移動合を食いちぎり、44銀成と捨てて26角が狙いの限定打。香を跳ね上げることで、最終手の24馬が成立します。
 純逆算で、銀4枚使っての序奏は賛否分かれるところでしょう。実は昔は「ちょっと無理あるな」と思っていた逆算でしたが、今見てみるとちょっとした意外性と適度な難易度で、比較的好ましいコになりました。将来作品集を編むときには必ず入れたいと思います。

 

詰将棋学校好作選21

 全国大会が近づいて参りました。冬眠蛙は前日に国立競技場でサッカー観戦することにしました。どちらも楽しみです。ただ、見に行った試合の勝率悪いんですよね。ちょっと心配です(笑)。


 今日は学校好作選。長編趣向作です。
20240623kondo


▲31銀打△12玉▲44桂△23銀
▲同銀成△同成銀▲13歩△同玉
『▲79馬△24銀▲22銀打△12玉
▲13歩△同銀▲同銀成△同成銀
▲21銀△23玉▲32銀生△12玉
▲78馬△23銀▲同銀成△同成銀
▲13歩△同玉』
『▲68馬~▲67馬~△同玉』
『▲57馬~▲56馬~△同玉』
▲46馬△24銀▲22銀打△12玉
▲13歩△同銀▲同銀成△同成銀
▲21銀△23玉▲45馬△34歩
▲32銀生△12玉▲34馬△23銀
▲同銀成△同成銀▲13歩△同玉
▲35馬△24銀▲22銀打△12玉
▲13歩△同銀▲同銀成△同成銀
▲21銀△23玉▲24歩△同馬
▲32銀生△12玉▲34馬△23銀
▲22銀成△同玉▲23銀成△同成銀
▲32桂成△12玉▲13歩△同玉
▲24馬△同成銀▲22角△23玉
▲24飛△同玉▲35銀△25玉
▲26銀打△36玉▲37金△45玉
▲46金△54玉▲55金△53玉
▲44角成まで123手。



 成銀配置と持駒の歩、更に79馬配置で「歩を消費しながら成銀を操って馬鋸で近づくのかな」と慣れた方なら気づくかもしれませんが、この作者は更に欲張った味付けを用意していました。それが『銀合を2回繰り返し、その銀を剥がしながら近づく馬鋸』。44桂に23他合は21銀生から32桂成で、79馬に24他合は22銀~13歩で成銀を剥がして22銀打以下で詰みますので32桂成と13歩を取るために銀合が必要で、その銀を取ってまた打つことで馬で王手できる筋を空けることが出来る仕掛けです。
 近づくごとに2歩消費する仕組みで、最も近い35まで行くことでちょうど10枚使い切る……と実は失敗。途中45馬のタイミングを一路早め、34歩合を強要して同馬~35馬と引くのが正しい追い方で、これで1歩を稼ぎ、最後にその歩で13に吊り上げて24馬から収束に向かいます。最後は打った金が55までスルスルと上がって44角成まで。銀のスクリーンの開閉が機械仕掛けのようで面白い表現になっていると思います。

詰将棋学校好作選20

 妻の実家で網戸の張替をしてきました。久しぶりにやったのでやり方だいぶ忘れてましたが、なんとか完了。DCMで買った網押えゴムの太さを間違ってしまったのですが、話したら快く交換してもらえて助かりました。同じミスやってる人結構いるんですかね。


 今日は詰将棋学校好作選です。当時なかなかの衝撃をもたらした作品です。
20240617sakaguchi
▲55桂△33玉▲39香△同馬
▲34龍△42玉▲43龍△51玉
▲63桂生△61玉▲71桂成△同玉
▲83桂△81玉▲72銀△92玉
▲91桂成△同玉▲93香△同馬
▲41龍△92玉▲81龍まで23手。

 3手目34龍と追うのが普通ですが、42玉、43龍、51玉、63桂生、61玉で逃れます。ここで93馬の効きに打つ39香が狙いの遠打。23玉、15桂、13玉、63龍、24玉、23龍、15玉、26銀、15玉、25龍、27玉、37銀の変化のための限定打で、38歩合とかですと今度は同香、23玉に34龍で詰みですので同馬と取りますが、93馬の83の効きが無くなるので、34龍以下同様に追って、71桂成~83桂と打ち換える手が成立します。92まで追い込んで、91桂成~93香と今度は39馬を93まで呼び戻すのが作者の描いたストーリーでした。スイッチバックの表現手法が鮮烈で、当時高い評価を得た傑作です。
 発表時は玉方85歩・95と配置がなく、71桂成のところ、51桂成、71玉、61成桂、81玉、71成桂の迂回手順のキズが発生。修正案は作者ご自身によるものですが、今見ると85歩と95とのどちらか一枚でも修正できているように見えます。作者にお伝えできれば良いのですが。

詰将棋学校好作選19

 朝ドラ主題歌の米津玄師の曲が冬眠蛙好みドストレートで、あまりに気に入ったので久しぶりにギター練習しています。真面目に触るのは数年ぶりで、フレットを押さえる力が弱くなってて、ブランクを感じました。まあ元々全然素人なんですが(笑)。


 今日は学校好作選です。非常に高評価だったのですが残念ながら余詰だった短編作を。
20240526kato
▲67飛△46玉▲58桂△55玉
▲54馬△同玉▲46桂まで7手。
 桂があれば打ってみよ、と48桂は同香成で、逆に28桂は46玉で打った桂が邪魔になって詰みません。ということで開き王手なのですが、飛成でも57飛でもなく、67飛と枠の外に動かすのが面白い一手で、46玉に58桂と香筋を遮断した後、豪快な馬捨てから両王手が作者の狙いでした。
 全手順が一本の線でつながっており、完成された作品なのですが、残念ながら初手77飛でも詰みで、また収束54馬で28馬と寄る手もあり、残念ながら不完全。修正も無理ではないのですが、2枚くらい追加しないと厳しそうです。
 この詰上りは有名な小林敏樹氏作にもあるのですが、発表時の結果稿において、小林氏の59香遠打に比べるとインパクトが薄い、という解説が行われています。ただ、個人的にそうかなあ、という気持ちはあります。59香で逃げ道を封鎖できているにも関わらずその枠の外に移動するのが正解、という意外性は短編ならではの世界だと思うんですよね。加藤氏は当時の超短編の名手の一人で、本作はまさに氏らしい調理がなされていると思います。ぜひまた作品を見せて欲しい作家の一人です。

詰将棋学校好作選18

 次の土曜の5月18日は詰とうほくです。仙台駅東口の生涯学習センター。今回はミーティング室にしてみました。少し狭いかもしれないですが、まずは問題ないレベルかと思います。初夏の仙台でお待ちしております。

 さて、本日は学校好作選です。力の入った中編をご紹介。
20240512hirayama
▲82銀△同馬▲同桂成△同玉
▲91角△72玉▲73飛△81玉
▲93桂△同龍▲63角△92玉
▲72飛成△82歩▲同角成△同龍
▲74角成△93玉▲82龍△同玉
▲83飛△71玉▲72歩△同玉
▲73馬△71玉▲82飛成まで27手。

 身動きできない玉ですが龍と馬が強力にカバーしており、どのように手を付けて良いか迷うかと思います。71飛、81歩、同銀成でも相当に続きそうですが、わずかに届きません。82銀と精算しにいくのが思い切った手段。同龍は同桂成、同玉に84飛と馬に当てて打つ手があり早いので同馬ですが、同桂成、同玉(同龍は71飛~73角)に91角が目の覚める一撃です。同玉は73角、同龍は64角の筋で詰みで、72玉と銀を取るのが最善ですが、73飛~93桂~63角でようやく網に入れた感触がするところでしょうか。
 収束はやや流れましたが、コンパクトにまとまったいるので雰囲気を壊していません。端正な初形から読みの入った手順が展開される佳作中編です。

詰将棋学校好作選17

 今年はゴールデンウィークはハッキリ前後ろでわかれましたね。冬眠蛙は後半は新潟に帰る予定です。ということで今のうちに記事をあげます。今日は学校好作選。前回に引き続き短編になります。
20240428minamiisi
▲34桂△同歩▲52飛△13玉
▲14銀△同角▲25桂△同角
▲22飛成△同玉▲23金まで11手。
 端正な実戦形の初形ですが、左辺ががら空きでつい飛と打ちたくなるところですが13玉とされると41角の効きが強く届きません。初手34桂が後を見据えた妙手。同歩と取らせて52飛と打ち、13玉に14銀と捨ててしまうのが継続手段です。同玉は15金~25桂ですので同角ですが、25桂と捨てて角を誘導すれば、23の効きがなくなるので22飛成で元に戻して頭金が実現します。
 52飛は限定打で、33玉に45桂、44玉、53飛成、45玉、56金までの変化を用意しています。この変化で25銀の36の効きまで活かしているのも驚きで、33を開けたために52飛が限定になる仕組みも本当にうまく出来ていて、理想的な短編と思います。

詰将棋学校好作選16

間が空いてしまいました。年度末はいろいろ建て込みますね。

今日は詰将棋学校好作選。一桁モノです。暗算でチャレンジしましょう。解答・解説はコメント欄に付すことにしますね。
20240414yamada