軽趣向好作選102

 ここのところ朝のテレビ小説と大河ドラマくらいしか連続ドラマを見ていなかったのですが、今回のVIVANTは久しぶりに毎週楽しみに見ました。なによりスケールの大きさが良かったですね。続編を期待させそうな終わり方でしたが、果たしてどうなんでしょうか。

 今日は軽趣向好作選。今まで紹介してきた中でも1・2を争う好きな作品です。
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▲42銀生△22玉▲31銀生△33玉
▲34歩△23玉▲33歩成△同玉
▲42銀生△22玉▲23歩△12玉
▲22歩成△同玉▲31銀生△33玉
▲34歩△23玉▲24歩△同金
▲33歩成△同玉▲42銀生△22玉
▲23歩△同金▲31銀生△33玉
▲34歩△同金▲同馬△同玉
▲24金まで33手。
 この初形でポイントになる駒は実は詰方の12歩。この駒が実は邪魔駒で23歩~22歩成で消したいのですが、23桂がそれを邪魔しており、その桂も34歩~33歩成で消したいのですが、23桂には22とで紐が付いており、34歩が打歩詰の禁じ手。つまり22とも邪魔駒なのです。この3枚の邪魔駒を31銀と持駒の歩を使って跡形もなく消していく手順が秀逸です。
 首尾よく3枚を消して再び33玉まで戻し、ここからの手順もまた素晴らしい。いったん34歩、23玉に24歩、同金をこの金を呼んで33歩成で元に戻し(ちなみに12歩を消す理由は33歩成、14玉に15歩と打つためです)、今度は42銀生から23歩で金を23に呼び、最後に31銀生から34歩で金を取ってゴール。全編趣向的な手順で統一しつつ、ひとつひとつのカギに味があり、何よりも易しく解けるのが素晴らしい。エンターテイナー宮原氏の面目躍如の一作です。


軽趣向好作選101

 次回詰とうほくですが、11月18日に青葉区中央市民センター和室を確保しました。今回は競争率が高かったので、取れて一安心です。さすがに暑さも通り過ぎているはず?ですので、ぜひお越しください。

 今回は軽趣向好作選です。
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▲98角成△同桂成▲79飛△89金
▲88銀打△同桂成▲同銀△同玉
▲78龍△97玉▲96と△同玉
▲98龍△97桂▲88桂△同金
▲95と△同玉▲97龍△96桂
▲87桂△同金▲94と△同玉
▲96龍△95桂▲86桂△同金
▲93成銀△同玉▲95龍△94桂
▲85桂△同金▲92銀成△同玉
▲94龍△93桂▲91桂成△同玉
▲93龍△92金▲83桂△81玉
▲72歩成△同金▲91桂成△71玉
▲72飛成△同玉▲73金△61玉
▲53桂△71玉▲81成桂△同玉
▲92龍△同玉▲83金打△91玉
▲82金右迄61手。
 見るからに9筋の金の柱を使って玉を上部に追い込む趣向ですが、本作では玉の他に、合駒で発生した89金が共に上部に移動していく趣向になっています。タネは龍追いの変化にあり、例えば98龍に97桂合以外だと95とで簡単。桂合の場合だけは95とには86玉で逃れる仕組みになっています。要は89金が龍に取られないようにするための桂合であり、逆に詰方は8筋に逃げられたときに金が取れるよう、8筋に桂を打って金を浮かせておく必要があるわけです。シンプルですが巧い仕掛けです。
 94龍、93金合からは収束で、72歩成、同金としてから91桂成が軽妙。同金は同龍、同玉、72飛成で詰みます。71玉には飛龍を切って、取った2枚の金で仕上げます。制約がある中でうまく仕上げていますね。79飛に89銀だと詰まないため4銀使用していますが、うまく序奏を付けて使い切っており、作者の矜持が伺えます。
 

 

8月の詰とうほく+軽趣向好作選100

 昨日詰とうほくを開催しました。蒸し暑い日でかつ駅から遠目ということで着くまでが大変だったという声が多かったですが、それでも8名参加。利波さんが上梓されたばかりの軽趣向好作選やUraさんの大作参考資料の話題等、いつもどおりのんびり楽しみました。先週行われたたま研の出品作の一部を解いたり、あとは新聞用に作りためている作品を見てもらったり、という一日でした。尾形さんが悩んでいる、という7月号芹田氏作を2次会までかかってやっと解図しました。いつもながらうまく作るものだなあ、と思います。
 次回は11月18日なのですが、抽選の競争率が高そうで心配です。当選しますように。。。

 先ほどのたま研作品展のテーマは趣向作だったのですが、ちょうど軽趣向好作選も100回になりました。ネタがたくさんあるのでまだまだ続きます。ということで、特に力を入れることなく、今回も軽くて楽しめる作品を紹介します。
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▲24桂△同銀▲22歩成△13玉
▲25桂△同銀左▲15香△同銀
▲14歩△同銀▲12と△同玉
▲13歩△同玉▲22銀△12玉
▲24桂△同銀▲13歩△同銀
▲11銀成まで21手。

 44角が33馬をピンしているような形で、その制約下で豊富な持駒を使って足場を築きにいきます。22歩成、13玉の局面では24銀の効きが強いので25桂から15香で外します。14合は23と~22銀ですね。14歩と一旦25に動かした銀を戻してから待望の12と~13歩~22銀。最後はもう一枚の銀も13に戻して、11銀成まで。
 気が付くと、持駒のうち桂香歩は全て捨てて、初形から23歩が22銀に変わっただけの局面になっています。作者らしいユーモアが感じられる作品です。

軽趣向好作選99

 この企画は発表年月順で紹介しておりますが、同じ守備駒を連続で動かすというのがだんだんとトレンドになってきてまして、今回紹介する2作は両方とも玉方の応手が馬だけです。

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▲16香△同馬▲34飛成△同馬
▲25銀△同馬▲24飛△同馬
▲16香△15馬▲24金まで11手。

 初形で盤面から26馬が無効化されれば、持駒が香だけでも16香で簡単。さすがにいなくなってはくれませんが、24まで馬を移動させれば同じ手順が成立します。では25銀~24飛で、というところですが、25銀には15玉で詰みません。この手を防止するために更に準備工作として16香~34飛成が必要、という仕掛けです。
 最後も駒余りを防ぐ馬の移動合が入り、ごく簡単な仕掛けで全応手馬を実現しました。比較的考えやすくて好感が持てます。表紙に採用した詰パラ編集部にも拍手。

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▲27銀△同馬▲18桂△同馬
▲28香△同馬▲27銀△同馬
▲36金△同馬▲27銀△同馬
▲18桂△同馬▲28香△同馬
▲46飛△同馬▲27銀まで19手。

 当時の冬眠蛙は中編以上になるとほとんど他人の作品を解くことはなくて、解説を眺めては感心する、というばかりだったのですが、本作は有名なトラブルもあったためか(笑)、リアルタイムで解いて非常に感心した覚えがあります。
 こんなに持駒が無くても簡単に詰みそうな局面に見えますが、27地点をカバーする16角が浮いているのが絶妙で、例えば初手28香とすると27飛、同香、16玉で27への脱出を防げません。そこで一工夫して27銀、同馬、18桂、同馬と18に追いやってから28香とします。27合とすると27地点が埋まるので36金~25銀で簡単。そこで同馬ですが、27銀とまた捨てます。これは次の36金のときに角を取られるのを防ぐ準備工作。ただ、その代わりに36金にも同馬と取られてしまいます。ここでまた27銀~18桂~28香が繰り返されるのが驚きの手順。実は前の28香、同馬の時点で46金が邪魔駒だったのですが、なかなか気づかないのではないでしょうか。最後、46飛も完璧な着地で、これだけ動いた馬が最後46と玉から離されて、浮き続けた16角を最後まで守り切っての詰上るのには感嘆するばかり。この年の看寿賞を受賞した文句なしの傑作です。


 馬と言えば、お隣福島県ではこの夏、4年ぶりに「相馬野馬追」という祭りが開催されました。なかなか勇壮な催しで、ぜひ一度見に行きたいのですが、聞いたところでは開催時期の変更が検討されているのだとか。暑いと馬の調子にも響くんですかね。まあそれ以前に、人間も武者姿がツライですか。時代を感じてしまいますね。

軽趣向好作選98

暑くなってきましたね。部屋の掃除だけでも汗だくです💦。予報を見たら来週全国大会が開かれる桑名市は当日最高気温35度予想( ゚Д゚)。熱中症に厳重注意ですね。

本日は軽趣向好作選。いつもより盤面広めの2作。
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▲32と△43玉▲42と寄△53玉
▲52と△63玉▲62と寄△73玉
▲72と△83玉▲82と△同玉
▲84龍△83飛▲81金△72玉
▲74龍△73飛▲71と△62玉
▲64龍△63飛▲61金△52玉
▲54龍△53飛▲51と△42玉
▲44龍△43飛▲41金△32玉
▲34龍△33飛▲31と△22玉
▲24龍△23飛▲21金△12玉
▲13香△同飛▲22龍まで43手。

 なんとなく1段目の金とと金を引きながら追いたくなりますが、そうではなくて22と金で8筋まで追って捨てるのが正解。84龍と合駒を聞いたときに83飛合が最善(たとえば銀合は81金、72玉、74香以下)で、今度は1段目の駒で左に追いながら龍と飛の移動合が繰り返される趣向が展開されます。合駒の変化は83飛合の変化がだいたい準用できており、また都度龍を動かさないと玉が3段目に上がられてしまうので不詰。なんとそのまま1筋まで同じ手順を繰り返して詰みあがります。装飾駒がほとんどないので、まるで協力詰のような雰囲気になっており、見事な作品です。

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▲23桂生△21玉▲11桂成△同玉
▲13香△12香▲同香成△同玉
▲13香△21玉▲22歩△同玉
▲23歩△31玉▲32歩△同玉
▲33歩△41玉▲42歩△同玉
▲43歩△51玉▲52歩△同玉
▲53歩△61玉▲62歩△71玉
▲72歩△81玉▲82歩△72玉
▲73歩△82玉▲83歩△93玉
▲94歩△同玉▲95歩△同玉
▲86銀△96玉▲97歩△同金
▲85銀△95玉▲96歩△同金
▲84銀△94玉▲95歩△同金
▲同銀△同玉▲86金打△94玉
▲85金右△93玉▲84金寄まで59手。

 小駒図式で持駒歩18枚。かなりの希少品でしょうか。歩18枚の作品で玉が1段目、4段目に金銀を配置ですので、歩を1筋につき2枚ずつ使いながら玉を追う手順が一般的で、本作もベースは同じですが、随所に工夫がみられます。
 まず最初に35桂で23銀・11香を取ります。同玉の局面で早速12歩、同玉、13歩としたくなりますが11玉で詰みません。13香が面白い手で合駒に歩がないので最善が香合となり、13香で歩を節約するのが正解です。
 以降は歩を2枚使いつつ左に追っていきますが、62歩は取らずに71玉と避け、更に72歩、81玉、82歩、72玉と逃げ方が工夫されています。62歩に同玉と取ってしまうと63歩、71玉に62銀と打って早詰です。9筋に追い込んでからは銀歩送りに変わり、最後は金打から収束します。作者の工夫が伺われる労作です。

趣向詰好作選97

 ロシアで内乱が発生して昨日から今日にかけて大騒ぎでした。SNSを見ても、マスコミよりも突っ込んだ情報が多く飛び交ってましたが、どれが本当の情報なのか判断が難しい。そういった部分を含めて、怖い世の中になったものだな、と思います。


 前回松本全国大会の記念詰将棋2作を紹介しましたが、今回は同じ長野全国大会の握り詰入選作を紹介。
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▲99龍△89金▲69と△同玉
▲89龍△79金▲59金△同玉
▲79龍△69金▲49金△同玉
▲69龍△59金▲39金△同玉
▲59龍△49金▲29金△同玉
▲49龍△39飛▲19金△同玉
▲39龍△29金▲17飛△18歩
▲同飛△同玉▲28金△同金
▲19歩△17玉▲18金△16玉
▲26成香△同玉▲28龍△35玉
▲45金△36玉▲46金まで43手。

 下段玉一間龍での合駒送り趣向という構図は見えやすいのですが、合駒は飛角金銀とあります。銀合だとどこかで龍に紐づけて銀打が出来るので早そうかな、というところで、実際それで早いのですが、この変化で56と・36成香がうまく効いてます。
 こうして金捨て金合趣向で追うのですが、29金、同玉、49龍に39金合ですと28金、同玉、38金、同金、18金、同玉、38龍で詰みますので、ここで39飛合と変えます。これに対してはもう一度19金、同玉、39龍まで送り、17飛と合駒を稼ぐのが正解。ここで取った歩で19歩~18金と足場を気づき、趣向の足場となった36成香・56とを上手く活用して収束します。少ない駒で良く練られた作品と思います。握り詰の制約で成香配置になっていますが、将来的にどういった形で作品集に納められるのかは興味あるところです。今のところ、作者のHP上は成香配置のままとなっていますね。


軽趣向好作選96

 来月の詰将棋全国大会、何とか参加できそうな見込みです。コロナでずっとやっていませんでしたので、色々な方にお会いできるのが今から楽しみです。


 というわけで、ということでもなく単なる偶然ですが、今日は2012年の全国大会の記念詰将棋2題をご紹介。
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▲99馬△88歩▲12歩△21玉
▲98馬△87桂▲11歩成△31玉
▲97馬△86桂▲21と△41玉
▲96馬△85桂▲31と△51玉
▲95馬△84桂▲41と△61玉
▲94馬△83銀▲同馬△同香
▲51と△同玉▲52銀△42玉
▲43銀成△同玉▲44と まで31手。

 89馬を使って良い合駒を入手できれば詰みなのですが、そんなに簡単に入手できるわけはなく、99馬には98歩合、12歩、21玉として98馬には87桂合と抵抗されます。ところが、桂の頭が丸いため、ここで11歩成とすると同玉には88馬とされてしまうため、31玉の一手となります。そこで更に97馬が成立し、更に同じ理屈でと金で追いつつ馬を縦に動かず趣向が成立しています。61まで追って94馬とすれば、桂も品切れになってしまい、ついに銀を入手。フル活用したと金を捨てて銀打~両王手で綺麗に収束します。
 この趣向のために二歩や行きどころのない駒打の禁止のルールがあるんじゃないか、と思う位の完璧な構図。それを簡単に解ける易しさに仕上げる作者の創作力に拍手喝采です。

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▲24桂△33玉▲43銀成△同玉
▲55桂△33玉▲32桂成△同玉
▲44桂△33玉▲43桂成△同玉
▲35桂△33玉▲32桂成△同玉
▲54馬△41玉▲42角成△同玉
▲43桂成△41玉▲42歩△31玉
▲32成桂 まで25手。

 初手から43銀成、同玉、35桂、32玉とすれば詰むのですが、そんなに簡単に話が運ぶワケがなく、35桂には52玉とすれば詰みませんし、そもそも43銀成に21玉とされるとアウトです。それを実現するために打ち換え趣向が成立しています。
①初手は21に逃げられないように12に効かして24桂
②54銀を55桂に打ち換えて63の効きを残しつつ54の地点を開ける
③24桂を44桂に打ち換えて52に効きを作る(44桂に21玉は54馬)
④55桂を35桂に打ち換えて23に効きを作る
⑤32桂成~54馬で下段に追い込んで収束
 こちらも煩わしい変化は少なく、論理を追っていけば自然と趣向に想到することが出来ます。一流作家により表現された上質な手触りにただただ感心するばかりです。

軽趣向好作選95

27日は詰とうほく。青葉区中央市民センターで開催します。会場変わりますのでご注意ください。

今日も軽趣向好作選。今回と次回は記憶に残っている皆さんも多いかもしれません。
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▲44馬△36玉▲28桂△同と
▲48桂△同金▲39香△同金
▲26馬△45玉▲49香△同金
▲44馬△36玉▲38香△同と
▲26馬△45玉▲46歩△同桂
▲44馬△36玉▲27龍△同玉
▲26馬迄25手。
 馬を使ったミニ知恵の輪ですが、持駒の使い方に細心の注意が必要です。まず28桂~48桂といきなり桂2枚捨てますが、48桂を先にすると、同と、28桂に27玉と潜られて打った桂が邪魔になり失敗です。
 28桂に同金とするのは26馬、47玉、48香と打って、以下46歩、44馬、36玉、54馬で詰み筋。同との場合は26馬、45玉、48香には47歩合が効いて詰みません。ここで48桂~39香と遠打するのが凄い手段。同とは54馬、45合、28桂、25玉、27龍以下。この27龍を可能とするのがポイントになっています。
 同金と金がソッポに行ったので、26馬、45玉として48香と打ちたくなりますが46歩合とされて44馬、36玉、54馬は25玉で27龍が出来ないのでペケ。なら39に金を誘導した意味がないように見えますが、45玉の局面で49香と更に遠打するのが絶妙手。48を開けておくことで46歩合には44馬、36玉に37歩と打つことが出来て、27玉なら26馬~48龍、25玉なら34馬~54龍で詰み。同金と更に金を追いやれば、44馬、36玉に38香が打てます。同との一手にもう一度26馬、45玉と戻して46歩とするのが肝要で、これで44馬、36玉に27龍が決め手となって詰みます。変化・紛れともに厚い中で39香~49香という絶妙な手順を実現し、着地まで完璧に仕上げました。この年の看寿賞を受賞した傑作です。

軽趣向好作選94

 今年はJリーグが30周年なのだそうですが、実は今年冬眠蛙も入社してから30年です。そういえば入社直前にJリーグが始まる、ということで盛り上がっていた覚えがあります。当時はこんなにサッカー観るようになるとは思いませんでしたねえ。地元の新潟や今住んでいる仙台にもチームがあり、プロ野球に比べても身近な感じで楽しめますが、なかなか勝てないのがツライところ。今日は新潟が横浜Fマリノスに勝って、良い気持ちです。

 さて、軽趣向好作選を。
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▲26銀△16玉▲35銀△17玉
▲26馬△28玉▲37馬△17玉
▲26銀△16玉▲15銀△17玉
▲16飛△同玉▲66龍△17玉
▲26銀△16玉▲35銀△66角
▲26馬迄21手。

 簡単に詰みそうな形ですが、上が開けているのと44角の効きが強く、慎重な工作が必要です。まずは26銀~35銀と置き換えて角筋を塞ぎ、次に26馬~37馬と据えなおして上部脱出を防止する形を整えます。ここで26銀~15銀と今度は香筋を塞ぐのがポイント。これにより17玉に対して16飛と捨てて66龍と据えなおす手順が実現します。最後にもう一度26銀~35銀とすれば、龍と飛の違いがモノを言い、66角を余儀なくさせて26馬まで。
 初手67龍でも詰みそうですが27金の限定合で不詰。ごくシンプルな構図で楽しい手順を実現したのはお手柄です。

軽趣向好作選93

 今日で4月もおしまい。今年に入って多忙の日々を過ごしていますが、これだけせわしないと、ロクに駒どころかPCすら触らなくて、順位戦も「もういいか、しょうもない作品だけど在庫処分しちゃえ」という気になりますね。おかげで欠席で迷惑かけずにすみました(笑)。

 では今日は軽趣向好作選を。
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▲39銀△29玉▲38銀打△19玉
▲48銀△18玉▲29銀△19玉
▲28銀△同玉▲19銀△38玉
▲49銀△29玉▲58銀△38玉
▲47銀直△同馬▲49銀△29玉
▲48銀△38玉▲39飛迄23手。

8段目の受方玉に9段目の詰方飛、
持駒に複数枚の銀を持たせて知恵の輪風に追う構図はたまに見ますが、本作は玉方馬と詰方馬が睨みあい、47を開けておくことでちょっとした緊張感が漂います。
 39銀、29玉に詰キストなら直観的に48銀としてしまいたくなりますが、これは作者の罠で、38玉、39銀打、29玉となるともう詰みません。銀をたくさん持っている内に38銀打として19に追い込んでから48銀として、18玉に38銀~28銀として馬筋を遮って19銀を据えるのがポイントでした。
 38玉で残り銀1枚になりますが、その銀を49銀~58銀と据えれば47銀直で15馬筋を通すことに成功します。最後は49銀~48銀と据えなおせば39飛まで。ちょっとした構図の工夫で他にない手順構成を見せるあたり、流石に実力者ですね。

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