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2023年9月

軽趣向好作選102

 ここのところ朝のテレビ小説と大河ドラマくらいしか連続ドラマを見ていなかったのですが、今回のVIVANTは久しぶりに毎週楽しみに見ました。なによりスケールの大きさが良かったですね。続編を期待させそうな終わり方でしたが、果たしてどうなんでしょうか。

 今日は軽趣向好作選。今まで紹介してきた中でも1・2を争う好きな作品です。
20230918miyahara
▲42銀生△22玉▲31銀生△33玉
▲34歩△23玉▲33歩成△同玉
▲42銀生△22玉▲23歩△12玉
▲22歩成△同玉▲31銀生△33玉
▲34歩△23玉▲24歩△同金
▲33歩成△同玉▲42銀生△22玉
▲23歩△同金▲31銀生△33玉
▲34歩△同金▲同馬△同玉
▲24金まで33手。
 この初形でポイントになる駒は実は詰方の12歩。この駒が実は邪魔駒で23歩~22歩成で消したいのですが、23桂がそれを邪魔しており、その桂も34歩~33歩成で消したいのですが、23桂には22とで紐が付いており、34歩が打歩詰の禁じ手。つまり22とも邪魔駒なのです。この3枚の邪魔駒を31銀と持駒の歩を使って跡形もなく消していく手順が秀逸です。
 首尾よく3枚を消して再び33玉まで戻し、ここからの手順もまた素晴らしい。いったん34歩、23玉に24歩、同金をこの金を呼んで33歩成で元に戻し(ちなみに12歩を消す理由は33歩成、14玉に15歩と打つためです)、今度は42銀生から23歩で金を23に呼び、最後に31銀生から34歩で金を取ってゴール。全編趣向的な手順で統一しつつ、ひとつひとつのカギに味があり、何よりも易しく解けるのが素晴らしい。エンターテイナー宮原氏の面目躍如の一作です。


詰将棋学校好作選3

 更新遅くなりました。この土日は仙台は4年ぶりにストリートジャズフェスティバルが通常開催。天候にもまずまず恵まれて盛り上がりました。当然酒の量も進んでしまい……(汗)


 今日は詰将棋学校好作選です。
20230911wakagi
▲13桂△同香▲12金△同玉
▲45角△34桂▲24桂△23玉
▲12角△14玉▲26桂△同桂
▲25金△同玉▲34角引成△14玉
▲36角まで17手。

 無仕掛け図式ですが、手の付け方が限られており、解図欲がわきます。
 5手目45角がポイントで27まで効かす限定打。これに対して退路を開ける23歩には24桂、22玉に33角という目の覚める妙手があり詰み。34桂中合が最強の抵抗で、これを同角では今度こそ23歩で逃れ。24桂から12角で追うのが正解ですが、14玉、26桂のときに中合の桂が活きる仕掛けが巧い。しかし同桂で26が埋まるため、25金が決め手となって角2枚を活用して詰上がります。
 初形・変化・紛れのバランスが良く、また作意も綺麗に出来ており、好感の持てる作品です。作者はこの時期に短編を中心に活躍されていた実力者。復活して欲しい作家の一人です。


軽趣向好作選101

 次回詰とうほくですが、11月18日に青葉区中央市民センター和室を確保しました。今回は競争率が高かったので、取れて一安心です。さすがに暑さも通り過ぎているはず?ですので、ぜひお越しください。

 今回は軽趣向好作選です。
20230903inoue
▲98角成△同桂成▲79飛△89金
▲88銀打△同桂成▲同銀△同玉
▲78龍△97玉▲96と△同玉
▲98龍△97桂▲88桂△同金
▲95と△同玉▲97龍△96桂
▲87桂△同金▲94と△同玉
▲96龍△95桂▲86桂△同金
▲93成銀△同玉▲95龍△94桂
▲85桂△同金▲92銀成△同玉
▲94龍△93桂▲91桂成△同玉
▲93龍△92金▲83桂△81玉
▲72歩成△同金▲91桂成△71玉
▲72飛成△同玉▲73金△61玉
▲53桂△71玉▲81成桂△同玉
▲92龍△同玉▲83金打△91玉
▲82金右迄61手。
 見るからに9筋の金の柱を使って玉を上部に追い込む趣向ですが、本作では玉の他に、合駒で発生した89金が共に上部に移動していく趣向になっています。タネは龍追いの変化にあり、例えば98龍に97桂合以外だと95とで簡単。桂合の場合だけは95とには86玉で逃れる仕組みになっています。要は89金が龍に取られないようにするための桂合であり、逆に詰方は8筋に逃げられたときに金が取れるよう、8筋に桂を打って金を浮かせておく必要があるわけです。シンプルですが巧い仕掛けです。
 94龍、93金合からは収束で、72歩成、同金としてから91桂成が軽妙。同金は同龍、同玉、72飛成で詰みます。71玉には飛龍を切って、取った2枚の金で仕上げます。制約がある中でうまく仕上げていますね。79飛に89銀だと詰まないため4銀使用していますが、うまく序奏を付けて使い切っており、作者の矜持が伺えます。
 

 

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