« 2023年6月 | トップページ | 2023年8月 »

2023年7月

詰将棋学校好作選1

 詰将棋に限った話ではないのですが、だいたいの世界の場合、賞を取った作品というのは何かしら記録に残るものですが、そうでない作品の中にも、見るべき作品はたくさんあるものです。もしかしたらその中には、後世なんらかの価値で評価されるべきものもあるかもしれません。
 ということで、詰将棋パラダイスの代表コーナーである詰将棋学校から、賞に漏れた作品で「これは」という作品を紹介しようかと思います。(冬眠蛙の持っているバックナンバーからになります)
 第1回目はこちらの作品を。
20230730horiuchi
▲42桂成△同飛▲55桂△54玉
▲66桂△64玉▲53角成△同玉
▲43桂生△62玉▲44角成△同桂
▲51龍まで13手。

 53角成に誘われますが、34玉で届きません。少し打ちにくい55桂から66桂で54に足場を作り、53角成~43桂生~44角成が一連の妙手順です。そして何よりその彩りを増すのが、初手42桂成。この手がなくとも後の手順は続けられますが、唯一、最終手だけが成立しません。つまり初手が純粋に最終手だけの伏線手となっているのです。
 桂生の主題をより鮮烈に引き立たせる初手にこそ、作者の心使いが感じられるのはきっと筆者だけではないでしょう。短編として理想的な構成と思います。

 暑い日が続きますね。全国大会の日を思い出してしまうのは冬眠蛙だけではないでしょう。皆さんどうぞ、体調にお気をつけください。

詰将棋全国大会

 昨年から全詰連のお手伝いをしていることもあり、先週開催された全国大会に行って参りました。いや~、暑かったですね。また、熱気も凄かったです。やはり全国大会は良いですね。刺激になります。
 前日に行く必要があったので、香龍会にも初めて参加できました。短い時間でしたが、皆さんと会話を楽しみつつ、全国大会の役割の予習をしました。年寄じみたセリフになりますが、やはり若い人は羨ましい。私にもそんな時代があったはずなんですが。(;'∀')
 桑名には9時半くらいに到着して少し会場設営のお手伝い。事前にやりとりしていたせいか、比較的スムーズに行けたほうではなかったでしょうか。と言いつつ、自分は設営は初めてなのですが。YouTube配信も今回初めてで、これは地元で色々と手配いただいた大川さんの貢献大。自分は滑りっぷりを確認するのが怖くてまだ見れません。人前での解説は初めてなので、お許しください。

 少しだけフリーの時間があったので、本を2冊購入。1冊目の詰将棋年鑑(コチラから購入可能です)は泊まった名古屋で読んで、ポイントを押さえた解説を楽しみつつ、自作が2個も載っていることに感動しました。特に「Unicycle」は自分でも気に入っていた小品だったので嬉しかったです。(コチラで手順鑑賞できます。ぜひご覧ください)
 帰りに飛行機でもう一冊、角さんから牛タンの御礼に、といただいた(角さんありがとうございます)芹田修さんの酔鯨(コチラから購入可能です)を鑑賞。芹田さんの作品は自分では絶対に作れない(笑)、センスあふれる作品が並んでいて、手順を目で追うだけでも爽快になれます。駒数少なく作れる技術、ぜひ教えてほしいものです。

 幹事での打ち上げ(皆さんお疲れさまでした)も含めて、疲れつつも楽しい3日間でした。来年は純粋に参加する側で楽しめるかな?ではでは。

軽趣向好作選98

暑くなってきましたね。部屋の掃除だけでも汗だくです💦。予報を見たら来週全国大会が開かれる桑名市は当日最高気温35度予想( ゚Д゚)。熱中症に厳重注意ですね。

本日は軽趣向好作選。いつもより盤面広めの2作。
20230709tijiiwa
▲32と△43玉▲42と寄△53玉
▲52と△63玉▲62と寄△73玉
▲72と△83玉▲82と△同玉
▲84龍△83飛▲81金△72玉
▲74龍△73飛▲71と△62玉
▲64龍△63飛▲61金△52玉
▲54龍△53飛▲51と△42玉
▲44龍△43飛▲41金△32玉
▲34龍△33飛▲31と△22玉
▲24龍△23飛▲21金△12玉
▲13香△同飛▲22龍まで43手。

 なんとなく1段目の金とと金を引きながら追いたくなりますが、そうではなくて22と金で8筋まで追って捨てるのが正解。84龍と合駒を聞いたときに83飛合が最善(たとえば銀合は81金、72玉、74香以下)で、今度は1段目の駒で左に追いながら龍と飛の移動合が繰り返される趣向が展開されます。合駒の変化は83飛合の変化がだいたい準用できており、また都度龍を動かさないと玉が3段目に上がられてしまうので不詰。なんとそのまま1筋まで同じ手順を繰り返して詰みあがります。装飾駒がほとんどないので、まるで協力詰のような雰囲気になっており、見事な作品です。

20230709yayoi
▲23桂生△21玉▲11桂成△同玉
▲13香△12香▲同香成△同玉
▲13香△21玉▲22歩△同玉
▲23歩△31玉▲32歩△同玉
▲33歩△41玉▲42歩△同玉
▲43歩△51玉▲52歩△同玉
▲53歩△61玉▲62歩△71玉
▲72歩△81玉▲82歩△72玉
▲73歩△82玉▲83歩△93玉
▲94歩△同玉▲95歩△同玉
▲86銀△96玉▲97歩△同金
▲85銀△95玉▲96歩△同金
▲84銀△94玉▲95歩△同金
▲同銀△同玉▲86金打△94玉
▲85金右△93玉▲84金寄まで59手。

 小駒図式で持駒歩18枚。かなりの希少品でしょうか。歩18枚の作品で玉が1段目、4段目に金銀を配置ですので、歩を1筋につき2枚ずつ使いながら玉を追う手順が一般的で、本作もベースは同じですが、随所に工夫がみられます。
 まず最初に35桂で23銀・11香を取ります。同玉の局面で早速12歩、同玉、13歩としたくなりますが11玉で詰みません。13香が面白い手で合駒に歩がないので最善が香合となり、13香で歩を節約するのが正解です。
 以降は歩を2枚使いつつ左に追っていきますが、62歩は取らずに71玉と避け、更に72歩、81玉、82歩、72玉と逃げ方が工夫されています。62歩に同玉と取ってしまうと63歩、71玉に62銀と打って早詰です。9筋に追い込んでからは銀歩送りに変わり、最後は金打から収束します。作者の工夫が伺われる労作です。

郵便事情と看寿賞感想

 看寿賞が決まりましたねえ。今年は多くの作品が受賞ということで驚きました。選考過程が気になるので早く7月号見たいのですが、残念ながらこの週末は届かず。6月30日が金曜というのが残念でした。土日郵便やらなくなってしばらく経ちましたが、やはりなかなか感覚が戻りませんね。実は6月号に載せた順位戦の作品は4月末に投函したのですが、なんと編集部に届いたのは5月9日。CEOをだいぶ焦らせてしまいました。思ったんですがGW中に投函された郵便物全部まとめて配送するわけですから、GW開けは一番混むのでしょうね。次回からは気を付けないと。

 ということで7月号まだ見れてなかったのですが、実は週末に角さんに会ってて、見せてもらいました。チラ見ですが、なかなか劇的な感はありましたね。受賞者の皆さん、大変おめでとうございました。
 冬眠蛙は中編は短大で半期賞を受賞した山田修司さんの作品が奇跡的な出来で、「これこそは!」と思っていたのですが、残念な結果でした。今回はエンタメ性が強い作品が票を集めたのかな?詰将棋もトレンドというのはあるもので、これからどういう作品が高い評価を得ていくのか、ちょっと興味深いです。
 YouTubeで発表された作品が受賞というのも面白く、これからは更に多様化が進むのかな。そういえば、実はこのブログで開催したプレ短コンの作品も一度候補になったことがありました。初見の方もいるかもしれないので、紹介します。ぜひ解いてみてください。品質は保証します!
202307021

« 2023年6月 | トップページ | 2023年8月 »