軽趣向好作選78
先週は更新をさぼってしまいました。忙しかったというわけでは無くて、ブックオフで前から読みたいと思っていた吉川英治の三国志を見つけて読みふけってしまったためです(;^_^A 今4巻なので、まだしばらくかかりそう。
ちなみにもちろん楽しく読んでいるのですが、登場人物が多くてなかなか大変。そういった意味では一人ひとりの人物を上手く書けている津本陽の「下天は夢か」の方が面白いかなあ。ただ、これから諸葛孔明も出てくるわけで、ひっくり返る可能性はあります。
今日は前回さぼった軽趣向好作選を。玉方のと金が信じられない動きをする2題。
▲26金△同と▲43馬△15玉
▲27桂△同と▲37角△同と
▲26金△同桂▲27桂△同と
▲17香△同と▲16金△同と
▲35飛成△同香▲25金△同香
▲33馬△14玉▲24馬まで23手。
持駒が多いのですが、下段の守備駒が強く、簡単にはいきません。まずは26金と捨ててから43馬。34歩合が気になりますが、同馬、36玉に45馬が気づきにくい好手で早く詰みます。15玉と追いこんだ局面からが見所。27桂~37角でと金を37に移動させて、26金が核となる一手。同桂(同香は作意と同様の手順で早い)に対して今度は27桂~17香~16金でと金で16を埋めるのが巧みな手順。単に16金だと同飛成で詰まないのですが、27桂から17香とすることで飛の後ろの効きを消すことが出来ます。17香に同飛成は25金ですね。
まさしく魔法のような手順でと金が16に戻り、上部が埋まったところで35飛成~25金の胸のすく収束。「奔龍」を始め数々の守備駒の動きをテーマにした作品のある中村氏ですが、本作は特にロジックの巧さを感じる傑作です。
▲91飛成△81と▲21歩成△12玉
▲82龍△72と▲22と△13玉
▲73龍△63と▲23と△14玉
▲64龍△54と▲24と△15玉
▲55龍△同と▲25と△16玉
▲17歩△同玉▲18銀△同玉
▲19歩△同玉▲37角△28歩
▲同角△18玉▲19歩△27玉
▲55角△36玉▲26と△47玉
▲48歩△58玉▲59歩△69玉
▲71金まで41手。
いや、もう正直、字面見るだけだと信じられない手順です。と金で下段に玉を追いつつ、龍とと金が「取っていいよ」「取らないよ」とダンスを踊り続けます。
タネは収束にあり、25と以下、角を取って19歩~37角からの収束の手順はどこで龍を取っても成立しています。なんと、と金の移動合は龍を取るのをなるべく後にするための手数延ばしなのです。55龍とされると56に金の質駒が落ちているため、ここでやむなく取って収束へ、という仕掛け。最終的に角で一歩を稼ぐため、という簡明な理屈で、この奇跡的な趣向をシンプルな構図で表現してみせた作者には脱帽の一手です。
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