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2022年8月

軽趣向好作選79

 仙台は夏の暑さも峠を越えつつあります。ここのところ、睡眠中に足がつることがあって調べてみたところ、水分不足と冷えが原因として挙げられてました。寝る前に水飲むようにはしてるんですけど、何もかけずに寝てるせいですかね。エアコンは消してるんですが。

 本日は軽趣向好作選。軽めですが、ちょっと「へえ」と思わせる2作品です。
20220827tonami
▲14飛△同銀▲13角成△11玉
『▲23桂△同銀▲12歩△同銀
▲同馬△同玉▲13銀△23玉
▲24銀成△12玉▲13成銀△11玉』
『▲23桂~▲同銀成~△11玉』
『▲23桂~▲同銀成~△11玉』
▲23桂△同香▲22成銀迄43手。

 3×5の端正な初形。銀ハガシですが、最初一旦銀を逃すのがうまい序奏です。桂で呼び出して剥がすのは良くあるのですが、いったん23玉とする手が入るので、より趣向らしさが増しています。趣向の延長でそのまま綺麗に収束するのも好印象ですね。なお、23桂を取る銀の順番は全部非限定のはずです。

20220827soma
▲22銀△同銀▲23桂打△21玉
▲11金△同銀▲同桂成△同玉
▲22銀△同角▲23桂生△21玉
▲11金△同角▲同桂成△同玉
▲22角△同角▲23桂△21玉
▲11金△同角▲同桂成△同玉
▲22銀△同玉▲23金△21玉
▲12金△同玉▲34角△21玉
▲23香△11玉▲22香成△同玉
▲23歩成△11玉▲12と迄39手。
 23桂に22玉と上がられると金輪際詰まない形になるため、事前に22を埋めるのが必要になるのですが、この原理をハガシ趣向にするあたりが流石に相馬氏です。ただし、ハガシ方にも工夫が必要で、最初は23桂に同銀と取られる手を見越して桂打にするのは当然ですが、次の22角の局面では桂打ではなくて桂跳ね。これは11金、同角、同桂成に同角とされる変化に13桂打とする余地を残したものですね。さらに1枚目の角を取った後、22に捨てるのが銀ではなくて角というのも芸が細かい。ここで22銀でも同じようですが、その場合、2枚目の角を剥がした時点で持駒が角角金となり、22角に11玉とされてアッと叫ぶことになります。
 こちらも舞台装置そのままでうまく収束できており、12の駒が香なのも最後に納得する仕掛け。この作者は趣向作は3日位で作る、と前に読んだ記憶がありますが、本作はどのくらいで作ったんですかね。


8月の詰とうほく

 昨日は詰とうほく。久しぶりに盛岡の佐々木さんが見えられました。独特な語り口は相変わらずで楽しいひと時を過ごしました。創作は岩手の囲碁将棋教室の方といっしょに、主に一般向けのものを作られているそうで、昨年のものはこちらのサイト(←クリック)で見ることが出来ます。今年のものもいくつか出して、同一作チェックをされてました。今年は10手台も出すのだそうで、急に難しくなったりしてました。
 せっかくなので自分の作品もいくつか見てもらいました。あとはこちらも久しぶりの石川さんとパズルで雑談したり、詰将棋を解いたり。また、Uraさんからもらった(いつもありがとうございます)参考資料の二上氏作がまた易しそうな顔をして、一般雑誌でこれは相当では、と思いました。
Futakami3
実は周りでコロナ感染者が多く出たこともあり、今回は二次会はなしとさせてもらいました。すみません。次回は11月19日で申し込んでいます。抽選結果は別途ご連絡します。

冬眠蛙第5作品集(作品の部)

 お盆になりますがいかがお過ごしでしょうか。今年こそは実家で墓参りを、と思っていたのですが、宮城も新潟もコロナ感染者数が激増しており、また天候も不安定ということで残念ながら諦めました。近場の妻の実家には顔を出してくる予定です。その関係でオンラインたま研も出れません。残念。
 昨日休みを取って4連休でしたので、読書の片手間でまとめた第5作品集の問題編を公開します。下のリンクからPDFでご覧ください。PCでご覧の方は脇にもリンクが貼ってあります。

第5作品集(作品の部)

 久しぶりに作ったので、ちゃんとA5版袋とじになってるかイマイチ自信ありません💦。PDFから印刷する際はご注意ください。解説の部はこれから作ります。

 来週は詰とうほくになります。中央市民センターの会議室での開催になりますので、ご注意ください。ご来場お待ちしております。

軽趣向好作選78

 先週は更新をさぼってしまいました。忙しかったというわけでは無くて、ブックオフで前から読みたいと思っていた吉川英治の三国志を見つけて読みふけってしまったためです(;^_^A 今4巻なので、まだしばらくかかりそう。
 ちなみにもちろん楽しく読んでいるのですが、登場人物が多くてなかなか大変。そういった意味では一人ひとりの人物を上手く書けている津本陽の「下天は夢か」の方が面白いかなあ。ただ、これから諸葛孔明も出てくるわけで、ひっくり返る可能性はあります。

 今日は前回さぼった軽趣向好作選を。玉方のと金が信じられない動きをする2題。
20220806nakamura
▲26金△同と▲43馬△15玉
▲27桂△同と▲37角△同と
▲26金△同桂▲27桂△同と
▲17香△同と▲16金△同と
▲35飛成△同香▲25金△同香
▲33馬△14玉▲24馬まで23手。



 持駒が多いのですが、下段の守備駒が強く、簡単にはいきません。まずは26金と捨ててから43馬。34歩合が気になりますが、同馬、36玉に45馬が気づきにくい好手で早く詰みます。15玉と追いこんだ局面からが見所。27桂~37角でと金を37に移動させて、26金が核となる一手。同桂(同香は作意と同様の手順で早い)に対して今度は27桂~17香~16金でと金で16を埋めるのが巧みな手順。単に16金だと同飛成で詰まないのですが、27桂から17香とすることで飛の後ろの効きを消すことが出来ます。17香に同飛成は25金ですね。
 まさしく魔法のような手順でと金が16に戻り、上部が埋まったところで35飛成~25金の胸のすく収束。「奔龍」を始め数々の守備駒の動きをテーマにした作品のある中村氏ですが、本作は特にロジックの巧さを感じる傑作です。

20220806umayahara
▲91飛成△81と▲21歩成△12玉
▲82龍△72と▲22と△13玉
▲73龍△63と▲23と△14玉
▲64龍△54と▲24と△15玉
▲55龍△同と▲25と△16玉
▲17歩△同玉▲18銀△同玉
▲19歩△同玉▲37角△28歩
▲同角△18玉▲19歩△27玉
▲55角△36玉▲26と△47玉
▲48歩△58玉▲59歩△69玉
▲71金まで41手。

 いや、もう正直、字面見るだけだと信じられない手順です。と金で下段に玉を追いつつ、龍とと金が「取っていいよ」「取らないよ」とダンスを踊り続けます。
 タネは収束にあり、25と以下、角を取って19歩~37角からの収束の手順はどこで龍を取っても成立しています。なんと、と金の移動合は龍を取るのをなるべく後にするための手数延ばしなのです。55龍とされると56に金の質駒が落ちているため、ここでやむなく取って収束へ、という仕掛け。最終的に角で一歩を稼ぐため、という簡明な理屈で、この奇跡的な趣向をシンプルな構図で表現してみせた作者には脱帽の一手です。

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