軽趣向好作選75
前回紹介しました広瀬氏作、いかがでしたでしょうか。99角、33歩以下67手詰になった方は残念ながら不正解。当時解説された風みどり氏も、解答を見る前にもう一度見直してほしいと書かれていたかと存じます。さてでは。
▲99角△77歩成▲同角△66歩
▲同角△55歩▲同角△44歩
▲同角△33歩▲同角引成△同桂
▲同角成△21玉▲43馬△11玉
ー 以下馬鋸で87歩を取り、44まで戻る ―
△21玉▲33桂△31玉▲32歩△42玉
▲43歩△51玉▲52歩△61玉
▲62歩△71玉▲72歩△81玉
▲82歩△91玉▲92歩△同玉
▲93歩△同玉▲66馬△92玉
▲65馬△91玉▲81歩成△同玉
▲82桂成△同玉▲83桂成△91玉
▲92成桂まで75手。
99角に対して33歩合以外の打合、たとえば77香合は同角、同歩成、12香までの3手詰。唯一歩が利く33歩合として精算し、あとは馬鋸で43歩~87歩を全部取るのか……と思った人が多いのでは。現実、柿木将棋に解かせても同じ解答を示します。が、いずれ収束に入るためには歩が7枚必要なので、87歩まで取るのが必須。ということは、43歩~76歩までの4枚は移動合で捨てた方が手数が伸びる、という仕掛けになっています。いわゆるヤケクソ中合という手筋で、ごくたまに登場するものなのですが、これを趣向の原理に使える、という作者の着眼が素晴らしい。これにより連続移動捨合がかつてなくシンプルに、美しく表現されています。
収束も最低限の駒配置でうまく歩を消化。桂成捨てで見事に締めました。歴史に残すべき作品と思います。
なお、前回の記事で、本作も還元型無駄合の原理を利用、と書いたのですが、良く考えなくても違いました(汗)。途中歩合で呼び戻したらそのまま詰みますからね。大変失礼しました。ただ、87の駒が桂とかでも実現できる手順で、その場合は歩で呼び戻すことで還元型無駄合になります。作者はそれを嫌って歩だけで収束できる構図にしたのかもしれませんね。
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