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2022年6月

非解図日記

 今年に入ってから、詰パラの学校を解ける分だけ解答してました。だいたい短大の途中で毎月力尽きてますね。正解率はまあまあですが、たまに思い切り誤解することもあり、ウッカリ癖は一生治らないものだなあ、と改めて感じてます。
 今月は学校が休みなので順位戦を、と思ったのは6月号が届いてページを開くまで。不思議なもので、高校の出題図は多少形が乱れていても「なんとか解けるかな」となるのですが、順位戦だと数が多いこともあるのですが、一気に「うん、無理かな」と思ってしまいますね。そうそうたる作者の方々の並々ならぬ熱意にあてられてしまっているのかも。ま、メール解答ができない、ということもあります。

 そのハシクレに自分の名前もあるのですが、「去年は投稿する気力も起きない状態で迷惑かけたので、今年はなんとか」というのが真相です。そういったこともあって、まず昨日C級を、今日はA級をソフトに解かせて鑑賞してました。こんどB級も同じことするか……と思ったのですが、ちょっと理由があって、「B級だけでも自分で解いて解答出すかな」という気に少しなっています。まあ本当にそうするかは怪しいもんですが。

 他人に強制はしませんが、解いた感想は月が過ぎるまで言わないのがエチケットかな、と個人的には思っており、今日はどの作品がどう、とは書きません。が、単純に「スゴイなあ」と感心した作品と、「スゴイけど、ここまで無理しなくても」と感じた作品の2パターンですかね。まあ、解かずにPCで見ただけの感想です。結果がどうなるか、自作も含めて楽しみにしています。

 詰将棋関係である作業の依頼を今受けており、少しずつ進めています。頑張らなきゃ。ではでは。

軽趣向好作選75

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前回紹介しました広瀬氏作、いかがでしたでしょうか。99角、33歩以下67手詰になった方は残念ながら不正解。当時解説された風みどり氏も、解答を見る前にもう一度見直してほしいと書かれていたかと存じます。さてでは。

▲99角△77歩成▲同角△66歩
▲同角△55歩▲同角△44歩
▲同角△33歩▲同角引成△同桂
▲同角成△21玉▲43馬△11玉
ー 以下馬鋸で87歩を取り、44まで戻る ―
△21玉▲33桂△31玉▲32歩△42玉
▲43歩△51玉▲52歩△61玉
▲62歩△71玉▲72歩△81玉
▲82歩△91玉▲92歩△同玉
▲93歩△同玉▲66馬△92玉
▲65馬△91玉▲81歩成△同玉
▲82桂成△同玉▲83桂成△91玉
▲92成桂まで75手。
 99角に対して33歩合以外の打合、たとえば77香合は同角、同歩成、12香までの3手詰。唯一歩が利く33歩合として精算し、あとは馬鋸で43歩~87歩を全部取るのか……と思った人が多いのでは。現実、柿木将棋に解かせても同じ解答を示します。が、いずれ収束に入るためには歩が7枚必要なので、87歩まで取るのが必須。ということは、43歩~76歩までの4枚は移動合で捨てた方が手数が伸びる、という仕掛けになっています。いわゆるヤケクソ中合という手筋で、ごくたまに登場するものなのですが、これを趣向の原理に使える、という作者の着眼が素晴らしい。これにより連続移動捨合がかつてなくシンプルに、美しく表現されています。
 収束も最低限の駒配置でうまく歩を消化。桂成捨てで見事に締めました。歴史に残すべき作品と思います。

 なお、前回の記事で、本作も還元型無駄合の原理を利用、と書いたのですが、良く考えなくても違いました(汗)。途中歩合で呼び戻したらそのまま詰みますからね。大変失礼しました。ただ、87の駒が桂とかでも実現できる手順で、その場合は歩で呼び戻すことで還元型無駄合になります。作者はそれを嫌って歩だけで収束できる構図にしたのかもしれませんね。

 

無駄合裁定

 次回詰とうほくは8月20日、場所が変わって青葉区の中央市民センターの第3会議室となりました。久しぶりの椅子席開催となります。抽選落ちまくってました(;^ω^)

 パラ6月号の記事で代役の平井さん解説の高11の途中図(下)で55歩が有効か無効か、という問題に関して編集部裁定が載っていました。
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55歩、同香に対して42玉と逃げた場合は有効合であるが、53金と受けた場合は55歩が無駄合となる。だから変長ではない」というのがその裁定です。ただ、ちょっと文面を表面だけ読むと何がなんだか?と思う方もいるのでは。ちょっとだけ付け加えると、「55歩、同香に対して42玉と逃げた場合は有効合であるが43歩以下早く詰むので割り切れており、53金と受けた場合は55歩が無駄合となる。だから変長ではない」というのが編集部の意図するところかと思います。今回は42玉と逃げる手が作意側の話ですが、仮に53金合が作意で、42玉と逃げる手が変化となるような作品だったとしても55歩合は同じく無駄合ということになるかと。
 つまり、定義としては「合駒を取る手以降のどこかで、玉方が取る手段が複数あり、そのどの手順においても、作意より早く詰むか、もしくは作意と同様に進めて取った駒が余る場合は、明確に無駄合」というのが裁定の本質で、冬眠蛙的には非常に分かりやすくて良いな、と思いました。
 ただ、ここで「明確に」とアンダーラインしたのがポイント。「上記を満たす場合で有効合になるケースがある」というわけではなくて、「上記を満たさなくても無駄合とみなされるケースがある」というのが面倒なところで、馬鋸・龍鋸の手数伸ばしの捨て合が有名なケースです。「作意とは異なる手順、かつ玉方が最善を尽くした場合でも盤面が合駒をする直前の局面まで再現でき、持駒が捨て合された分単純に増えていれば無駄合とみなす」というものですね。最近はこれを嫌う人がだんだん増えてきているようですが、冬眠蛙的には昔から見慣れていることもあり、どちらかというと「無駄合で良いのでは」という方です。解答する側からみるとややこしいという意見も尤もなのですが、これを利用した傑作もたくさんありますし。

 というわけで次回の軽趣向好作選はそれを利用した快作です。先に図面だけ紹介します。どこが素晴らしいのか、解図ソフトを使わずに(!)考えていただければ。ではでは。
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