ちえのわ雑文集と宮原さん

 5月号の標記コーナーで昨年看寿賞をいただいた短編を、中編賞を受賞した宮原さん作といっしょに大崎氏にとりあげていただきました。ありがとうございます。今回はそれを見た感想を。
 大崎氏は「市島さんも宮原さんもL1合を取らない高木手筋を作ろうと思って作ったわけではないだろうけど」と予想されていますが、実は……そのとおりです。こちら(←クリック)で解説してますが本当は7手目同馬を作意にしようと思ってました。理由は大崎さんが書かれている「作りやすいのはL1合を取ってL2合には入らず、収束に分岐する手順だろう」というのとは少し違っていて、「謎解きとして、その方が奥深さが出る」というものでした。理想は同じコーナーで紹介されている宮原さんの11手詰で、これは当時見たときも、なんてスマートなんだろうと思ったものです。

 ただ、宮原さんの中編の方は、大崎氏の「作ろうとして作ったわけではないだろうけど」ではないんではないかな、というのが市島の予想です。「高木手筋を梃にして4段跳ねが出来る」というのが作者の直感としてあったに違いないと思うんですよね。だって宮原さんですから。いろんな人に言ってますが、彼の作品を見たり解いたりしたときに一番才能とセンスの違いを感じます。最近は作品をコンスタントに発表されていて嬉しい限り。今後も楽しみにしています。
 その4段跳ねの作品はYouTubeで詳細に鑑賞できます。埋め込んでおきます。丁寧に解説されてますので、ぜひご覧ください。 

軽趣向好作選73

 ゴールデンウィークも今日でおしまい、という方が多いのでしょうか。私は明日休みで新潟に戻るので、今日更新しておきます。今回はかなり軽めの2作。
20220505take
▲35龍△54玉▲45龍△64玉
▲55龍△74玉▲65龍まで7手。
 今まで紹介した中で最短手数でしょうか。龍が一路ずつ横に追う趣向です。龍という駒は当然横にいくらでも動けるわけで、その中で一路ずつ追うように作るのはかなり難しいのですが、72龍配置が絶妙で、これをうまく変化と作意(74玉のときだけ73桂がピンされる)に使って、実に軽く実現しています。さすがのセンスですね。
20220505bando
▲28角△同玉▲38龍△17玉
▲37龍△16玉▲38角△15玉
▲35龍△14玉▲47角△13玉
▲33龍△12玉▲56角△同龍
▲13歩△11玉▲31龍△21合
▲12香まで21手。
 大駒図式から持駒の香を梃にした龍角による追い趣向。19玉が一直線に11玉まで下がり、角捨ても入って軽趣向として申し分のない手順と言えるのではないでしょうか。この月のデパートは飛角図式特集で、前回紹介した2作品以外もなかなかの好作でした。本当に種はつきないものですね。


処女作

 GWの谷間の一日、パラが届いてホッ、という方も多いのでは。今月は平日が入りましたけど、郵便事情も変わりましたので年によっては5日くらいまで届かない、なんてこともありそう。大変ですね。

 今年は妻と一緒に29日から青森に行ってました。初日弘前で二日目は奥入瀬~十和田湖、最終日は青森市。せっかく十和田まで行ったので高坂さんに会いたかったですが、大変そうでしたので今回はパスしました。奥入瀬では自転車を借りて渓流のぼり。普段あまり登り坂を漕がないのでくたびれました。その分目の前に開けた十和田湖はとても美しかったです。
 で、船に乗ったところでスマホが振動。なんだろうと見てみたら、EOGさんからダイレクトメッセージをいただきました。「作品集Unplugged#07、初入選前の作とブログにはありますが、将棋ジャーナルに同じ図が掲載されています」。いや~驚きました。PNで投稿して、ボツになったと思ったら初級向け詰将棋に載せてもらってました。下図です。
Shojosaku
 新作に見えません(笑)。時期的に高校受験で、いったん将棋やめてた頃だったかなと。そうじゃなければ気づかないはずないので。そうかあ、初入選ではないけど処女作これになるのかな?伊藤果氏の「詰将棋の創り方」とか読んで当時少し興味あったんですよね。この後大学4年まで長い眠りに入ります。
EOGさんにはご指摘いただき、ありがとうございます。「Unplugged」自体が超マイナーですので、見ていただいたことだけでも嬉しかったです。

 ちなみにその「Unplugged」、コンセプトが「自分のミニ作品集には入れなかった軽めの作品を拾い集めたもの」なのですが、実は「自分がマイベスト的な作品集を作るとしたら、当時は入れなかったけど今は入れたい作品」もあったりします。こちら。
20220502
 もともと「初期にしては良く出来たな」とは思っていた作品で、短編名作選に選んでいただいて、やはり捨てがたいなと。安武利太氏に感謝です。
 他に詰将棋サロン好作選に選んでもらった作品もあるのですが、そちらは今見てもイマイチ。でも将来また気が変わるかもしれませんね。

軽趣向好作選72

 詰将棋を久しぶりに投稿しました。いつ載るかな。

 前回飛ばしてしまった軽趣向好作選を。今回は某所と連動して、というわけではなく偶然なのですが飛角図式の軽趣向を2作紹介します。
20220423ito
▲17銀△同玉▲28銀△18玉
▲19銀△同玉▲29飛△18玉
▲28飛引△17玉▲26銀△同馬
▲18銀△16玉▲26飛△15玉
▲24角△14玉▲13角成△同玉
▲23飛成まで21手。
 飛が縦に2枚並んでおり、堀半七風に迫るしかないのですが玉方の馬の効きが強いので、銀をうまく使ってかいくぐります。28銀~19銀と捨てて飛2枚を引いて土台を作れば、馬を入手して角打・成捨で収束です。易しいですが持駒趣向もあり発見と言えるのではないでしょうか。

20220423sumi
▲34龍△15玉▲35飛△16玉
▲25龍△17玉▲37飛△18玉
▲38飛△17玉▲28龍△16玉
▲36飛△15玉▲26龍△14玉
▲34飛△13玉▲24龍△12玉
▲32飛成△22歩▲13歩△11玉
▲31龍△21銀▲12歩成△同玉
▲34角△23桂▲同角成△同歩
▲13歩△11玉▲21龍△同玉
▲23龍△31玉▲32歩△41玉
▲43龍△51玉▲52銀△62玉
▲74桂△72玉▲63龍△81玉
▲83龍△91玉▲82桂成迄51手。
 こちらは飛龍での縦追いです。32飛成に対して22歩合としてアッサリ角を取らせてしまうのですが、ここで銀合と頑張ると23龍上で簡単なので仕方ありません。続いて31龍に21銀合とするのは12歩~34角として23合を食いちぎったときに32龍とする手を防いだものです。21桂合でも良さそうですが、先の12歩~34角で合駒させたときに22龍が成立して早く詰みます。この辺りは良く綺麗に限定できたものと感心します。
 以降は13歩~21龍と切って横追いに移るのですが、ポピュラーな32銀~54桂で追うと、最後に66角が93に効いて詰まない仕組みになっており、32歩~43龍で迫るのが正解。最後は少し流れますが、91の方の雪隠で詰むのは意外性もあるかと思います。あまりこういった条件作を作られるイメージはない?作者ですが、縦追いと横追いの繋ぎの丁寧な作りに”らしさ”がうかがえます。

残念ですが

 今日は応用情報技術者試験を受けてきました。昨年PMを受けて論文があまりに書けなかったため、論文のないものにしてみたわけですが、その分自分が不得意な分野の出題も多く、50を過ぎた文系人間にはやはり厳しかったです。やはり若いときにもっと勉強しなくてはいけなかったなあ。

 疲れたので、予定していた軽趣向好作選はパス。ほんのちょこっとしか見れてなかった4月号をこれから読むことにします。1月号の結果稿も載ってますが、短大の井上さん作、作家的には完璧なんですが、思ったより点数が伸びておらず。やはり収束なんですかね。
 全国大会の中止の告知がパラに載りました。今年から幹事の端の端に加わってるのですが、改めて難しいものなのだな、と感じます。来年こそはなんとか開催できればと思います。

第2作品集第16番の変同について

 以前掲載した記事に載せた作品に(下図)にToshikiさんから「6手目13玉で変同では」というコメントをいただきました。
20220409mae
 6手目の局面がこちら。

202204092
 確かに変同でした。22銀、24玉、23桂成、同玉、33馬、同龍、同銀成、13玉、23飛、14玉、15銀まで。実は恥ずかしながら、全く見えてませんでした。いかにも簡単そうに見えたんですが(汗)。
 それはもともとそれがこの作品の味でした。詰みそうで詰まない紛れが多さの中で、32金~33銀生の二段伏線を鍵とする手順が狙い。この変化も同じように簡単そうに詰みそうでなかなか詰まないとはなあ、というのが正直な感想です。

 元の図(下図)ですと32金に13玉は22銀、24玉、33馬、同龍、同銀生で早く詰むのですが、駒数が増えるとともに、紛れの”らしさ”が減るので、ちょっと迷うところです。
20220409
 それにしてもToshikiさんの洞察には本当に恐れ入りました。駒数が増えない修正自体は出来そうなのですが、せっかくいただいた見直しの機会なので出来るだけちゃんとした姿で残したいと思っています。Toshikiさん(実は元記事の”K氏”です)には厚く御礼申し上げます。

軽趣向好作選71

 花粉の季節のせいか、それとも仕事疲れか、体調がいまひとつ。熱はないのでコロナではないですが。

 気を取り直して軽趣向好作選を。
20220402nakanishi
▲38金△26玉▲36金△同銀生▲27金△同銀生
▲16金△同銀生▲17銀△同銀成▲27銀△同成銀
▲56飛まで13手。
 作意は解説不要と言っていいのではないでしょうか。一枚の駒を連続で動かすのはここ数年流行しましたが、その走りと言っていいかもしれません。16金の焦点打から17銀で銀を成らせて27銀~56飛は胸のすく手順です。変化と紛れを両立させる5筋の配置に苦心の跡が窺えます。

20220402sumi
▲23銀生△42玉▲43歩△同玉▲34銀生△32玉
▲33桂成△同角▲44桂△同角▲23飛成△同銀
▲同銀生△42玉▲43歩△33玉▲34銀生△32玉
▲33歩△同角▲23銀生△43玉▲34銀成△32玉
▲43銀△22玉▲23成銀△11玉▲12成銀まで29手。
 銀を使った知恵の輪ですが、一手一手に変化がつきまとって手ごわい作品になっています。2手目42玉と歩を取るのは作意への短絡を防ぐためで、42歩を残しておくと33桂成、同角のときに23飛成が成立します。作意の44桂のときに23飛成は41玉で逃れます。
 そこで詰方は44桂と一工夫して23飛成から銀を取りますが、今度は玉を42に逃がして43歩を打たせて33玉とするのが粘りのある手順。34銀生、32玉のときに43歩が邪魔になっています。この歩を消去する33歩~23銀生が決め手で43銀を実現して詰みに至ります。最後の34銀は成らないと44に抜けだされるので要注意。収束もう少し締められれば、というのは強欲でしょうか。角氏らしい厚みのある中編です。

冬眠蛙第5作品集付録・図面入れ替え②

0125kai
第1作品集25番の改作。前回の記事を掲載した後、ツイッターで『過去作の改作については「この図で発表したかったなあ」という悔いの方が残ります』と書きましたが、この作品はその最たるもの。ただ、本当にありがたいことに、2010年にこのブログで再出題させてもらい、たくさんコメントをいただけました。本当にありがたい限りです。

当時の解説を第5作品集に納めるつもりです。リンクは以下で。コメントをあわせ、全5回です。
解説1
解説2
解説3
解説4
コメント


軽趣向好作選70

先日の地震は驚きました。体感としては震度6くらいに感じましたが、皆さん被害はありませんでしたでしょうか。しかし、なかなか気が抜けないですね。

軽趣向好作選は今回で70回。それを記念して、というわけではなく、今回はちょっとした問題作を紹介。
20220321shikoma
▲23桂成△11玉
『▲33馬△21玉▲43馬△11玉
▲44馬△21玉▲54馬△11玉
▲55馬△21玉▲65馬△11玉
▲66馬△21玉▲76馬△11玉
▲77馬△21玉▲87馬△11玉
▲88馬』△21玉▲98馬△32歩
▲同馬△11玉
『▲33馬…▲88馬』△同角成
▲12歩△21玉▲33桂打△31玉
▲32歩△42玉▲52香成△43玉
▲53香成まで59手。
 桂香を全部使っており、かつ33に桂の効きがあるため、99角はいますが馬鋸が成立します。43馬に32銀は同馬、同歩、12銀、31玉、43桂以下。
 というわけで、99角に狙いを付けて馬をどんどん引いていきますが、98まで引き付けたところで32歩が妙防。同馬とせざるを得ず、もう一度馬鋸を繰り返すこととなります。でまた8段目まで引き付けるのですが、今度は98馬に対して32歩とするのは原型復帰型の無駄合なので、88馬の時点で同角成と取って収束します。
 26手目32歩とした局面と、仮に46手目21玉として98馬に32歩とした局面は持駒以外全く同じなので、前者は移動(退路開け)だからこその有効合ということになります。これを面白いと捉えるか、屁理屈と捉えるかは皆さんのセンスとなりますでしょうか。実はちょっと後に、同じ系統の作品を紹介予定です。そちらもお楽しみ?に。

冬眠蛙第5作品集付録・図面入れ替え①

第5作品集の紹介は前回で終了しております。で、これから先は第1~第4作品集の図面の入れ替えの紹介となります。

〇第2作品集 第14番
0214kai
▲85金△96玉▲95金△同香
▲87銀△97玉▲88銀△同玉
▲77馬△79玉▲13角△89玉
▲78銀△同桂成▲79角成△同成桂
▲85飛まで17手。
 作意は不変。3手目87銀打や7手目86銀打の紛れとの対比が狙い。作品集収録図は以下のとおり。
0214moto
3手目97銀~77飛等の紛れ筋で、開き王手で飛が成るのを防止するための74歩だが、他の配置の工夫でカットできることが判明した。全体的な構図も良くなったと思う。

〇第3作品集 第5番
0305kai
▲75角△63玉▲64香△54玉
▲53飛△同玉▲42飛成△同玉
▲63香生△51玉▲42金まで11手。
 収束3手からの逆算モノ。こちらは作品集収録図は下図。
0305moto
第3作品集を作る際の柿木将棋を使ったチェックで余詰が判明したため、57とを追加したものだが、一枚増える上に作意とのバランスも悪く、気にかけていたもの。57と無しの図で半期賞をいただいた作品だが、この図では無理だっただろう。平行移動や駒配置の工夫で、なんとか見られる図にできた。

この2作はほぼ作意は不変ですが、作意も含めて変更した作品もあり、それを次回に紹介します。

 

«軽趣向好作選69