5月の詰とうほく+パラ3月号発表作

 先々週に詰とうほくを開催しました。前回よりは少なかったものの、10名の参加者で引き続きの盛況でした。今回もUraさんの大作参考文献?を受領。毎度ありがたいことです。あとは投稿作や新作を見せ合ったり、暁将棋部屋の作品を皆で解いたり、和やかに過ごしました。
 次回は8月19日(土)にしたのですが、うっかり抽選申込を漏らしてしまいました。辛うじて空いていた戦災復興記念館での開催となります。ちょっとアクセスが悪いのですが、よろしくお願いします。

 さて、3月号に久しぶりに学校に入選した結果稿が載りましたので、一応自作コメントを。
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▲87桂△同馬▲86銀△96玉
▲97銀△95玉▲96香△85玉
▲84金△同玉▲74金△85玉
▲86銀△96玉▲97銀△85玉
▲77桂△同馬▲76龍△同馬
▲86歩△同馬▲96銀△同馬
▲75馬△95玉▲84馬迄27手。

 狭い場所での細かいやり取り。ちょっと知恵の輪風味ですが、実はそこまで一貫したテーマがあるわけではありません。もう少し逆算して徹底できればよかったのですが、あまり気の利いた手順が入りませんでした。それでも96香を打って、その後原型消去し、連続捨駒から空けておいたスペースに銀捨てで収束するのは気持ち良い手順かと思います。
 53歩と89とが残念な余詰消しで、せめてもう一枚位減らしたかったのですが、力不足でした。6月号で結果が載りましたが、そこそこ好評でほっとしました。石黒さんには丁寧な解説をいただき、感謝の一語です。

軽趣向好作選95

27日は詰とうほく。青葉区中央市民センターで開催します。会場変わりますのでご注意ください。

今日も軽趣向好作選。今回と次回は記憶に残っている皆さんも多いかもしれません。
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▲44馬△36玉▲28桂△同と
▲48桂△同金▲39香△同金
▲26馬△45玉▲49香△同金
▲44馬△36玉▲38香△同と
▲26馬△45玉▲46歩△同桂
▲44馬△36玉▲27龍△同玉
▲26馬迄25手。
 馬を使ったミニ知恵の輪ですが、持駒の使い方に細心の注意が必要です。まず28桂~48桂といきなり桂2枚捨てますが、48桂を先にすると、同と、28桂に27玉と潜られて打った桂が邪魔になり失敗です。
 28桂に同金とするのは26馬、47玉、48香と打って、以下46歩、44馬、36玉、54馬で詰み筋。同との場合は26馬、45玉、48香には47歩合が効いて詰みません。ここで48桂~39香と遠打するのが凄い手段。同とは54馬、45合、28桂、25玉、27龍以下。この27龍を可能とするのがポイントになっています。
 同金と金がソッポに行ったので、26馬、45玉として48香と打ちたくなりますが46歩合とされて44馬、36玉、54馬は25玉で27龍が出来ないのでペケ。なら39に金を誘導した意味がないように見えますが、45玉の局面で49香と更に遠打するのが絶妙手。48を開けておくことで46歩合には44馬、36玉に37歩と打つことが出来て、27玉なら26馬~48龍、25玉なら34馬~54龍で詰み。同金と更に金を追いやれば、44馬、36玉に38香が打てます。同との一手にもう一度26馬、45玉と戻して46歩とするのが肝要で、これで44馬、36玉に27龍が決め手となって詰みます。変化・紛れともに厚い中で39香~49香という絶妙な手順を実現し、着地まで完璧に仕上げました。この年の看寿賞を受賞した傑作です。

軽趣向好作選94

 今年はJリーグが30周年なのだそうですが、実は今年冬眠蛙も入社してから30年です。そういえば入社直前にJリーグが始まる、ということで盛り上がっていた覚えがあります。当時はこんなにサッカー観るようになるとは思いませんでしたねえ。地元の新潟や今住んでいる仙台にもチームがあり、プロ野球に比べても身近な感じで楽しめますが、なかなか勝てないのがツライところ。今日は新潟が横浜Fマリノスに勝って、良い気持ちです。

 さて、軽趣向好作選を。
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▲26銀△16玉▲35銀△17玉
▲26馬△28玉▲37馬△17玉
▲26銀△16玉▲15銀△17玉
▲16飛△同玉▲66龍△17玉
▲26銀△16玉▲35銀△66角
▲26馬迄21手。

 簡単に詰みそうな形ですが、上が開けているのと44角の効きが強く、慎重な工作が必要です。まずは26銀~35銀と置き換えて角筋を塞ぎ、次に26馬~37馬と据えなおして上部脱出を防止する形を整えます。ここで26銀~15銀と今度は香筋を塞ぐのがポイント。これにより17玉に対して16飛と捨てて66龍と据えなおす手順が実現します。最後にもう一度26銀~35銀とすれば、龍と飛の違いがモノを言い、66角を余儀なくさせて26馬まで。
 初手67龍でも詰みそうですが27金の限定合で不詰。ごくシンプルな構図で楽しい手順を実現したのはお手柄です。

詰将棋全国大会

 GWも終わりますねえ。早い。。。5月病になりそう(笑)。

 パラ5月号が届きました。全国大会が久しぶりの開催ということで、早速カレンダーを確認した方も多いのではないでしょうか。冬眠蛙も一応幹事ということで、なんとか出席しなくては、と思っていたのですが、なんと三連休最終日なんですね。困りました。翌日休み取れると良いのですが、心配です。
 新潟で少しだけパラを眺めてましたが、結果稿の短大の仲村氏の作品に感心しました。キレイに作れるものですね。逆算なのかなあ。また、大学の斎藤氏作もお気に入り。いつかは軽趣向好作選で取り上げたいと思っていますが、いつになることやら(笑)。
 
 今日は過去作をいじってました。構図の取り方から変えればウマイこといったりしないかな、という狙いだったのですが、今のところ、結局元の図が一番効率的という状況。それはそれで、過去の自分がそんなに間違っていないということだよね、と無意味に前向きにとらえています。ただ、これからまたしばらく激務になるので、またしばらくお蔵入りですかね。

 今月は詰とうほくです。もうちょっと先ですが、よろしくお願いします。

軽趣向好作選93

 今日で4月もおしまい。今年に入って多忙の日々を過ごしていますが、これだけせわしないと、ロクに駒どころかPCすら触らなくて、順位戦も「もういいか、しょうもない作品だけど在庫処分しちゃえ」という気になりますね。おかげで欠席で迷惑かけずにすみました(笑)。

 では今日は軽趣向好作選を。
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▲39銀△29玉▲38銀打△19玉
▲48銀△18玉▲29銀△19玉
▲28銀△同玉▲19銀△38玉
▲49銀△29玉▲58銀△38玉
▲47銀直△同馬▲49銀△29玉
▲48銀△38玉▲39飛迄23手。

8段目の受方玉に9段目の詰方飛、
持駒に複数枚の銀を持たせて知恵の輪風に追う構図はたまに見ますが、本作は玉方馬と詰方馬が睨みあい、47を開けておくことでちょっとした緊張感が漂います。
 39銀、29玉に詰キストなら直観的に48銀としてしまいたくなりますが、これは作者の罠で、38玉、39銀打、29玉となるともう詰みません。銀をたくさん持っている内に38銀打として19に追い込んでから48銀として、18玉に38銀~28銀として馬筋を遮って19銀を据えるのがポイントでした。
 38玉で残り銀1枚になりますが、その銀を49銀~58銀と据えれば47銀直で15馬筋を通すことに成功します。最後は49銀~48銀と据えなおせば39飛まで。ちょっとした構図の工夫で他にない手順構成を見せるあたり、流石に実力者ですね。

詰将棋の変同による価値棄損

 「変同」とは詰将棋用語の一つで正しくは「変化同手数」とのことです。定義すると「ある局面で玉方の応じ方が2つ以上あり、正解とされる手順以外の応じ方でも、詰上がりまでにかかる手数が同じであり、かつ詰方に駒が余らない手順が存在した場合の当該手順」位ですかね。
 冬眠蛙が詰将棋を始めた頃から、既にこの変同の存在は減価事項として扱われることが多くなってました。最近はさらに厳しくなって、「変同は消すべき」位の見方の方が普通になっている感があります。
 自分としては変同をすべからく悪者とすることに漠然とした違和感があったのですが、こないだここに載せた自作を見ていて、「ああそういえば、これも変同があったな」と思ったので、ちょっと考え方を整理してみました。だいたい自分の考えは以下のとおりです。
①詰将棋は解く人や見る人がいてこそ価値がある
②したがってその方が本質的ではない部分で「あれ、どちらが正解?」と迷うような状態だと、作品価値は落ちる
③したがって変同や変長は出来る限り避けた方が良い
という辺りが主軸ですが、ここから更に
④作意手順と変同手順で明らかな難易度なり感触が異なり、「ああ、こっちが作意なんだな」という共感が得られるようであれば、減価事項としては小さい
というのが冬眠蛙の考えです。もちろん難易度や感触が異なる、というのは個人の尺度なので一律になるものではないですが、ある程度コンセンサスは得られるのではないかな、と思ってます。

 最初に述べた自作は3月19日の記事に載せた図ですが下の局面で変同があります。
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 ここで作意は「15玉、24馬、同歩、13飛成、同銀、16香」ですが、「14玉、36馬、24玉、34馬、15玉、25馬引」が変同となります。ただ、これで「後者が作意じゃないか」とか「作者はどちらを作意としているのだろう?」と考える方はほとんどいないのではないでしょうか。
 ちなみに例えば玉方47歩を置けば、変同手順の方は駒余りになるので解消できるのですが、明らかに判別できる変同を消すためだけに余計な駒配置する気にはとてもなれませんでした。余計な駒1枚配置する方がよほど価値棄損ですね。

 もちろん自分の見方を強制するものではないですが、詰将棋の楽しみ方として、「こういう考え方をする人もいる」という参考にしていただければと。

軽趣向好作選92

 パラ4月号を眺めてます。大学院の半期賞選考は驚きました。なるほどな、と思う反面、半期賞ってなんだっけ、と思う面も。難しいですね。

 今日も軽趣向好作選。楽しさ満点の作品を紹介。
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▲17歩△同角生▲25銀△15玉
▲17飛△同銀生▲33角△24角
▲同角成△同歩▲37角△26角
▲同角△同銀生▲19飛△17角
▲同飛△同銀生▲37角△26桂
▲同角△同銀生▲27桂△同銀成
▲26角△同成銀▲16歩△同成銀
▲24銀△14玉▲15歩△同成銀
▲23銀生迄33手。
 17歩と突いてみれば、早速打歩詰の形が飛び出てきて、おおよその構図はつかめますが、玉方が徹底的に生で抗戦するので意外と手間がかかります。7手目33角がポイントで、まずここで24歩を質に入れます。そこで37角として銀を動かして19飛と活用。これで角2枚を手に入れることで、次の37角には桂合せざるを得なくなります。27桂で銀を成らせて呼び戻せば打歩詰打開に成功。質にしておいた24歩を手にして銀送りで詰上がります。
 わかりやすい形に目いっぱいキーを詰めこむことで、誰にでも楽しめる、いかにも軽趣向という雰囲気に仕上がっています。

軽趣向好作選91

あっという間に4月になってしまいました。相変わらずの日々ではあるものの、久しぶりに駒を握っているのですが、逆算の仕方をすっかり忘れており、一向に作図が進みません。長いリハビリになりそう。

今日は軽趣向好作選。
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▲65角△34玉▲56角△45歩
▲同角△25玉▲36角△34玉
▲45馬△43玉▲54馬△34玉
▲45角△25玉▲43馬△14玉
▲32馬△25玉▲36角△34玉
▲44銀成△同玉▲54馬△34玉
▲45角△25玉▲43馬△14玉
▲32馬△25玉▲36角△34玉
▲35歩△44玉▲54馬迄35手。
 角を上から打つしかなく、ひとつ離して打つことで合駒が稼げることもすぐに気づくかと思いますが、45歩に同馬は43玉で詰まず、同角から角馬を並べるしかありません。54~36のラインで追いまわしても行ったり来たりを繰り返すだけになるため、工夫が必要です。
 打開のタネのひとつが一旦馬を54に据えてから、45角、25玉に52馬と潜る手順。14玉、32馬に25玉とされてあまり効果がないように見えますが、36馬から44銀成とこの銀を消すのが継続手段。同玉、54馬、34玉とした後、もう一度馬を32に移動させて36角とすれば、35歩が打てて詰みに至ります。つまり53銀は邪魔駒だった、という仕掛けですが、最初の舞台作りではもちろん必要であったわけで、いつの間にか邪魔になる演出をシンプルな舞台装置で実現したのはお手柄と思います。

心理作

 今日スマホを見ていたら、「人はなぜ寿司の松竹梅のコースで竹を選んでしまうのか」といった内容の記事があり、興味深く拝見しました。なんでも、「竹」と「梅」のコースだけを示すと、だいたい半々になるんですが、「松」「竹」「梅」を用意すると圧倒的に「竹」>「梅」になるそうで、確かに自分もそうかもしれないな、と思う次第。
 これで思い出したのが、昔将棋世界?で見た神吉プロのエッセイで紹介されていた心理マジック。人に「1~4のなかで、どれか一つをすぐに選んでください」と言うと、大半の人は無意識に「1」と「4」を除外し、しかもなぜか残りでは大きい方の「3」を選んでしまう、というものです。冬眠蛙も見事に「3」で、全く同じ思考過程をたどってました(笑)。心理というのは面白いものです。

 詰将棋にも心理的にやりにくい手を主眼とした作品をたまに見かけます。個人的には特に短編では心理的にやりにくい手が入ると作品価値が大きく上がると感じており、うまく入った作品を見ると感心しています。自作でも少ないですがありまして、一局紹介しますね。多分はまると難しいかと。
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 ただ、上で紹介したような「選択肢を多くすることで、中間的な候補手をより有力な手段に見せる」という作品にはあまりお目にかかっていないような気がします。ちょっと興味深いので作ってみたいのですが、いかんせんネタも時間もないです(笑)。もしも良い作例があったら教えていただければ。

 昼にNHK杯を取った方が夜には六冠に。いや~強い。これで詰将棋創作のセンスも抜群ときた日には、もう唖然とするのみです。本当に凄い人が出てきたものですね。ではでは。

軽趣向好作選90

先日ツイートしましたが、次回詰とうほくは5月27日(土)に青葉区中央市民センターの第3会議室で行うこととなりました。よろしくお願いします。

あっという間に3月になってしまいました。仕事に追われ、2か月何もできなかった。。。( ;∀;)
まずは軽趣向好作選で立て直し?を図ります。
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▲16金△14玉▲24銀成△同玉
▲23と△14玉▲13と△24玉
▲25歩△同と▲23と△14玉
▲15歩△同と▲13と△24玉
▲34と△同玉▲37香△36歩
▲同香△35歩▲同香△24玉
▲23と△14玉▲36角△25香
▲同角△同と▲15歩△同と
▲13と△24玉▲27香△26桂
▲同香△同と▲25歩△同と
▲23と△14玉▲15歩△同と
▲13と△24玉▲36桂迄47手。

 金を捨てて24銀成~23ととした辺りで、「と金が13~23を往復する知恵の輪かな?」と見当が付きます。実際35とを15まで移動させて34とと香を取り、その香を36香と打つと35に捨て合せざるを得ず、筋に入った感触があります。
 が、36角とする手に25香合とするのが玉方の抵抗手段。同角、同と以下27香、26桂合のときに一歩不足で詰みません。実は34と、同玉のときに36ではなく37に打つのが正解で、35歩には同銀、33玉、34銀、42玉、43香生以下を見せて36歩、同香でもう一歩余計に稼いでおくのが巧妙なキーでした。これで27香、26桂合にもと金を15まで戻せるわけです。
 64歩の配置は残念ですが、知恵の輪の構造自体がシンプルな分、仕掛けの巧さが光る一局です。

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