軽趣向好作選76

 先週はniftyの障害にて更新できませんでした。まあ今日KDDIの障害に比べればカワイイもんですが。あまり多くは言えませんが仕事にも影響出ておりまして、早めの復旧を祈るばかりです。
 看寿賞発表になりまして、受賞された皆さん、本当におめでとうございます。イチシマ的には昨年「渡辺氏作が受賞」と断言していたToshikiさんの慧眼に改めて恐れ入っている次第。いや~、流石です。

 さて、先週飛ばした分軽趣向好作選は今回2作行きましょう。
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▲14飛△24歩▲64飛△45玉
▲15飛△25角▲同飛△同歩
▲67角△56角▲同角△同香
▲23角△34角▲同角成△同歩
▲46歩△55玉▲33角△44角
▲同角成△同歩▲65飛△54玉
▲32角△43角▲同角成△同桂
▲64飛△55玉
▲77角△66角
▲同角△同桂▲65飛△54玉
▲55飛△同桂▲43角△63玉
▲52角成△54玉▲43馬△63玉
▲65香△64歩▲同香△同玉
▲65馬△63玉▲73香成△同玉
▲83馬△63玉▲64歩△同玉
▲65銀△75玉▲74馬まで59手。

 角打角合趣向。①最初に角合を入手②打歩詰予防のため55香を56に移動③33を開けるために33歩を34に移動④43に桂を呼ぶために43歩を44に移動⑤31桂を43に移動⑥収束を見据えて74桂を66に移動で都合6回の角打角合です。②と③を入れ替えると67角に56香合で逃れます。収束は少し長いですが、単純になりやすい角打角合をここまで理知的に仕上げるのは流石に合駒職人の堀切氏です。
 2手目24角合でも作意同様に進むため、発表時は誤解者が大量発生。24歩と突くのが絶妙で、これを同飛と取ると34角合、同飛、同歩と進めることとなり、上記の②③の手順前後と同じ仕組みで不詰。精巧の一語です。

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▲28飛△37玉▲38飛△27玉
▲36銀△同桂▲28飛△37玉
▲26銀△同桂▲38飛△27玉
▲18銀△同桂成▲28飛△37玉
▲26銀△同龍▲38飛△27玉
▲37飛まで21手。

 飛角の両王手を繰り返しつつ逃げ道を埋める趣向。構図は前に紹介した中村雅哉氏作と一緒ですが、埋める駒を桂にしたことで18銀を同桂成と取ってまた26の逃げ道が空いたため、もう一回りして26銀と再度捨てる手が入ったのが大きい。持駒趣向としても盤面の使用駒から見ても完璧と言っていいのではないでしょうか。
 新人コンクールで2.81の高得点をたたき出しました。編集部に横取りされたようで、石黒教授はかなり残念だったのでは。

 

非解図日記

 今年に入ってから、詰パラの学校を解ける分だけ解答してました。だいたい短大の途中で毎月力尽きてますね。正解率はまあまあですが、たまに思い切り誤解することもあり、ウッカリ癖は一生治らないものだなあ、と改めて感じてます。
 今月は学校が休みなので順位戦を、と思ったのは6月号が届いてページを開くまで。不思議なもので、高校の出題図は多少形が乱れていても「なんとか解けるかな」となるのですが、順位戦だと数が多いこともあるのですが、一気に「うん、無理かな」と思ってしまいますね。そうそうたる作者の方々の並々ならぬ熱意にあてられてしまっているのかも。ま、メール解答ができない、ということもあります。

 そのハシクレに自分の名前もあるのですが、「去年は投稿する気力も起きない状態で迷惑かけたので、今年はなんとか」というのが真相です。そういったこともあって、まず昨日C級を、今日はA級をソフトに解かせて鑑賞してました。こんどB級も同じことするか……と思ったのですが、ちょっと理由があって、「B級だけでも自分で解いて解答出すかな」という気に少しなっています。まあ本当にそうするかは怪しいもんですが。

 他人に強制はしませんが、解いた感想は月が過ぎるまで言わないのがエチケットかな、と個人的には思っており、今日はどの作品がどう、とは書きません。が、単純に「スゴイなあ」と感心した作品と、「スゴイけど、ここまで無理しなくても」と感じた作品の2パターンですかね。まあ、解かずにPCで見ただけの感想です。結果がどうなるか、自作も含めて楽しみにしています。

 詰将棋関係である作業の依頼を今受けており、少しずつ進めています。頑張らなきゃ。ではでは。

軽趣向好作選75

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前回紹介しました広瀬氏作、いかがでしたでしょうか。99角、33歩以下67手詰になった方は残念ながら不正解。当時解説された風みどり氏も、解答を見る前にもう一度見直してほしいと書かれていたかと存じます。さてでは。

▲99角△77歩成▲同角△66歩
▲同角△55歩▲同角△44歩
▲同角△33歩▲同角引成△同桂
▲同角成△21玉▲43馬△11玉
ー 以下馬鋸で87歩を取り、44まで戻る ―
△21玉▲33桂△31玉▲32歩△42玉
▲43歩△51玉▲52歩△61玉
▲62歩△71玉▲72歩△81玉
▲82歩△91玉▲92歩△同玉
▲93歩△同玉▲66馬△92玉
▲65馬△91玉▲81歩成△同玉
▲82桂成△同玉▲83桂成△91玉
▲92成桂まで75手。
 99角に対して33歩合以外の打合、たとえば77香合は同角、同歩成、12香までの3手詰。唯一歩が利く33歩合として精算し、あとは馬鋸で43歩~87歩を全部取るのか……と思った人が多いのでは。現実、柿木将棋に解かせても同じ解答を示します。が、いずれ収束に入るためには歩が7枚必要なので、87歩まで取るのが必須。ということは、43歩~76歩までの4枚は移動合で捨てた方が手数が伸びる、という仕掛けになっています。いわゆるヤケクソ中合という手筋で、ごくたまに登場するものなのですが、これを趣向の原理に使える、という作者の着眼が素晴らしい。これにより連続移動捨合がかつてなくシンプルに、美しく表現されています。
 収束も最低限の駒配置でうまく歩を消化。桂成捨てで見事に締めました。歴史に残すべき作品と思います。

 なお、前回の記事で、本作も還元型無駄合の原理を利用、と書いたのですが、良く考えなくても違いました(汗)。途中歩合で呼び戻したらそのまま詰みますからね。大変失礼しました。ただ、87の駒が桂とかでも実現できる手順で、その場合は歩で呼び戻すことで還元型無駄合になります。作者はそれを嫌って歩だけで収束できる構図にしたのかもしれませんね。

 

無駄合裁定

 次回詰とうほくは8月20日、場所が変わって青葉区の中央市民センターの第3会議室となりました。久しぶりの椅子席開催となります。抽選落ちまくってました(;^ω^)

 パラ6月号の記事で代役の平井さん解説の高11の途中図(下)で55歩が有効か無効か、という問題に関して編集部裁定が載っていました。
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55歩、同香に対して42玉と逃げた場合は有効合であるが、53金と受けた場合は55歩が無駄合となる。だから変長ではない」というのがその裁定です。ただ、ちょっと文面を表面だけ読むと何がなんだか?と思う方もいるのでは。ちょっとだけ付け加えると、「55歩、同香に対して42玉と逃げた場合は有効合であるが43歩以下早く詰むので割り切れており、53金と受けた場合は55歩が無駄合となる。だから変長ではない」というのが編集部の意図するところかと思います。今回は42玉と逃げる手が作意側の話ですが、仮に53金合が作意で、42玉と逃げる手が変化となるような作品だったとしても55歩合は同じく無駄合ということになるかと。
 つまり、定義としては「合駒を取る手以降のどこかで、玉方が取る手段が複数あり、そのどの手順においても、作意より早く詰むか、もしくは作意と同様に進めて取った駒が余る場合は、明確に無駄合」というのが裁定の本質で、冬眠蛙的には非常に分かりやすくて良いな、と思いました。
 ただ、ここで「明確に」とアンダーラインしたのがポイント。「上記を満たす場合で有効合になるケースがある」というわけではなくて、「上記を満たさなくても無駄合とみなされるケースがある」というのが面倒なところで、馬鋸・龍鋸の手数伸ばしの捨て合が有名なケースです。「作意とは異なる手順、かつ玉方が最善を尽くした場合でも盤面が合駒をする直前の局面まで再現でき、持駒が捨て合された分単純に増えていれば無駄合とみなす」というものですね。最近はこれを嫌う人がだんだん増えてきているようですが、冬眠蛙的には昔から見慣れていることもあり、どちらかというと「無駄合で良いのでは」という方です。解答する側からみるとややこしいという意見も尤もなのですが、これを利用した傑作もたくさんありますし。

 というわけで次回の軽趣向好作選はそれを利用した快作です。先に図面だけ紹介します。どこが素晴らしいのか、解図ソフトを使わずに(!)考えていただければ。ではでは。
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5月の詰とうほく

 昨日は詰工房と重なってしまったのですが、6名参加でのんびり楽しみました。私は小川さんから送られてきた新作を解図後、学校を高校の途中まで岩本さんや尾形さんと楽しみました。小川さんからは2作見せてもらったのですが、どちらもなかなかの作品で、いや流石だな、と改めて感心。1作はこのブログで出題する予定ですが、だいぶ先です(謎)。
 データベースの今後の方向性についてだいぶ話が盛り上がってました。冬眠蛙はデータベース持ってないので使い勝手の良し悪しとか分からないのですが、やはりどうしても手間がかかりますので、そこが問題なんでしょうか。ちなみに自分の場合は同一作検索は使わせてもらっており、本当に重宝していますが、完全一致以外の類似作品検索が出来たら助かるなあ、と感じることはあります。
 Uraさんからは参考資料で二上達也さんの新聞発表作を集めた参考資料をいただきました。ぱらぱらと眺めてますが、うまく出来てるな、と感心する小品が多いです。少しだけ紹介。
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次回は8月20日(土)を中心にして予約を入れてます。いつもの場所が取れますように。(-人-)

軽趣向好作選74

 次の土曜日は詰とうほくです。詰工房と重なってしまいましたが、まあいつもどおりノンビリとやりたいと思います。お近くの方はぜひ。

 さて、本日は軽趣向好作選。私好みのハガシ作品を紹介します。
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▲55歩△同と▲46桂△同と
▲55歩△同玉▲46金△54玉
▲65銀△同と▲55歩△同と
▲同金△同玉▲46龍△54玉
▲44金△同銀▲55歩△同銀
▲同龍△同玉▲44銀△54玉
▲56飛△同馬▲55歩△同馬
▲53銀成△同玉▲62馬△54玉
▲46桂△同馬▲44馬まで35手。
 呼び出しハガシ趣向ですが、よく見る同じ種類や手段によるハガシではなく、一回ごとに剥がす駒や呼び出し方が異なり、またそれを取る駒も次々とバトンタッチしていきます。当然手順前後を許さない仕組みが必要なのですが、2回目の取り駒を龍で設定したことで、65銀と44金の順番をごく明快に限定しているのがうまい。更には銀を取って据えた後は支えに使った飛を華麗に捨てて、最後はキッチリと「ケ」の炙り出しは見事の一語です。曲詰、軽趣向ともに大家である三角氏の面目躍如の一局でした。

 

ちえのわ雑文集と宮原さん

 5月号の標記コーナーで昨年看寿賞をいただいた短編を、中編賞を受賞した宮原さん作といっしょに大崎氏にとりあげていただきました。ありがとうございます。今回はそれを見た感想を。
 大崎氏は「市島さんも宮原さんもL1合を取らない高木手筋を作ろうと思って作ったわけではないだろうけど」と予想されていますが、実は……そのとおりです。こちら(←クリック)で解説してますが本当は7手目同馬を作意にしようと思ってました。理由は大崎さんが書かれている「作りやすいのはL1合を取ってL2合には入らず、収束に分岐する手順だろう」というのとは少し違っていて、「謎解きとして、その方が奥深さが出る」というものでした。理想は同じコーナーで紹介されている宮原さんの11手詰で、これは当時見たときも、なんてスマートなんだろうと思ったものです。

 ただ、宮原さんの中編の方は、大崎氏の「作ろうとして作ったわけではないだろうけど」ではないんではないかな、というのが市島の予想です。「高木手筋を梃にして4段跳ねが出来る」というのが作者の直感としてあったに違いないと思うんですよね。だって宮原さんですから。いろんな人に言ってますが、彼の作品を見たり解いたりしたときに一番才能とセンスの違いを感じます。最近は作品をコンスタントに発表されていて嬉しい限り。今後も楽しみにしています。
 その4段跳ねの作品はYouTubeで詳細に鑑賞できます。埋め込んでおきます。丁寧に解説されてますので、ぜひご覧ください。 

軽趣向好作選73

 ゴールデンウィークも今日でおしまい、という方が多いのでしょうか。私は明日休みで新潟に戻るので、今日更新しておきます。今回はかなり軽めの2作。
20220505take
▲35龍△54玉▲45龍△64玉
▲55龍△74玉▲65龍まで7手。
 今まで紹介した中で最短手数でしょうか。龍が一路ずつ横に追う趣向です。龍という駒は当然横にいくらでも動けるわけで、その中で一路ずつ追うように作るのはかなり難しいのですが、72龍配置が絶妙で、これをうまく変化と作意(74玉のときだけ73桂がピンされる)に使って、実に軽く実現しています。さすがのセンスですね。
20220505bando
▲28角△同玉▲38龍△17玉
▲37龍△16玉▲38角△15玉
▲35龍△14玉▲47角△13玉
▲33龍△12玉▲56角△同龍
▲13歩△11玉▲31龍△21合
▲12香まで21手。
 大駒図式から持駒の香を梃にした龍角による追い趣向。19玉が一直線に11玉まで下がり、角捨ても入って軽趣向として申し分のない手順と言えるのではないでしょうか。この月のデパートは飛角図式特集で、前回紹介した2作品以外もなかなかの好作でした。本当に種はつきないものですね。


処女作

 GWの谷間の一日、パラが届いてホッ、という方も多いのでは。今月は平日が入りましたけど、郵便事情も変わりましたので年によっては5日くらいまで届かない、なんてこともありそう。大変ですね。

 今年は妻と一緒に29日から青森に行ってました。初日弘前で二日目は奥入瀬~十和田湖、最終日は青森市。せっかく十和田まで行ったので高坂さんに会いたかったですが、大変そうでしたので今回はパスしました。奥入瀬では自転車を借りて渓流のぼり。普段あまり登り坂を漕がないのでくたびれました。その分目の前に開けた十和田湖はとても美しかったです。
 で、船に乗ったところでスマホが振動。なんだろうと見てみたら、EOGさんからダイレクトメッセージをいただきました。「作品集Unplugged#07、初入選前の作とブログにはありますが、将棋ジャーナルに同じ図が掲載されています」。いや~驚きました。PNで投稿して、ボツになったと思ったら初級向け詰将棋に載せてもらってました。下図です。
Shojosaku
 新作に見えません(笑)。時期的に高校受験で、いったん将棋やめてた頃だったかなと。そうじゃなければ気づかないはずないので。そうかあ、初入選ではないけど処女作これになるのかな?伊藤果氏の「詰将棋の創り方」とか読んで当時少し興味あったんですよね。この後大学4年まで長い眠りに入ります。
EOGさんにはご指摘いただき、ありがとうございます。「Unplugged」自体が超マイナーですので、見ていただいたことだけでも嬉しかったです。

 ちなみにその「Unplugged」、コンセプトが「自分のミニ作品集には入れなかった軽めの作品を拾い集めたもの」なのですが、実は「自分がマイベスト的な作品集を作るとしたら、当時は入れなかったけど今は入れたい作品」もあったりします。こちら。
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 もともと「初期にしては良く出来たな」とは思っていた作品で、短編名作選に選んでいただいて、やはり捨てがたいなと。安武利太氏に感謝です。
 他に詰将棋サロン好作選に選んでもらった作品もあるのですが、そちらは今見てもイマイチ。でも将来また気が変わるかもしれませんね。

軽趣向好作選72

 詰将棋を久しぶりに投稿しました。いつ載るかな。

 前回飛ばしてしまった軽趣向好作選を。今回は某所と連動して、というわけではなく偶然なのですが飛角図式の軽趣向を2作紹介します。
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▲17銀△同玉▲28銀△18玉
▲19銀△同玉▲29飛△18玉
▲28飛引△17玉▲26銀△同馬
▲18銀△16玉▲26飛△15玉
▲24角△14玉▲13角成△同玉
▲23飛成まで21手。
 飛が縦に2枚並んでおり、堀半七風に迫るしかないのですが玉方の馬の効きが強いので、銀をうまく使ってかいくぐります。28銀~19銀と捨てて飛2枚を引いて土台を作れば、馬を入手して角打・成捨で収束です。易しいですが持駒趣向もあり発見と言えるのではないでしょうか。

20220423sumi
▲34龍△15玉▲35飛△16玉
▲25龍△17玉▲37飛△18玉
▲38飛△17玉▲28龍△16玉
▲36飛△15玉▲26龍△14玉
▲34飛△13玉▲24龍△12玉
▲32飛成△22歩▲13歩△11玉
▲31龍△21銀▲12歩成△同玉
▲34角△23桂▲同角成△同歩
▲13歩△11玉▲21龍△同玉
▲23龍△31玉▲32歩△41玉
▲43龍△51玉▲52銀△62玉
▲74桂△72玉▲63龍△81玉
▲83龍△91玉▲82桂成迄51手。
 こちらは飛龍での縦追いです。32飛成に対して22歩合としてアッサリ角を取らせてしまうのですが、ここで銀合と頑張ると23龍上で簡単なので仕方ありません。続いて31龍に21銀合とするのは12歩~34角として23合を食いちぎったときに32龍とする手を防いだものです。21桂合でも良さそうですが、先の12歩~34角で合駒させたときに22龍が成立して早く詰みます。この辺りは良く綺麗に限定できたものと感心します。
 以降は13歩~21龍と切って横追いに移るのですが、ポピュラーな32銀~54桂で追うと、最後に66角が93に効いて詰まない仕組みになっており、32歩~43龍で迫るのが正解。最後は少し流れますが、91の方の雪隠で詰むのは意外性もあるかと思います。あまりこういった条件作を作られるイメージはない?作者ですが、縦追いと横追いの繋ぎの丁寧な作りに”らしさ”がうかがえます。

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